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“イソップの想区”の演劇で明かされるアルケテラーの存在【グリムノーツ最終考察11_2】

そみん
公開日時

 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ Repage(リ・ページ)』の物語がいよいよ完結します。

 その物語をより楽しめるよう、ストーリーの流れをまとめつつ、物語の背景を読み解く考察記事をお届けします。

※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

“イソップ童話の想区”で行われた演劇について

 “イソップ童話の想区”では、『グリムノーツ』の世界に関する重要な設定が、演劇形式で語られた。ここでは、その内容を転載する。

 なお、ここで語られた内容の真実や補足については、『リ・ページ』の16想区(終局の世界・前編)で語られることになる。

●第一幕:むかしむかし

むかしむかし…はるかな昔…
まだ世界に“想区”という概念がなかった頃…

その世界は一つでした。
世界には境界はなく、全てはつながり、
同じ時を過ごしていたのです。

そしてその世界では、人々は『運命の書』を
持たず、自分で人生を選択して
生きていたのです。

それ故にその世界は、時に混乱と混迷が
うずまきました。

時に恋人たちは交わること無く。

時に望んでも救いは得られず。

ただ一人、なにも得られぬまま
孤独の叫びを上げて生を終える者もいました。

その世界の住人たちは、誰もが思いました。
一度は、その疑問を懐きました。

「この人生に、何の意味があるのか」と――

その思いが口火となったのか…今となっては
わかりません。ですがある日、
それは起こったのです。

世界の全てを襲った大災厄…
「意味消失」現象が――

●第二幕:沈黙の霧

・ナレーション
「意味消失」現象…それは突然起こりました。
最初はわずかに、でも確実に、世界に広まり、
世界から「意味」を消し去りました。

・若い娘
わからない…わからない…私は誰なの!?
お願い、誰か教えて!

・青年
しっかりするッス!君は、君は俺の、
大切な人ッスよ!

・若い娘
なら教えてちょうだい!私の名前は?
私はなにをしたの?どんなふうに生きてきたの!?
お願い、教えてよ!

・青年
それは…それは…その…

・若い娘
怖い…怖い…私は…私がわからない…
私は本当に存在しているの?
私は…私は――

・青年
落ち着くッス!それ以上はダメッス!

・若い娘
私は――――

青年
・うわあああああっ!!!

・男性
彼女も…消えてしまったのですか…!

・青年
そうッス…思い出せない…大切な人の
はずだったのに…彼女の名前も…
それどころか、もう顔も…!

・男性
気を落としてはいけません。
このままでは、あなたも「意味消失」に
呑み込まれてしまう。

・青年
わかってるッス…わかっているッス…
でも…あの…聞いていいッスか…?

・男性
なんでしょう?

・青年
あなたは…誰ッスか…?

・男性
なんと…?

・青年
思い出せない…あなたが、俺の…
いや、私の…俺の…僕の…

親なのか、兄弟なのか、友人なのか、
それともただの他人なのかも…

わからない…わからない…!!

・ナレーション
人々は徐々に忘れていきました。
最初は名前、次に過去、そして現在…

自分が何者なのか、自分はどこから来たのか、
自分はどこへ行くのか…なにもかも、
わからなくなってしまいました。

ついには自分の存在すら不確定となり、
「いる」のか「いない」のかも、
断定できなくなったのです。

・青年 うあああああっ!!

・男性
いやだ、消えたくない!!
私は…私は…!!

・ナレーション
自分の存在すらも見失った人々は、
次々と、消滅していきました。

何十万、何百万、何千万…
ついには、何十億という人々が…

肉体も心も失った人々は、不確定の存在となり、
「実体のないなにか」となって漂い、生も死も
なくなり、永遠にさまようことになります。

その、名を失い、名乗ることもかなわなくなった
者たちの成れの果て、人の形も保てなくなった
者たちは、こう呼ばれました…

“沈黙の霧”と…

●第三幕:運命の書

・ナレーション
「意味消失」現象によって、数十億という
人間が消滅。そして、生まれた“沈黙の霧”は
世界を覆い尽くさんばかりに広がりました。

“沈黙の霧”を止める手立てはなく、
何十という国が消滅し、人類が築き上げた
文明の全ても「なかった」ことになりました。

世界は滅び…いえ、消滅の危機にあり、
残ったわずかな人々は、恐怖に
震える日々を送ることになります。

そんな中……

・大臣
どうするのだ!もはや世界中で、
まともに生き残っている者は、九割を下回った!
人類滅亡…いや、消滅の危機だ!

・学者
ですねぇ~、すでに、夜も昼もなくなった。
太陽どころか月も観測できない。

これは、地球というよりも…
我々が存在するこの世界そのものに
訪れた危機と言えましょうね。

・大臣
言っている場合か!このままでは…
我々も、明日も生きているかも
わからんのだぞ!

