『刀ミュ』刀剣男士18振り出演、豪華絢爛な歌合(うたあわせ)が開催!

ガルスタオンライン 、和海かおり
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 公演を重ねるごとに人気を博している“ミュージカル『刀剣乱舞』”(以下『刀ミュ』)の公演作品の枠を越えた祭が形を変えて今年も開催されました。その名も“ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 2019”

 今回は、武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナでおこなわれた、東京公演1日目の夜の部の模様をお届けします。

舞台の中心に一振りの刀……歌合の幕開け

 厳かな雰囲気の中、凛とした鈴の音が響き渡ります。舞台の中心には注連縄の張られた岩の祭壇があり、一振りの刀剣が祀られています。そこに現れたのは真っ白な浄衣(じょうえ)の刀剣男士たち。歌合の審判役である判者(はんざ)の鶴丸国永を中心に、歌い舞い踊ります。赤色の意匠が施された刀剣男士たちは、講師(こうじ)の今剣を先頭に左方(ひだりかた)として。青い意匠の刀剣男士たちは、堀川国広を講師として右方(みぎかた)となり分かれます。

 始めに披講したのは今剣です。

 「あめつちの かみをいのりて あがこふる きみいかならず あはざらめやも」(万葉集・詠み人知らず)

 その句が読まれると、ある日の穏やかな本丸の風景が。石切丸が碁石の音を聞きながら「懐かしい音がする」となんの音なのか思い出そうとします。そこに集まってきた刀剣男士たちと会話をしていくうちに、その音が神社の玉砂利を踏む音だと気づきます。今剣の誘いに乗り、石切丸や他の刀剣男士たちは、心地よい玉砂利の音を聞きながら、お百度参りをするのでした。
 一つの物語を終えると、独り残った石切丸が短冊に今剣が披露した和歌を書きます。そしてその短冊を焚き、かがりにくべ、火を灯すのでした。

 右方の堀川国広が披講した句は、

 「世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ」(古今和歌集・詠み人知らず)

 鍛錬中の蜻蛉切の周りに集まってきたのは、甘い“根兵糖”を求めてやってきた大和守安定、堀川国広、長曽祢虎徹、にっかり青江、巴形薙刀です。貴重な根兵糖を守り切った蜻蛉切は疲れてしまい夢の中へ……。すると夢の中ではすべての言葉が“根兵糖”で成り立つおかしな世界に!? 混乱する蜻蛉切ですが、夢の中でもどうにかやり過ごそうと四苦八苦します。夢から覚めた後もそんな様子で、みんなから心配され根兵糖を譲られる蜻蛉切。最後は根兵糖をみんなで分け合う和やかな結末を迎えるのでした。


 ここでライブコーナーです。『mistake』や『Impulse』『Stay with me』などが歌われました。蜻蛉切と鶴丸国永のデュエットでは美しく重なり合う歌声を披露し、会場を魅了していました! また、普段ではあまり見られない今剣の大人びた表情や、蜂須賀虎徹の笑顔でピースなど貴重なショットも!

講談と落語、高レベルの技を披露!

 次に堀川国広が披講する和歌は

 「夏虫の 身をいたづらに なすことも ひとつ思ひに よりてなりけり」(古今和歌集・詠み人知らず)

 ゆったりと現れたのはにっかり青江。釈台の前に座り、薄暗い中ほのかに光る人魂を数えます。話し始めたのはある二人の義兄弟の契りを結んだ男たちの話。まるで本当に二人の男がいるように一人二役、そして語りと演じ分ける様子は見事の一言でした! 会場もくぎ付けになり、にっかり青江の作り出す世界に入り込んでいるようでした。

 次いで、左方の今剣が披講したのは

 「うめのはな をりてかざせる もろひとは けふのあひだは たのしくあるべし」(万葉集・神司荒氏稲布)

 登場したのは明石国行。座布団をみつけて落語のマネをしてみせます。その内容は、隠し事をすると、どんどん大事になることがある、という教訓めいたもの。
 主の梅の木の枝を折ってしまったことを隠すために、どんどん枝を折っていき、しまいには木がなかったことにしてしまおうという考えにまで発展してしまいます。
 その表現を助けたのは今剣と小狐丸の二振りです。慌てる様子や明石国行にうまく言いくるめられてしまう二振りは、可愛らしくもありました。

 続くライブコーナーは、長曽祢虎徹の「近藤さん、土方さん、帰ってきたぞ!」の声とともにスタート! 息の合ったダンスや歌をたくさんの光を浴びながら披露しました。特に巴形薙刀のリボンを使った優雅なダンスはとても美しく見入ってしまうほどでした!

 その後は芋掘りで和気あいあいとする大倶利伽羅たちや、時間遡行軍の罠を排除すべく奮闘する松平信康と永見貞愛たちのとても和むシーンも!

ある夜の本丸では……?

