アレンジは原曲の魅力をより味わえるものに! 『ニーア』シリーズコンポーザー岡部啓一氏インタビュー

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 『NieR』シリーズ10周年を記念し、『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』『ニーア オートマタ』の人気曲が新たなオーケストラアレンジで楽しめるCD「NieR Orchestral Arrangement Album - Addendum」(価格¥3,500+税)が、3月25日に発売される。また3月28日より、オーケストラコンサート「NieR:Theatrical Orchestra 12020」(3月28日、29日東京、4月25日大阪)も開催!

 先日、都内某所で行われたCD「NieR Orchestral Arrangement Album - Addendum」のオーケストラ収録終了後、『NieR』シリーズのコンポーザーを担当する岡部啓一氏にインタビューを行い、ニューアルバムやオーケストラコンサートの聴きどころなどをうかがいました。

今度のアルバムはシリーズの雰囲気をより味わえるものに

――1月のシカゴ公演を皮切りに「NieR Orchestra Concert 12018」のワールドツアーが行われました。まずは、そちらのご感想を教えてください(インタビューはバンコク公演前に実施)。

 同じ楽譜を同じアーニー・ロスさんに指揮してもらっても、地域によってこんなに違うんだなと思いましたね。曲のニュアンスに対する解釈が違うんだなと、僕自身も楽しませてもらいました。

――都市ごとに楽団が異なるのでしょうか?

 アメリカは公演のために奏者を集めていただいて、ロンドンは団体としてやっている方たちです。演奏もロンドンはクラシックに寄っていますし、LAはハリウッドって感じなんですよ。オーケストラは裏のりが苦手な方が多い印象ですが、シカゴはパーカッションも含めていいグルーヴ感があって、ジャズの本場だなと思いました。

 お客様も日本は静かに食い入るように聴いてくださるのに対して、熱狂的に拍手をくださる方が多くて。そのあたりも、お国柄が出ているなと思いました。

 ワールドツアーが終わるのはさみしさもあります。でも終わる前にシームレスで『NieR』シリーズ10周年、そして3月の日本公演につなげていける感じです。

――10周年記念コンサートに先駆けて、オーケストラアレンジCDが発売されます。2018年に発売されたアルバムとは、どういった違いがあるんでしょうか?

 前回もオーケストラコンサートに合わせて発売しましたが、2018年と今回では、コンサートのコンセプトが違うと解釈しています。『NieR』シリーズはオーケストラっぽい曲もありますが、小規模編成でボーカルを聴かせる曲が多い作品です。2018年はその楽曲をオーケストラバージョンで楽しみましょうという形で、歌はサプライズの2曲だけの最小限にしました。

 今回は周年を記念したお祭りなので、作品を支え、応援してくれた皆さんが「10周年なんだな」と感じられるように『NieR』らしさを大事に、原曲のイメージに近い状態にアレンジし直してもらっています。あと、歌の割合も多くなっていますね。

――歌が入っている楽曲は収録されているというイメージでしょうか?

 全部ではないですが、割合としては前回よりもかなり多いです。

 今回のコンサートについて最初にヨコオタロウさんから「2018年のコンサートはお前のやりたいようにやらせたんだから、10周年は俺がやりたいようにやるからな」と言われていて、それは僕も重々承知していますという感じで(笑)。声優さんもぜいたくに出演してくださるので、朗読などの割合も前回よりも多くなっていて、そことオーケストラがミックスされて楽しめる音楽演出になっていると思います。

――前回は映像が控えめでしたが、今回はボリュームが増えそうですね。

 そうだと思いますが、僕はまだ見られていないんです。僕が見ていないだけなのか、できていないのかはわからないんですけど(笑)。おそらく前回よりは、意味合いが大きくなるのではないかと思います。

――もうセットリストは決まっているんでしょうか?

