再始動した『CODE VEIN』のあれこれを吉村広氏&依田優一氏へのインタビューで紐解く
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リスタートが発表されたPS4/Xbox One/PC(Steam)用ソフト『CODE VEIN(コードヴェイン)』。そのメディア向け先行体験会ではユーザーに向けた本作のネットワークテストの実施が発表されました。
この記事では、体験会に集まったメディアによる合同インタビューと、個別に行った独占インタビューをあわせてお届けします。
延期の理由やテスト版の仕様が明らかになった合同インタビュー
――まずは発売日延期の理由を聞かせてください。
吉村広氏(以下、吉村氏):本作のコンセプト、提供したい楽しさをより強く、より多くのお客様にお届けできる形にするために延期を決断させていただきました。
――発売日を発表したあとで延期を決めたのは吉村さんの判断だったのでしょうか?
吉村氏:私も含めて、チームおよび会社全体で検討した結果となります。
――以前のバージョンでボリューム的な部分での不足は感じていましたか?
吉村氏:コンテンツのボリュームとしては十分なものでした。ですからボリュームを増すための発売延期ではなく、プレイヤーさんにより没入してもらうために密度を増すための延期という部分が強いですね。
――延期発表後から今に至るまで、どういった点に注力して開発をすすめましたか?
吉村氏:全体的なクオリティ向上はもちろんのことですが、バトルで使える錬血(※一時的な能力強化などを行う、いわゆるスキル)の種類を増やすなど自分の分身である吸血鬼を自分だけの形に育て上げられるように作り込んでいます。
また、本作の特徴である同行者のバディについても改めて調整を行い、プレイヤーの邪魔にならずかつしっかりサポートしてくれる位置取りや行動パターンを組み直しました。全体として、荒廃した世界でプレイヤーさんが吸血鬼として自分らしく戦ってもらえるように注力しました。
――なにか調整内容としてわかりやすいものがあれば、聞かせてください。
吉村氏:以前のバージョンとの大きな違いとしては、錬血のなかにアクションを伴うものが追加されています。こういった通常の攻撃から連携させられ、また繰り出したあとに別の攻撃に連携させるアクションを追加したことで吸血鬼のアクションがよりアクロバティックで外連(けれん)味のある動きが取れるようになっています。
――アクションが増えるとレベルデザインにも影響があると思います。プレイヤーの自由度を増しながら本来想定していたレベルデザインに近づけるうえでどういった点に気を配りましたか?
吉村氏:本作は難易度が高く挑戦しがいのあるタイトルを目指していますので、確かに新しいアクションを増やすと想定していた難易度よりも簡単になる可能性はありました。そのため新しい錬血の開発が終わってから、改めて全マップの敵の配置や強さなどを調整しなおしています。
依田優一氏(以下、敬称略):錬血にはそれぞれ使用する冥血の量や、再使用時間といったコストが設けられています。新しく追加したアクションを伴う錬血も強力なものは冥血の消費量を増やすなどして、本来想定しているレベルデザインが錬血によって崩れないようにしていますね。また、もっと刺激的なダンジョン探索をしたいという観点から敵配置等も調整を行っています。
――ネットワークテスト版についてお聞きします。テストを行うとプレイヤーさんからいろいろな反響が返ってくると思いますが、それを受けてさらに調整するのでしょうか?
吉村氏:今回のクオリティアップにおいても、TGS2017などで発売延期前のバージョンに触れたプレイヤーさんからの声はしっかり受け入れて調整の指針としてきました。ですから、今回みなさんに提供するネットワークテストバージョンは自信を持ってプレイヤーの皆さんに満足いただけるものだと思っています。そのうえで、改めてプレイヤーの皆さんに触れていただいて、本作の魅力を正しく楽しめてもらえていない部分があれば、その意見も受け止めて調整していきます。
――ネットワークテストでプレイできる内容は製品版相当のものなのでしょうか?
吉村氏:そうですね。自分の分身となるキャラクターを作ったあと、製品版のストーリー序盤をプレイできます。序盤クリア後、ネットワークテスト専用で用意した特別な難易度の高いダンジョン“深層”を遊べるという形になります。
――キャラクタークリエイトのパーツが非常に豊富ですが、瞳などの各パーツは最初からすべて解放されているのでしょうか?
吉村氏:はい。ネットワークテスト版で触れられるものは最初からすべて使えるもので、またゲームを進行させないと手に入らないアクセサリなどはありません。
――キャラクタークリエイトのやり直しはできますか?
