『バイオハザード RE:3』でアプローチできた要素とは!? ネメシスや『レジスタンス』新マスターにも迫る

kbj
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※『バイオハザード RE:3 Z Version』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。

 カプコンから、4月3日に発売されるPS4/Xbox One/PC(Steam)用ソフト『バイオハザード RE:3』。本作の開発者インタビューを掲載します。

 『バイオハザード RE:3』には、累計販売本数350万本を記録した『バイオハザード3 ラストエスケープ』を“RE ENGINE”を使用して最新の技術とアイデアでリメイクしたキャンペーンモードと、非対称対戦サバイバルホラー『バイオハザード レジスタンス』の2本を収録。“ラクーンシティ”と“脱出”をテーマにした2作のコンピレーションタイトルとなっています。

 プロデューサーの川田将央さん、ピーター・ファビアノさんに加えて、本作でディレクターを務めた株式会社レッドワークスの代表、坂田聖彦さんにインタビューを行いました。両タイトルのコンセプトやオリジナル要素、開発中のこだわりなどさまざまなことをお聞きしています。

  • ▲左から川田さん、坂田さん、ピートさん。

 なお、インタビュー中は敬称略。

当時やれなかったことをやり切れた『RE:3』の開発

――まず、『バイオハザード RE:3』(以下『RE:3』)のテーマやコンセプトをお話ください。

川田:オリジナル版『バイオハザード3』には“ラストエスケープ”というサブタイトルがついていました。今回我々は“脱出すること”をコンセプトに、オンラインとオフラインのタイトルを開発しました。そのため、『レジスタンス』では密閉空間から脱出するサバイバーと、それを阻止するマスターマインドを描いています。同様に『RE:3』ではバイオハザードが発生した街“ラクーンシティ”からの脱出を描いています。

――『バイオハザード3』を作り直すと聞いた、最初の印象はいかがでしたか?

坂田:第1作『バイオハザード』(以下『バイオ1』)と『バイオハザード2』(以下『バイオ2』)では「怖くておもしろいが“難しい”」という意見がありました。より多くの方にプレイしてもらいたいので、オリジナル版『バイオハザード3』ではプレイアビリティをあげたり、アクション性を強めたりと、いろいろなチャレンジをしたタイトルです。

 また、オリジナル版はシリーズの中でも開発期間が短かかったタイトルです。『バイオ1』と『バイオ2』は主人公が2人づついましたが、『3』では開発期間を考えて1人になりました。ナンバリング作なのでプレイボリュームを確保する必要があったのですが、開発期間は少ない……やりたいことはいろいろあったのですが、それをグッと押し込んで作ったタイトルでした。

 そのため、「もっとやれた!」という気持ちが自分の中にずっとありました。今回この話をいただき、『バイオハザード3』を再度作り直せることは僕にとって朗報、チャンスだと思って、やらせていただきました。

――『RE:3』はどのような体制で開発が行われたのでしょうか。

川田:今回、『RE:3』については株式会社エムツーさん主幹でマネージメントをお願いしています。合わせて坂田さんのレッドワークスさんにもお声がけさせていただきました。他にも、オリジナル版を開発していた、さまざまなメンバーに参加していただいていますし、弊社子会社の株式会社ケーツーもグラフィック回りで参加しています。

坂田:『RE:3』は『バイオハザード RE:2』が出てから1年後に発売されるということで、いろいろな人から「開発期間が短そうだけどしっかり作れるの?」と聞かれました。

 いろいろな会社が参加しているのですが、一番大きなところでは、カプコンさんのさまざまなタイトルを作ってきたケーツーさんにご参加いただいたこと。ケーツーさんは、“RE ENGINE”を使ったワークフローへの習熟度があり、クオリティラインの高さ、制作スピードの速さを保つことができ、とても頼りになりました。

