【BitSummit】『ゼルダ』コラボのはじまりはDLC? 『ケイデンス・オブ・ハイラル』インタビュー

電撃PlayStation
公開日時

 2019年6月1日、2日と京都市勧業館“みやこめっせ”で開催されていた“BitSummit 7 Spirits”。

 会場内で最新プレイ動画が展示されていた6月発売予定のNintendo Switch用ソフト『ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』の開発者にミニインタビューを行いました。

 『ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説(以下、ケイデンス・オブ・ハイラル)』は、カナダの独立系開発会社Brace Yourself Gamesが開発したインディーゲーム『クリプト・オブ・ネクロダンサー』と、任天堂のアクションアドベンチャーシリーズ『ゼルダの伝説』がコラボレーションした完全新作のローグライクリズムアクション。日本では、スパイク・チュンソフトがパブリッシングを担当しています。

 ゲームは『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のシステムをベースに、『ゼルダの伝説』のキャラクターやモンスター、アイテムなどの世界観を導入。両方の要素を混ぜ合わせた、これまでにないタイトルになっています。


 プレイヤーはリンクやゼルダ姫といったキャラクターを操作して、地上世界やダンジョンを探索。軽快なリズムに合わせてキャラクターを動かしながら、手ごわいモンスターやボスとのバトルを楽しめます。

 ローグライクゲームとリズムアクションが融合した『クリプト・オブ・ネクロダンサー』独自のプレイスタイルと、シリーズを通して培ってきた『ゼルダの伝説』ならではの世界観や冒険が楽しめる作品です。今回は開発を担当したコアメンバーに、誕生の経緯などをうかがってみた。

  • ▲左が開発を担当したBrace Yourself GamesのLead Designer and Programmer、Oliver Trujillo氏。中央がCEOのRyan Clark氏。右がスパイク・チュンソフトの二階堂利久氏(文中は敬称略)。

『ネクロダンサー』『ゼルダ』の両ファンが満足できる作品に

──最初に『ゼルダの伝説』とコラボレーションをすることが決まった時は、すごく驚かれたと思います。その時の気持ちは、いかがでしたか?

Trujillo:(日本語で)ヤッター!

Clark:自分もTrujilloも、子どものころからファミコンで『ゼルダの伝説』を遊んできたので、すごく喜びました。素晴らしい体験になるだろうという気持ちで作りましたし、実際に作ったら『クリプト・オブ・ネクロダンサー』の要素に『ゼルダの伝説』の要素が合わせやすいという経験も得られました。

 自分たちも喜んでいますし、愛情を注いで作ったので、ファンにも情熱が伝わって同じくらい喜んでくれるのではないかと思っています。

──ファンとして気になるのは、やはり今回のコラボ作品が誕生した経緯だと思います。開発の経緯について教えてください。

二階堂:もともとは『クリプト・オブ・ネクロダンサー』というゲームのDLCを作る予定でした。その時に、スパイク・チュンソフト側から「『ゼルダの伝説』のDLCを作ったら面白いのでは?」という提案をして、それを任天堂さんに持っていったんです。

 任天堂さんと話し合っていくうちに、いろいろなアイデアが出てどんどん膨らんでいったのですが、これだけ面白いアイデアが出ているなら新しいゲームを出せるのではないかという結論になり、そのまま『ケイデンス・オブ・ハイラル』を作り始めました。

──『クリプト・オブ・ネクロダンサー』はステージ制のような階層があるローグライクで、一方の『ゼルダの伝説』は広い世界を冒険するゲームとまったく違う仕組みでしたが、本作はどのようになっているのでしょうか?

二階堂:今回は『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のようなダンジョンもありつつ、地上世界もちゃんと作っています。『ゼルダの伝説』のように地上世界の探索も謎解きもあり、世界中にあるダンジョンに潜って敵を倒したり、ボスを倒したりしながらクリアしていくゲームです。

 ゲームプレイは『クリプト・オブ・ネクロダンサー』寄りでありながら、世界観と進行は『ゼルダの伝説』寄りになっています。


  • ▲地上もダンジョンもあり、世界観から雰囲気まで完全に『ゼルダの伝説』シリーズを踏襲している。

──『クリプト・オブ・ネクロダンサー』は、リズムゲームが苦手だと大変なキャラクターもいましたが、本作はリズムゲームを重視した難易度になっているのでしょうか。

Clark:『クリプト・オブ・ネクロダンサー』の場合はゲームを開始してすぐ高難度になる場合もありましたが、今回は徐々に難易度が上がるので『ゼルダの伝説』シリーズを遊んでいた人にも楽しめるようになっています。

