アニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』鳥海浩輔さん(三日月宗近役)&前野智昭さん(山姥切国広役)にインタビュー!

原常樹
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 4月2日23時よりTOKYO MX、BS11で放送される、新作TVアニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』(全8話)の声優インタビューをお届けします。

 『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』は、2016年に初演が行われた舞台『刀剣乱舞』の第1弾を脚本原案とした新作アニメーション。これまで長年舞台の脚本・演出を手がけてきた末満健一さんが、脚本・シリーズ構成を務めます。

 キャラクターボイスは原案となった刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞ONLINE』と同じ声優陣が引き続き担当。今回、本作のメインキャラクターを演じる鳥海浩輔さん(三日月宗近役)と前野智昭さん(山姥切国広役)にインタビューを敢行しました。

 『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』や、自身が演じるキャラクターに加えて、先日9周年を迎えた『刀剣乱舞ONLINE』についてお話を伺いました。

■鳥海浩輔さん(三日月宗近役)

■前野智昭さん(山姥切国広役)

アニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』声優インタビュー

――4月よりスタートするアニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』は、人気の舞台『刀剣乱舞』を脚本原案とした新作アニメです。アニメ化の話を聞いたときの印象はいかがでしたか?

前野:舞台でもとくに人気の高い作品とうかがっていましたし、『刀剣乱舞』というコンテンツがアニメという形でふたたび動くということがシンプルにうれしかったです。ただ、最初にお話をうかがったときはどういう形になるのかということまでは僕らも聞かされていなかったのですが、我々声優陣が引き続き担当させて頂けるということで、気合いも入りました。また、舞台が脚本原案ということでこれまでとは違った刀剣男士たちの活躍が見られるんじゃないかとワクワクしていました。

鳥海:僕の言いたかったことは、おおむね前野くんが言ってくれました(笑)。それにしても、こういう切り口からアニメ化するという手法には心底ビックリしましたね。大人気の舞台をアニメに落とし込むという“ある種の逆輸入”ができることに驚きつつ、また動く彼らを見られるというのが非常にうれしかったです。

――アニメの収録についてはいかがでしたか?

前野:実は収録自体はだいぶ前に終わっていまして。

鳥海:とくにトラブルもなく、粛々と収録をしていった感じでしたよね。

前野:縁の深い刀剣男士3~4人で分散しながら収録していったような。

鳥海:僕と前野くんはだいたい一緒でした。基本的にはおまかせでやらせてもらっていたので、動きに関する部分や感情の振れ幅に関する指摘はありましたけど、「今回はこうだから、こういう風に演じてください」みたいなディレクションをいただくことはなかったです。

前野:どの『刀剣乱舞』でも山姥切国広は、自身が写しであるということに対するコンプレックスが軸になっているので、それに対する葛藤を表現しつつ、いかにして成長に繋げていくのかということを強く意識しました。

 毎回、苦悩や葛藤を乗り越えていく過程を演じられるのはすごく楽しいですし、応援したくなるような一面を持っている刀剣男士だなと感じています。魅力を知れば知るほど愛おしさも募っていくというか。本当にかわいい子で、グッズとかもついつい買っちゃうぐらい愛着が湧いています(笑)。

――『刀剣乱舞』は9周年を迎えるコンテンツですが、自身の演じる刀剣男士に対する印象が変化した部分はありましたか?

前野:山姥切国広に関しては、やっぱり本科である山姥切長義が出てきたことが大きかったのかなと。原案ゲームでは極(きわめ)というちょっと新しいバージョンが登場したのも驚きました。

鳥海:布を脱ぎ去ってね(笑)。

前野:それで鉢巻をつけるという斬新なビジュアルに(笑)。写しという立場でありながらも自分の信念に則って行動に移す勇気を持つようにもなりましたし、そんな彼からいろいろなことを学ばせてもらったと思います。こうやって語らせてもらっても山姥切国広はだいぶわかりやすい刀剣男士ですが、逆に三日月宗近は演じるのが毎回難しそうなんですよね……。

鳥海:三日月宗近に関しては自分のなかで9年前からそんなに印象は変わらないんですけど、ゲームの収録の段階では情報がほとんどなく、しかもパートごとのボイスしかなかったので、そこから考えると自分のなかでの三日月宗近の解釈はだいぶ上がったと思います。「なんとなくこういうことなのかな……?」と演じていたのが、「ああ、これはこういうことなんだろうな」と確信をもって演じられるようになったといいますか。大侵寇でネタバレしてくれたのが大きかったです。

――あの展開には、多くの審神者が衝撃を受けたかと思います……!