吉村氏:ストーリーを進めて拠点にたどり着くとできるようになりますね。
依田氏:ただ、キャラクターの性別などゲームを始めてからでは変更できない部分もあります。本作は思い入れを込めて個人を作るということに重きを置いているので、そのキャラクターの芯の部分は変更できません。ちなみに、拠点で変更できない部位に関してはキャラクタークリエイト時に“あとで変更できません”と表示されるので、そこだけは慎重に決めてほしいです。
――シングルプレイとオンラインでのマルチプレイで遊べる範囲に差はあるのでしょうか?
吉村氏:差はありません。すべてのエリアで共闘が行えます。ダンジョン内で救難信号を出すとほかのプレイヤーさんがホストのいる場所に参加してマルチプレイが始まるといった形になりますね。
――マルチプレイの参加者をプレイヤー2人とホスト側のバディ(同行するNPC)1人にした理由を聞かせてください。
吉村氏:最初はプレイヤー2人、バディ2人の合計4人にしようという案もありました。ですが、いろいろと試した結果、ほかの参加者の位置を把握しながら連携を重視した遊びを楽しんでもらうには3人のほうが適切だろうと考えてあえてNPCは1名にしました。
――特定のフレンドとだけマッチングすることもできますか?
吉村氏:互いに合言葉を設定しておけば、合言葉が合致しているプレイヤーさん同士のみがマッチングされるので特定の人と遊ぶこともできます。
――マルチプレイとシングルプレイでゲームの難易度は変わりますか?
吉村氏:シングルプレイと比較するとマルチプレイでは、ボスの能力に補正がかかり少しだけ歯ごたえのあるバランスになります。
――アイテムのドロップ率が上がるなどマルチプレイのほうがトクをする要素はありますか?
吉村氏:そういったものは設けていません。ですが、プレイヤーが増えることによる優位性とマルチプレイでの堕鬼の能力補正を天秤にかけると、総合的にマルチプレイの方が遊びやすいバランスにはなっています。
――では、難しいと感じたら最初からマルチプレイをしたほうがよいのでしょうか?
吉村氏:順番としては、まずシングルプレイで遊んで自分のスタイルを確立してから誰かと遊ぶのがオススメですね。
――アクションが苦手でも、世界観やキャラクターで本作に魅かれている人は多いと思います。そういった人はどう遊ぶのがオススメですか?
吉村氏:先ほどプレイヤーさんが主人公に自分を投影するという話をしましたが、それは強さも含めての話です。ですからアクションが苦手な人は、レベルを上げて強くなり気持ちよく主人公に自己を投影してもらえればと思います。また、本作はブラッドコード(能力に補正がかかる職業のようなもの)や錬血によるカスタマイズの幅も豊富に用意しています。取り返しのつかない要素は少ないので、いろいろなブラッドコードと錬血の組み合わせも試してほしいです。
――レベルアップした際に装備していたブラッドコードによって、最終的なステータスに差は出ますか?
吉村氏:それはないですね。どのブラッドコードでレベルアップしてもベースのステータスは同じように上がり、そこに今装備しているブラッドコードによる補正がかかるという形になります。
――先ほどから話にあがった深層の位置づけについて聞かせてください。
吉村氏:ネットワークテスト版では、ストーリーの序盤を体験すると即深層に向かえるようになります。深層はストーリーよりもボス戦にフォーカスを当てているのが特徴で、通常のダンジョンはボスを倒すと消滅しますが深層では何度も同じボスに挑むことができます。
依田氏:本来は深層に向かうにはサブクエストなどで手に入る“地図”が必要になります。そのほか様々な条件を満たすと新たな地図が手に入り、今まで出会ったボスとの再戦が待っているという形になります。深層はレベル上げや素材の回収といったことを目的に、じっくり探索するよりも手軽に遊んでもらいたいですね。
――今回の深層は製品版のもののうちのひとつなのでしょうか?
吉村氏:テスト版の深層については、今回のネットワークテスト専用にバランス調整を行ったものになります。
依田氏:マルチプレイでも歯ごたえを感じてもらえるようにテスト版の深層は、序盤の堕鬼からかなり強力なものを配置しています。本作の魅力である主人公育成&ビルドを楽しんでいただくために、かなりの高難易度となっています。想定レベルは40程度となっておりますが、その分サクサクレベルアップできるように調整しておりますので、ぜひしっかりと育成してクリアを目指していただければ……と思います。
吉村氏:“血の試練”という堕鬼が大量に侵入してくるというイベントも用意しています。マップ自体はコンパクトですが、ボス戦やそういったイベントも含めてかなり感情の起伏の大きい体験になるように仕上げました。
――今回の発表を皮切りに、改めて情報が発表されていくのでしょうか?
