“『フロストパンク』極寒体験会in稚内”レポート。日本最北端の地で語られた開発の経緯とは【電撃PS】
- 文
- 電撃PlayStation
- 公開日時
DMM GAMESより2月27日発売のPS4/PCソフト『Frostpunk(フロストパンク)』。本作は、氷河期の訪れによって凍結した19世紀のスチームパンク世界を舞台に、人類最後の生き残りとなって都市を開発するサバイバルシミュレーションです。
去る1月23日、北海道稚内市の稚内港北防波堤ドームにて“『Frostpunk』極寒体験会in稚内”が開催されました。ここでは、取材に同行した電撃PS編集部によるリポートをお届けします。
日本最北端の地・稚内にある会場“稚内港北防波堤ドーム”とは?
北海道の稚内と言えば、日本の最北端にあたる場所。会場となった“北防波堤ドーム”は、稚内港の防波堤と港を利用する乗客の通路を兼ねる形で建造されたもので、ズラリと並んだ柱がローマの柱廊を思わせることからドームと呼ばれているそうです。
なぜ、この場所を会場に選んだかというと、ゲームとともに本作のテーマである寒さを体験してもらえれば、という意図があったとのこと。『Frostpunk』と言えば、ゲーム内でもっとも高い気温が摂氏-20度、最悪-150度まで低下する厳しい寒さに耐えるのが特徴のひとつ。そこまではいかないまでも1月の平均気温が最高でも-2.7度の稚内は、本作の寒さを体験するのにうってつけの場所なのかもしれません。
開催まで時間があったので手近なものでゲームの世界を再現してみた
実は取材前、DMM GAMESの広報さんから「イベントに人が来るかどうかわからないので、なにか記事になることを用意したほうがいいですよ」とアドバイスをもらっていました。たしかに気温が氷点下になるなか、海の近くでゲームの体験会を実施して果たして人が集まるかはあやしいところ。では、なにをしようかと考えていたところに目にしたのが“今年の冬はポータブル加湿器がトレンド”というニュース。
『Frostpunk』で街の中心にそびえたつ暖房兼エネルギー源となる施設“ジェネレーター”は、本作の象徴ともいえる存在です。筒状で天辺から湯気がもくもく出るポータブル加湿器を適当にデコって雪の上に置いたら、それっぽく見えるんじゃね? ということでゲームのフォトモードでジェネレーターを撮影、プリントアウトしたものをポータブル加湿器に巻き付けて準備をしてみました。
場所は体験会場近くの“稚内市・防波堤公園”ちょうどいい感じに新雪が積もっていたので、そこにジェネレーター(加湿器)と温湿度計を置いてみたところ……。
スクリーンショットを巻き付けただけの見た目が正直しょっぱいのはこの際おいといて、肝心の湯気がまったく目立たないのはいったいどういうことでしょう? テストのときは、電源をオンにしてから湯気が本格的に出るまで若干時間がかかったので、お昼ご飯を食べている間、ホテルの部屋で試運転させてから臨んだというのに……。
やはり、この時点(午後3時ごろ)ですでに氷点下という環境では、まともに加湿器が仕事をしなかったようです。今にして思えば、水の代わりにホテルでお湯を入れておけば若干結果も変わったかもしれませんが……。稚内の地におけるジェネレーター建設計画失敗ということで。
気温がグンと下がるなか、体験会には30人以上もの来場者が!
体験会は、この時期の日没近くにあたる16:00ごろからスタート。会場にはDMM GAMESのプロデューサーの早稲田誠氏とディレクターの小守寛章氏、そして開発元の11bit studiosのマーケティングディレクター、Patryk Grzeszczuk氏のあいさつから始まりました。
早稲田氏によると、会場の選定についてDMM GAMESは東京にある会社なので最初は冷凍倉庫などで開催したらどうか、という話もあったが「やるなら本当に寒いところでいこうよ」という流れで稚内で開催することになったとか。
続いて、Grzeszczuk氏からは本作を開発するに至った経緯を披露してくれました。『Frostpunk』は寒い場所を舞台としたゲームとしてではなく、社会を構築するゲームということをコンセプトとして企画がスタートしたとのこと。本作はジャンルとしてはサバイバルゲームにあたりますが、このジャンルを再構築したいという意図から本作は作られたそうです。
また、このタイプのゲームはスタジオとしてはじめてのチャレンジでしたし、サバイバル要素をプレイヤーがつらく感じてしまうのではなく、エンターテイメントとして楽しめるものにまとめ上げるという点においてもチャレンジでした、とも語っていました。
日本最北端の地である稚内、しかも気温が氷点下からぐっと下がる日没間際にもかかわらず、会場には十数人の来場者の姿が。東京などからこの日に合わせてやってきた方から、地元稚内の方までさまざまな人が寒いなか本作の街づくりを体験していました。地元紙の稚内プレスにもイベントの告知とリポートが掲載されたそうで、最終的には30人前後の人が来場したそうです。
普段東京で暮らしている筆者にとって、会場の気温は冬一番の寒波が来たときの明け方あたり、つまり一番厳しい時間帯の寒さという印象。この日に備えて下はジーンズの上にスキーウェアのパンツをはき、上着の下にフリースを一枚余計に着ていたのですがそれでも首筋から入り込む冷気で肩のあたりが冷えてくるのがわかりました。普段本作をプレイするときは暖房の石炭を節約しがちになるのですが、今度はもう少し暖かめにしてあげてもいいのかな、とちょっと思いました。
日本最北端の寒さもポーランドに比べれば平気!? Patryk Grzeszczuk氏インタビュー
