【Fate HF III連載企画】言峰綺礼、ついに動く――中田譲治さんの注目は“表情の違い”

セスタス原川
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 8月15日に公開予定の劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel]III.spring song(以下、Fate HF 第三章、または第三章)』のキャストインタビュー。第4弾は、言峰綺礼を演じる中田譲治さんのインタビューをお届けします。

 劇場版『Fate/stay night[Heaven's Feel]』は、ヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』の3つ目のルート“Heaven's Feel(通称・桜ルート)”を全三章で映画化したもので、『Fate HF 第三章』はその締めくくりとなる物語です。

 中田さんのインタビューでは、『Fate HF 第三章』における綺礼の注目ポイントから、あの独特なトーンのセリフに声を乗せる際に意識したこと、15年という時間の中で感じた『Fate』シリーズと綺礼に対する想いなどを語っていただきました。

劇場版制作は、中田さんにとっても驚きだった?

――収録を終えた感想はいかがでしょうか?

中田さん:劇場版もついに第三章まできて「ついに『Heaven's Feel』も終わるのかぁ」という何とも言えない気持ちです。

――終わってしまうことに対しての寂しさもありますか?

中田さん:15年関わってきた『Fate/stay night』が一区切りを迎えるということで、寂しさも少しだけありますね。ファンのみなさんも「絶対見に行くぞ~!」と「終わっちゃうのか~」という2つの気持ちなのではないでしょうか。

――『Heaven's Feel』の劇場版が発表された時の感想を教えてください。

中田さん:これまで映像化されてきたルートを見たファンの方々の反響を見ていると、いずれ『Heaven's Feel』もやるのではないかとは思っていました。ただ、TVシリーズでは難しそうと思っていたんですよ。それが『Fate』シリーズ10周年のタイミングに劇場版で『Heaven's Feel』をやると発表されて「これはすごいことになったぞ……!」という驚きを感じました。

 加えて、そもそも『Heaven's Feel』という物語をファンの方にお届けできること自体がありがたいことですよね。第三章で物語は完結しますが、僕としても「ここまでやってこそ『Fate/stay night』だろう」という気持ちもありますので、何より多くの方に見ていただきたいです。

――TVシリーズと劇場版に大きな違いはありましたか?

中田さん:一般的に考えると、TVシリーズで毎週見られる、話数が多ければ半年ごとになるなどの方法もありますが、何にせよ待ってくれているファンのみなさんのためにも高いクオリティの作品を届けすることがもっとも大切だと思っています。そこで劇場3部作という枠組みが決まったのであれば、その期間が1年だろうと2年だろうと、我々のやることは変わりません。

――ufotableが手掛けた作品に対しての印象はどのようなものでしたか?

中田さん:『Fate/stay night』より前に関わらせていただいた『空の境界』の劇場版を初めて見た時には、いい意味でショックを受けました。最初は映像化されることに対しての不安を抱いていましたが、試写会で映像をみた時は、ただただすごいと言わざるを得ませんでした。

 そして、ufotableさんが新たに『Heaven's Feel』を作るとなれば、『空の境界』の劇場版をあのクオリティで5章作った実績もありますし、それには絶対の信頼と安心感を持つことができました。

――いい意味でショックを受けたという第一・第二章ですが、実際にご覧になった感想はいかがですか?

中田さん:いざ第一章を見た時には、改めてそのクオリティの高さにびっくりさせられて、ここまですごいとハードルもっと上がってしまうなと思いつつ、第二章を見た時にも度肝を抜かれてしまいました。となれば、第三章も素晴らしいものを見せてくれるに違いないと、いちファンとしても楽しみです。

――第三章の見どころはどこでしょうか?

中田さん:すべてのルートは聖杯戦争を巡る7人のマスターとサーヴァントというシステムが根底にあって、その上で描かれていますが、そもそも聖杯とは何なのか? どう生まれたのか? 聖杯戦争は誰が考えたのか? 他にも、明かされていない部分が今まではたくさん存在していたと思います。『Heaven's Feel』は、それらが明かされている物語でもありますから、ファンであればここまで見ていただきたいところですね。

――これまでの物語では、お話の中で伝えたくても伝えられない部分はあったのでしょうか?