 これまでさまざまなタイトルを作ってきましたが、本作ほどゲーム作りに集中できたタイトルは過去にありません。オリジナル版で元々やりたかったことをどのようにして組み込むのかを僕の中で消化できたので、素晴らしい環境で仕事させていただいたと感じています。

――具体的にオリジナル版でやれなかったことは、どういった部分になるのでしょう。

坂田:『バイオ1』、『バイオ2』ではいわゆるラジコン操作が遊びにくいという意見がありました。操作しやすくさせるために、画面に対して前後左右の入力で動けるような操作形態も試したのですが、結局ナンバリング作品の流れの中で急に操作を変更するのは適さないと判断して、中止になりました。

 他には密閉空間での恐怖ではなく、開けた場所での恐怖を描くことにも挑戦しました。災害が起こっている街から脱出するため、刻々と変わっていく街の様相や大量のゾンビを表現したかったのですが、当時のハードスペックや開発期間などからやりきれなかった部分でもあります。

 本作ではそういうところにアプローチできて、僕の想像していた『バイオハザード3』を作れました。

――オリジナル版は通路や裏路地が多かったという印象でしたが、『RE:3』では街中を走っていると強く感じました。また、煌びやかなネオンやポスターなどのグラフィックも印象的でしたね。


坂田:オリジナル版でもある程度はできているのですが、“街らしさ”をしっかり表現することで喧騒やパニックになっている様子がわかるのです。そこから室内に入ると静かで何かいるような緊張感がある……静と動のメリハリはオリジナル版『3』で目指していた恐怖体験になるのです。そこはしっかり描けていると思います。

――遊んでいて、いろいろなところがオリジナル版と大きく変わっていると感じました。

坂田:そうですね。精神性やストーリーのベースの部分はオリジナル版を踏襲しています。ただ、リメイクするにあたって、どのようなストーリーやゲームのテンポ感を体験してもらうのがいいのかを考え、ゲームデザインをイチから組み直しています。

 ストーリーで変わっているところは多岐に渡ります。ステージについても「現在の技術で、ダウンタウンを作るのであればこうなる」というようにデザインし直しているのです。


川田:アプローチについては2019年に発売された『RE:2』とも違う形になっています。『RE:2』と比べて、より強くアレンジを行っているので、新鮮なゲーム体験を用意できたのではないかと。

――キャラデザインも大きくアレンジされています。こちらについてお話いただけますか。

坂田:『バイオハザード3』のジルはチューブトップでミニスカートという大胆なコスチュームです。セクシーな女性を描きたいという狙いがあったのですが、当時のポリゴン数だと突き抜けたデザインでないと、伝わらないということで、あのようなモデルになった経緯があります。

 現在のフォトリアルな背景に、オリジナル版コスチュームのジルを配置するとやはり不自然になるんです。そもそものビジュアルが浮きますし、さらに「それで転がったら、膝とか擦りむくでしょ!?」って。

(一同笑)

坂田:ゲームに落とし込んだ時に、違和感のない衣装を目指して考えました。そのうえでプレイしていただくと「ちゃんとジルだ!」と感じていただけるキャラになっているかと。

川田:とはいえ、当時のコスチュームが好きな方もいらっしゃると思うので、数量限定特典の“クラシックコスチュームパック”としてオリジナル版の衣装を用意しています。

坂田:個人的にオススメしているのは本作の標準コスチュームです。

ピート:僕も本作のコスチュームは好きですね! リアルなのですが、セクシーさや強さがあって。

――その一方でカルロスがかなりカッコよくなっていることに驚きました。

坂田:オリジナル版のカルロスは若くて頼りにならない部分があって、ジルが強いから怒られてしまう。本作でジルは、大変な目に遭いつつ、頑張って脱出することになります。カルロスには孤立無援の状態で唯一の頼れるパートナーとして存在してほしかったので、頼りがいのあるビジュアルにしています。

