『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』は大人になって遊ぶと感じ方が違う名作【綾那のゲームに夢中】

綾那
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 さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”の連載第22回をお届けします。

 初夏のような暑さが続く今日このごろ。皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 真夏はクーラーガンガンの部屋でアイスを食べつつゲームに没頭できたら、言うことなしです。

 はてさて、昨今の女性は肉食系が多いなんて言われておりますが、そんなのは今に始まったことではないと思うんですよね。例えば今回書かせていただくゲームなんて、強い女性ばかり出てきます。

 腕っぷしとかではなく“ハート”的な意味で。

 というわけで、今回のゲームはこちら。『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』です!

 “ミュージカルRPG”というジャンルなのですが、その名の通り所々にミュージカルシーンが入っています。しかも未だに覚えてるし、なんなら歌えちゃうぐらい名曲ばかりなんです。

 耳に残る曲の数々……それは後であらためてお話します。

大人になってから見ると感じ方が変わる物語♪

 まずはストーリーを軽くお話しましょう。

 むかーし、むかし。マール王国の城下町のはずれに、オレンジ村という小さな村がありました。

 そこには人形と仲よくなれる不思議な力を持った女の子が暮らしていました。

 女の子の名前は、コルネット。コルネットの夢は素敵な王子さまと出会い、恋をすることでした。

 ある日、コルネットはマール王国の王子さまに命を救われ、恋に落ちてしまいます。

 しかし、その王子さまはコルネットを助けたことが原因で、悪い魔女マージョリーに石に変えられてさらわれてしまいました。

 コルネットは王子さまを救うため、旅に出ました。楽しいこと、うれしいこと、つらいこと、そして悲しいこと、いろいろなことを経験しました。

 そして、ついには悪い魔女マージョリーを倒して、無事に王子さまとの恋を実らせたのでした。

 めでたく結ばれた2人の間には、かわいい女の子が誕生しました。

 それから12年後……

(『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』公式サイトより)

 ゲームの冒頭で流れるもので、前作『マール王国の人形姫』のストーリーになるのですが、ゲームをつける度に出てくるなじみ深いものだったので、掲載しました。

 “女の子が王子様を助ける!”っていう、普通とは逆のシチュエーションがおもしろい『マール王国』シリーズ。本作の主人公は、『1』で主人公だったコルネットの娘、クルルちゃん。カボチャパンツがトレードマークなお転婆プリンセスです。ちなみに声優は川村万梨阿さん。

 そしてクルルのよき親友であるクレア。こちらは大谷育江さんがボイスを担当しています。毒舌でキレ者にして、名門ローゼンクイーン家の者で、前作でも登場したエトワールの一人娘です。

 出会った当初はあまりいい印象を受けなかったのですが、段々とクルルが想いを寄せていく謎の少年チェロ。声優は折笠愛さん。クールで無口……どこか影があるも、クルルたちを助けてくれることもあり、謎が多いのです。彼の目的は一体!?

 檜山修之さんが演じるのは、クルルの幼少期からずっと側で仕えてきた近衛騎士・ランディ。実は近衛騎士隊長のソニアのことが好きです。彼の恋路も見どころの1つ!

 マール王国近衛騎士隊の隊長であるソニア、声優は三石琴乃さんです。自分にも他人にも厳しく、クルルのことを唯一甘やかさないスパルタ女騎士。ファンクラブがあるほど、女性の憧れの的となっています。

 続いて、『リトルプリンセス』で新たに登場した敵キャラの4人を紹介。

 魔族の名門“アクージョ一家”の当主アクージョ。マージョリーが持つ秘宝“シャドウofビューティー”を手に入れ、永遠の若さを得ようとしているのです。声優は鶴ひろみさん。

 アクージョの家来で格闘娘のランランのボイスは、天野由梨さんが担当。マージョリーの家来であるガオが好きです。

 アクージョの家来でマッチョオネエなフォンフォン。こちらのボイスは若本規夫さんがあてています。マージョリーの家来であるクロウディアとは美のライバルです。

 藤野かほるさんが演じたのは、アクージョの家来で魔族の名門バケネコフ家のニャンニャン。ニャンシーたちの主人で、マージョリーの家来であるカルカンスキー家のミャオとは、両家の確執もあって犬猿の仲です。

 このように、個性豊かなキャラクターたちが歌って踊るのです。声優陣もとても豪華! プレイしていた当時、キャラクターの服装がすごい好きで、よく絵に描いてた記憶がありますね。

 はてさて、母親から受け継いだ“女は行動力!”をモットーに、クルルは親友のクレアとともに自分の王子様を探しに旅に出ます。そして旅の中でいろいろな人々とのかかわりを経て、世間知らずのお姫様が成長していくわけなんです。

 子どもが主人公の物語って、大人になってからプレイし直すと、成長の過程を見てジーンとなってしまうんですよね。感じ方の違いから、時間の流れをひしひしと感じます。ようは年を取ったってことですね(笑)。

 タイトルに“人形”というワードがあるように、本作は人形を呼び出して戦っていきます。

 仲間になってくれる人形は多数あって、戦っていたモンスターがそのまま仲間になるパターンや、ダンジョンや街で気になる人形に話しかけてラッパを吹くと、仲間になってくれるパターンもあるのです。なお、人形を扱えるのはクルルとクレアだけ。

 カワイイ顔して、クレアはピストルを出して撃つこともありますがね。

 戦闘はややこしいことがなく、至ってシンプルなターン制。攻撃すると左上の音符がたまっていき、そのたまった数で“ごほうび”という特殊スキルを使えます。

 これがかなり強力なので、ボス戦まで雑魚で音符をためて「ここぞ!」という時に“ごほうび”で敵を蹴散らかしていくっていう方法を私はしていました。

 注意すべきは、誰かが仲間から外れる度にそのキャラの装備が外れるので、何度も付け直すことになることですかね。ただ、一時離脱するキャラの装備を、事前に回収する手間が省けるのはありがたいです。ちゃんと「何も“そうび”していません」ってメッセージが出るのも良心的です(笑)。

ミュージカルから好きな3曲を紹介♯

 忘れてはいけないのが……『リトルプリンセス』最大の魅力、ミュージカル! その曲数はなんと15曲! 