中田さん:たくさんありましたね。これまでにも聖杯は戦いの中心にありましたが、その詳細を説明される機会はありませんでした。桜と凛の関係も描かれていませんでしたし、言峰綺礼の生い立ちや考え方。それらは『Heaven's Feel』で描かれてこそ、幕を閉じられるところです。

――第三章でそれらを知ったうえで、改めて前のお話を見れば新たな発見もありそうです。

中田さん:もちろんたくさんあると思います。最初の士郎と桜の出会い、そして学校での弓道部の思い出が桜にとってどれだけ大切で愛おしかったのかは、すべてを見終えたあとに第一章を見ればより胸に来るものがあると思います。言峰綺礼に関しても「そういう感情を持っているから、あんな接し方をしていたのか」と逆にわかるところもあると思います。

第三章ではついに綺礼が動き出す?

――第三章での綺礼の活躍はいかがでしょうか?

中田さん:『Fate/Zero』を見ておらず『Fate/stay night』から入った方からすると、言峰綺礼というキャラクターは一種の部外者として距離を取って行動している、わけのわからない黒幕というイメージだと思います。

 それが第三章では、監督役という立場を離れて、1人の登場人物として自分の目的に向かって物語に絡み始めていきます。今まで以上に、彼が持っている考え方や過去が分かるので、ぜひみなさんの目で確かめていただきたいと思います。

――監督役という立場を離れて……とのことですが、具体的な違いはどんなところですか?

中田さん:第二章までは、監督役として周りのキャラクターに言葉をかけて物語を進めていく、語り手のような立場でした。そのため、あまり感情的なセリフもありませんでしたし、説明するようなセリフも多かったです。

 それが第三章では、表面ではなく彼の肉声と言えるようなセリフも聞けます。それも第三章を楽しめる1つのポイントだと思います。

――中田さんは第三章の綺礼を見てどのような印象を受けましたか?

中田さん:第3弾のキービジュアルを見ればわかる通り、いつもの言峰綺礼とは違う顔が描かれています。僕自身もアフレコで絵を見た時に「言峰綺礼のこんな顔は久しぶりに見たな」と思いました。第三章を見ていただければ、その表情の理由もわかっていただけるはずです。

――『Heaven's Feel』の綺礼を演じる際に意識したことはありましたか?

中田さん:これまでもいろいろな作品で言峰綺礼をやらせていただきましたが、今回のような言峰綺礼は演じたことがないぞと思いました。彼の持っている弱い部分や、求道者としての自分の在り方など、彼が抱えているものを出すことを意識していましたね。

 あくまでもそれは悪や非道ではなく、自分の在り方を貫くことでしか生きられない言峰綺礼の、真面目な突き詰め方です。結果はどうあれ、彼の考えた末の生き方を感じていただければ、言峰綺礼というキャラクターを理解していただけるはずです。

――綺礼が活躍するシーンを心待ちにしているファンも多いのではないかと思います。

中田さん:僕自身も言峰綺礼の活躍は楽しみですね。同時に、楽しみにしてくれている言峰ファンの期待を裏切らないように、頑張らないといけないと重いながらアフレコに臨んでいました。今の自分にできることはやり切ったので、あとはみなさんがどう受け取ってくださるか次第でしょうか。

――劇場版は美しい絵もキャラクターの魅力を際立たせていますよね。

中田さん:ビジュアルに関しても、ufotableさんが言峰綺礼をカッコよく描いてくださっています。それがさらに今までにないような一面を見せることになるので、第三章を通して少しでも言峰綺礼の理解者が1人でも増えてくれたら嬉しいなと思いますね(笑)。

――PVでは綺礼とアサシンの戦闘シーンも一部公開されていました。

中田さん:言峰綺礼は八極拳の名人ですが、それを活かした見せ場もいままでは少なかったです。第三章では、彼が求道者として極めてきた部分、そして鍛えた身体能力の高さをようやく見ていただけると思います。

――第二章では早くもギルガメッシュと別れることになってしまいましたが、何か違和感や寂しさはありましたか?

中田さん:ギルガメッシュがいなくなってしまい、愉悦部は解散でしょうかね?(笑)

――それは切ないかもしれませんね(笑)。

中田さん:とまぁそれは冗談として、ある意味ギルガメッシュと言峰綺礼はいいコンビだったと思っていたため、その組み合わせが見られないことは少し寂しく思います。しかし、言峰綺礼は1人になったことで、ようやく自身が動くタイミングが訪れたという感じです。

――ギルガメッシュがいなくなったことも綺礼の行動に影響を与えているのですね。

中田さん:士郎もある意味サーヴァントがいない状態ですし、そういう意味ではお互いに同じ状況で、同じく譲れないものを持っているという構図になっています。

――綺礼の言葉の真意や思惑などを理解することは一筋縄ではいきませんが、それができるようになるコツやポイントはありますか?