 オリジナル版のカルロスが好きだった人は違和感があるかもしれないのですが、自信があるのでこちらのデザインを採用させていただきました。

――ネメシスについては、『RE:2』のタイラントとは違う方向で恐怖を感じました。

坂田:そこは強く意識したところです。そもそもオリジナル版『バイオ2』のタイラントは『RE:2』のタイラントほど追跡してこないんですよ。『RE:2』のタイラントを見た時に、「これ、ネメシスやん!」ってなりました。

(一同笑)

坂田:タイラントをより怖い存在にするためにあのような選択をとるのは当然ではあるのですが、「何してくれてんねん!(笑)」と。

 もしネメシスがタイラントと同じようだったら、『RE:2』を遊んだユーザーは驚きません。タイラントの印象を上回る必要があるため、機動力や武器の仕様、デザインを含めて、“より怖い存在”を目指して作りました。結果的には高いハードルを越えることができてよかったと感じています。

――そのうえで、倒すとアイテムが手に入り、オリジナルらしさを感じられてうれしくなりました。

坂田:オリジナル版を遊んでいる方に「これだよね!」と感じてもらえるポイントになってほしかったので、用意しています。他にもあるので、楽しんでください。

“ステップ”によってアクションの幅ができる

――ステップが入ることで、アクションが進化しています。ギリギリで避けることで緊急回避になり、そこから攻撃できる。狙いすぎるとダメージを受けてしまうのですが、行動の幅が広がっていると感じました。

坂田:ステップを含めたアクションを使わないと進めないわけではありません。普通にプレイしてもクリアできるのですが、「もっとアクションに寄ったプレイをしたい」というプレイヤーに向けて、幅の広さを用意しました。

――緊急回避後に攻撃をするとどのような効果があるのでしょうか?

坂田:詳細な説明は避けますが、クリティカル率が上がるなどかなり有利な状態になります。ひきつけると、攻撃を受けてしまうリスクがあるのですが、リターンもあってカッコいいので、プレイに慣れてきたら狙ってみてください。

――『RE:2』と違ってナイフに耐久値がないので、ナイフクリアも狙いやすいのではないでしょうか。

坂田:『RE:2』には『RE:2』の理由があって、あのような仕様になっているのですが、リソースマネージメントのゲームで無限に使える武器がまったくないと、詰んでしまう可能性がある……個人的にそれはきついと感じたので、今回はこのようにさせていただきました。

――ライブセレクションを採用されなかった理由を教えてください。

坂田:そもそも、オリジナル版にあのシステムを入れた理由は、先ほどもお話した主人公が1人ということが関係します。1人分ですのでストーリーのボリューム的に主人公が2人の『バイオ2』より少なくなっているのですが、開発者としては「少なくなってゴメン」とはしたくなかった。そのような中で、どうすればプレイフィールをあがるのか、満足してもらえるのかを考えた末の要素の1つがライブセレクションでした。

 リメイクするにあたってライブセレクションを入れるか、考えました。

 繰り返し遊べる要素は『RE:3』にも入れています。ただ、どこまで要素を用意しても、オンライン対戦のリプレイバリューには叶わないんです。そのため、繰り返し遊ぶ満足感については、同時に作っている『レジスタンス』に任せました。

――役割をわけたと。

坂田:我々は『RE:3』のキャンペーンのプレイを始めて、エンディングを見るまでの満足感を最大にするために全力を尽くすことにしました。

 ライブセレクションは物語を分岐させて作っていくので何回も楽しめるのですが、どうしても物語のリソースが散ってしまいます。エンディングまで行った時の1回のボリュームが減るのであれば、今回はライブセレクションをなくして全体の密度を上げるチョイスにしました。

――作り直されたハンターγやドレインディモスは、グラフィックが向上したことで生っぽいというか、グロテスクさが大幅に増して、鳥肌が立ちそうでした。

坂田:オリジナル版のスペックでは表現できなかったところに、今回はチャレンジしています。それによって思わず身震いしてしまうような質感を出せていると思います。

――開発内部で、グラフィックや表現に意見はありませんでしたか?