鳥海:いや、まさか刀の姿になってしゃべるとは(笑)。普段から彼は意味深でさまざまな意味合いに取れる言い回しをしてきましたけど、大侵寇からは「どう取ってもいいよ!」というお芝居が意図的にできるようになってきたと感じています。その流れで今回のアニメでも謎の大物感というか、謎のラスボス感みたいなものを出させてもらいました。本当は全部知っているのかもしれないし、本当は何もしらないのかもしれない。でもたまにいいことを言ってみる、みたいな感じで(笑)。

――三日月宗近らしい言い回しですよね。

鳥海:説得力があるような気はするんだけど、それが正解だということを提示したくはなかったんです。

前野:今回のアニメは、“山姥切国広のストーリー”と“織田家由来の刀剣男士たちのストーリー”というふたつの柱があって、それを三日月さんが後押ししてくれているような構図ですよね。

鳥海:そう。ずっと悩んでいる織田家由来の刀剣男士と山姥切国広を導くような立ち位置で、とりわけ山姥切国広に対しては期待をしていて背中を押してあげる役割を担っています。これまでの『刀剣乱舞』のなかでもだいぶ鋭い物言いをすることがあるのも特徴かもしれません。あくまで俯瞰で見ているといいますか。関わりはするんですけど、そんなに深入りするわけではないと。

前野:どうとでも取れるようなことを言い残していくんですけど、後になってから「あっ、あのときの三日月さんのセリフはこのときのことを言っていたのかもしれない」と気づかされます。気にしなければ流してしまいそうなセリフがあとになってから効いてくるので、見方によっては全部の発言が伏線のように感じられるんですよ。

 ただの日常会話ですら伏線に思えてしまう(笑)。テクニカル的なことを言うと、僕から見て三日月宗近はセリフの尺を合わせるのが難しい印象なんですよ。三日月はセリフの長さに対してゆったりした口調でしゃべるので収めるのがたいへんなはずなのに、それをいとも簡単にやってのけるから鳥海さんは毎回すごいなと思いますけどね。

鳥海:たしかに尺が短いときはちょっとたいへん(笑)。

前野:あと、どこまで本気で戦っているのかというさじ加減がわからないので、戦っているときにアドリブを入れるのが難しそうだなといつも思うんですよ。今回のアニメに限らず。

鳥海:いわゆる戦闘ボイスに近いような掛け声は、ゲームではほとんど入れていません。裂ぱくの気合いのもと叫ぶようなことはまずありませんし、自分のなかでも“三日月さんだったらここまでは叫ばない”というおおよその目安があって、あとは「どこまでやっていいのか」ということを現場で相談しながら入れさせてもらっています。

 たとえば、コンシューマの『刀剣乱舞無双』などではアクションゲームという性質上、ほかのコンテンツよりは気合いの入ったボイスがありますけれど、そこは現場ごとに相談しながら……という感じですね。

前野:そのさじ加減が絶妙なんですよ! 僕がやったら「ふざけているのか?」って言われそうな気の抜けたボイスになります。

鳥海:僕が長年やってなじんでいるからというだけなんじゃないかな。

――アニメ媒体の『刀剣乱舞』において、山姥切国広と三日月宗近がガッツリ掛け合うシーンがここまで出てくるのは珍しい印象です。

前野:たしかに今回のアニメでは多かったですよね。

鳥海:前野くんとはお仕事の現場でご一緒する機会も本当に多いし、いろんな役柄といろんな立ち位置同士で掛け合いをしてきました。『刀剣乱舞』という枠組みのなかで掛け合いをする場合はだいたい変わらない立ち位置でのやりとりになるんですけど、そのなかでもアニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』では山姥切さんの内面にフィーチャーした掛け合いが展開された印象はあります。山姥切の葛藤がこれまで以上に重たいといいますか。そういう意味では、山姥切さんの心情をここまでじっくり聞けたのは珍しいかもしれません。……さすがでしたよ!(前野さんに向けて)

前野:いやいやいや! あんまり感情を出しすぎると彼らしくもないし、出さなすぎても見ている方に伝わらない。周りとのバランスを取りながら、その辺りのさじ加減をどうするのかというところに今回は演出の時間を一番割いていただいたように感じます。舞台版のキャストさんである荒牧(慶彦)くんが山姥切国広の心情を見事に引き出して成長の過程を演じていたので、彼に引っ張られた部分も大きかったと思います。

――本作では、織田家由来の刀剣男士も活躍します。彼らの印象についてはいかがですか?

