『ライアン・マークス リベンジミッション』レビュー。手に汗握るアクション、VR特有のシンクロ感が魅力

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 SIEより2019年5月30日に発売されたPlayStation VR専用ソフト『ライアン・マークス リベンジミッション』。本作は、さまざまなVRソフトが収録された『PlayStation VR WORLDS』を手がけた“SIEロンドンスタジオ”制作のVRシューティングです。プレイヤーは、ギャング組織のボスの息子でもある特殊部隊員ライアン・マークスとなり、家族を狙う謎の組織と戦います。

 今回は、実際の製品版をもとに本作のレビューをお届けします。さらに、記事後半ではSIEロンドンスタジオへのメールインタビューを掲載しますのでお楽しみに!

移動からガンシューティングまで多彩なアクションがPS Moveでできる

 本作の魅力は、PlayStation Move(以下、PS Move)を2つ使って行う多彩なアクションの数々。『PlayStation VR WORLDS』をプレイしたことがある人は収録されている『The London Heist』を思い出してもらうと話が早いと思います。PS Moveでプレイすると、画面上の主人公の両手を直接操作可能で、PS MoveのTボタンで画面上のオブジェクトをつかむ/放すことができます。

 銃を握ればそのまま撃てますし、弾がなくなったら空いているほうの手で胸元のベルトからマガジンを取り出して、プレイヤー自身の手でリロードができます。本作では、『The London Heist』と比べてできることが大幅に増えていて、まさにプレイヤーがライアン・マークスそのものとして行動できるのが、たまらなくおもしろいのです。

 本作で感心したのが、PS Moveでさまざまなタイプの移動を再現しているところ。VR作品の移動と言えば、指定されたポイントを選んであとは自動でキャラクターが動く、というタイプが多いと思います。この作品では、ポイントを指定する以外にも、はしごをつかんで登るなど、PS MoveのTボタンで“つかむ”ことを利用した移動シーンが随所に用意されているのです。

 とくにおもしろいのが、建物のパイプや出っ張りをつかんでボルダリングのように移動するシーン。次につかむ場所を探しながら移動していくアクションの数々は、プレイしていてかなり緊張感がありますし、たまに移動している最中に敵と遭遇し、片手でパイプにつかまりながらもう片方の銃で相手を撃ち倒す、なんていうことも可能。アクションヒーローになり切れる仕掛けの数々が非常に魅力的です。

 PS VRはVRヘッドセットとコントローラという、おもに上半身の動きで画面内のものを操作しますが、この操作系統でプレイヤーの移動をしっかり再現しているのは正直スゴイ、と思います。

 なお、本作は通常のコントローラでプレイすることも可能。この場合は、コントローラのカラーバーを使い、両手を一緒に動かすことになります。

ガンシューティングは多彩な銃を使いこなしていくのが楽しい!

 さまざまアクションのなかでも、本作の大きな目玉となるのはやはりガンシューティング。主人公は腰の左右にピストルホルスターを1つずつ着けているほか、背中にライフルなどの大きめの武器を担げるようになっていて、腰に手を伸ばすとピストルを、肩のあたりに手を伸ばすと大型の武器に持ち替えられます。銃の持ち替えが直感的にできるあたりも、なかなか楽しいです。

 装備した武器の扱い方も、プレイヤーの自由にできるあたりもさすがVRといったところ。ピストルのような小型の武器なら両手でグリップをしっかり握って撃ってもいいですし、左右に1丁ずつ持って2丁拳銃スタイルで戦うのもいい感じです。撃ち方も実際にプレイヤーが照準をのぞき込んで丁寧に狙うことはもちろん、障害物から銃だけ出して弾をばらまくように撃つ、といったスタイルも可能。

 慣れてくるとプレイヤーが主人公になりきれる、一種のシンクロ感があってものすごく気持ちいいです。

 そして、本作のガンシューティングでは、PS MoveのMoveボタンを左右同時に押すと“スローモーション”を発動できるのが特徴。スローモーション中は、主人公以外の時間の流れがゆっくりになり、プレイヤーは落ち着いて狙いをつけることができます。

 スローモーションは、複数の敵をまとめて倒すほか、空中の手榴弾を撃ち抜いて起爆させるといった、ことにも利用可能。また、アーマーや盾でがっちり守る敵に対して発動すると、弱点が表示されて少ない弾数て倒せるという要素もあり、プレイヤーの戦略に組み込んで使えるあたりもゲームとしてしっかり作られています。

これを機にPS Moveの導入を考えてもいい内容。本作ならではのヒーロー体験を見逃す手はない!

 本作は、やはりPS VRに加えてPS Moveを2つ用意することで、初めて最高の体験を得られるという点がネック。しかし、『The London Heist』から大幅にパワーアップしたアクションの数々は、PS VRを持っている人なら絶対に体験してほしいクオリティです。

 また、SIEより好評発売中の『Deracine(デラシネ)』など、PS Moveを2つ使って遊ぶソフトは、すでにかなりの数発売されているので、今から導入しても決して損にはならないと思います。PS VRで遊べる新たな体験のひとつとして『ライアン・マークス リベンジミッション』は強くおススメできる1本です!