川田:体内に幼体を植え付けられる描写はやりすぎかな……とも感じました。

(一同笑)

坂田:あれはぜひ植え付けたかったのです(笑)。マジメに話すと、poison(毒)ではない状態異常が欲しかったうえに、ジルが虫を吐くところを僕が描きたかったという2つの理由があります。

 ……別に変態的な意味ではなく、今回はジルにとにかくひどい目にあってほしかったのです。ヒーローではなく、1人の人間としてゾンビ災害の中を生き抜いて、脱出する物語を描きたくて、カッコよさではなく、泥臭さを出したかった。そのため、いろいろな困難に打ち勝ってもらいたくて、あのシーンを入れています。

――ゾンビに襲われ、虫をしのいでドロドロの下水道に行きますからね。

坂田:おそらく服はものすごい臭いでしょうね。作中で「捨てなきゃ」と言っていますし。

――想い入れのあるキャラは誰でしょう?

川田:僕はネメシスです。シリーズ全体を見ても、これだけ人気のある敵キャラはいないですし、見た目ですぐに『バイオハザード3』だとわかるアイコンに我々も助けられています。

坂田:ネメシスを含め、主要キャラは皆好きですが、ハンターγが好きですね。手がなく、口だけという未完成な見た目がカワイらしいじゃないですか。そのまま動いてきて、「なんだろう?」と思ったら口がバクッと開く風貌……好きなデザインですね。

川田:実験で失敗して廃棄処分されたハンターを、下水道で研究員が勝手に飼っていたという設定です。

ピート:ネメシスも好きですが、僕はジルとカルロスの関係性です。いろいろなシーンが描かれていますし、本作では2人の性格も描かれていきます。見た目を含めて好きですね。

『バイオハザード レジスタンス』の魅力はサバイバーとマスターマインドで異なるプレイ感

――改めて『バイオハザード レジスタンス』が企画された経緯と、コンセプトについて教えてください。

川田:先ほども軽く言いましたが、当初からオフラインとオンライン、2つのタイトルを開発していくコンセプトがありました。オンラインについては、“わかりやすい『バイオハザード』”ではなく何らかの新しいシステムを組み込みたかったんです。

 その中で、脱出する側、阻止する側という図式でゲーム作りができて、B.O.W(Bio Organic Weaponの略称で、ハンターなどの生命体兵器)を配置していく新たなオンラインゲームをアプローチしていけると考えました。結果として、初期の構想のまま製品化できました。

 台湾にある開発会社のNeoBards(ネオバーズ)さんに大々的に協力いただき、達成できているのではないでしょうか。

――非対称での対戦方式やルールなどは、どのように練られていったのでしょうか?

ピート:開発初期から“非対称でのオンラインプレイ”や“マスターマインドとサバイバーの戦い”というコンセプトはありました。プロトタイプができた時点から手ごたえはかなりあったので、そこをいかに煮詰めて実証していくのか、スケールアップさせていくのかが課題でしたね。

――時間の奪いあいがポイントになっていますが、そこのバランスなどは作っていく中で調整されたのでしょうか?

ピート:初期のコンセプトに「ワンプレイをそこまで長くしない」というのがありました。時間を奪いあうシステムもそこから固まっていきました。あとはプレイして、満足感を担保しつつ、だれない時間を考えました。

――東京ゲームショウやクローズドベータテストでプレイした人から、気になる意見はありましたか?

ピート:最初のタイミングだと厳しい意見が多いと思っていたのですが、期待していただいている意見が想定以上に多かったです。細かいところではUI周りやプレイ時間についてご意見をいただき、調整しています。

――チュートリアルがわかりやすくなったり、トレーニングが加わったりしたことで、より遊びやすくなったと感じました。

川田:かなりユーザーフレンドリーになっていますし、トレーニングがしっかりあるので「1人でも遊べます」と書いてもいいかとまで思っています。

――マスターマインドのプレイは、デッキからクリーチャーやトラップを出していくのが特徴ですが、どちらから発想を得たのでしょうか?

