新たな『アイナナ』の世界を感じられる『アイドリッシュセブン オーケストラ』横浜公演をレポート

原常樹
公開日時

 パシフィコ横浜国立大ホールにて『アイドリッシュセブン オーケストラ』(演奏:東京フィルハーモニー交響楽団)が2月6日、2月7日に開催されました。今回はその2月7日の公演の模様をお届けします。

 『アイドリッシュセブン』はアイドルたちの栄光や挫折をドラマティックに描くコンテンツであり、彼らが紡ぎ出す音楽もコンテンツにとってなくてはならない存在。そんな珠玉の音楽をフルオーケストラで届けるというこれまでにない試みで注目を集めたのがこの『アイドリッシュセブン オーケストラ』です。


オーケストラで表現された『アイナナ』の世界へ!



 チューニングの音とともに少しずつ会場の緊張感も高まり、指揮者がステージに立つと会場が暗転。ホールには楽器によって奏でられた鼓動の音が響き渡ります。モニターには光あふれるステージへと向かうIDOLiSH7の姿が映し出され、最初のプログラム「Seven Ways」が始まります。こちらはアプリの起動画面でも流れるため、多くのマネージャーが幾度となく耳にしてきたであろうポップな楽曲ですが、オーケストラならではの壮大な演奏構成によってこれまでとは違う一面を覗かせています。
 かといって、作品とかい離しているかというとそうではなく、アイドルたちが映し出されるたびに照明の色もそれぞれのモチーフカラーに切り替わります。こういった演出はオーケストラというよりも“アイドルのライブ”の手法と言った方がしっくりくるかもしれません。モニターにはアニメ『アイドリッシュセブン』の映像が映し出され、7人の顔見せやバスケットボールのシーンが流れ、のびやかで美しいメロディーと合わせて堪能していると自然に“7人のはじまりの瞬間”へと舞い戻ったような気分になります。
 そして、そこから続くのはIDOLiSH7始まりの楽曲「MONSTER GENERATiON」。金管楽器がパワフルでさわやかな流れを作りつつ、弦楽器や木管楽器が音を重ねることで彩りを添えていきます。さらに「Say!」、「Shout!」など原曲と同じタイミングで小気味よいコーラスが入ることで、楽しい流れを増幅! 重厚感がありながらもポップなテイストを失わない新しい「MONSTER GENERATiON」を堪能させてくれました。

 3曲目「hope of SEVEN」では、軽快で透き通ったメロディーに合わせてモニターには六弥ナギや和泉三月のやりとりが映し出され、4曲目「ダイヤモンドのこころ」では弦楽器やグロッケンの奏でる優しい音色とともにIDOLiSH7とTRIGGERとの出会いのエピソードが映し出されます。
 そう、今回のコンサートはアイドルたちの持ち歌のみならず、アニメ『アイドリッシュセブン』の劇伴も主役のひとつ。モニターに映し出される映像もアニメの時系列そのままなので、眺めているだけでIDOLiSH7やTRIGGERが紡いできた軌跡を追体験できるという試みも盛り込まれていました。“物語の流れ”を知っている観客にとってはさまざまな感情が増幅されるという素敵なギミックです。





