電撃PlayStation

【BitSummit】個性的なゲーム盛りだくさん! 会場で気になった作品をピックアップ紹介! 1日目1/2【電撃PS】

まさん
公開日時

 2019年6月1日(土)と6月2日(日)の2日間にかけて、京都勧業館・みやこめっせで開催されるインディゲームの一大イベント『BitSummit 7 Spirits』。今年で7回目を迎えるこのイベントでは、国内外を問わず最新のインディゲームが多数出展されています。

 毎年恒例のこの機会。今年も会場で見かけた作品のなかから、注目のタイトルをインディゲーム担当ライター・まさんがピックアップ。複数に分けて、各タイトルの魅力を語っていきます!

会場で気になった作品のピックアップ紹介

 ちなみに、年々来場者が増えている当イベントですが、今年もメディア取材ですら順番待ちで遊び切れないほどたくさんの人が訪れていました。2日目に会場を訪れる方は、比較的人がまだ増えていない午前中から来ることをオススメします。というわけで、まずは初日1発目のレポートからいきましょう! テーマは“アクション”。

『モチ上ガール』

モチをビヨーンと伸ばしてスピーディに駆け抜ける爽快アクション


 まずは、今年絶対に遊んでおこうと心に決めていた1作から。本作は、昨年の東京ゲームショウで行われた“日本ゲーム大賞2018「U18部門」”で金賞を受賞し、電撃PSでもアワードノミネート作品として注目していたタイトルです。展示場所はPlayDoujinブース。

 内容は、餅を伸ばす能力を持った女の子を操作して、ビヨーンと伸ばした餅を壁や天井に張り付けてワイヤーアクションをしながらゴールを目指すアクションゲーム。見た目は普通? いやいや、このゲームのスゴさは遊ばないとわかりません! とにかく、直感的で気持ちよく操作できるんですよ。

 『ソニックザヘッジホッグ』シリーズのように回転しながらスピーディに駆け抜けていく爽快感と、『海腹川背』シリーズのようなワイヤーアクションで道なき道を行く楽しさ。その2つの要素が融合して、これは金賞を取るのもうなずけるという出来です。しかも、複雑な操作をすることなく、直感的に行えるんですよ。

  • ▲空中に浮いた水の塊。このなかを泳いでいく操作感の気持ちよさは、言葉だとお伝えしにくいですね……。

 もう、とにかく気になっていた作品がNintendo Switchに移植されて遊べるのにもびっくり! 気になり過ぎていたので、真っ先にプレイして開発者の方にいろいろインタビューしてみました。

──まずは、『モチ上ガール』で日本ゲーム大賞を受賞された時の感想から聞かせてください。

開発:1年前に行われたUnityインターハイという大会で受賞経験があったので、賞を取ったこと自体ののインパクトはそこまでなかったですね。ただ、自分は受けるゲームを継続して作れることがわかったので、ゲームを作り続けていけば良いことがあるかもしれないと思えました。

──昨年、日本ゲーム大賞で金賞を取ったのも驚きましたが、いつ頃から商業作品としてリリースしようと考えておられたのでしょうか?

開発:商業作品としてリリースしたいような気持ちも多少は考えていたのですが、それよりもまずはUnityインターハイや日本ゲーム大賞などで賞を取り、目立ってからそういう行動に移すつもりでした。だから、まずは審査員に受けて賞を取れるゲームを意識して作りました。

──すごくスピーディで爽快なゲームですが、過去に遊んだアクションゲームなどから着想を得られた部分はありますか?

開発:よく『海腹川背』というゲームに似ていると言われるのですが、名前だけは知っていても遊んだことはなかったんですよ。ただ、TAS動画を見ておもしろそうだとは思っていました。そこで、実際にどういう操作をしてあの動きをしているのかを調べてみたら複雑だったんですよ。『海腹川背』でも使うボタンは少ないのですが、1つのテクニックを使うのに慣れがいるし、操作手順も複雑だったので、そこを簡単にしてスタイリッシュにTAS動画のような動きができるアクションが作れたらいいな、ということを考えながら作っていました。

──爽快にローリングで移動する感覚は、まるで『ソニックザヘッジホッグ』を思わせるスピード感と爽快さがありますが、こちらもプレイされたことはないとお聞きしました。

開発:遊んだことはないですね。ただ、調べたことはあるんですよ。『モチ上ガール』を作る前に、Unityインターハイで準優勝をした『急がば旋転れ』というゲームを作ったのですが、その時に結構『ソニックザヘッジホッグ』の動画を見て参考にしていました。スピード感のあるゲームを作りたかったので、シリーズについて調べました。

──ちなみに、コンシューマー版はそのままの移植になるのでしょうか?

開発:いえ、移植ではなくパワーアップ版です。キャラクターの3Dモデリングも変えていますし、ステージもギミックも増やして全体的にボリュームアップして、商品として良い感じになるように改良しています。最初の『モチ上ガール』は賞を取るために作った側面があったので、あまりボリュームは増やし過ぎずに少な目に作ったんですよ。そうしたらボリューム面で不安だと言われてしまったので、そこはいっぱい増やしたいと思っています。

──発売目標としては、いつぐらいに出したいという目途は立っているのですか?

開発:最悪でも2019年以内にはリリースしたいですし、次の日本ゲーム大賞までには間に合わせたいです。

──もしかして、もう、次の日本ゲーム大賞に出したい作品も考えておられるのですか?

