【Fate HF III連載企画】杉山紀彰さんに聞く衛宮士郎という存在

セスタス原川
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 3月28日に公開予定の劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel]III.spring song(以下、Fate HF 第三章または第三章)』のキャストインタビューを連載でお届けします。第1弾は、衛宮士郎役の杉山紀彰さんのインタビューです。

 劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel]』は、ヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』の3つ目のルート“Heaven's Feel(通称・桜ルート)”を全三章で映画化したもので、『Fate HF 第三章』はその締めくくりとなる物語です。

 インタビューでは『Fate HF 第三章』に関するお話をはじめ、杉山さんから見た士郎というキャラクターや“正義の味方”に対する考え方まで、『Fate/stay night』シリーズ全体にまつわるお話をお聞きしました。

『Fate HF 第三章』の注目ポイントは?

――収録を終えた率直な感想をお聞かせください。

杉山さん:まず、感慨深いという気持ちがありますね。元々『Fate/stay night』はTVシリーズの頃から含めると、もう15年近くの長いスパンで関わらせていただいている作品で、その中でも1つのルートを3年かけて演じることは劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel](以下、Heaven's Feel)』が初めてでした。

――『Heaven's Feel』は約3年間かけて、3部作で1つの作品を描きましたが、その間にはどのようなことを感じられましたか?

杉山さん:個人的な感覚では、6クールくらい関わっているのではないかという印象ですね。1つ1つが公開されるごとに舞台挨拶をさせていただいたり、AbemaTVで特番をしたり、本編以外でも様々なイベントに参加させていただきました。改めて振り返ると、3年かけて1つのお話を描くというすごく贅沢なつくりだったと感じています。

――劇場版の収録は、TVシリーズの収録とはどう違うものなのでしょう?

杉山さん:そもそも収録のスパンが異なるので、感じることも違ってきます。TVシリーズはコンスタントに収録を行うため、ご覧になっている方からするとやりやすいと思われるかもしれませんが、週ごとにお話が途切れてしまうので、前の週のテンションと整合性が保てるように注意しなければいけません。

 一方で、劇場版はスパンが空いていますが、ある程度まとめての収録になるので、そちらのほうが心情表現はやりやすかったりします。

――『Heaven's Feel』の収録も、劇場版だからこその部分があったということですね。

杉山さん:『Fate HF 第三章』の収録が始まる時にはすでに前の章は公開されていたので、改めて見直すこともできました。この聖杯戦争は時間軸的にはかなり短い間に起こる物語なので、仮にTVシリーズとして毎週収録をしていると「あれ、このシーンって3週間前と同じ日か!」なんてことにもなるわけです(笑)。そう比べると、劇場版のようにまとまった時間で演じられるほうが役に入り込みやすいですね。

――第三章の見どころはどこでしょうか?

杉山さん:ネタバレにならない範囲でお話しますと、この作品は各ルートにエンディングが用意されていて、その中で残る人たち、去る人たちが出てきます。今回の劇場版で言うと、最後に士郎と桜がどうなるのかが物語の中心です。それだけでなく、『Heaven's Feel』では『Fate/stay night』という物語が何だったのか。聖杯戦争はどういうことだったのか。臓硯や綺礼は何を考えて手を出したり出さなかったりしたのか。第三章はいろいろなことが明かされていく非常に重要なお話です。

――『Heaven's Feel』での士郎と桜の関係性についてコメントしていただけますか?

杉山さん:他のルートでも桜は登場していますが、彼女がどんな境遇で育ち、どんな思いで衛宮邸に来ているのか、という部分まではフォーカスされていませんでした。慎二の妹や後輩の女の子の描かれ方で、ちょっと影を持っている程度のところで終わっていたと思います。

  • ▲『Fate HF 第一章』より。

 それが『Heaven's Feel』ではっきり描かれたことで、士郎も身近な後輩でありかわいそうな境遇の女の子である桜を救わなければならないという形で物語が展開していきます。『Heaven's Feel』は、桜というキャラクターの生い立ちや境遇を一段と深く理解できたお話だと思いますね。