中田さん:言峰綺礼を理解するにあたって、明確なコツやポイントのようなものはないですね。『Fate/stay night』の彼は最初から最後まで目は死んでいますし、喜怒哀楽を出したり本音を言ったりする部分もほとんどありません。

 第二章では士郎にアドバイスをする場面もありましたが、それも裏に1つの思惑があるからであり、明確にそれが彼の口から出ることはありませんでした。その中身を知らずして彼を理解することは難しいのではないでしょうか。

――綺礼は他のキャラクターとは違った雰囲気でしゃべりますが、周りとの空気感のギャップなどは意識されましたか?

中田さん:難しいところです。声を乗せる僕にとっても難しいですが、何より演出の方々が苦労する部分だと思います。動きがあるキャラクターであれば、カットの変化もありセリフのテンポもいいので飽きずに見てもらえますが、言峰綺礼のような余裕綽々で動きも少ないキャラクターは、演出する側もシーンを持たせるために苦労しているのではないかと不安になります。

 それでも、僕は自分の考える言峰綺礼のペースでしゃべっているため、尺を用意してくださったり、魅せ方を考えてくださったりして感謝するばかりです。

――言峰綺礼は『Fate/Zero』でも重要なキャラクターでしたが、数年後にあたる『Fate/stay night』との違いはどこでしょうか?

中田さん:『Fate/Zero』の時の設定は20代でしたからね。周りにはいいおじさんキャラクターもいましたし、そこには自分の師もいました。その時は周りに翻弄されるような、自分の生き方を求めて、信じられるものを探していた頃です。ある意味『Fate/stay night』の士郎のような言峰綺礼でした。立ち位置もかなり違いますし、僕の中でもかなり違う面があると認識しています。

――『Heaven's Feel』では、士郎に対して切嗣のことを語るシーンもありました。

中田さん:『Fate/Zero』の時の切嗣に対する感情のようなものはすでに持っていないと思いますが、自分が理解できなかった男の息子が横にいることに対しての想いの表現として切嗣のことを口にしたのだと思います。不快感はあるものの、怒りのような感情はもう彼の中には残っていないでしょう。

――綺礼というキャラクターは、見る人が知っていることの量によって見え方が変わってくるキャラクターですよね。

中田さん:『Fate/stay night』『Fate/Zero』はもちろん、その他にもCDドラマや『カーニバルファンタズム』まで、いろいろな言峰綺礼を演じさせていただきましたから、それを全部見ている方とそうでない方にとっての言峰綺礼のキャラクター像は違うと思います。

 第三章を見ていただければ、言峰綺礼はこういうスタンスの男であることを初めて知っていただけるのではないかと思います。

15年前と現在では綺礼の声もまったく違う?

――収録の様子はいかがでしたか?

中田さん:最初のアフレコは十数年前になるわけですからね。それからものすごく時間が経っているわけですから、もうみなさんも原作に通じていて、自分の役にも通じていて、スタジオに佇んでいるだけでも安心感が違います。そこに入ると「あ、士郎がいる。桜もいるし、ライダーもいる」と感じますね。まるで同窓会のような「みんな今日も楽しもうぜ」という落ち着いた連帯感と信頼感があります。

――やはり長年のチームワークというものがあるのですね。

中田さん:『Fate/stay night』以外にも、それぞれが別の『Fate』シリーズに出ているため、本数以上に一緒にいる時間が長く感じているのではないでしょうか。15年といえば、幼稚園から高校まで一緒と変わりませんからね(笑)。

――第三章の収録を終えて、何かみなさんとお話はされましたか?

中田さん:他の方はわかりませんが、言峰綺礼としては僕自信の年齢的なこともありますから、これで『Fate/stay night』の言峰綺礼はやり納めかな、という考えもありました。

 みんなも何となく終わったことを感じていると思いますが、これはアフレコよりも映画の公開まですべて終わった時のほうが強く感じます。肩の荷が下りてホッとして、徐々に終わったことを実感して、その後に感想を語り合うのではないでしょうか。

――TVシリーズの収録と劇場版の収録で違いを感じた部分はありましたか?

