『バーンブレイバーン』11話感想:いざ最終決戦かと思いきや、突如として始まるキャンプ回。思わず言葉を失うラストシーンが衝撃すぎた(ネタバレあり)

米澤崇史
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 2024年3月21日(木)に放送された、『勇気爆発バーンブレイバーン』第11話“オペレーション・ボーンファイア、開始だ!”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『勇気爆発バーンブレイバーン』11話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

実は食事を摂れなかったブレイバーン。スペルビアのリアクションがグルメ漫画すぎる

 いよいよデスドライヴズとの最終決戦が始まる……かと思いきや、「私に考えがある」という某正義の司令を連想させるブレイバーンの発案により、まさかの無人島キャンプでスタートした11話。タイトルの“オペレーション・ボーンファイア”って、戦闘の作戦名じゃなかったのかよと突っ込んだのは自分だけではないはず。

 今までのイサミだったら「こんなことやってる場合か」などとツッコミを入れたと思うのですが、焚き火を前にしてチルの波動(癒やしの波動的な何か)を感じることを口にするあたり、かなり毒され始めている感があります。

 ただその際に明かされた内心は真剣そのもので、状況に流されて「自分がやるしかない」という一種の義務感でブレイバーンに乗っていたイサミが、自分の意思で戦いにおもむく。結果だけを見れば同じなんですが、イサミの内面的な成長が強く感じられたシーンでした。

 まぁ、その後に我慢しきれなくなり、あやうくロボットがパイロットを押し倒しかけるというロボットアニメ史上初のシーンに突入しかけるところでしたが、その瞬間に出くわしてしまったルルが気まずそうにしているのが面白い。

 いつの間にか用意されていたルルの水着姿を見せてくれたのはナイスプレイ。よくよく思い返すと、髪型や衣装が毎回違っていいて、ルルには一体何種類分のデザインが用意されていたのか、スタッフからのただならぬ愛の深さを感じます。

 スペルビアの食事のシーンで食べ物がツッコまれていたのは、おそらくルルやスミスが乗り込むコクピットらしき部分でしょう。デスドライヴズ自体がルル(有機生命体)からのエネルギーを接種して動いているようなので、コクピット部から食事ができるのはなかなか納得感がありました(食事を超効率的にしたのがルルからのエネルギー接種というイメージかなのかなと)。ただ、スペルビアのリアクションが、完全に料理漫画に出てくる審査員ポジションだったのには笑いましたが。

 一方で、ブレイバーンに食事の機能がないことには驚きました。言われてみると、今までブレイバーンが食事らしきものを摂っているシーンはありませんでしたし、10話の未来のルルの回想では、最後に日本のカレーが食べたかった(ブレイバーンになってから食べられなかった?)ようなことを言っているんですよね。

 デスドライヴズがルルを使い捨てていたことを考えると、ブレイバーンが同じことをイサミにしていたとは考えにくいので、エネルギーをどうやって補給していたのかという新しい疑問がここに来て出てきたような気がします。

 あとは海岸の波打ち際の相合い傘は、誰が描いたのかもちょっと気になりました。一番やりそうなのはブレイバーンなんですが、ブレイバーンはずっとイサミと一緒にいて描くタイミングがなさそうなので、個人的にはルル説を推したいです。

 未来のルルは、おそらくミユが姉代わりになっていたと思うので、“そっち”方向の影響を受けている可能性もあるんじゃないかな……と妄想してみたり。そんな相合い傘が波によってかき消されているのが、11話の視聴を終えてから改めて見ると不吉な予兆になっていることに気づきます。

 そして残るデスドライヴズとの決戦では、セグニティスにはまともな戦闘力が皆無というまさかのオチに(ブレイバーンが合体を中止した時のリアクションあたりからそんな気はしていましたが)。セグニティスはなにもせず得られる死を求めているようで、むしろよくここまで生きていたな……と思ったんですが、おそらく何もしない間にほかのデスドライヴズが侵略先を殲滅しきってしまうので、戦う機会そのものがなかったんでしょうね。

 思い返すとデスドライヴズで比較的まっとうに敵幹部としての役割を果たしていたのは、ヴァニタスとペシニズムだけなのでは。ここまで地球に甚大な被害を出しておきながら「こいつら大丈夫なのか……?」と心配になる敵組織ってなかなかスゴイなと思います。

ブレイバーンとスペルビアの一騎打ちで、いい感じに終わったと思ったら…

 後半からは、ブレイバーンとスペルビアと一騎打ちというこれまた想像していなかった展開で、誰もが「デスドライヴズとの戦いが終わってからにしろよ!」と突っ込んだんじゃないでしょうか。

 とはいえルルもそれは承知の上だったので、これはもう理屈ではない感情なんでしょう。もしかしたら、最後の戦いでどちらが死んでしまい、決着がつかないままになってしまうのを本能的に恐れて、今しかタイミングがないと感じたのかもなと。

 ブレイバーンを一方的に圧倒し、バーンブレイバーンになったあとも互角以上に戦っているあたり、ルルと一つになったスペルビアは想像以上に強かったですね。戦闘シーンも見応え抜群で、久しぶりの勇者パースが見られたのもテンション上がりました。

 ブレイバーンとスペルビアの最後の剣戟シーンでは、ルルがスペルビアの幸せの感情を感じる一幕がありましたが、デスドライヴズであるスペルビアの幸せは、誇り高い死を迎えることだったはず。あの瞬間は、スペルビアは死ぬこと以外の幸せを初めて知った瞬間でもあったのでしょう。今まで、"死ぬために生きていた”スペルビアが“幸せのために生きる”ようになるのは、非常に大きな変化だと思います。

 一方、頭だけになっていたセグニティスは絵面としてはちょっとかわいそうですが、ブレイバーンとスペルビアの一騎打ちを見ながら死ねて、本人が満足そうだったのが印象的でした。

 おそらく、あそこに塔を作ったこと以外は目立った地球への侵略行動は取っていないと思うので、自分の望みのために周りに迷惑をかけなかったと考えると、デスドライヴズの中では一番まともな奴だったのかもしれないなと思いました。ただ、もしも仲間になっていたとしても多分なにもせず引きこもっているだけだったでしょう。

 そこからの夕日をバックにした握手で、今回はいい感じに終わり、残すは最終話での決戦か……と思った瞬間、待ち受けていたのがあまりにも衝撃的過ぎる展開。もう本当に“唖然とする”という言葉はこのためにあったんだなと思えたほどで、放送後に大張監督のXのポストを見て、まったくポプ子と同じ心境になっていました。

 ブレイバーンが機能停止するシーンは、10話のルルの回想を思い出しましたが、あの時と違ってイサミこそ生き残ってはいるんですが、まだデスドライヴズが2体も健在で、相打ちで終わったあの世界よりも状況としては悪化しているくらいなんですよね。

 ブレイバーンが最後に口にした「ブレイブバーン(勇気爆発)」という言葉が意味を持ってくると思いますが、ここからどう巻き返せるのかまったく想像がつきません。ブレイバーンが奇跡の復活をするのか、はたまた新しいループに突入するのか……。

 ついに残すは最終話のみ。とうとうこの祭りのような時間が終わってしまうことに寂しさを覚えつつも、来週の放送を心して待ちたいと思います。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

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