ピート:あれも初期から決まっていました。カードから選んで使っていくことで、制限を設けつつ、選ぶ判断力が問われる……そのバランスが特徴になっています。

 アネットであれば“G-バーキン”を専用のカードとして使えるのですが、その切り札をいつ使うのか、そしてためるまでどのように凌いでいくのかが、マスターマインドのポイントですね。

――新たにマスターマインドとして2キャラが公開されました。オズウェル・E・スペンサーの参戦は想像できませんでした。

川田:確かにスペンサーがゲーム内で描かれたのは『バイオハザード5』のみですが、物語の諸悪の根源なので、我々としてはそこまで抵抗はなかったです。アレックス・ウェスカーは『バイオハザード リベレーションズ2』のみに登場しているキャラですが、とても魅力的だったのでどこかで出したいと思っていました。

 確かコンセプトの段階から、マスターマインドのイメージはアレックスになっていました。

――確かに『リベレーションズ2』でやっていた実験は、『レジスタンス』に近いですね。サバイバーにも新たに2キャラが追加されていました。当初からこの6人が決まっていたということですが、役割を考えた数になっているのでしょうか?

ピート:6人全員がいるとすごく楽に進めるのですが、その中から4人を選ぶ必要があります。どうやって乗り越えるのかがおもしろみになっています。

 遊ばれた方からは「マスターマインドのトラップが鬱陶しい!」という意見がありましたが、マーティンがいれば対応できますし、彼自身が罠を張ることもできる。とても心強いのですが、4枠を1つ埋めるため、もっと使いたいキャラを落とす可能性もあります。

 自分のプレイスタイルにあわせて選ぶのか、他の人のキャラとの兼ね合いで選ぶのかもポイントになると感じています。

――プレイしていくとスキルレベルなどが上がるのでより選びたくなるのですが、他の人のプレイを見ると別のキャラもおもしろそうに感じて、選びたくなりました。

ピート:満遍なくキャラを遊んでいただき、全体を把握したほうが、おもしろさをより感じられると思っています。ぜひいろいろと試してください。

川田:そのうえで、サバイバーだけでなくマスターマインドもあるので、立場を変えてもプレイしてほしいですね。

――『レジスタンス』のプレイに追加料金はかかるのでしょうか?

川田:マッチングが必要なので、PlayStation PlusやXbox Live Goldへの加入は必要です。内容についてはパッケージングされているので、その他の要素に追加料金は必要ありません。ただ、より早くレベルアップしたい人に向けて、ブースト効果のあるアイテムをダウンロードコンテンツで用意しようと考えています。

ピート:ゲームを購入することでキャンペーンモードの『RE:3』とオンライン対戦の『レジスタンス』、どちらも選べるようになります。

――今後のアップデートでマップやキャラクターなどが増える可能性はありますか?

川田:アップデートを行う予定ですが、まだ詳細は検討中です。

2つのゲームを楽しめるパッケージ

――『RE:3』と『レジスタンス』、どちらから遊んでほしいですか?

ピート:難しい質問ですね、好みによると思います。ハンバーガーとポテトのセットを買った時に、どちらから食べるのかはその人次第というくらいに。

(一同笑)

川田:オンラインでの対戦が好きな人は『レジスタンス』、ストーリーが好きな人は『RE:3』のキャンペーンからやってください。

坂田:息抜きにもう片方をやってみるでもいいと個人的には思っています。もう片方のタイトルをプレイした際に、それぞれのよさを感じてもらえたらしめたものかなと。

――本作を作られているうえで、特にこだわったところはどこになりますか?