――『Heaven's Feel』はイリヤと士郎の関係性についても描かれていますよね。

杉山さん:イリヤは、『Fate』ルート――いわゆるセイバールート、そして『Unlimited Blade Works(UBW)』ルート――いわゆる凛ルート、さらにTVアニメ『Fate/Zero』のいずれでもキーになるキャラクターです。そんな彼女が、物心がついてからどういう環境でどういう気持ちを抱いてきたという部分は、実は 『UBW』のバーサーカーとの過去を思い出すあたりでしか描かれておらず、切嗣に対してどう思っているのかなどもあまり触れられていません。

 第二章でも切嗣の話が出てくるシーンはありましたが、第三章ではイリヤがどういう考えでどういう決断を下すのか、という部分が作品の大きなキモの部分にも繋がっています。最初にバーサーカーが襲い掛かってくるシーンも、なぜそうしたのかといった行動の理由も、第二章をご覧になればわかるのではないでしょうか。

――士郎とイリヤには切嗣という存在が深く関わってきますが、その関係性についてはいかがでしょう?

杉山さん:実は、士郎と切嗣が縁側で会話をしているシーン以外では、本編で2人のやり取りについては深く言及されていません。それは、切嗣が多くを語らない人間だったことを表しているとも思いますし、それに士郎を巻き込みたくないという気持ちもあったのかもしれません。

――確かに、改めて言われると明確に描かれている場面はありませんでしたね。

杉山さん:切嗣がこれまで正義の味方になるためにどんな決断や行動をしてきたのか、士郎は知らないことも多いと思います。切嗣を知っているセイバーや綺礼とは印象が違うはずですが、視聴者の方もそこは他の作品を見ないとわからない部分でもありますよね。そういう見えない部分をあえてナレーションで伝えたりせず、他の作品を見れば自ずとわかってくるような見せ方がされています。

――同じく第三章で大きくスポットが当たるライダーについてはいかがでしょうか?

杉山さん:ライダーは、今までのお話ではどちらかというと幸の薄いキャラクターでしたよね(笑)。どちらかと言えばやられ役のポジションという印象でした。でも、それが『Heaven's Feel』を見てもらえると、そうなっていた理由はマスターの影響が大きかったことがわかると思います。

 特に、第二章の図書室や路地のシーンは特に露骨でしたよね(笑)。それも、マスターの力量がサーヴァントに影響するという部分を結果で物語っていて、おもしろい表現の仕方だと思いました。第三章ではより重要なキャラクターとして活躍しますし、ライダーと桜との関係性にも注目していただきたいです。

――杉山さんは『Heaven's Feel』の結末を見て、どのような感情を抱きましたか?

杉山さん:『Heaven's Feel』は『Fate/stay night』が元々持っている奥深い部分が一番出るルートですが、単にハッピーなわけではなく、単に悲しさや虚しさだけが残るわけでもなく、複数の感情が入り混じるような最後で、いろいろなことを考えさせられました。それがこのルートの特徴ですね。この物語が3つのルートの最後になることについては、感慨深いものを感じます。

アフレコの様子やエピソードは?

――収録の様子はいかがでしたか?

杉山さん:アニメの収録は基本的にまだ絵のないコンテのような状態のところに声や息を入れる場合が多いのですが、この作品はそれをより丁寧に作ってくださっていています。他の出演者と話していても「すごくお芝居を掴みやすい」という言葉を聞きました。

 別の意味でわかりづらかったのは、戦闘シーンは非常に展開が早いので監督に確認しながら進めました(笑)。逆にお話し――人間ドラマの部分に関しては、特にわからない部分はありませんでした。そういう意味でも、このような整った状態で演じさせていただけることは、すごく恵まれていると思いました。

――そこまで完成に近い状態となると、アドリブなどは少なかったのでしょうか?

杉山さん:本来であればアドリブを入れたほうがいいかなと感じる場面でも、そこで監督の表現したいことがわかる状態だったので、ここは絵の描写で表現するところだろうなと思い、入れる箇所は引き算で考えていました。後から「ここのセリフを追加でほしいです」というディレクションもなく、むしろ「ここもうちょっと減らしてもいいです」みたいなのがあるぐらいでした。それくらい映像が元々持っている情報量がすごいので、やりすぎてしまうと蛇足になってしまうなと感じていましたね。

――ご自身のお芝居を改めて見直すことはありますか?