吉村氏:そうですね。詳しいことはお話できませんが、発売に向けて続々と怒涛の展開が待っていますので期待していてください。
個別インタビューではクリエイトへのこだわりや、細かなシステムが明らかに
――実際に触れてみて、キャラクタークリエイトのパーツが非常に豊富だと感じました。やはりこの点には力を入れているのでしょうか?
吉村氏:そうですね。本作の主人公はプレイヤーさん自身ですので、投影できるキャラクターにはこだわれるようにしています。髪型などのパーツを豊富に用意したのもその一端ですが、組み合わせ方の自由度もゲーム的に問題が起きるギリギリのラインを攻めました。
例えばデフォルトでは頭上に配置される天使の輪のようなアクセサリがありますが、これを背中に光背のように配置することもできます。プレイヤーさんの独創性しだいで、いろいろなキャラクターが作れますよ。
――各パーツのなかでは、特に目のパーツが豊富だと感じました。
吉村氏:目のパーツが豊富なのは、本作のキャラクター造形に日本のアニメ的な顔の表現を採用していることが理由になります。リアル寄りの造形では目が小さくなり、種類を増やしてもわかりにくいんですよ。
我々が世界の市場に向けてインパクトのある製品を届けるための武器、そのひとつがアニメ的な表現でありそれに伴った豊富な目のパーツですね。左右の目を別の色にできるのはこだわりポイントのひとつです。オッドアイはロマンですから(笑)。
――イベントシーン中でもマスクの奥から目が見えていますよね。
吉村氏:そうですね。マスクで顔のほとんどが隠れても目は見えています。だからこそ、目の表現にはこだわっていますよ。物語が進むと涙で目が潤むといった表現も見られます。
――キャラクターを構成する要素としてはバトル寄りになりますが、ブラッドコードもかなり豊富そうですね。
吉村氏:具体的な数は発表していませんが数十種類用意しています。これは錬血とも関係する話なのですが、錬血は初期段階では特定のブラッドコードの紐づいており別のブラッドコードでは使えません。
ですが“錬血の継承”を行うと、その錬血は別のブラッドコードでも使えるようになります。継承した錬血をブラッドコードと組み合わせるというのが本作におけるカスタマイズ要素のひとつ。このカスタマイズの仕方に十分な幅と差を設けるために、ブラッドコードもかなりの数を用意しました。
――では、錬血もかなりの数を用意されているんですね。
依田氏:1つのブラッドコードにつき4~10程度の錬血が紐づいています。
――継承できる錬血の数に制限はあるのでしょうか?
依田氏:数に制限はありませんが、錬血を使用するのに必要なパラメータを設けて、錬血によっては特定のブラッドコードでは使えないという形にしています。例えば遠距離まで届く強力な攻撃錬血は、近距離戦に特化したブラッドコードでは使えないといった具合ですね。必然的にある程度は自分のブラッドコードの方向性と合った錬血を装備していく形になります。
――錬血はどういった形で解放されていくのでしょうか?
依田氏:基本的にはブラッドコードの錬血はヘイズという経験値を使って解放します。ただ、ブラッドコードによってはヘイズだけでは解放できません。こういった錬血は本来の持ち主の記憶の欠落を補うとアンロックされていきます。
――吸血鬼は、ヒトだったころの記憶が一部欠落しているんでしたよね?
吉村氏:そうですね。今回のテスト版でもルイのブラッドコードの錬血は一部ルイの記憶の欠落によって習得できません。製品版では探索を進めるなかで“砕けた血英”を手に入れて記憶を修復していくことが、新しい錬血の解放条件であり、またNPCとの交流要素にもなっています。
――テスト版では堕鬼になったオリバー・コリンズの血英から彼の過去に触れることができました。
吉村氏:製品版では砕けた血英を集めると、同じようにルイたちの記憶にも触れられるようになります。
――探索中に見かけるボスではない堕鬼からも血英は入手できるのでしょうか?
吉村氏:血英や砕けた血英はボスからの入手のほか、探索中に拾うのが主な入手方法ですね。ですからいわゆるレアドロップみたいな扱いにはなっていません。
――リスタートしたというお話ですが、リスタート前と後でストーリーの規模に変化はありますか?
吉村氏:物語の始まりと終わり、そのなかでの時間経過といった外枠の部分では変化はありません。ですが、世界情勢や普段主人公たちにかかわらない人たちの生活など、そういった細かなところをゲーム中でより濃く描くようにしました。
――どういった描き方をしているのか、もう少し詳しくお話いただけますか?