坂田:『RE:3』については、オリジナル版があってのリメイク版。また、『バイオハザード』のフォーマットがあるので、そこを逸脱しないようにしつつ、いろいろなシリーズ作品をプレイしてきたプレイヤーが新鮮な驚きを感じてもらえるギリギリのラインを目指すことを意識しました。

 『バイオハザード』はホラーゲームなので、アクションの味付けにも適したテイストがある。アクション性を高めるあまり、『デビル メイ クライ』になってはいけないわけです。そういったバランスの取り方には気を使いました。

ピート:『RE:3』はリメイクなのでオリジナルのテイストを守りつつ、新鮮さを入れる必要がありました。オンラインでプレイする『レジスタンス』では新たなチャレンジをしています。サバイバルホラーらしさを込めつつ、どのようにおもしろさ、驚きを込められるのか、意識しました。

川田:『レジスタンス』はキャラの特性がしっかりしているので、そこが出てほしいと考えました。結果として、遊んだプレイヤーのスタイルによる違いがかなり出るようになりました。

 『RE:3』であればジルという人気キャラがしっかり輝く……というとおかしいのですが。

坂田:そうですね。ドロドロになるので(笑)。

川田:しっかりとスポットが当たることは重要だと思っています。周回で楽しめる要素も仕込んでいるので何度も遊んでほしいです。

――地下鉄のポスターや店の内装が作り込まれていて、1回目では気づかない要素やネタがありそうだと感じました。

川田:はい。部屋の中にも入っていけるので、いろいろと探索してほしいです。

――『RE:2』は世界的に評価されました。『RE:3』を作るに際して、プレッシャーがあったのでは?

坂田:当然ありました(笑)。『RE:2』は正統な『バイオハザード』のタイトルという出来であるうえに、「これぞ、サバイバルホラー」というゲーム内容でした。オリジナル版の『バイオ3』はアクション要素を増やして、ゲームシステムを含めて、その先の『バイオハザード4』などにつながっていく立ち位置のタイトルです。

 そういった精神性があったため、『RE:2』をそのまま持ってきて、レベルデザインだけ変えても『RE:2』にはかないません。『RE:3』ならではの怖さ、おもしろさに特化して作るようにしました。

川田:『バイオハザード7 レジデント イービル』、『RE:2』があったうえで、『RE:3』を担当することになりました。状況を見ていくと、シリーズへのファンの信頼、期待感があがっていると感じたので、このタイトルでその信頼を落としてはいけないわけです。

 今回、参加していただいている方々はオリジナル版にも携わっていて、タイトルへの愛着がある方ばかり。他のメンバーを含めて、ゲームデザインについてこちらが厳しいオーダーをしても前向きにとらえてくれました。非常にいい関係で開発できたと感じています。

 プレッシャーはもちろんあったのですが、『RE:3』というタイトルができてよかったという安堵が今は強いですね。

ピート:そうですね。ファンの期待を裏切ってはいけないとは感じました。だからこそ、スタッフがいいものを作ろうと同じ方向を向いて作れたと感じています。

――最後に記事をご覧の読者へメッセージをお願いします。

川田:今回『バイオハザード RE:3』というパッケージの中に、『RE:3』と『レジスタンス』の2タイトルがパッケージされています。想定していた以上に開発は順調に進み、できあがったものは恥ずかしくない内容に仕上がっているので、どちらも遊んでいただき、楽しんでいただきたいです。

坂田:『RE:3』に興味を持たれている方は、『RE:2』を遊ばれた方が多いと思います。『RE:2』の操作感を踏襲しつつ、新しい体験を感じてもらえるように作られています。オリジナル版『3』が好きだった方が遊んだ時には、当時のよさだけでなく、変わったところを感じてもらえるかと。どちらのプレイヤーにも満足してもらえると自信を持っているので、ぜひプレイしてください。

ピート:1つのパッケージに、おもしろい2つのコンテンツを含んでいます。『レジスタンス』では新しいタイプの非対称型オンライン対戦ゲームができ、『RE:3』では物語やアクションをしっかり楽しめるので、ぜひ遊んでみてください。できれば予約してもらえるとうれしいです。

(C)CAPCOM CO., LTD. 1999, 2020 ALL RIGHTS RESERVED.

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