SIE ロンドン・スタジオ、スチュアート・ホワイト氏へのメールインタビューを掲載!

 ここからは、本作を手がけたSIE ロンドン・スタジオでVRディレクターをつとめたスチュアート・ホワイト氏へのメールインタビューをお届けします。『ライアン・マークス リベンジミッション』のコンセプトから、プレイヤーのゲーム体験や難易度調整に対する考え方など、VR作品全般についてのインタビューとなったのでぜひチェックしてください。

  • ▲SIE ロンドン・スタジオのVRディレクター、スチュアート・ホワイト氏。

――以前SIEロンドン・スタジオが手がけた『PlayStation VR WORLDS』はさまざまな種類のVRゲームが遊べるタイトルでしたが、『ライアン・マークス リベンジミッション(以下、『ライアン・マークス』)』はその中から特に『The London Heist(以下、ロンドン ハイスト)』をピックアップしてグレードアップしたような作品となりました。本作の開発を決めたきっかけについて教えてください。

スチュアート・ホワイト氏(以下、ホワイト):『PlayStation VR WORLDS』のタイトルに関われたことは、スタジオとしてVRについて学ぶ大変素晴らしい経験でした。特に『ロンドン ハイスト』は、ゲームのファンの間でも、とても人気が高かったので、この作品をベースに作ることは理にかなっていました。
 しかしながら、単純に『ロンドン ハイスト』の続編を作るのではなく、どのようにしてVRやストーリーを融合できるか追求していくなかで、アクションムービーというジャンルがとてもマッチしていると考え、本作の制作に至りました。

――本作を開発するにあたって、達成したい目標としたものについて教えてください。

ホワイト:コンセプトの段階から私たちがまず実現したいと思っていたのは、プレイヤーがアクションヒーローになり切れる体験でした。最初から最後まで、ゲームプレイなどを通してプレイヤーにヒーローの気分を味わえて頂けるように力を尽くしました。

 これを実現するには、物語の展開の仕方、各ステージの背景、武器の種類、移動方法など、様々な要素を追求することが必要不可欠でした。そして、試行錯誤しながら毎回「これでプレイヤーはヒーローになれるのか?」と自分たちに問い続けてきました。ゲームプレイを重みあるものにしたいという気持ちはあったのですが、何もかも現実的にすると逆におもしろみに欠けてしまうのでここのバランスが難しいですね。

 例えば、各武器のハンドリングにリアリティを出すため、本物のUK Special Forces(英国の特殊部隊)からケビンという隊員に協力をもらって徹底的に追求しました。そういったリアリティを重視する一方で、マガジンの弾数は敢えて増やすことにしました。そうした方がアクションヒーロー感が出ると思ったのです。このようにして、私たちは“アクション映画というレンズ越しの現実”を追求したのです。

 “アクションヒーローになり切れる”ゲーム性の次に、夢中になれるストーリーと、魅力の溢れる舞台と言った、第2と第3の大きな目標もありました。ストーリーに関して、リック・ポラスという『ロード・オブ・ザ・リング』の制作にも係わった、経験豊富なディレクターに依頼し、台本やモーション・キャプチャーのディレクションを担当してもらいました。

 舞台には私たちに馴染みのあるロンドンを選びました。ロンドンはとても多面的で魅力に溢れている街で、そのきらびやかでもあり、時には勇ましい姿を見せるこの街が、この上なく好きなのです。ゲームの舞台として、ロンドン以上にふさわしい場所はないと思いました。私たちのスタジオがロンドンの中心にあるので、少し先入観もあるかもしれませんが(笑)。

 また、サウンドトラックにはグライムという、イギリスから生まれたラップ音楽を取り入れることでイギリス在住のプロのグライムアーティストと手を組んで、ロンドンという舞台にぴったり合う、とてもユニークな味を付けることが出来ました。

――本作をプレイすると、はしご登りや通気口の移動などPS Moveを使ったさまざまなタイプの“移動アクション”にも特色があると感じました。こういったシューティング以外のアクションは、やはり意識してこだわったものでしょうか? また、開発にあたり特にこだわったポイントがありましたら教えてください。

ホワイト:『ロンドン ハイスト』の制作から得た経験もあってPS Moveで実現できる操作感が非常に気に入ったので、当初からMove(×2本)対応を決めていました。一方、プレイヤーの皆様は必ずしもMoveを2本持っているとは限らないのでDUALSHOCK 4でも楽しくプレイできるようにしました。

 どちらのコントローラーを使っても、操作の一環として、ロコモーション(移動アクション)は私たちにとって大きなチャレンジでした。プレイヤーが自然に没入できる、かつ操作で苦労することないようにと、できるだけアクションヒーローに相応しい感覚での直観的な移動方法を目指しました。

