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津田さんの演技で6話の酒井戸の号泣を変更。裏話満載の『イド』イベントレポート

長雨
公開日時

 現在放送中の完全オリジナルSFミステリーアニメ『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』のスペシャルイベントが、2月2日に東京メディアシティ TMCスタジオにて開催されました。

 本イベントでは監督のあおきえい氏、キャラクターデザインの碇谷敦氏、キャラクター原案・コミック担当の小玉有起氏、名探偵・酒井戸/鳴瓢秋人役の津田健次郎さん、百貴船太郎役の細谷佳正さん、若鹿一雄役の榎木淳弥さんが登壇。

 アニメ好きで知られるハライチの岩井勇気さんの軽妙なMCとともに、第5話の振り返り&第6話の最速先行上映と、収録の裏話など貴重なお話がたっぷりと聞けたスペシャルトークショーの様子をお届けします。

キャスト3人による圧巻のインスタレーションショー

 イベントはキャスト陣のお芝居と、アニメーション、そして光と音が融合した“インスタレーションショー”から始まりました。

 昨年12月の“スペシャルカウントダウンイベント”で津田さんが披露してくれた“インスタレーションショー”も素晴らしかったのですが、今回は細谷さん、榎木さんが加わったことでさらにパワーアップ! 

 第2話の鳴瓢秋人と百貴船太郎の印象的な会話や、若鹿が酒井戸の情報をもとに推理している様子など、ファンなら思わずうなってしまうようなシーンを、キャスト陣の熱演&映像芸術で見ることができました。

 “インスタレーションショー”はアニメイベントで一般的な朗読劇と違って舞台のようにセリフを暗記する必要があるため、細谷さんは百貴の難解なセリフが飛ばないか不安だったそうです。榎木さんから、細谷さんが食事中にいきなりセリフ合わせを始めたという裏話も明かされました。


 あおき監督もワクワクしたそうで、「1話20分を見たい」と絶賛していました。近未来的な本作の世界観にマッチした面白い演出手法なので、本当に全編を“インスタレーションショー”で見られる機会が来たらいいなと願ってしまいます。


 続いては、たくさんの被害者を出しながらも殺意が検知できない奇妙な殺人鬼“墓掘り”の事件が描かれる第5話、第6話が上映されました。

 井波七星(声優:佐倉綾音)と数田遥(声優:小林親弘)の関係性や第6話に登場する少し異質な“殺意の世界(井戸)”など、これまでより作中ではっきりと明言されない部分が多い印象を受けました。犯人たちの心は彼らにしかわかりませんが、何度も見返しながら「もしかしたら」と余韻に浸ることができ個人的に好きなエピソードです。

 第6話に流れるKenmochi Hidefumi(水曜日のカンパネラ)さんの曲が、“井戸”にぴったりで最高なんですよね。もともとはもっと後の話のために制作された曲だったそうですが、このシーンに合うということで前倒しで6話にて使われることになったそうです。

 また第1話から登場している謎の殺人鬼メイカー“ジョンウォーカー”や、鳴瓢の家族が巻き込まれた事件に関する重要な情報も!! 詳しくは、ぜひアニメ本編でお確かめください。

榎木さんが動き回る!? 気になるアフレコ現場の様子は――

 上映会のあとはハライチの岩井勇気さんの司会のもと、スタッフ&キャストによるトークショーが行われました。

 酒井戸と鳴瓢の演じ分けについて聞かれた津田さんは、「1話で決めるところは決めて」という風に役を作っていったそうです。

 細谷さんはまだ謎めいた部分が多い百貴について、「まだ言えない部分も多いのですが、様々な立場の人と会う機会があるため、指令としての顔や鳴瓢との元同僚に向ける顔など、人としていろいろな表情が見られる」と話していました。

 第6話で、鋭い推理を披露した榎木さん演じる若鹿。本作はガンマイクで収録していて普通のマイクよりも自由に動けるため、推理するシーンでは榎木さんも若鹿と同じくしゃがんだ姿勢でアフレコに臨んだそうです。榎木さんは「演技に入り切った方がいい」と考え、収録に使う4つのマイクを移動しながら演じたとか!