 今剣が披講した次の和歌は、

 「ぬばたまの わがくろかみに ふりなづむ あめのつゆしも とればけにつつ」(万葉集・詠み人知らず)

 静かな夜空の下に現れたのは、風呂上がりの和泉守兼定、蜂須賀虎徹、にっかり青江の三振りです。みんな“長い髪あるある”を楽し気に語りながら、にっかり青江の持つ椿油に目がいきます。任務中の千子村正と蜻蛉切が無事に帰れるよう願掛けをしているとのこと。それを聞いた和泉守兼定、蜂須賀虎徹も自分の髪に椿油を付け、願掛けをするのでした。ここで穏やかに流れていたアコースティックギターソロのバックミュージックを奏でていたのはなんと堀川国広! 柔らかな笑みを浮かべながら完璧な音色を奏でる姿が、スクリーンに映し出されます。相棒の和泉守兼定とのアイコンタクトする様子にも、会場で小さな笑いが起こっていました(笑)。

 講師としての堀川国広が披講したのは

 「ふたつなき ものと思ひしを 水底に 山の端ならで いづる月影」(古今和歌集・紀貫之)

 見事な満月が水面にも映り二つの満月が現れたある夜のこと、小狐丸は後をついてきた明石国行にあるおかしな出来事を話します。御手杵や長曽祢虎徹たちが自分とは違う小狐丸を見たと話します。そこで狐面を付けた小狐丸が登場。二振りの小狐丸が神秘的に歌い踊ります。種明かしとしては、その時主から油揚げ禁止令を出されていた小狐丸の欲が面に乗り移ったのだということ。なるほど、と納得する明石国行ですが、小狐丸が去った逆方向から小狐丸が現れ大混乱。疲れているのかも……とつぶやきながらその場を去るのでした。

ライブの盛り上がりも最高潮に!


 次のライブコーナーでは客席に刀剣男士たちが! 近くで手を振ったり、投げキスを贈られたりと、会場は大盛り上がりです! 石切丸に頭をぽんぽんされる嬉しそうな今剣の姿や、肩を組む明石国行と鶴丸国永など、見逃せない場面がたくさんありました。タオルを使って歌う『勝ちにいくぜベイベー』ではダンサーと遊ぶ蜻蛉切の仲のいい姿や、指先でハートを作り投げキッスをする篭手切江の姿が印象的でした。そんな中、大倶利伽羅はタオルを全力で回し、キリッとした表情で会場を魅了させていました。本公演一番の歓声が上がったのは、石切丸が手袋を口で外す姿です! 挑発的で美しい表情の石切丸は会場を虜にしていました……!

いよいよ顕現の時


 歌合の和歌をくべ、火の灯った篝(かがり)が八つそろい、刀剣男士たちは誦文(ずもん)を詠唱します。しんと静まりかえる中、鼓動の音が響き渡ったかと思うと、そこに現れたのは面を付けたマレビトでした。歌い語りかけるように言の葉を交わし、刀剣男士たちの呼びかけに応えるように一振りの刀剣男士が顕現されるのでした。装束と面が外されたその刀剣男士は、松井江。(※長野~埼玉公演では桑名江。愛知~東京公演では松井江が顕現)新たな刀剣男士が顕現されたことを祝い、みんなで歌い踊ります。花びらが散る中舞い踊るその様子は、まるで都に一気に春が訪れたかのような、雅で明るく華やかな雰囲気でした。

 9都市26公演を駆け抜けた刀剣男士たちの歌合は、こうして幕を下ろしました。一回りも二回りも大きく強く美しくなった彼らの活躍を、これからも楽しみにしたいですね!
 見事、誉ポン!

公演概要

■タイトル:ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 2019
■公演期間・会場:
【長野公演】2019年11月24日 長野ビッグハット
【宮城公演】2019年11月28日~11月29日 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ
【北海道公演】2019年12月6日~12月7日 北海きたえーる
【福岡公演】2019年12月12日~12月13日 福岡国際センター
【広島公演】2019年12月21日~12月22日 広島グリーンアリーナ
【埼玉公演】2020年1月4日~1月5日 さいたまスーパーアリーナ
【愛知公演】2020年1月11日~1月12日 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)ホールA
【大阪公演】2020年1月15日~1月16日 大阪城ホール
【東京公演】2020年1月22日~1月23日 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ

■原案:『刀剣乱舞-ONLINE-』(DMM GAMES/Nitroplus)より
■演出:茅野イサム
■脚本・脚本統括:御笠ノ忠次
■振付・ステージング:本山新之助 DAZZLE 桜木涼介
■脚本:赤澤ムック 浅井さやか 川尻恵太 白川ユキ 畑 雅文 三浦 香 (五十音順)
■音楽:オレノグラフィティ 坂部 剛 YOSHIZUMI 和田俊輔 (五十音順)
■出演:
小狐丸役:北園 涼
石切丸役:崎山つばさ
今剣役:大平峻也
大和守安定役:鳥越裕貴
和泉守兼定役:有澤樟太郎
堀川国広役:阪本奨悟
蜂須賀虎徹役:高橋健介
長曽祢虎徹役:伊万里 有
にっかり青江役:荒木宏文
蜻蛉切役:spi
物吉貞宗役:横田龍儀
大倶利伽羅役:牧島 輝
陸奥守吉行役:田村 心
巴形薙刀役:丘山晴己
明石国行役:仲田博喜
鶴丸国永役:岡宮来夢
御手杵役:田中涼星
篭手切江役:田村升吾

徳川家康役:鷲尾 昇
松平信康役:大野瑞生
結城秀康役:二葉 要
永見貞愛役:二葉 勇

桑名江役:福井巴也(長野、宮城、北海道、福岡、広島、埼玉公演に出演)
松井江役:笹森裕貴(愛知、大阪、東京公演に出演)

ほか

■主催:ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
(ネルケプランニング ニトロプラス DMM GAMES ユークリッド・エージェンシー)

©ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
※写真は、長野・福岡・東京公演のものです。

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