鳥海:長谷部さん(へし切長谷部)とかは、どの『刀剣乱舞』の本丸でも中心的な立ち位置にいるイメージですよね。逆に不動さん(不動行光)や宗三さん(宗三左文字)はアニメーションという媒体ではそこまでフィーチャーされることがあまりなかったので、こっちも新鮮でした。……というか、織田の刀はみんなギクシャクしたところがありたいへんだなぁと。

前野:長谷部と不動がとくに衝突しますからね。

鳥海:少し神経質なところもある長谷部がさらに大変なことになっているというか。

前野:まぁ、不動が事あるごとに「信長さまは~」とか「信長公は~」って昔の主の名前を出しちゃうんだから、そりゃ思うところはありますよね。

鳥海:『刀剣乱舞-花丸-』だと、どこかギャグテイストで怒っていた長谷部が本気で怒っているんで、これはこれで新鮮だなと! ゲームだと自分の刀剣男士のエピソードばかりになってしまいますし、またこれまでのアニメは“新撰組のエピソード”が中心になることが多かったので、織田家由来の刀剣男士にスポットライトが当たることによって僕のなかでも『刀剣乱舞』というコンテンツに対して新しい発見があったと思います。織田家由来となるとドラマ性がすごいですね。

前野:織田信長公がそもそもとんでもない人物ですから。残されている逸話についても諸説あるぐらいですし。

鳥海:本当にこういう切り口はおもしろいと感じました。これだけ刀剣男士の人数が多くなると、あまりご一緒する機会がない刀剣男士のことはよく知らなかったりするんですけど、今回「ああ、こういう感じの刀剣男士なんだ~」というのが見えたメンバーがいっぱいいてよかったです。

――『刀剣乱舞』は2024年で9周年を迎えました。長く続いているコンテンツですが、未だに新規のファンが増え続けているというのもすごいですよね。

鳥海:この1年ぐらいでも『刀剣乱舞』にハマった同業者を何人か知っています。ゲームやアニメだけじゃなくて、ミュージカルやステージ、歌舞伎、実写映画とほぼすべてのコンテンツを網羅しているからこそ間口が広いんでしょう。三日月宗近はきっとこの流れのまま10年、11年と歴史を積み重ねていくことになりますが、演じている僕も年を重ねても、どうにかがんばっていけたらいいなと。

前野:歳を取るのはみんな一緒ですよ!(笑)

鳥海:そうなんですよね。とくに短刀の刀剣男士を演じているキャスト陣は大変だと思います。

前野:僕も新規にハマったというお客さんから、お手紙やSNSでのコメントをいただくことが多いので、そのたびにすごくうれしくなります。これもいろいろな媒体で展開されているからこそだと思いますし、本作もその入り口のひとつになってくれるとうれしいです。もし、まだ舞台『刀剣乱舞』をご覧になっていないという方は、今回のアニメと合わせてそちらも楽しんでいただきたいですし、今後も動く彼らの姿を見られる機会がたくさんあればいいなと思っているので、引き続き応援よろしくお願いします。

鳥海:前野くんがおっしゃったように“どちらか”で興味を持った方がもう一方に繋がっていくような流れができれば『刀剣乱舞』の世界はもっと広がっていくと思います。『刀剣乱舞』はいろいろな媒体で展開していますから。いろいろな可能性に期待できますが、まずは新作のアニメーションとして『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』を楽しんでいただければうれしいです。

アニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』作品概要

2024年4月2日23:00より、TOKYO MX、BS11で全8話にて放送決定

■ストーリー
魔王・織田信長を元主にもつ4振りの刀剣男士たち。
彼らは信長が暗殺される本能寺の変へと出陣することに。
葛藤の先に彼らが守る歴史とは。
これは、廻る歴史の始まりの物語―

■スタッフ(敬称略)
原案:「刀剣乱舞ONLINE」より(DMM GAMES/NITRO PLUS)
監督:市川量也
シリーズ構成・脚本:末満健一(脚本原案:舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺)
キャラクターデザイン:高田真理
美術監督:根本洋行
撮影監督:野村達哉
音響監督:菊田浩巳
音楽:葛西竜之介
音響制作:楽音舎
編集:ドメリカ
製作:『刀剣乱舞 廻』製作委員会
アニメーション制作:ドメリカ

■キャスト(敬称略)
三日月宗近:鳥海浩輔
山姥切国広:前野智昭
宗三左文字:泰 勇気
不動行光:阪口大助 
へし切長谷部:新垣樽助
薬研藤四郎:山下誠一郎
江雪左文字:佐藤拓也
小夜左文字:村瀬歩
一期一振:田丸篤志
鯰尾藤四郎:斉藤壮馬
燭台切光忠:佐藤拓也
鶴丸国永:斉藤壮馬
ほか

©2024 NITRO PLUS・EXNOA LLC/『刀剣乱舞 廻』製作委員会

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