『WACCA S』は遊びやすさとやりこみを両立! 横山プロデューサーにこの半年とアップデートについて質問
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マーベラスが稼働中のAC用リズムゲーム『WACCA(ワッカ)』。1月23日に行われたバージョンアップに際して、開発者インタビューを実施した。
『WACCA』は筐体に設置された輪っか(ワッカ)型のコンソールを使って遊ぶリズムゲーム。多方面で人気を博しているハードコアテクノレーベル“HARDCORE TANO*C”が、開発メンバーに参加していることも話題となった。
1月23日のバージョンアップで、タイトルが『WACCA S』に進化。あわせてシステムやモードなど、さまざまな要素が追加となる。
開発を行っている横山達也プロデューサーに、開発経緯やこの半年間、そして気になるアップデート内容についてお話いただいたので掲載する。
新たな音ゲーとしてユーザーに受け入れてもらえた
――改めてになりますが、『WACCA』を立ち上げた経緯を軽くご説明いただけますでしょうか。
このプロジェクトが立ち上がったタイミングですと、弊社のAC事業部はそれまで得意としていたキッズ向けばかりをやっていました。そのうえで、新しい柱を作りたいという、挑戦する流れがありました。僕はリズムゲームが個人的に好きだったので、HARDCORE TANO*Cさんを交えてやったら絶対に楽しいものができるというアイデアとともに、企画しました。
――その時の反応は?
意外とすんなりいきました(笑)。リズムゲームというのは、職人的な部分があります。詳しい人がいないとできないと思うのですが、詳しくない人にも説明できるように資料を用意していたこともあり、反対意見はでませんでした。
――個人的に『WACCA』のロゴデザインが秀逸だと感じているのですが、タイトルはどのようにして決めたのですか?
ありがとうございます! わかりやすさを求めるならタイトルに“ミュージック”や“サウンド”というワードをいれるのですが、それはあまり考えていませんでした。初期はHARDCORE TANO*Cさんにちなんで“タノシー”を絡めたタイトルなどを検討しました。
“ワッカ”というタイトルは、ロゴを作ったデザイナーが案を持ってきたんですね。最終的には『WACCA』、“心音”というワードから生まれた『シノン』、『コネクチューン』がタイトル候補に残ったのですが、ほぼ全員一致で『WACCA』になりました。
――リズムゲームの市場は昨今ブームが続いています。そこに飛び込むことに戸惑いやためらいはありませんでしたか?
そうですね……後続タイトルになるので、間違いなく茨の道になることはわかっていました(苦笑)。ただ、HARDCORE TANO*Cさんとの展開や新しいプレイ心地はポイントとして強く押せる。そこは評価してもらえるだろうと考えて、進めていきました。
――そこは実際にユーザーにも届いたという印象です。
リズムゲームを遊ばれるユーザーはSNSを多用する傾向があります。新作が出ると、まず名前を認知してもらえて、情報を追ってもらえます。そのような人にどうやってさらに興味を持ってもらうのかについて、終始気を使いました。
――渋谷で発表会をされた時から、かなりの反響がありましたね。
ファーストコールだったのですが、大きな反響がありました。さらに稼働前には各地で体験会を行ったのですが、新宿はイベント開始前に100人を超える方に来ていただき、むしろ反省する部分もありました。地方を含めて、受けは大変よかったです。
――開発時に注力されたポイントを教えていただけますか?
“アミューズメント施設しかできないものを作る”ことです。体全体を作って遊ぶところや、光に包み込まれる没入感は、しっかり出すことを心掛けています。コンシューマ移植は難しそうですね(笑)。
他には、“ゲームとしてのおもしろさ”は後続タイトルになるので、かなり気を使っています。弊社が初めて作るリズムゲームですが、ユーザーにとっては関係のない話。粗があっても許してほしいと思いながら作るのではなく、目が高い人に満足してもらえるような、クオリティの高いものを作ろうと考えました。
――具体的には?
最初はヘビーユーザーに注目してもらうために、リズムゲームとしてしっかり成立していることはマストでした。タッチの反応速度や、高難易度内に情報をしっかり確認できるような見やすさなどは、よく指摘されたので細かく調整しました。
――実際にJAEPOや体験会で遊ばれた人からはどのような声がありましたか?
