冬アニメの危険作『異種族レビュアーズ』監督インタビュー。注目点はクリタマカットと水の音(意味深)
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- カワチ
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エルフや獣人、悪魔や天使など多種多様な種族が暮らす世界を舞台に、異種族娘たちが営むムフフなお店に通って、そのサービスのすべてを余すことなくクロスレビューしていくTVアニメ『異種族レビュアーズ』。
『異種族レビュアーズ』(原作:天原/作画:masha)は、ニコニコ漫画の“ドラドラしゃーぷ#”で連載中のいろいろな意味で超危険な最先端ファンタスティックコメディ作品です。
地上波での“通常ver.”だけでなく、dアニメストア、niconicoなどでのムフフ成分増量の“裏オプver.”や、AT-Xでの放送やBDに収録される“無修正ver.”も用意されているようでして……!?
ここでは、そんな攻め攻めな本作の監督を務める小川優樹さんへのインタビューをお届けします。
30分の地上波アニメ……正気か!?
――『異種族レビュアーズ』の監督を担当することが決まったときの感想をお聞かせください。
小川:原作を読んでみたらとても地上波で放送できるような内容ではなかったので、話を持ってきてくれた方に思わず「5分ぐらいのWebアニメで展開するのでしょうか?」とお聞きしてしまいました(苦笑)。
30分の地上波アニメと聞いたときは「がんばります!」と答えたものの、内心では「正気か?」と思っていましたね(笑)。
――アニメ化を発表したときの周囲の反響はいかがでしたか?
小川:やはり周囲からも「アニメ化するの!?」「本当に大丈夫なの!?」という声をいただきました(笑)。
――スタンクを中心にクセがある登場人物だらけの作品だと思いますが、お気に入りのキャラクターはいますか?
小川:クリムですね。両性具有のキャラクターは珍しく、これまでのアニメで作っていたキャラクターにはいなかったので新鮮でした。
また、主人公のスタンクも見た目は格好いい冒険者なのに中身はただのエロいおっさんだったりして、おもしろいキャラクターだと思います。
――第1話を拝見させてもらいましたが、普通のファンタジー作品のようにスタンクがモンスターと戦うシーンもありますね。
小川:30分丸々エロシーンにするとただのエロアニメになってしまうので、ファンタジー要素をしっかり盛り込もうと思いました。
――なるほど! ほかにアニメ化をする際に苦労した部分などはありますか?
小川:レビュー部分はそのまま絵にしても文字だけになってしまうので、毎回工夫しています。
たとえば第2話ではボーリングをやって、その点数を競うような演出にしました。ほかにもクイズにしたりスタンプにしたり、毎回どのように点数を表現するのかはいちばん悩んだ部分ですね。
1つの話のなかでも、前半と後半で違う嬢をレビューすることが多く、話数の2倍の演出を考えなければいけないので大変でした。
――登場キャラクターも多い作品なので、その点も大変だったのではないでしょうか?
小川:デザインはうのまことさんが担当されているのですが、胸の大きいキャラクターのデザインがあがってきたときに乳輪が大きすぎて服からはみだしていたことは衝撃でした。
地上波で乳輪を出すわけにはいかないので隠していますが、逆にAT-Xでの放送やBDに収録される無修正ver.ではちゃんと見られるようになっているので、お楽しみに(笑)。
うのさんはフェチをわかっているデザイナーなので、細かい部分もかなりこだわってくれています。そのため、クリムの股間の膨らみもかなりリアルなのですが、放送ではリアルすぎてこちらも隠しを入れることになりました(苦笑)。
大変だったという意味ではモブキャラクターの設定にもこだわりました。さまざまな種族が登場する世界観なので、モブキャラクターもそれぞれ種族の違うキャラクターになっています。
また、彼らそれぞれにもしっかり個性が出るようにしているので、アニメオリジナルのツッコミセリフなどにも注目してもらえればと思います。
――あの……複数のバージョンを作らないといけないので、納期が大変だったのでは?
小川:基本的には、AT-Xでの放送やBDに収録される“無修正ver.”を作った上で、そのチェック中にdアニメストア、niconicoなどで配信される“裏オプver.”や、地上波用の“通常ver.”への調整をしていくので、そこまで大変ではありませんね。
ちなみに“裏オプver.”は地上波用の“通常ver.”に比べると隠す部分は少なくなっていますが、“無修正ver.”ほどではありません。我々が本当に作りたかったものは“無修正ver.”なので、ぜひ、AT-Xでの放送やBDも見てみて欲しいですね。
注目点はクリタマカットと水の音(意味深)
――監督として、「この部分に注目してほしい」という、特に力を入れている部分について教えてください。
小川:ビジュアルにもこだわっていますが、SEや声にもすごくこだわっています。ただ、こちらも音がリアルすぎて地上波では流すことができませんでした。遠まわしに言うと、水の音と喘ぎ声の表現にものすごくこだわっています(力説)!
