ネタバレあり感想:『終末トレインどこへいく?』2話。異常な速度で育つゴーヤが怖すぎた。絶望的な状況でも全員ポジティブになれるメンタルの強さにも驚き

米澤崇史
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 2024年4月8日(月)に放送されたTVアニメ『終末トレインどこへいく?』2話“推測、だろう、思われる”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『終末トレインどこへいく?』2話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

あらゆるシーンの行動がかわいいポチさんが最推しになりそう【終末トレインどこへいく?】

 行方不明の葉香の手がかりを求めて、池袋を目指し吾野を旅立った一行。

 冒頭では葉香が転校してきた小学生時代と思わしきシーンが一瞬流れましたが、今よりも人数がちょっと多いですね。前列にいるのが撫子、静留、玲実で、後列にいるのが晶でほぼ間違いないと思いますが、真ん中に男子と思わしき面々が3人ほどいます。吾野にあるのは中高一貫のかなり小さい学校みたいですし、進学のタイミングとかで都会に引っ越す子もいたりして、現在残っているのがあの5人だけということなんでしょう。

 電車の中のシーンでは、運転席を覗き込んでいる時の尻尾をフリフリしている時のポチさんがかわいすぎました。

 初めての運転で緊張して苛ついていた静留に二人が怒られたあとも、ポチさんだけは我関せずと言わんばかりに景色に夢中になっていたり、静留がもってきた食料を確認した時に自分の骨を自慢げに差し出してるシーンも良くて、今のところ最推しキャラがポチさんになりそうな勢いです。

 静留の所持金3000円は、いくら高校生とはいえ少なすぎると思ったんですが、吾野は大人たちが動物になってしまってましたし、宅配便とのやりとりも物々交換だったのを見るに、現金を稼ぐのが今よりもかなり難しそう。とはいっても、年下のアキラたちに少ないとツッコまれていたあたり、何かしらの方法はあったんでしょうね。

 また、車両内にあった巨大な植物が、吾野の名産品のゴーヤだったことも判明しましたが、明らかに成長スピードがおかしい。元々、7Gの影響で成長速度が早くなっているという話は1話でもあったものの、このままだと数日で車両内がゴーヤで埋まりそうなほどの成長スピードです。

 食料事情的にはゴーヤが大量にできるのはありがたいですが、これはゴーヤだけが特殊な影響を受けているのか、それとも電車内の時間の流れのようなものがおかしくなっているのかも気になりました。もし後者だった場合、静留たちには21歳3ヶ月という一種のタイムリミットがあるわけですから、時間の流れが狂った影響を受けそうなのが怖いところです。

西武池袋線沿い以外の街は消失した? いろいろ怪しすぎるスワン仙人【終末トレインどこへいく?】

 後半では、スワンボートで旅をしている謎の男性と遭遇した静留たち(男性はエンディングで“スワン仙人”という名前であることも判明)。

 周囲には街がなさそうなのに荷物らしきものを何も持っていなかったり、池袋から来たと言っているのに池袋のことは何も知らなかったり、これほど“不審者”という言葉がしっくりくるキャラはいないんじゃないかと思えるほどに怪しい。

 水島監督によると、7G事件の時に偶然池袋にいて巻き込まれた人物とのことなんですが、どうみてもただの一般人には見えません。

 気になったのは、スワン仙人が口にしていた「西武池袋線沿線以外の世界は消えてしまった」という情報。もし事実なら、1話に登場していたクロヒョウキャラバンの人達経由の話で噂として広まりそうな気もするんですけど、駅とその周辺以外がそもそも存在していないという状態なら、駅と駅の距離が離れて、景色もおかしくなっているという状態の理由が、少し想像できるような気もします。

 明らかに存在そのものが異質なキャラクターでもあるので、「何も信じるな」という言葉も今後何か意味を持ってくるんでしょうね。

 一方で、その後に視野狭窄になりかけていた静留がようやく皆のことを気にかけられるようになった時、「一度吾野に引き返す」というもっとも堅実かつ現実的な提案をしたのが、あまり物事を深く考えてなさそうな玲実だったのは面白かったです。おそらく結構多くの視聴者が荷物を見て「さすがに準備不足すぎる」と感じていたんじゃないかと思うので、そこを突っ込んでくれたのもスッキリしました。

 今まで電車の方向転換時の操作って見たことがなかったので、いろんなレバーをガチャガチャする操作は、メカ好きとしては思わずワクワクしました。ただ1日5分しか元に戻れない善治郎に数日教えてもらっただけである程度操作をマスターしている静留、身体能力だけじゃなく、飲み込みの速さもなかなかハイスペックな気が。

 しかしタイミング悪く、急激な水位上昇と津波によって線路は寸断され、吾野までの道が完全に絶たれてしまうという絶望的な状況になってしまいます。現状、鉄道以外で吾野に戻る手段はないので、下手をすると一生実家に戻れないかもしれない大事になってるはず。にも関わらず、あっけらかんと「でもまぁ良かったじゃん」という一言を口にできる玲実、まだ高校1年生なのにあまりにもメンタルが強すぎる。

 確かに、あの後一度吾野に戻ってから再出発したとしても、なかなか池袋に着かないとなった時「もう諦めて吾野に戻ろう」という話になって意見が割れて揉めてた可能性って結構あると思うんですよね。

 この先、4人(と一匹)が池袋を目指して一致団結するためには、退路が絶たれたのはプラスに働くという側面も確かに存在するなと。こうした絶望的な状況にも関わらず、キャラクター達が暗くなりすぎないというのは、終末世界というジャンルにおける本作独自の味付なのかもしれません。

 津波の直前には、吾野に残っている善治郎とモールス信号で連絡を取るシーンもありましたが、線路が分断されてしまって3話以降はどうなるんでしょうか。

 そもそもかなりの距離を移動した後にも関わらず、小さい金槌で叩いた音が吾野からしっかりと届いていたあたり、駅と駅の間の距離って、実際の物理的にはそこまで離れていないままなんじゃないかという予想を個人的に立てていたりもします。津波で線路が寸断されたはずなのに、線路を使ったモールス信号は何故か送れる……みたいな不思議な現象も十分起こりそうなんじゃないかなと。

 一方で、凄まじい速度で送られてくるモールス信号を瞬時に解読していた晶もかなり凄かった。モールス信号っていろんな作品に出てくるので、一度は覚えようと思ったことがある人も多いんじゃないかと思いますが、ここまでくればもう厨ニ秒とかではない立派な特技として自慢できるレベルです。

 最後にはようやく東吾野に到着しましたが、実際の吾野←→東吾野間の電車移動で掛かる時間って約5分ほどらしく、どれだけ駅同士の距離がおかしくなっているかが分かります。池袋まであと29駅と、まだまだ先は長そうですが、静留たちは本当に池袋にたどり着けるのか、来週以降の展開も目が離せません。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©apogeego/「終末トレインどこへいく?」製作委員会

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