・学者
なんとかしたくとも、なんともしようがない。
地下シェルターに隠れ潜もうがどうしようもない。

あの霧は、物理的な現象ではないのです。
一種の、「不確定性」が視覚化されたもの
にすぎないのだから。

・大臣
その…どういう意味だ?

・学者
あるかないかもわからない、
不確かな…そう…混沌そのもの…
まさにカオスです。

・大臣
カオス…

・学者
もしかして世界とは、原初はこのような
形であったのかもしれませんね。

そして、いままさに、そこに戻ろうとしている。
積み上げた全てを「無意味」に変えて…

・大臣
従うしかないというのか?
これが運命だというのか!?

・学者
違います。運命などではない。

・大臣
ならば…

・学者
その運命を、我々は奪われたのです。

・大臣
………!!!

・学者
かつてとある作家が言ったそうです。
「人生とは一冊のメルヒェンである」と…

ならばこの世界の作者は、これ以上の
執筆を放棄したのかもしれませんね。

・大臣
作者とはなんだ…?それは、神か?

・学者
そうかもしれませんし、我々では認識できない
存在かもしれません。

ともあれ、“それ”にとって、
この世界は、紡ぐ価値も、読む価値もない、
打ち切り作品のようなものだったわけです。

・大臣
ふざけるな!そんな、そんなこと…
それならまだ、死んだほうがマシだ…

死ぬのなら、まだ“死んだ”という事実が残る。
それすら残されない。“生きた”ことも、
全て、「なかった」ことにされる…

私たちは一体…なんのために生まれたのだ…

・学者
見捨てられたのなら、自分たちで作るしか
ありません。

・大臣
なに?

・学者
作るのです。我々の手で。
作者がいないのなら、自分たちの手で、
運命を紡ぎ、役割を生むのです。

・大臣
どういうことだ?そんなことができるのか?

・学者
あれを!

・助手
こちらを、御覧ください。

・大臣
これは…なんだ、「本」なのか?

・学者
ええ、ですがただの本ではありません。

・助手
これは、「運命」と「役割」を与えるものです。

・大臣
どういうことだ?言っている意味が、
まったくわからん。

・学者
なに、簡単な話です。
この世界は、作者が書くことを放棄し、
読者が読むことを放棄したのです。

それゆえに、全てに意味がなくなった。
全てが真っ白な紙に戻ろうとしている。それなら…

新たな作者と読者を作り、
我々に意味を与えさせるしかない。

これを私は、『運命の書』と名付けました。

・大臣
『運命の書』だと…?
これは、新たな作者が作った、
人類の「意味」だというのか?

・助手
はい。

・大臣
誰だ?その、新たな作者とは…
そして、新たな読者とは?

・学者
それは…

アルケテラー……

●第四幕:アルケテラー

・ナレーション
世界の消滅は、寸前で回避されました。

それは、神とも言えるものに見捨てられた
人類が、新たに「読者であり作者」
の存在を生み出したからでした。

人間ではなく、人間を超えた観測者。
運命を紡ぐ者、そして運命を観測する者。

人類はそれを、“アルケテラー”と呼びました。

・職員A
アルケテラーの創造は成功だ。
これで、人類は消滅の危機を逃れた。

・職員B
ええ、人類の叡智の勝利ね!

・職員A
そうだろうか…

・職員B
え?

・職員A
アルケテラーは、「運命」を紡ぐ者、
そして「運命」を観測する者。

人々に、「運命」と「役割」を与えることで、
存在の意味を与え、「意味消失」現象が
起こらないようにした。

その意味では、アレはまちがいなく、
人類を救ったといえる。

・職員B
それがなにか…問題なの?

・職員A
問題なんだ。それだけなんだよ。
アルケテラーができることは。

アルケテラーは、既存の物語を「運命」とし、
その物語の役を人々に与えた。

そうすることで、人々は『運命の書』を
介して、存在意義を得た。

だが、それがアルケテラーの限界だ。

・職員B
そうね…だから、世界はぶつ切りになった。
世界全てを「物語る」ことができない以上、
物語の数だけ、世界を分けざるを得なかった…

・職員A
だが、消えてなくなるよりはずっといいよ…
でも…いつかそれも限界に達する。

・職員B
限界?また、世界が消えてしまうの!?

・職員A
そうじゃない、そうじゃないんだ…

・アルケテラー
…………

・職員A
アルケテラー…原初の語り部にして、
無限の読み手よ…いつか君に
その時が来るだろう。

君の中の渇望を、君自身が無視できなくなった時…
世界に生まれるヒズミに、僕らは対処しなければ
ならない…

だから、あえて「ゆらぎ」を与える。

多分君にとっては、許せない存在かもしれないね。

でもこれも、人類のため、なにより…

君自身のためなんだ。

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グリムノーツ Repage

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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