 移動方法だけではなく、アイテム配置も考え直す必要がありました。『ロンドン ハイスト』の場合、プレイヤーが自ら移動する場面はありませんでした。その影響で、基本的に必要なアイテムをプレイヤーの目の前に置いておけば、アイテム配置など、複雑なことを考えずに済むわけです。今回はそんなに甘いことは通用しませんでした。

 プレイヤーが自分の腰や背中に武器を身に付けて、胸のポケットからマガジンを取り出してリロードできる仕組みをゼロから作り上げることになったのです。PlayStation VRでは、ヘッドセットとコントローラー、つまりプレイヤーの頭と手しか認識されないので、胸や腰でのインタラクションを実現するのに苦労しました(笑)。

 今回の開発では、細かいところを含めてあらゆる要素を駆使してプレイヤーがより『ライアン・マークス』の世界に入り込めるように本当に頑張りました。実はNPCの目線がプレイヤーを追う仕組みまで作ったのです。非常に細かいですので、多くのプレイヤーに気付かれないかもしれませんが、NPCと向かい合って頭を動かすと追ってくれるようになっています。

 こういう細かい要素もユーザー体験にものすごい影響を与えるわけですので開発の一員として誇りに思いますね。

――VRゲームには、ゲーマー好みのタイトなものからプレイヤーのVR体験を優先させる比較的やさしめのものまで、さまざまな難易度があるように思います。『ライアン・マークス』を制作するにあたって、本作が目指した難易度はどのあたりでしょうか?

ホワイト:素晴らしい質問ですね。そもそも私たちが目指すべきなのは“VR体験”なのか本格的なゲームなのか、開発の真っ最中にかなり悩んでいました。先も触れましたが、プレイヤーがアクションヒーローになり切れることが私たちの第一目標でした。この鍵になるのは、正にプレイヤーに合った難易度の調整です。プレイヤーを刺激するゲームプレイ要素や適度なチャレンジが必須ですが、難しすぎると中々ヒーローの気分を味わえませんから。

 結局誰がプレイするかによってベストな難易度が変わるので、シネマモードとノーマルモードと言った、2つの難易度を準備しました。アクションに慣れていて腕に自信のあるゲーマーはノーマルで詰まらずに遊べますし、ともかくストーリーを楽しみたいプレイヤーのためシネマモードで体力を上げたり、武器にサイトを付けたりするなど、進みやすくしておきました。もちろん、高難易度を求めるプレイヤーも大勢いらっしゃると分かりますので、無料DLCとしてこれも追加する予定です。

 話を戻しますが、開発中にもう一つ意識していたのは、プレイヤーが疲れないためのペース調整です。物語やアクションの展開をどうやって繋げていくかはどんなゲームでも重要ですが、VRの場合はなお更ではないでしょうか。VRでできるアクションはとても迫力があって刺激的なので、戦闘などの直後にプレイヤーが回復できる機会を設けたりしました。例えば、20秒ほどの、崩れ落ちる建物から脱出する場面は最高に楽しいのですが、同じようなことが5分も続いていると意外にくたびれてしまいますよ(笑)。

――ゲームのラストは次回作を匂わせるような内容になっていました。今後の展開についてなにかコメントできるようなものはありますか?

ホワイト:本作を楽しくプレイして頂いただけでなく、次回作までご期待いただいて本当に嬉しいですが、まだちょっと早いですね(笑)『ライアン・マークス』の世界感やキャラクターたちを更に展開していけると最高ですが、ひとまずのところは本作に集中しています。

 本編発売後の今もチャレンジモードやオンラインランキングを無料DLCとして提供できるように頑張っているところですので続報をお待ち頂ければと思います!

――最後に日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

ホワイト:VRがゲームの在り方に与える影響は非常に大きいと考えていて、『ライアン・マークス』がVRの可能性を示し、少しでもその更なる進化に繋がるタイトルになれたらと思います。

 また、ロンドン・スタジオにとって本作は、15年前に制作しました『the Getaway』(PlayStation 2向けアクションゲーム)以来の、 最大規模のタイトルですので、発売できて大変誇りに思っています! この最新作を日本のユーザーにシェアできることに本当に興奮しています。

 日本語の吹き替えには一流の声優陣を採用したので、『ライアン・マークス』と言うアクションヒーローになりきって、私たちが描いたロンドンを存分に楽しんで頂けるに違いありません。ぜひお楽しみください!

©Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by SIE London Studio.

ライアン・マークス リベンジミッション

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4/PS VR
  • ジャンル: STG
  • 発売日: 2019年5月30日
  • 希望小売価格: 4,900円+税

ライアン・マークス リベンジミッション(ダウンロード版)

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4/PS VR
  • ジャンル: STG
  • 配信日: 2019年5月30日
  • 価格: 5,292円(税込)