中田さん:劇場版は収録の間が空きますから、そのぶんプレッシャーもありますし、これ一発しかないからここで全部出さなければならないという緊張感もあります。そういう意味では、TVアニメと劇場版では心境的にも大きく違ってくるものと感じています。

――すでに公開されている劇場版の第一章、第二章を見て、ご自身の演技を振り返ることはありますか?

中田さん:自分自身が見ても思うこともちろんありますし、お客さんの反応を見ても改めて感じることも多いですね。演じている自分だからこそわかる部分もありますので、そこを埋めていきたい、次はこうしたいな、とフィードバックを得ることはあります。

――作品を見る際、視聴者目線と声優目線どちらで見ることが多いでしょうか?

中田さん:自分の出ている作品、特に自分のシーンはダメですね(笑)。どうしても視聴者として楽しめず、仕事目線で見てしまいます。それでも、全体的なお話や自分が出ていないところは、みなさんと同じようにいちファンとして楽しみにしている部分に注目して見ることはあります。やっぱり、他の声優さんも自分のシーンを見ている時は落ち着かないのではないでしょうか?

――作品を見た方の反響を受けて、その感想を実際にお芝居に活かすこともあるのでしょうか?

中田さん:それもとても難しい部分です。表現と同じように見方は何通もありますし、僕自身の自己評価も何通りもあります。その中でみなさんの反響を受けてもっともだと思うこともあります。しかし、それを全部受け入れようとすると自分の中で迷いも出てきますから、基本的には自分が思っている言峰綺礼への解釈を優先して、みなさんが気になる部分があればそれを頭の隅に置いておく形です。

――あくまで感想をして受け止めつつ、自身の考えで、ということですね。

中田さん:ファンの方々は敏感ですから、Twitterでも宣伝や利害関係を意識した発言はわかってしまいますよね。それでも、僕が楽しんでいて思ったことを自分の言葉で伝えると、それをすごく喜んでくださります。キャラについても同じで、僕が思っている形をそのまま届けることが一番だと考えて演じさせていただいています。

――初めて綺礼の声を演じた時から現在までで、お芝居で何か変化することはありましたか?

中田さん:15年間にかけて言峰綺礼を演じてきたことで、自分の中でのイメージが固まりすぎてしまっていると思うこともあります。それを踏まえて、収録の前にゲームをやり直してストーリーやキャラの確認をしていました。その中で、前の自分はすごくあっさりとしゃべっていたことに気が付いて、今の言峰綺礼はもったりしすぎているかなと思うこともあります。

 それでも、逆にそのトーンのほうがラスボス感が出ているような感じもしますし、周りの雰囲気と噛み合ってないからこそ尊大で偉そうで、何を考えているかわからないというイメージを表現できたとも思います。振り返っての反省や、兼ね合いの難しさやせめぎ合いは、常に自分の中にあります。

――そういった悩みは演じ続けてきたからこそでしょうか?

中田さん:逆に、今だからこそ考えてしまうことですね。それこそ当時は深く考えずにセリフを読んでいましたが、自分の中で15年かけて言峰綺礼というキャラクターが固まっていくにつれて、いいものだけでなく余分なものも付いてきたりします。

――中田さんの中で、どんな綺礼が正解なのかなんとなく答えは出ているのでしょうか?

中田さん:15年前の言峰綺礼とはどうしても違ってきてしまいますから、そこを周りに合わせて会話が成り立っているようにしゃべるのか、しゃべってはいるけれども、自分はただ役割を果たしているだけのようにしゃべるほうがいいのか。それは難しいところですね。

 ただ、第三章の特徴的な部分である1人の登場人物として動くところでは、今までのテンポとは意識して変えたつもりです。

――実際にどのような綺礼が表現されているのか楽しみです。

中田さん:そのしゃべり方がいいのか悪いのか、最終的な判断は僕には分かりませんからね。それを聞いた方に判断していただくしかありません。もちろん、若さのようなすっきりした感覚は昔のほうが感じられると思いますが、ラスボス感や黒幕感は今のほうが感じてもらえるようになっている気がします。

言峰綺礼に出会えたことへの感謝

――ご自身の声優人生において綺礼というキャラクターの存在の大きさはいかがでしょうか?