 4曲目「ダイヤモンドのこころ」でTRIGGERのライブにやってきたIDOLiSH7が目にしたのはTRIGGERの圧倒的なパフォーマンス。オーケストラのこのタイミングで演奏されたのはもちろん、TRIGGERを代表する「SECRET NIGHT」。曲の底を流れるリフを重みのあるサックスが担当。トロンボーンなどの金管楽器が主旋律を奏で、TRIGGERの持つ深い魅力を余すことなく表現。さらにサビで弦楽器が加わることで、匂い立つような大人の色気をステージで表現します。
 木管楽器の奏でる美しい旋律が際立った「do my best」を挟み、再びIDOLiSH7の楽曲「Dancing∞BEAT!!」。エレクトロニックドラムや金管楽器が冒頭から楽曲を盛り上げ、これから……というタイミングで少しずつ音量が下がっていきます。そして、突如響き渡る雷の音。まさにこの展開は“機材トラブル”に見舞われたアニメ第6話と同じ展開! しかし、ここでも演奏は止まりません。ステージからは“ハンドクラップ”を煽るジェスチャーがあり、客席もそれに応えて盛大なリズムをパシフィコ横浜国立大ホールに響かせます。そして、劇中で場をつないで見せた四葉環のようにドラムが激しい演奏で観客の視線を釘づけにし、気がつけば停電前よりもにぎやかなメロディーが展開されていました。
 一曲の中で物語の重要な転換点を再現するという大胆な演出は見事というほかありません。一方で、感動もつかの間、観客の中にはおそらく「だったらあのシーンはどうなるのだろうか?」という不安を抱いた方もいたのでは? 続く「氷の微笑/wanna BELiEVE」も雰囲気のあるメロディーの随所で、コントラバスなどによる激しく不穏な旋律がじんわりと心をかき乱します。映像の中でも八乙女社長や日向アキヒトの暗躍が映し出され、これから起こる波乱含みの展開を想起させました。
 そして、「TODAY IS」。途中までは温かみのある演奏が続くも、木管楽器のパートになったときにふと主旋律のフルートの音が消える。ピッコロの音がむなしく響き渡る“異常事態”に……。これはもちろん、アニメ第8話で和泉一織が本番中に考え事をしすぎたあまり、歌うタイミングを逸してしまうというシーンの再現です。しばらくして明るいメロディーが戻ってきますが、それでも不穏な空気は完全には拭い去れず……。しかし、ナギがみんなを奮い立たせたシーンがモニターに映ると、それに合わせるかのようにサックスが孤軍奮闘。その活躍によって「TODAY IS」は華やかな音を取り戻していきます。そして、最後はモニターに「プリーズ、ミュージック」の文字が……。あまりに切なく、しかしIDOLiSH7にとってかけがえのない“軌跡の再現”を前に会場からはすすり泣く声も聞こえてきました。


 楽しいキャンプの風景を彩った「Ding Dong Swing!/ウキウキな7人」、和泉三月の自主練習や、二階堂大和の主演ドラマの撮影風景などのシーンに合わせて演奏された「Shiny RAiNBOW」と日常曲が続き、12曲目は「Lost Heart」。モニターには「NATSU☆しようぜ!」が盗作されたシーンが映し出され、ティンパニやコントラバス、チェロなどによる重低音の不協和音が胸中の不安を煽ります。それでもアイドルたちは一向にめげません。続く「変わらない想いを」では逆境の中でも前に進もうとするアイドルたちの心中を、各楽器の個性を活かしたハーモニーで見事に表現していきます。
 そして、彼らの活躍に合わせて演奏される「Fly away!/ピタゴラス☆ファイター/miss you.../Joker Flag」という珠玉のメドレー。一織と陸の掛け合い「Fly away!」、金管楽器のパワフルさからもワチャワチャした仲のいい雰囲気が伝わってきた「ピタゴラス☆ファイター」、やさしい旋律が印象的な「miss you...」、そしてオーケストラアレンジでもメンバーの活力が伝わってくる「Joker Flag」と息をつかせぬ楽曲で一気にたたみかけてくる。スポットライトが当たっているアイドルに合わせて、照明が七色に切り替わっているのも感慨深いです。
 続いて演奏されたのはMEZZO"の「雨」。もともとオーケストラに親和性が高そうなバラードですが、フルートなどの木管楽器が丁寧に流れを作りながら、そこにホルンなどの金管楽器が複雑に絡み合うことで環と壮五によるデュエット感までも見事に表現。さらに弦楽器がまるで降りしきる雨のように楽曲を包み込んでいきます。そんな楽曲に合わせて、モニターの中ではMEZZO"のふたりのすれ違いや環がファンに騙されるシーンなどが次々と映し出され、ついには壮五が倒れたところでフェードアウト……。まるでアニメの引きのようなタイミングで休憩を挟むことに。それまでの密度の高かったオーケストラの感動が一気にあふれてくるからか、場内には一斉にため息交じりのざわめきがあふれ出します。