吉村氏:代表的な例でいうとメインストーリーとは関係のないサブクエストですね。サブクエストでは吸血鬼ではない人はどう生きているのかなど、この世界の現状が明らかになっていきます。また、テスト版には盛り込んでいませんが製品版ではボスを倒したあと、同じフィールドを訪れるとプレイヤーさんがとった行動がその地域やそこに生きる人などにどう影響を及ぼしたか、つまりプレイヤーの戦いの意味がわかるようなイベントを用意しています。
――サブクエストはどういった条件で発生するのでしょうか?
吉村氏:探索中にNPCがいて、そのNPCとかかわるとクエストが始まるというのが主なものになります。
――TGSで遊んだものと比較すると新たにマップが追加されましたが、あのマップはどうやって解放していくのでしょうか?
依田氏:探索中にヤドリギを調べるとその周辺のマップが解放されます。さらに同じく“堕ちたヤドリギ”を調べても解放されますが、こちらの方がより広範囲のマップを見られるようになります。どちらも基本的にこれまで通ってきた場所がマップに反映されるイメージですね。
――少し変わったシステムですね。
依田氏:マップというのは未知を既知にした結果できあがるものですから、探索を重視している本作でマップによって先が見えてしまうのは違うと思い、このような仕様にしています。
吉村氏:堕ちたヤドリギは堕鬼についている場合もあり、そういった場合は堕鬼を倒すとマップが解放されます。ちなみに各エリアの踏破率はいつでも見られるのでマップの取りこぼしはないようにしています。
――取りこぼさないような探索のコツなどありますか?
吉村氏:一番はバディの言葉に耳を傾けることですね。バディは宝箱やアイテム、敵の待ち伏せなどさまざまなことをアドバイスしてくれます。プレイヤーの視界に入っていなくてもバディは見つけている。そういったものをアドバイスをヒントに探せば、必然的に取り逃しが減りますね。
敵の待ち伏せなどはアドバイスとともにレーダーに反映されるので、こちらにも注意を払ってほしいです。
――アイテムといえばプレイ中に嗜好品というカテゴリーのものを手に入れたのですが、どういった役割のあるものなのでしょうか?
吉村氏:嗜好品はNPCに渡すためのアイテムで、渡すと“トレードポイント”というポイントがもらえます。このトレードポイントを使ってNPCから貴重なアイテムを譲ってもらうことができます。NPCには嗜好品ごとに好みがあり、それぞれ反応が違います。もちろん好きなものを渡したほうが多くのトレードポイントがもらえるのですが、あまり好きではないものを渡したときの気まずい反応も見ものですよ(笑)。
――好感度的な要素はあるのでしょうか?
吉村氏:ありますね。嗜好品を渡しているとあるときNPCからプレゼントが届くことがあります。
――最後に〆の一言をいただく前に、拠点の温泉について聞きたいのですが……?
吉村氏:もしかして、拠点の温泉に入ろうとしましたか?
――“ゆ”の前で〇ボタンを連打していました(笑)。
吉村氏:残念ながらテスト版では温泉は入れません。ただ、要素として削除したわけではなく、むしろよりパワーアップしています。製品版にご期待ください(笑)。
――それは期待せざるを得ないですね(笑)。さて、最後にリスタートのこのタイミングでユーザーさんにメッセージをお願いします。
依田氏:長らくお待たせしました。『CODE VEIN』改めて始動となります。延期発表前にお知らせしたベース部分に加えて、さらに深堀りをする形で調整しているのでより満足いただけるものをみなさんにお届けしたいと思います。
吉村氏:これまでの体験会ではアクション部分を触ってもらいましたが、本作はストーリーがあってそのなかに自分の分身を自由にビルドした主人公がいるという構造が軸になります。ようやくこの軸の部分も含めてプレイヤーさんに触っていただけるので、ぜひ自分を作っての共闘体験も楽しんでほしいですね。
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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CODE VEIN(コードヴェイン)
- メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
- 対応機種: PS4
- ジャンル: ARPG
- 発売日: 2019年9月26日
- 希望小売価格: 8,200円+税
CODE VEIN(コードヴェイン)
- メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
- 対応機種: Xbox One
- ジャンル: ARPG
- 発売日: 2019年
- 希望小売価格: 未定
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- ジャンル: ARPG
- 配信日: 2019年9月26日
- 価格: 8,200円+税
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- メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
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- 配信日: 2019年9月26日
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