地上波や“裏オプver.”では、音のボリュームを下げたり、消したりしている部分が多いのですが、AT-XやBDの“無修正ver.”にはリアルな音もしっかり入っているので、ぜひ聴き比べてみてもらいたいですね。
また、もちろん嬢の可愛さにもこだわっています。嬢が登場するシーンがなによりの見どころだと思っているので、原作の嬢をアニメで動かして可愛く見せるために、胸揺れや髪の揺れ、瞳の大きさなど、細かいところまでこだわって作っています。
――原作漫画はオムニバスに近い形ですが、今回はどのようなテーマで収録エピソードをまとめていったのでしょうか?
小川:TVアニメ化が決まったときは第1巻までしかコミックが発売されていなかったので、自然と原作通りの流れになりました。
ただ、30分アニメなので原作の要素をすべて取り入れたとしても内容が薄くなってしまうので、原作よりも早めにクリムが仲間になるようにして全体の密度を濃くしました。そのため、クリムは1話の後半から登場します。
――アニメオリジナルのエピソードなどはあるのでしょうか?
小川:原作のエピソードを濃く描くということに集中しているので1話丸ごとオリジナルのような展開はありませんが、嬢のお店に行く過程でモンスターと戦うといったオリジナル展開は用意してあります。
――コミックにはおまけ漫画も収録されていますが、その内容はアニメでも観ることができますか?
小川:はい。おまけ漫画は前日譚や後日談であることが多いので、そのまま本編に組み込む形で取り入れています。
――本作ならではの試みやチャレンジした部分がありましたら教えてください。
小川:……やはり両性具有のキャラクターにちゃんとタマをつけたことですね。
自分も悩んだのですが、キャラデザのうのさんからも「こういう作品をやるからには」と言われ、原作サイドからもOKが出たので挑戦することにしました。
自分としても“かわいい女の子的な外見なのにタマが付いている”という新しいことをやってみたかったんです。クリムはスカートが短いので後ろから飛んでいるとタマが揺れるのが見えるのですが、こういったカットを1話に必ずひとつは入れるようにしました。
現場では“クリタマカット”と呼んでいたのですが、結果として、クリタマカットは隠しを乗せることになってしまいました(苦笑)。
――ギャグも多い作品ですが、ギャグシーンはいかがですか?
小川:おっしゃるとおり、この作品ではギャグも重要だと思っています。背景をイメージにしたりキャラクターをデフォルメにしたり、多彩な方法でシーンを彩るようにしています。
――原作の天原さんや作画のmashaさんから、何かオーダーはありましたか?
小川:原作から内容が薄まらないようにしてほしいという要望を受けました。自分たちも内容を濁して伝えるようなことはしたくないと思いましたし、やるからには原作を超えるものを作ろうという気概で臨みました。
ちなみに、先ほどのクリムの股間についても原作者の方々に監修を出してオッケーをもらっているので、ちゃんとオフィシャルのサイズ感や形状となっています(笑)。
また、細かい部分では“風俗”という言葉は使わないでほしいというオーダーもありました。中世ファンタジーの世界とは文化的に違う部分があり、合わない用語だからという理由でしたので、使わないようにしています。
――アニメ制作中に印象に残っている出来事やエピソードがあれば教えてください。
小川:重ねてになりますが、クリムのタマはこのままいけると思って作っていたので、地上波では隠しを載せなければ放送できない、と言われたときは絶望しました。
そのまま見てもらえると思ってドアップのカットやゆれるカットをたくさん作っていたので、隠すことになったときは本当に悔しかったですね。
そういう意味での想定外でいうと、地上波ではオープニングとエンディングアニメにも隠しが入りまくっています(苦笑)。本編ではなくオープニングの時点から、「このアニメはヤバいな」という雰囲気は察してもらえると思いますが、ぜひ“裏オプver.”や“無修正ver.”で本当のOPアニメを楽しんでもらえるとうれしいですね。
――最後にメッセージをお願いします。
小川:第1話はクリムの股間、第2話は牛の乳がすごいことになっているのでどちらも注目してみてほしいです。もし見逃した方は、振り返り放送などのタイミングでぜひ!
そのふたつが気に入る人であれば、その後のストーリーもきっと楽しめると思いますので、ぜひ末永くお付き合いいただければと。よろしくお願いいたします!
(C)天原・masha/株式会社KADOKAWA/異種族レビュアーズ製作委員会
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