 そこを踏まえて、CDのレコーディングをしています。曲の並びも決まっていて、どこに朗読が入るかもヨコオさんと相談して決めました。

 またヨコオさんが同じことをやるのを望まれていないので、前回と違うことをやりたいねと話しました。選曲も変えていきたいんですが「これは聴きたいだろう」というはずせない曲を残すと、削れる曲は限られるんですよね。それをはずしつつ、どれを入れようとセットリストを作っていきました。今までやったことのない曲も演奏したいと、意図的に入れた曲もあります。

――CDに収録された曲は、コンサートでも演奏されるということでよいでしょうか?

 基本的にはそうですが、早期購入特典のCDに収録されるものはコンサートではやらないです。コンサートでやらないのがもったいないものばかりでした。いい曲が入っているので、みなさんはぜひ早期購入特典CDをゲットして、聴いていただけたらなと思います。

――今回は東京公演のコンサート会場が、東京国際フォーラムという過去最大規模ですよね。

 一番大きいですね。びっくりしています。直前にいうことではないですけど、『NieR』シリーズの規模間は作品の雰囲気的にもっと小さい感じだと考えています。しかしオーケストラを聴くうえでスケール感を楽しんでほしいですし、大人の事情的にたくさんの方に来てもらわないと成り立たないですからね(笑)。

 10周年のお祭りでコンサートというよりも記念イベントとして、華々しく大きな箱を用意してもらったなと思います。

――楽団はCDと同じですか?

 レコーディングと本番ではメンバーは若干違うと思います。

――10周年ということで、岡部さんが思う『NieR』シリーズの魅力を改めて教えてください。

 ゲームをプレイする楽しさが一番だとは思いますが、『NieR』シリーズは映像、世界観、キャラクター、ストーリーを楽しむ側面がほかの作品より多いと思っています。1作目は10年前の作品ですが、ゲーム発売後もファンの皆さんが書籍や音楽で繰り返し楽しんでくれたことが『ニーア オートマタ』につながりました。『ニーア オートマタ』ももう3年、早いですね。この3年も間を空けず、音楽のイベントをやらせていただけました。ゲームから派生したいろいろなメディアを、ファンのみなさんがフォローしてくれたのが、より強い気がします。

――最後にCD発売、そしてコンサートに向けてひとことお願いします。

 CDは先ほども申し上げたように、早期購入特典CDの曲もぜひ聴いていただきたいステキなデキになっています。興味がある方はのちのちではなく、お早めに購入いただくのが理想だなと思います。前回のアルバムを踏まえて原曲に近いオーケストレーションになっていて、けっして焼きまわしではありません。前回を買っていただいた方も、比較して楽しんでいただけるものになっています。

 コンサートについてはCDのものも、そうじゃないものも演奏します。ヨコオさんが満を持して「10周年は俺がやりたいようにやるぞ」と言っているイベントです。オーケストラを楽しむというよりも、『NieR』シリーズの世界観を楽しむ、ファンなら絶対に楽しんでいただける内容になっているので、安心して聴きに来ていただけるとうれしいです。

  • ▲3月25日発売 アルバム NieR Orchestral Arrangement Album Addendum

 シリーズ10周年を記念して新たにオーケストラアレンジされる楽曲を収録したアルバムが登場。『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』『ニーア オートマタ』より厳選された楽曲を収録予定。オーケストラに加え、一部楽曲はエミ・エヴァンスとジュニーク・ニコールによるヴォーカル入り。価格は¥3,500(+税)。

  • ▲早期購入特典:NieR Orchestral Arrangement Album - Addendum Special Disc

 “NieR Orchestral Arrangement Album - Addendum Special Disc”のために新たにアレンジされる楽曲を収録。

収録内容

顕現シタ異物 (J'Nique Nicole Vocals)
Arranged by Sachiko Miyano

穏ヤカナ眠リ
Arranged by Kosuke Yamashita

曖昧ナ希望 (Emi Evans Vocals)
Arranged by Sachiko Miyano

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※特典は数に限りがございます。
※特典の製造予定数に達した場合は終了となります。あらかじめご了承ください。

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