 とくに今回は『ゼルダの伝説』のファンにも入りやすいように、難易度には気を付けました。リズムゲームが苦手でリズムを合わせにくい人や、初心者でも楽しめるような仕組みも用意しています。

Trujillo:おそらく『クリプト・オブ・ネクロダンサー』よりも広いエリアで戦うケースが多くなると思うので、敵から逃げたり、避けたりといったことも『クリプト・オブ・ネクロダンサー』よりやりやすいと思います。

 アートもていねいにつくっていますし、敵の動きもわかりやすくなっていると思いますので、ちゃんと戦略をたてられると思います。

──ベースは『クリプト・オブ・ネクロダンサー』ですが、『ゼルダの伝説』の要素もしっかり楽しめると考えても良いのでしょうか?

Trujillo:『ゼルダの伝説』のように地上世界を探検することもできますし、世界観も難易度も『ゼルダの伝説』寄りになっていると思います。

Clark:『ゼルダの伝説』要素も取り入れているので、周囲の環境やアイテムを利用して行きたい地点に行くような要素や、ユーザーそれぞれが考えて解く謎解きの要素も用意しています。

──逆に『クリプト・オブ・ネクロダンサー』の要素はどれくらいあるのでしょうか?

Trujillo:基本は『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のシステムです。そちらと同じようにエリアやダンジョンは自動生成されますし、ローグライクの要素も残っています。『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のファンも楽しめると思います。


  • ▲ボス戦もリズムに乗って戦う。あくまでもベースのシステムは『クリプト・オブ・ネクロダンサー』だ。

──本作を作るにあたって、任天堂さんはどれくらい関わられたのでしょうか? 完全に監修に徹している形なのですか?

二階堂:任天堂さんは、今回完全に監修として入っています。もちろん『ゼルダの伝説』というIPを守るために、シナリオ面や設定などを監修されていますが、ゲームの部分についてはほぼBrace Yourself Gamesさんが任されて作っています。

Clark:任天堂さんの監修の中で、いろいろなフィードバックを受けて、すごく助かりました。フィードバックをもとに『ゼルダの伝説』における大切なものをいろいろ守れたと思います。

──任天堂さんの監修を受けて作られたのは初めての体験だと思いますが、今回、任天堂さんと一緒にゲームを作ってみた感想はいかがでしたか?

Trujillo:任天堂さんは長年ゲームを作ってきただけあり、フィードバックされる意見も賢明で適切なことばかりでした。

 30年以上の歴史を持つ『ゼルダの伝説』シリーズなので、そこからいろいろな物を選んで取り入れることができるのもすごくワクワクしましたし、ゲーム中のBGMを厳選するときやゲームで使うキャラクターを選ぶときも、今まで任天堂さんが作り上げてきたものとコラボできることが、すごくうれしかったです。

──任天堂さんの監修を経て、また新たな知見が得られたということですね。

Clark:今まではインディーゲームメーカーとして、一定のレベルのゲームを作ってリリースしてきたのですが、今回は任天堂さんの監修が入ったおかげで、リリース前の時点でさらに高いレベルまで作り上げられました。

 これからBrace Yourself Games自体の開発も、より高いレベルになると感じています。それは、任天堂さんの監修のおかげでもありますね。

──今回の作品は『ゼルダの伝説』ファンと、『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のファンのどちらも楽しみにしているタイトルだと思います。ファンに見て欲しいポイントや、喜んでもらえそうな部分を教えてください。

Trujillo:『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のファンは、前作でDLCが出るたびに新しい敵が数体出るだけでも、すごく喜んでくれる人が多かったんですよ。

 今回は敵もゲーム自体もすべてが新しいですし、新しい挑戦も多いので、プレイヤーのみなさんも新たに学べることが多いです。そこが一番、喜んでいただけるポイントだと思います。

 『ゼルダの伝説』ファンの場合は、ゲームプレイこそ『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のようなビートに合わせて動く物ですが、かなり『ゼルダの伝説』のゲームを遊んでいる気持ちで楽しめる作品になったと思います。

 グラフィックも音楽も含めて、さまざまな物をリスペクトして作りましたので、『ゼルダの伝説』のファンにも喜んでいただけるのではないでしょうか。


本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら