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ザ・前口上。ジジイより愛をこめて【O村の漫画野郎#1】

奥村勝彦
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 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る! 

ザ・前口上。ジジイより愛をこめて

 いやまあ、コロナ騒動でこの文章も自宅で書いたりしてますが、この連載は、そーゆうのと関係なく、自分の編集者人生をある程度客観的に振り返って書いとりますです。

 まあ、今回の一件で出版社&編集者&漫画家とのつき合い方は、加速度がついて変わっちまうでしょうが、そんな中で変わらないモノってなんじゃい? って事を感じていただけたら嬉しいなあ、って思いながら書いております。んじゃ、本編スタート!!


 あー。奥村勝彦、4月には誕生日が来ちゃったので59歳。ジジイもジジイ、立派なジジイである。

 ……あ、あんま立派じゃねえか。訂正!! イイカゲンなジジイである。職業は漫画の編集者を33年ほどやっておりました。最初は秋田書店でチャンピオン系雑誌で色々と。

 そっからアスキー→エンターブレイン→KADOKAWAで、知る人ぞ知る、知らない人は全く知らない『コミックビーム』という超マイナー漫画雑誌をズ――――ッとやってたの、ついこないだまで。


 んでまあ、もうそろそろ定年なんで、俺から見た漫画業界の変遷なんぞを語ったりしてみるのも、どーじゃろかい……なんて思ったりしたのね。

 そりゃアンタ、漫画の草創期から見たら、現在の漫画業界ってなあ、どえらい変わってまっせえ!! なんせ電話、電報、速達以外通信手段がなかった状況だったのが、今や……。でも、俺みてえなバブル期入社の人間が、なぜそんなモンを語れるんじゃい!?ってツッコまれたら、こう答える。

 なぜか入社当時の俺って、トキワ荘時代のシーラカンスみてえなジイサン連中にやたら可愛がられたんだわ。……その分、同世代の連中に相手にされてなかったけどな。たぶん徹頭徹尾トレンディーじゃねえ性格と容姿が功を奏したのかもしれない。……あんま嬉しくなかったけれども。

 だって同世代に相手にされねえっつーことは、同世代のネエチャンにモテねえっつーことだぞ!! 正直、俺は逆の方が良かった!!


 そういうワケで、今の俺みてえなジイサン達は、俺を相手に語るのなんの。それがまあ面白いもんだから、コッチも聞くのなんの。同世代の連中が、彼らをなまじリスペクトしちゃって、遠巻きにしていた中、俺は全くノープロブレム。


 だもんで、俺には漫画業界の変遷なんてな、壮大かつワケのわからんテーマを語る資格が、少しばかりありそうな気がするんだわ。それに加えて現場を離れて、結構ヒマだっつーのもある!! 週イチで文章書くなんざ楽勝!!

 あ、ひとつ書くの忘れてた。例えば漫画業界の表街道つーのは皆様御存知のジャンプやマガジンになるんでしょうが、俺のは思いっきり裏街道です。『漫道コバヤシ』にすら全然相手にされねえくらい裏街道なんで、そこんとこヨロシク!! ……んじゃ、待て次回!!

(次回“一浪二留!! 漫画との出逢ひ”へ続く)

イラスト/桜玉吉

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