クライマックスはIDOLiSH7とTRIGGERの『BLACK OR WHITE』を描く


 20分間の休憩を経て、後半は「treasure ring」からのスタート。希望にあふれたメロディーと合わせて、モニターの中では沖縄に向けてデビュー曲のMV撮影に向かうIDOLiSH7の姿が映し出されました。だが、同時に不穏な動きを見せる日向アキヒトの姿もしっかりと捉えていて……。
 流れのままに17曲目は彼らのデビュー曲となるはずだった「NATSU☆しようぜ!」。構成も非常に刺激的で、とくに中盤の「ドライブだって 波乗りだって~」など歌詞が詰まっている部分を見事に乗りこなす“管楽器のタンギング”には唸るほかありませんでした。
 そんな見事な「NATSU☆しようぜ!」だが、アニメの中では盗作された幻のデビュー曲となってしまいます。荘厳かつ不穏な「Battle ZONE/月夜の涙」とともにモニターには、怒りを爆発させる環、そして“IDOLiSH7解散宣言”を出す社長の姿が。
 彼らの再出発を彩ったのが「Make a DREAM」。ピアノやハープ、ヴァイオリン、ヴィオラなどの美しい旋律が再び前を向く7人の姿をガッシリと表現。そして、ここからはいよいよクライマックス、IDOLiSH7とTRIGGERが真っ向から勝負をする『BLACK OR WHITE』へと移っていきます。
 TRIGGERの楽曲はもちろん「Leopard Eyes」。金管楽器の圧のある重低音が主旋律を奏で、ここぞというタイミングで弦楽器がさらに盛り上げる構造。それに対してIDOLiSH7の「MEMORiES MELODiES」は華やかで突き抜けるようなイメージ。ここぞとばかりに存在感を発揮するトランペットを始め、多彩な楽器が音を重ね合わせることで7人の個性を見事に表現いていきます。そして、ラストは大団円を飾る「Story of RAiNBOW」。

 筆者もオーケストラには敷居が高いイメージを持っていましたが、『アイドリッシュセブン』というコンテンツに寄り添った演出の数々にはたしかな愛と親しみやすさを感じました。むしろ、これだけこだわっているからこそ、オーケストラの編成が“12編”というのも偶然ではなくアイドルの数に紐づけたのでは……など、いろいろと想像が膨らみます。

 東京フィルハーモニー交響楽団による横浜公演は素晴らしい余韻を残しながら幕を下ろしましたが、3月14日、15日には日本センチュリー交響楽団による神戸公演も予定されています。こちらはライブビューイングも予定されているそうなので、興味のある方はぜひともチェックしてください。


『アイドリッシュセブン オーケストラ』公演概要

横浜公演

パシフィコ横浜国立大ホール

日程
2020年2月6日木曜日
2020年2月7日金曜日

演奏
東京フィルハーモニー交響楽団

神戸公演

神戸国際会館こくさいホール

日程
2020年3月14日土曜日
2020年3月15日日曜日
<昼公演> 13:00開場 / 14:00開演
<夜公演> 17:30開場 / 18:30開演

演奏
日本センチュリー交響楽団

神戸公演ライブ・ビューイング開催

《タイトル》
アイドリッシュセブン オーケストラ LIVE VIEWING

《日時》
2020年3月15日日曜日 18:30開演

《会場》
全国各地の映画館
開催映画館はこちら>> https://liveviewing.jp/contents/idolish7-orchestra/
※開場時間は映画館によって異なります。
※大阪府では条例により16歳未満の方は、終了時間が19時を過ぎる為、保護者同伴でないとご入場できません。予めご了承ください。

《料金》
3,500円(税込/全席指定)
※3歳以上有料/3歳未満で座席が必要な場合は有料となります。

《チケットスケジュール/お申込み》
【プレオーダー(抽選)】
2020年2月7日金曜日 21:00 ~ 2月11日火曜日・祝日 23:59
◎イープラス: https://eplus.jp/id7_orchestra_lv/

【一般発売(先着)】
2020年3月8日日曜日 12:00 ~ 3月13日金曜日 10:00
◎イープラス: https://eplus.jp/id7_orchestra_lv/
◎ファミリーマート店内の端末「Famiポート」
※一般発売は先着順での受付となりますので、 予定枚数に達し次第受付終了となります。

◇プレイガイドチケットに関するお問い合わせ:
イープラス:0570-07-5050 (10:00~18:00 オペレーター対応)

(C)BNOI/アイナナ製作委員会