“体を使った遊び”はちゃんと受け入れてもらいました。あとは、光の演出については驚いてもらいました。
ご指摘いただいたのは、さきほどの細かい部分や、楽曲のリクエストについて多数いただきました。楽曲はやっと100曲を越えたのですが、まだまだ回収できていません。ラインナップについてはまだまだおもしろい施策ができそうだと思っています。
――『東方Project』や『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』などのコラボも盛んですが、今後にも注目してほしいということでしょうか?
そうですね。リリースしてまだ半年ですが、コラボもいくつかやらせていただきました。アミューズメント用のタイトルはいかにしてロケーションに足を運んでいただくかが重要になります。
コラボは来てもらうきっかけになりますし、ずっと遊んでくださるユーザーさんに新鮮なイメージを持っていただけるということで、どちらにも効果的。今後も継続して取り組んでいきます。
――御社ならではという意味では、2.5次元の舞台楽曲がありますね。
そうですね。他社様のタイトルにはない強みだと考えています。やはりこれまでプレイされていなかった、新たなユーザーさんが食いついてくれています。おかげさまで本作はリズムゲームにしては女性ユーザーが多いんです。
――現状のユーザー分布はライト層が多いのですか? それともミドル層やコア層が多いのでしょうか?
コアな方ももちろん多いんですが、ライトな人が多い印象です。セーブしないでを遊んでいる人が毎日かなりの数、いらっしゃいます。まだ、タイトルを広げる余地があるという認識です。新規ユーザーが多数いるとも言えますが、定着していないユーザーが多いという考え方もできます。いかに定期的にプレイしてもらうのかは今後の課題の1つとなります。
――稼働後、サントラCDのキャンペーンなどを積極的に行われています。店舗やユーザーからは反応はいかがですか?
他社様のリズムゲームでも同様のことをやられています。キャンペーンはわかりやすく効果があり、ユーザー、店舗のどちらからもいい反応をいただいています。
本作はHARDCORE TANO*Cさんと一緒にやれているので、魅力的な楽曲ラインナップには自信があります。さらにイラストレーターは人気のLAMさんにお願いしています。それらがあり、魅力的な展開をやれていると思っています。
――LAMさんにはどのようなきっかけでお願いされたのですか?
開発初期から2.5次元の曲を使いたいという指針があったので、女性にも人気があったうえで、男性にも受けるようなイラストレーターにお願いしたいと考えていました。またリズムゲームは、サイバーな世界観を起用しているタイトルが多いのですが、本作は少し違うクールな方向性やフラットなニュアンスでいきたかった。
それらの面でLAMさんのイラストはマッチすると考えて、お願いしました。エリザベスのイラストは素晴らしいですし、プレイヤーの評判もすごくいいです。
遊びやすさとやりこみを両立させた大型アップデート
――今回のアップデートについてご説明いただけますか。
大型アップデートでタイトルが『WACCA S』となります。無印『WACCA』にて上がっていた不満点や、我々が感じていた問題点を、今回のアップデートで大きくテコ入れをしてより遊びやすい調整を行っています。
また無印『WACCA』はユーザーさんもまだ慣れていないということで、あえて外していたやり込み要素を加えています。
まとめると、より遊びやすく、より充実したバージョン2というイメージです。
――具体的に1つずつお願いします。不満点は?
かゆいところに手が届くようになったというものです。
自己ベストスコアがいつ更新されるのか表示がなくて、不親切でした。リズムゲームにおいてスコアはユーザーモチベーションにかかわる部分なので、そちらを用意しました。あとは、ゲームの開始前に出てくる楽曲情報を拡充しました。
――やりこみはいかがでしょうか。
一番大きいところでは、“ステージアップ”という新しいモードを追加しました。決められた楽曲を連続でプレイして、クリアできるかどうかという内容です。ユーザーの腕前に応じて、ステージはいくつか用意しています。
スコアを稼ぎ、ノルマを達成することでクリアになるのではなく、例えば「Great以下を規定数出したら強制終了」などのようにステージごとに条件が異なり、これまでとは違う遊びになっています。終了しないようにしつつ、3曲クリアを目指してください。
――遊び慣れたユーザーに向けたモードですね。
ラインナップにはいろいろあって、1、2曲目はいけても3曲目で難易度があがったり、クリアはできるけどGreat以下を出しやすい曲を混ぜていたり……好きな人は楽しんでいただけると思います。
――このゲートシステムというのは?