杉山さん:僕はどちらかと言えば録り終わった後には、視聴者さんと同じ客観的な目線で見ることが多いのですが、効果音や音楽のところにアドリブを入れても聞こえづらいのかな、など、仕事目線で実際にどうなっていたのか見ることはありますね。

――仕事目線で……とのことですが、『Heaven's Feel』全体で言うと特にどのシーンを見直したのでしょうか?

杉山さん:第二章でセイバーオルタとバーサーカーが戦っているシーンで、その余波で士郎が吹っ飛ばされそうになるシーンがあります。そこで叫び声のアドリブを入れたところがあり、収録のあとに「効果音が大きいから声は聞こえないかな? どうなっているかな?」と思っていたんです。

 その後、いざ完成したものを見たら当然聞こえなくて(笑)。でも「あ、これは聞こえなくて正解だ!」と思いましたね。嵐のようにものすごい音が鳴り響いている時に、人の声が聞こえる訳ないですから。よく聞いてみるとうっすら声が入っているはずですので、ぜひみなさん聞き直してみてください(笑)。

――そう言われると気になりますね(笑)。Blu-rayやDVDも発売中ですので、気になった読者の皆さまはぜひ。

杉山さん:このことは、収録していた時から想像できていたことではあるんです。でも僕が「ここをやり直したいです」とお願いして派手にアドリブを入れてしまうと、それはまた作品としておかしなことになってしまいますからね。基本的には信じてお任せすることにしているのですが、ここではそれが正解でした(笑)。

――収録の際、他の出演者の様子はいかがでしたか?

杉山さん:やはり、キャストのみなさんはこの作品に関わってきて長いので「役に関してはもう大丈夫ですよね」という状態から始まりました。収録をはじめるとやっぱりその通りで、解釈のギャップをすり合わせるための話し合いは少しありましたが、それ以外は演技面というよりほとんど技術的な問題でのディレクションしかありませんでした。

――収録を終えて、他の出演者とお話はされましたか?

杉山さん:収録を終えた時には、他の出演者から「終わっちゃって寂しいねー」という声も上がったりしました。『Heaven's Feel』はひと段落しましたが、皆さんまだまだこれからという意気込みでした

杉山さんから見た衛宮士郎というキャラクター

――杉山さんは士郎の好きなところを挙げるならどこでしょうか?

杉山さん:打算や損得ではなく、何が正しくて自分はどうしたいのかという価値観と正義感を持っていて、軸がしっかりしているところですね。頑固と言えば頑固な性格なのかもしれませんが、それは確固たる信念や正義感を持っていて、それを譲れない、譲らなくていいと信じているということなんですよね。

――そういった士郎の気持ちを、杉山さん自身は理解できましたか?

杉山さん:最初は、士郎が他のキャラクターからも“何を考えているのかわからない朴念仁”的な表現がされていることが多かったと思います。クールな“ポーカーフェイス”ではなく、素の状態で感情が表に出づらいというキャラクターだったので、ゲームのモノローグで書かれているようなことを心情としてひとつひとつ理解していくことに時間がかかりました。

 でも、士郎が考えている正義感は理解できました。人によってはすごく不器用と感じる人もいるかもしれませんが、僕はありだと思います。むしろ、彼のような人間でありたいなと思うことも多いです。

――理解できるようになったのは、士郎を演じ続けてきたからこそでしょうか?

杉山さん:いろいろな作品で演じさせていただいて「士郎だったらこう考えるだろうな」ということがスッとわかるようになってきました。これまで演じてきた作品を通して、僕自身が士郎に対しての理解が深まっているのかなと感じています。

――杉山さんが“正義の味方”と聞いてイメージするものと、士郎の“正義の味方”と重なる部分はありますか?