開発:構想としてはあるのですが、まだまだ形になっていなくて練る必要があるので、今年発表する作品としては『モチ上ガール』だけになると思います。

──今後もゲームを作り続けられると思いますが、メーカーに入りたいというよりもインディゲームとして個人で作り続けていくおつもりなのでしょうか?

開発:ゲームを作り続ける意志は、かなりありますね。今は、完全に自分で考えて自分で作りたい気持ちが大きいです。ただ、周囲からはメーカーに入って経験を積むことも良いことだと言われていて、自分でもそう思っている節もあります。

 メーカーに就職するのも良いのですが、今は大学1年生なので卒業するまでに何かモチ上ガール以外のゲームを完成させて、それも販売に持っていけたらいいなと思っています。

『アスタロン: 地球の涙(Astalon: Tears of the Earth)』

ファミコン時代の名作アクションを遊んでいるような感覚に……!


 Dangen Entertainmentブースをフラリと見ていた自分の目に飛び込んできたのが、この作品。1980年代の8bitゲームにインスパイアされたというアクションアドベンチャーですが、何かひと目見ておもしろそうだったんですよね。

 ”レトロゲームリスペクト”とだけ謳った作品は最近多いですが、何かそれとは異なるいいニオイを感じてさっそくプレイ。遊んでみると、その嗅覚は間違っていないと感じました。このゲーム、プレイの感触がとても良いですね。

 オーソドックスな探索アドベンチャーで、3人のキャラクターを切り替えながら進んでいくのですがセーブポイントを兼ねたキャンプでしか切り替えられないのが特徴。

 キャラクターごとに得意なことが分かれており、魔法使いでしか解けないギミックや戦士でしか切れないツタなど、それぞれの特徴を生かして進んでいくことが重要になっています。

 いちいちセーブポイントまで戻らなければいけないというちょっとした古さもアクセント。最初は面倒かなと思ったのですが、ギミックのバランスが良くそこまで何度も切り替えに戻ったりはしないので遊んだ範囲では気になりませんでした。

 敵を攻撃したときのノックバックやSE。ゲームオーバー時に出てくる巨大な悪魔との会話など、ファミコン世代の自分でも「ああ、これ遊んだことがある!」と錯覚しそうな「それっぽさ」が出ているんですよね。自分と同じ世代の人にぜひとも遊んでみてほしい作品です。

『KUNAI』

飛んで跳ねて斬って進む! 見た目の緩さにだまされちゃいけない爽快アクション


 冒頭で紹介した『モチ上ガール』とはまったく毛色が異なりつつも、同じようにワイヤーアクションが気持ち良い作品をご紹介しましょう。それが、DOTEMUブースで見かけたモノクロのアクションゲーム『KUNAI』。このゲームは、なんだか気の抜ける感じのスマホみたいな見た目をした主人公を操作するアクションです。

 見た目はゆるキャラみたいですが、中身はガチ。とくにジャンプの感覚が良いんですよ。ジャンプ力があって飛んでて気持ちいいですし、刀を振るって敵を攻撃する感覚も爽快。アクションとして気持ち良いという基本的な部分がしっかりしていました。

 特徴的なのが、ワイヤーを使ったアクション。本作では、壁にクナイを刺すとその地点まで一気に引っ張られて壁をスルスルと登ることができます。クナイは左右別々に投げることが可能で、二本のクナイを交互に刺していくとビュンビュン壁を登っていきます。遊べた範囲は短かったのですが、このアクションでもっといろいろなところを登ってみたい! そう思わせてくれるんですよ。個人的に、意外な伏兵といったタイトルでした。

『鳥川鳥三』

鳥になれる特性コントローラーで大空を自在に飛び回る


 さて、自分らしいレポートということでやはり1本は変わった作品を紹介したいというもの。というわけで、ラストはこの作品『鳥川鳥三』です。これは、ビットサミットの公式サイトを見ても”変なコントローラーを作っています”という一文しか紹介がなく、謎のベールに包まれていたWataru Nakano×MIYAZAWORKSさんの作品。写真で気づいた人もいるかもしれませんが、以前シャンプー型コントローラーで遊ぶ『シュココーココ』を作り、自分自身がゲームハードになって会場内を練り歩いていたところですね。そのロックな姿勢、イイネ! 今回は、さらに奇抜なゲームを披露。なんと、両手に装着する翼型コントローラーを使って遊ぶ斬新な品です。

  • ▲オッサンの全身を映してもアレなので、画像はトリミングしています。トリだけに。

 画像のようにコントローラーを装着して、実際に鳥が羽ばたくようにバサバサしながら操作するというわけがわからないゲームですが、こういう挑戦的な仕掛け大好きなんですよ。ギリシャのイカロスみたいな体験ができる稀有なゲームだと思います。ただ、思いっきりバサバサ動いたほうが楽しいので人が多くなる午後よりも午前中に遊んだほうがいいかもしれません。割とほかの人が気づかずにぶつかってきます。そこも鳥っぽいような……(笑)。

 なお、コントローラーは大げさですが、プレイ時間としては短めで割と気軽に遊べます。滑空したり、空を飛びながらコインを取ってゴールを目指す単純なゲームなので、小さい子に遊ばせてあげたら喜ぶかもしれません。


 というわけで、この記事のトリを飾ったのは鳥型コントローラーのゲームでした。まだまだレポートは続きますが、今回はこの辺で。ビットサミットは、本当に自分でも遊び切れないほどのゲームが展示されているのでまだまだ楽しいゲームはたくさんあります。ぜひ、遊びに来てください!

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