Patryk Grzeszczuk氏はイベント開始後、メディア合同でのインタビューに応じてもらいました。
――まずは自己紹介をお願いします。
Patryk Grzeszczuk氏(以下、敬称略):マーケティングディレクターを担当しているPatryk Grzeszczukです。『Frostpunk』を開発しているポーランドの11bit studiosから来ました。『Frostpunk』は発売から2年目を迎えました。1年目はワールドワイドで多くの人にプレイしていただいて非常に幸せでした。2年目はDMM GAMESを通して日本の方々にプレイしていただけるのが非常にうれしいです。
――ポーランドからはるばるお越しいただきましたが、今回のイベントを見た率直な感想を聞かせてください。
Grzeszczuk:北海道は初めてきましたがとっても大好きです。天気についてですが、DMM GAMESのスタッフは寒いと言っていますが、私はポーランドから来ているので問題ありません。
(注:スタジオのあるワルシャワの1月は、稚内と同じく最高気温が0度近く、最低気温は氷点下の厳しい寒さとなるそうです。ちなみに2017年に見舞われた寒波の際には『Frostpunk』世界の最高気温である-20度を記録したとか……。)
――日本で発売が決まった時の感想と、日本市場への印象について教えてください。
Grzeszczuk:私自身ゲームが非常に好きなのですが、なかでも日本のゲームに触れて育ったととくに感じています。なので、日本で自分たちのゲームを出せるのがうれしいです。昨年は『ムーンライター 店主と勇者の冒険』を発売していますし、今年は『Frostpunk』を発売することで11bit studiosのタイトルが日本の方々により知られていくことについてもうれしく思っています。
――もともとはPC向けに発売したシミュレーションゲームということで、操作はキーボードとマウスを前提としていたと思うのですが、家庭用ゲーム機版ではそのあたりは変更されているのでしょうか?
Grzeszczuk:家庭用ゲーム機でも、プレイヤーにベストな経験をしてほしいと考えたうえで1年間の時間をとって慎重に開発していきました。その結果として我々が自信をもってお届けできるシミュレーションゲームに仕上がっていると言えます。
――今週は新しいDLC『Last Autumn』が発売されたばかりですが、こちらの家庭用ゲーム機版の展開について、現段階でお話しできることはありますか?
Grzeszczuk:まだ、スタジオとして公式なリリースを出していないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、私たちとしてはそれに向けた準備はしています。
――今回はありがとうございました。
PS4版を実際にプレイしてみた感想をお届け!
体験会のおわりごろに少しだけPS4版をプレイする機会を得たので簡単な操作のインプレッションをお届けします。
本作は、海外のスタジオが開発した作品ですが、日本語版は◎ボタンで決定、×ボタンでキャンセルという操作に修正されていました。PC版は画面上のアイコンやゲージをマウスカーソルでクリックすることでコマンドの実行や情報のチェックを行いましたが、PS4版では、L2ボタンでリング状のコマンドを呼び出して実行するシステムとなっていました。
また、建物に労働者を配置したり、建物固有のコマンドを使う場合は対象の建物にカーソルを合わせてR2ボタンを押すことで、その建物でよく使うコマンドの一覧が表示されます。カーソルは建物に近づけると建物に吸い寄せられるように動くので合わせやすく、操作はかなり快適に感じました。さらに、右スティックを押し込むとヘルプメニューにアクセスできるなど、ボタン配置も直感的にまとめられている印象です。
ゲームは画面左下に表示される目標の達成を目指し、中央のジェネレーター周辺から建設を行って同心円状に街を拡張していくのが基本的な流れ。寒さへの対策や労働力の配分、資源の確保などプレイヤーがやるべきことは多いですが、必要なことはその都度ヘルプで教えてくれるので、親切な作りになっているとも感じました。
酷寒の大地を舞台としたゲームの体験会に日本最北端の街を選ぶというなかなかユニークな催しでしたが、ゲームのおもしろさは本物。極限環境のサバイバルというシビアな世界観もさることながら、同心円状に広がる都市を開発するというビジュアルが気になる人はぜひ回だと思います。
Published in Japan by DMM GAMES. 2020 (c) 11 BIT STUDIOS S.A FROSTPUNK and 11 BIT STUDIOS are trademarks and/or registered trademarks of 11 BIT STUDIOS. All other marks and trademarks ar e the property of their respective owners. All rights reserved.
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
Frostpunk(フロストパンク)
- メーカー: DMM GAMES
- 対応機種: PS4
- ジャンル: SLG
- 発売日: 2020年2月27日
- 希望小売価格: 3,980円+税
Frostpunk(フロストパンク)(ダウンロード版)
- メーカー: DMM GAMES
- 対応機種: PS4
- ジャンル: SLG
- 配信日: 2020年2月27日
- 価格: 3,980円+税