杉山さん:正義ってすごく漠然としていて、主観がどこにあるかによって見え方が大きく変わるものだと思います。その中で僕が“正義の味方”と思う人物は、周りから理解されなかったとしても、正しいと思えることを発言したり行動したり、自分の名声や自己満足のためではなく、人の評価に頼らず行動したり実行できる人なのかなと思います。

――これは『Fate/stay night』の1つのテーマでもありますよね。

杉山さん:「正義ってなんだろう?」ということですよね。自分にとっての正義も相手にとっては悪という考え方も出来ますし、正義とされるものにはいろいろな条件があると思います。ただ、その1つ1つをしっかり見ていくと、前提とされる考え方などに関しては、僕は士郎の考えていることに共感できますね。

――士郎のセリフは、同じセリフでも作品ごとにニュアンスが違うこともありましたよね。

杉山さん:そうですね。ギルガメッシュに「いくぞ英雄王。武器の貯蔵は充分か」と士郎が言うシーンは、作品によってディレクションが違っていて、「あんまり張らないでください」と言われることもあれば、『UBW』の劇場版のように「張ってください」という指示をいただくこともありました。元々がノベルゲームなので、読んだ方によって印象が全然違うセリフですからね。それを熱い想いを持ったユーザーさんたちからは「あれは熱く言うべきだろ!」「いや、静かに言ったほうがカッコいいだろ!」というせめぎ合いもあったり(笑)。

ビジュアルノベル原作ならでは表現をアニメでも

――ビジュアルノベル、いわゆるノベルゲームが原作という部分も『Fate/stay night』の特徴的な部分ですよね。

杉山さん:基本的には、劇場版も元々ゲームで描かれていたシナリオや表現がベースになっています。ただ、ゲームではモノローグとして書かれていて言葉を発しない箇所も多くあり、アニメーションではすべてを読んではいません。プレイヤーさんが主体的に時間を進めるゲームと、1つの時間軸が流れていく映画ではスタイルの違いも大きいです。そんな中で監督は、ノベルゲームをプレイした時に感じた印象を映像のタイムラインに落とし込むにはどうしたらいいのか、という部分をものすごく考えられてるなと思いました。

――作中ではキャラクターの心情をセリフ以外で表現する部分も多かったかと思います。

杉山さん:一字一句すべてをキャラクターに言わせたらいいかというと、そういうわけでもありませんからね。アニメでは、会話の間、キャラクターの仕草や表情の変化など、モノローグで語られていたものの違和感を出さずにどのように映像表現に落とし込むかという部分が特に考慮されているなと感じました。そこは、ノベルゲームとアニメーションの大きく違うところだと思います。

――原作をプレイしているファンの方は、そういった演出に注目しても楽しめそうですね。

杉山さん:ユーザーさんの中にも、ノベルゲームとしての『Fate/stay night』が好きで読んでくださる方もいれば、作品は好きだけど長い文章を読むのは苦手という方もいらっしゃると思います。そういったいろいろな方に楽しんでもらえるように、今回の劇場版では、特にモノローグなどの行間に込められていたものを映像や表情で感じてもらえるような構成になっていますので、ぜひそこにも注目していただければと思います。

――他の作品との繋がりも『Fate/stay night』のおもしろさのポイントだと思います。

杉山さん:作品自体の情報量がすさまじいですからね。それをできるだけ伝えるためにも、今回は士郎とセイバーが初めて会うシーンはダイジェスト風にまとめられていました。共通ルートというものはゲーム特有の表現ですが、それを映像で繰り返すと「あれ、これ見たけど」となってしまうのは当然ですよね。

――劇場版を見るに際して「この作品は見ておいたほうがいい!」などはありますか?

杉山さん:『Heaven's Feel』を隅から隅まで楽しんでもらうためには、もちろんセイバールートや凛ルートも見ていただいたほうが間違いなく楽しめますが、この劇場版だけ見ても物語は理解できるようになっています。何をどこまで見ているかによって、『Heaven's Feel』を見た時に受ける印象が全然違うとは思います。

――『Heaven's Feel』をきっかけに『Fate』シリーズに入っていくという人もいるはずですよね。

杉山さん:他の作品をまだ見ていない方は「その間に何があったのか気になる」というきっかけで『UBW』などに入ってもらってもいいのかなと。そうすることで「これってそういう意味だったのか!」と、本当にいろいろなことに気が付けると思います。

士郎の“あのセリフ”の真相は?

――今後の『Fate』の展開として、ご自身の中に「これをやりたい!」という希望などはありますか?

杉山さん:『Fate/stay night』の作品、スピンオフ作品など、どんな形でも機会があればまた演じさせていただけたらと思います。一介の役者である僕がこんなことを言うのも恐縮なお話ではありますが……(笑)。

――『衛宮さんちの今日のごはん』のような雰囲気の作品はいかがでしょうか?