あとは、ゲートシステムを用意しました。本作は、新たな曲をポイントで購入する仕組みでしたが、新規ユーザーにわかりにくいという反省点がありました。
今後はプレイすると、リザルト画面でポイントがたまり、ゲートを前に開いていく仕組みを入れました。プレイした成績やスコアに応じて、ポイントが増減する量は異なります。これによって、報酬を手にするまでの道のりが視覚化され、わかりやすくなっています。
このゲートシステムを導入したことで、プレイしているだけで楽曲や称号をもらえるので、プレイ継続を促すようになっています。
――ショップにも機能が追加されるとお聞きしました。
“ブーストバッジ”を用意しました。いわゆる時間短縮要素で、こちらを利用することでワッカポイントとゲートポイントの獲得量が増えます。プレイに必須というわけではなく、早くポイントをためたり、楽曲を解放したい人に向けた要素です。こちらは2種類用意しています。
また“エキスパートオープンチケット”もラインナップしました。これは難易度エキスパートの解放条件を満たさなくてもプレイできるアイテムとなっています。今までもログインボーナスなどで配布していたアイテムですが、欲しい時に手に入るようにしました。
――なるほど。曲数も大きく増えましたね。
これまで毎月2~3回アップデートを行い、楽曲をそのたびに5曲前後追加してきました。今回、まとめて16曲追加しているので、選択肢が広がりましたし、より楽しんでいただけるかと。
――他にもUIまわりも変更されています。
UIも少し修正しています。それらがあわさることで、より遊びやすくして、より遊びを増やしています。
――このような大型アップデートは開発初期から考えていたのですか?
定期的に大型のアップデートをやりたいとは思っていました。内容については、ユーザーの意見やこちらの要望を踏まえて調整しました。今後もこのような大型アップデートはやっていきたいです。
今回やりきれなかったことだけでなく、開発メンバーがやりたいこともあるので、まだまだ『WACCA』をおもしろくできる確信はあるので、磨き上げていきたいです。
――これから始める方にアドバイスをいただけますか。
アミューズメントタイトルは敷居が高いところもあります。ゲームセンターに行き、筐体にお金を入れて、しかも他の人の前でプレイするのは恥ずかしい……そのような気持ちがあるかもしれませんが、まずは1回さわっていただきたいです。
『WACCA』の筐体は、プレイに集中できるようにしたいというコンセプトがあり、あえてプレイヤーを囲むように作っています。奥行もあるので、後ろから見えにくくなっています。デザインを出す時に、有名な個別対応のラーメン屋を意識しました。
――最近はアミューズメント環境も変わりつつありますからね。
そうですね。以前はギャラリーを背負ってプレイすることが楽しいという人が多かったのですが、昨今は集中してプレイしたい人が増えています。今後はそういった方がより多くなると肌で感じていて、このように舵を切りました。
一度感覚をつかむとドンドンうまくなるのが音楽ゲームの特徴。『WACCA』はスマートフォンのように感覚で遊べるゲーム性にしているので、さわりやすいです。本作ならではの爽快感がありますし、一回、プレイしてもらえると、楽しさに気づくと思います。まずはとにかくさわってほしいです。
――うまくいかなかった時はどうしたらいいですか?
難易度は豊富にあるので、もし難しいと感じたら難易度を下げてもらうとか、エリザベスのチュートリアルを用意しているのでそちらをさわってみたりしてください。
リズムゲームのプレイは人によってすごく差があります。初見ですごくうまくやれる人がいれば、簡単な難易度でも苦労する人もいる。音楽ゲームが不得手な人にどのようにして進めるのかは、個人的な課題だと感じています。
――既存ユーザーにメッセージをいただけますでしょうか。
初の大型アップデートということで、さまざまな機能、システムを用意しました。遊びやすくなっているのを感じていただければ幸いです。まだまだ進化させたいことはあるので、もしご要望があるようでしたら、弊社サイトに意見をお寄せいただければ参考にさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
(C)Marvelous Inc. / Supported by HARDCORE TANO*C
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『WACCA(ワッカ)』
- メーカー:マーベラス
- 対応機種:AC
- ジャンル:リズムゲーム
- 稼働日:2019年7月18日