 どれも素晴らしい楽曲なのですが、その中でも私が好きなのは『プリンセスクルル』、『お客様がやってきた!』、『気高き華の掟』の3曲です。

 『プリンセスクルル』は一番最初に見ることになるであろうミュージカルです。歌が始まった瞬間、使用人たちが飛び出してくる様子はフラッシュモブのよう。この曲でガッチリ心を掴まれましたね!

 『お客様がやってきた!』は、マージョリーたちがいるビューティキャッスルにクルルらが乗り込む時、久しぶりに訪れる客人を丁重にもてなしてやろうとするクロウディアたちの不気味(?)な歌。「叫べ! 神の名を! カゴの中の鳥たちよ」という所のメロディが、今もなお耳に残っています。この歌の時点ではカッコイイ感じなんですけどね……マージョリー一家おバカだから(苦笑)。

 そして『気高き華の掟』はソニアの歌です。女性として生きる道を捨て、騎士として生きていくという夢を選んだ覚悟をひしひしと感じる、切なくて繊細な歌。歌詞をメモにとって必死に覚えようとしたおかげで、今でもちゃんと歌詞覚えております。

 以上の3曲が私的に好きなミュージカルでした。内容が衝撃的すぎて、いろいろな意味で忘れられないのは『美味しいソフトクリームの作り方』。つくりかた斬新か! 食事しながらやってはいけないゲームです……。


シリーズ20周年おめでとうございます♭

 カワイらしいキャラクターとミュージカルで「子ども向けなのかな?」と思いがちですが、いえいえ『リトルプリンセス』の話は濃厚です。

 中でも“男社会で戦う女性の葛藤”という面においては、同じ女性として同調してしまうものがありました。

 近衛騎士隊の隊長であるソニアの父親は、マール王国すべての兵を統率するジオ将軍。そんなジオ将軍に子どもはソニアの1人だけ。男の子がいればその子を後継ぎにできたのに、妻は亡くなってしまいました。

 ソニアは女でありながら、男社会である騎士の道を選びます。女だからと馬鹿にされないように鍛錬し、綺麗なドレスを着ることを捨てて隊長の位まで自分の力で上り詰めていくんです。

 その時のソニアの決意の曲が、先ほども好きだと言った『気高き華の掟』なんです! “だけど時には、月灯りのドレスで着飾って、貴婦人のように踊ってみたい”と歌うソニアの衣服が鎧からドレスに変わるシチュエーションがグっときます。

 戦う女はソニアだけではありません。クレアの母であるエトワールもやり手です。

 クルルとクレアが喧嘩をしてしまい、ショックを受けたクレアが敵の手で昏睡状態にされてしまった時に、クルルがクレアの心の中に入り彼女の記憶を見るといったイベントがあります。その時に、どうしてクルルとクレアが親友になったのか分かるのですが、私が衝撃的だったのは2人が出会った時の回想シーン。

 クレアが男の子にいじめられている所にクルルが助けに入り、そこから2人は仲よくなるのですが、いじめられてた理由が「おまえんとこの母ちゃん“あそび人”っていうんだぜ! 父ちゃんが誰だか分からないって母ちゃんが言ってたぜ!」というもの。

 父親がいない理由は物語の中盤辺りで判明するのですが、なんというかこの理由に少なからずビックリしましたね。エトワールのお家事情を知ってしまうと、この噂話は心にくるものがあります。子を持つ親の強さをエトワールからはヒシヒシと感じるので、前作をプレイした方々には「あのエトワールが……」と涙するかもしれませんね。

 後半はクルルの心の成長が一気に加速します。

 人の立場になって考えることを覚えたり、愛と勇気があれば乗り越えれない壁はないと分かったり、夢にぶつかって行く勇気を教えられたり……。

 これ、すべて敵側の人たちによって気付かされるんです。言われているわけでなく、自分から「私はあなたの気持ちや立場なんて考えてもなかった」と気がつくのが、クルルのいいところなんですよね!

 そうなんです。登場人物、みんないい子!

 私的にはミャオの手下ニャンコのポコニャンと、ニャンニャンの手下ニャンシーのペコニャンの『ロミジュリ物語』は、ニャンニャンとミャオの株がブワっと上がるので、ぜひとも見てほしいですね。

 もう一度言います。登場人物、みんないい子!!

 子どもと一緒にやっても楽しめる安心感のあるゲームです。

 そんな『マール王国』シリーズが、2018年12月17日で20周年を迎えられたそうです! もう20年もたったのかぁとしみじみ思ったと同時に、また『マール王国』シリーズのような作品を作ってほしいなと切に思いました。

 何はともあれ、20周年おめでとうございます!

(C)1999,2001 NIPPON ICHI SOFTWARE INC. Illustration by Ryoji

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『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』

  • メーカー:日本一ソフトウェア
  • 対応機種:PS
  • ジャンル:RPG
  • 発売日:1999年11月24日
  • 希望小売価格:6,090円(税込)

『リトルプリンセス マール王国の人形姫2』

  • メーカー:日本一ソフトウェア
  • 対応端末:PS3/PS Vita/PSP(ダウンロード専用)
  • ジャンル:RPG
  • 発売日:2007年5月31日
  • 価格:617円(税込)

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