杉山さん:『衛宮さんちの今日のごはん』は、『Fate/stay night』のメインのお話とは別に、それはそれでライフワークとしてできたら嬉しいですね。もしそれが叶ったら、あの優しい世界しか知らないような世代の人も出てきたりして(笑)。「あれ『Fate』って料理アニメじゃなかったの?」なんて話がでたらおもしろいですよね。

――シリーズ全体を振り返って、一番印象に残っているシーンはどこでしょうか?

杉山さん:特に印象に残っているシーンは、やはりセイバーと土蔵の中で出会う場面でしょうか。すべての物語の基盤になっている部分でもありますから。

――ファンもあのシーンのセイバーのセリフは耳に刻み込まれていると思います。

杉山さん:川澄さんとも以前それに関するお話をしましたね。この作品は本編以外にも派生物を録る機会が多いのですが、その時に「川澄さん、これまでに“貴方が私のマスターか?”って何回ぐらい言いました?」という話をしました(笑)。

――コラボなどでも多く登場するセリフですよね。

杉山さん:本編ではほとんど言っていないのに、派生物を含めるとすさまじい数を言っているとのことで。この前のコラボでは「あなたがなか卯のマスターか?」っていうセリフもありましたから(笑)。それだけ『Fate』という作品を象徴するキーワードのようなセリフということなのでしょうね。

――士郎の印象的なセリフはありますか?

杉山さん:僕の印象と言うよりも、士郎は「なんでさ?」っていうセリフが印象に残っていると周りの方によく言われます。実は、あれも本編でほとんど言っていないセリフで、どちらかと言うとギャグシーンっぽいところで使われていると思います。だから『UBW』の頃までいろいろな方から「なんでさ?」についてお話を聞いていたのですが「“なんでさ?”ってそんなに言ってたかな……?」と思っていました(笑)。

『Fate HF』は見る人によって印象もさまざま

――第三章の公開も目前ですが、期待されているファンのみなさんにメッセージをお願いしてよろしいでしょうか?

杉山さん:3つのルートの最後。そして『Heaven's Feel』の最終章ということで、聖杯戦争とは何なのか、そもそも『Fate/stay night』とは何なのか、その世界観を取り巻くキャラクターたちが何を考えてきたのか、そのすべて明らかになる作品です。

 ufotableさんが作り出す映像は『UBW』の時もそうですが、「えっ、これって劇場版じゃないの?」と思うくらいハイクオリティですし、第一章から第二章でもバーサーカーの描かれ方にも変化が見られて、『Heaven's Feel』の間にもさらにレベルアップされてるんですよね。第三章はさらにそれを超えてくるような素晴らしい作品が見られると思いますので、ぜひ劇場で堪能していただきたいです。

――結末を見たファンの方々がどんな感想を抱くのか気になりますよね。

杉山さん:第三章は、見る人が持っている情報量に応じていろいろな部分が見えてくると思います。見終えたあと後には、みなさんの心の中にもまた違った感情が残ると思うので、それをまた他の方と話し合ったりしてもらって、我々もイベントなどで皆さんとお話したりできる機会があれば嬉しいですね。みなさんも、一緒に見に行った方と感じたことについて話し合ってみると、より作品を楽しめるのではないかと思います。

――最後に、ここまでともに歩んできた士郎に対しても、ひと言メッセージをお願いします。

杉山さん:そうですね……。第三章の中で凛のとあるセリフがありまして、そこで言ったセリフが僕も士郎にかけてあげたい言葉です。それが果たしてどんなセリフなのかは……ぜひ劇場で確かめていただければと思います。

――ありがとうございました!

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]III.spring song』作品概要

公開日
2020年3月28日

メインスタッフ(敬称略)
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
主題歌:Aimer
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス

メインキャスト(敬称略)
衛宮士郎:杉山紀彰
間桐桜:下屋則子
間桐慎二:神谷浩史
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
ギルガメッシュ:関智一
ライダー:浅川悠
アーチャー:諏訪部順一
真アサシン:稲田徹

(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

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  • 発売日:2019年8月21日
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