 ガンマイクの使用は音響チームからの提案だそうで、通常のマイクよりも細かい息づかいを感じるような“生っぽい声”を録ることができると言います。今後はぜひ、息づかいなどにも注目してみてくださいね。

 またキャスト陣の熱演を受けて、アニメーションの演出が変化しているシーンもあるそうです。第6話の終盤で酒井戸が涙するシーンは、もともとは涙がポタピタこぼれ号泣している内容だったといいます。

 しかし、津田さんの演技を聴き、完成版のしんみりとする作画にしたそうです。それだけ、よい作品にしたいというスタッフ、キャストの思いが強いんですね。

 制作のこだわりは、マイクだけではありません。通常のアニメでは物語の流れをシリーズ構成として決めてから脚本に取り掛かるところ、舞城王太郎氏のこだわりでいきなり脚本制作に入っているそうです。

 一度完成したあとも書くほどドライブがかかっていく舞城さんの勢いを序盤にも生かしたり、整合性を調節したり、2周目の脚本作業をしたなど貴重なエピソードを聴くことができました。

 ちなみに、ハライチの岩井勇気さんからは、第6話の葬式の場面では、いつもは明るいオレンジ色の若鹿のカチューシャが喪に服すために黒くなっていると、細かい部分を指摘。これを受けて碇谷さんは、実は東郷のスーツも喪服的にデザインを変えているとデザイン秘話を明かしていました。

 演出に関する小話として、本作は基本的にリアル寄りで、アニメ的なデフォルメ演出は意図的に入れていないそうですが、例外的に6話には入れたとのこと。そのシーンは、物語のラストで、松岡が本堂町に、彼女がミズハノメのパイロットに選ばれたことを告げるシーン……の直前に、松岡が本堂町を呼んだ時のこと。

 呼ばれた本堂町がぴょこんと反応する際、いわゆる“おばけ(残像が残るような演出)”演出によるアニメ的でコミカルな演出が入っています。これは、その後の松岡が語るシリアスなセリフとのギャップを引き立てるために効果的だと考え、あえて盛り込んだそうですが……たしかに、この短い“ぴょこん”で楽しいシーンが始まるかと思いきや、喜ぶ本堂町をどん底に叩き落すような言葉の連続で……とても印象に残る場面となりました。
(この場面の背景の飛行機雲がまた、いいんですよね。2人の心の距離が離れていくような寂しさも感じますし、井戸端からミズハノメのパイロットとして新たな世界に旅立つ本堂町を表現しているような気もしますし)

 また、碇谷さんいわく、9話ではまた絵コンテと演出を自ら手掛けているので、特に9話の動きなどには注目してほしいと語っていました。4話の“EXTENDED(燃えさかるビルの世界)”での碇谷さんの演出は素晴らしかったですし、少し先になりますが9話が待ち遠しいですね!

 そして小玉さんは、先日1巻が発売されたばかりのコミック版『ID:INVADED #BRAKE-BROKEN』について、「アニメとは違うストーリーを楽しめて、これはこれで面白いのでぜひ」と語りつつ、「車がいっぱい出てくるので、毎回書くのが大変です」と苦笑いをしていました。

 イベント当日は会場で直筆サイン本を販売したとのことで、自分も買いたかった……!

 最後にあおき監督は、北米や中国など、海外での大きな盛り上がりに感謝するとともに、「もっともっと、日本でも盛り上がったらいいなと思っています。お友達であったり、家族であったり、皆さんの言葉でぜひ『イド』の世界に引きずりこんでほしいです。物語はこれからどんどん面白くなっていくので、最後までご覧いただければと思います」とコメントをしていました。

 物語もいよいよ中盤戦へ。名探偵・酒井戸たち個性豊かな登場人物たちの過去や殺人鬼メイカー“ジョンウォーカー”の正体など、まだまだ気になる謎満載の本作から目が離せません。

(C)IDDU
(C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

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