中田さん:もちろん大きな影響を与えたキャラクターですね! 僕の中でも「この役のおかげで認めてもらえた」「この役のおかげで一般的な知名度が上がった」と思うキャラクターがいますが、言峰綺礼もその1人です。

 僕の中で『Fate』と言えば、15年間で作品の誕生から発展、そして展開までともに歩ませてくれた稀有な作品です。それに対する感謝と、それを叶えてくれた言峰綺礼というキャラに対する感謝の気持ちはとても強いです。

――それだけ大きい存在のキャラクターと、中田さんは出会うことができたと。

中田さん:これはTwitterの話ですが、この前まで数千人しかフォロワーのいなかった声優さんが、某有名作品のメインキャストに選ばれた瞬間に一気にフォロワー数万人にまで増えるなんてこともあります。それ見ると、魅力的なキャラクターに出会えるかどうかが、声優にとって大きく道を左右する部分であることは間違いないと思います。

――中田さんのTwitterでも、つぶやきや日々の行動の中に『Fate』シリーズをはじめ、さまざま作品やキャラクターに対する愛をとても強く感じます。

中田さん:僕はもうこれから数百のキャラクターを演じられるという歳でもありませんからね。Twitterで僕自身だけに関することをつぶやくよりも、演じたキャラクターのことや作品のことについてつぶやくと、より多くの人が喜んでくださりますから。

――これまで言峰綺礼を演じ続けてきた感想はいかがでしょうか?

中田さん:僕は『Fate』という人気のあるシリーズの中で、魅力的な言峰綺礼を15年近くやらせていただいています。声優・中田譲治にとってどれだけありがたいことだろうかと思います。

 そもそも15年同じキャラクターを15年続けることはなかなかありませんし、ありがたいことにみなさんからの応援もいただいています。その中で、こうして『Heaven's Feel』の第三章でまた言峰綺礼を演じられたことを嬉しく思うと同時に、責任感を感じています。

――今後の『Fate』シリーズの展開として、ご自身の中に「これをやりたい!」という希望などはありますか?

中田さん:個人的に思うことがあるかないかで言えば、『Fate/stay night』についてはありません。自分の中では『Fate/stay night』という作品は『Heaven's Feel』である意味一区切りがつきましたし、言峰綺礼としても最後にしっかりと結論が出せています。

――『Fate/stay night』以外ではいかがでしょうか?

中田さん:『Fate/stay night』とは少し異なる『FGO』などではまた別の、グレゴリー・ラスプーチンの依代としての言峰綺礼が描かれていますから、もしかするとそこで再び出てくる可能性はあるかもしれませんね。

 そうなれば、また今度はそちらの言峰綺礼を自分なりに楽しんでいけたらいいなと思います。それが叶うかどうかは、TYPE-MOONさんと奈須さんに「かっこいい言峰綺礼考えて出してよ~」とお願いする形になりますね(笑)。

――中田さんから見た『Fate』シリーズの魅力はどこでしょうか?

中田さん:『Fate』がどうしてここまで愛され、ここまで続いていく作品なのか、僕もその理由を考えることがあります。聖杯、召喚システム、バックボーンが魅力的な過去の英霊など、みなさんをワクワクさせるこの仕組みが素晴らしいのか。

 他にもいろんなことを考えますが、やはり根本的にあるものは奈須さんの書き出すキャラクターの人間的な魅力に尽きるのだろうと思います。同じ仕掛けを使っても、同じような作品ができるのかと言えば、そうではない気がしますね。

――最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

中田さん:第一章、第二章と『Heaven's Feel』を見ていただいて本当にありがとうございます。そして、いよいよ第三章が公開となるわけですが、最終章にふさわしい作品に仕上がっていると思います。

 僕自身もですが、第二章までにいろいろな発見や気になることがあったと思います。それが第三章で繋がっていき、今までのわからなかったことが分かる。これがあるから『Heaven's Feel』は三部作になっているのだと、実感できるはずです。まさしく“これを見届けずして『Fate』を語るなかれ”と言っていい作品になっております。キャラクター同士の関係も1つだけでなく、たくさんの見どころがありますので、ぜひ劇場に足を運んで、その結末を見とどけていただければと思います。

――ありがとうございました。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]III.spring song』作品概要

公開日
2020年8月15日

メインスタッフ(敬称略)
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
主題歌:Aimer
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス

メインキャスト(敬称略)
衛宮士郎:杉山紀彰
間桐桜:下屋則子
間桐慎二:神谷浩史
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
ギルガメッシュ:関智一
ライダー:浅川悠
アーチャー:諏訪部順一
真アサシン:稲田徹

(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

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