子ども(小1)が五月病になりまして。『桃鉄』で解決編
- 文
- そみん
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どうも、電撃オンラインのそみんです。今年(2019年)のゴールデンウィークは10連休で、すごかったですよね。
うちの息子のたつまる(小1)も長い休みに大喜びで、映画とかハイキングとかに連れて行って楽しく遊ばせたつもりだったんですが、光が強ければ強いほど闇もまた濃くなるということで……。
たつまる「もっと休んでいたい……。ゴールデンウィークが終わっちゃうなんてイヤだよお……(マジ泣き)」
と、大型連休が終わる2日前の5月5日(日)の夜、布団のなかでギャン泣きされちゃいました。
休みが終わることへの恐怖もそうですが、やれ「小学校よりも幼稚園のほうが楽しかった」だの、やれ「小学校には宿題があってイヤだ(まだそんな本格的な宿題が出てるわけでもないのに……)」だの、やれ「早起きが辛い」だの、とにかく新環境への愚痴がひどい。
いわゆる五月病ってやつですね。……心を病むの早すぎないか!?
そんな息子の悩みに対して、父親である僕が返した言葉がこちら。
そみん「よっしゃ! そういう時はパパと一緒にゲームを遊んで悩みを忘れようぜ!」
そんなわけで翌日、ゴールデンウィークの最終日である5月6日(月・祝)、僕が子どもと一緒に遊んだのがPS2の名作『桃太郎電鉄X(ばってん) ~九州編もあるばい~』(ハドソン)でした。
日本地図の勉強にもなる! 学習ゲームを子どもに遊ばせるという夢!!
子どもと一緒に『桃鉄』を遊ぶ……。これは自分の夢の1つでした。
『桃鉄』は、サイコロをふって日本全国を電車で回るというすごろくタイプのゲームです。ボードゲーム的なルールのわかりやすさがありつつ、各地でお店を買って資産を増やすという楽しさもあり、その奥深さから多くのファンを持つ人気シリーズです。
そういったゲーム部分もさることながら、僕がずっと注目していたのは“このゲームを遊ぶと自然と日本地図を覚えられるところ”。そう、学習ゲームとしての側面です。
思えば自分が子どものころは、“ゲーム=遊び=勉強の敵”というイメージを持つ人がおり(特に僕の母親)、悲しい思いをすることも多々ありました。
(友だちから借りたファミコンソフト『ポパイの英語遊び』だけは、うちの母親も大目に見てくれることがありましたけど)
……でも、『桃鉄』なら日本地図を覚えられる=勉強に役立つから遊んでも怒られない!(我ながら、僕は何を仮想敵にしているんだ……)
こうして、僕とたつまるの“10年勝負”が始まりました。
ビンボー神に大ウケ。でも、意外なところで優しさが……
『桃鉄』は4人で遊べますが、今回は僕(ぱぱまる)とたつまるの2人で勝負。残り2人はコンピュータ設定にしたところ、たつまるから「ママといっちゃん(妹)の名前にしてほしい!」と言われたので、まままるといちまるという名前でプレイすることに。
(RPGとかを遊ぶ時でも、たつまるは家族の名前をつけたがるんですよね。まだ現実とゲームがごっちゃになりやすいお年頃なのかもしれません)
さて、実際にゲームを遊び始めたところ、初見なのに、思いのほかスムーズにプレイが進みます。まあ、基本はすごろくですし、目的地への最短ルートには矢印がつきますしね。
そもそもたつまるには子どもの頃から日本地図の勉強をさせて、お風呂ポスターとかトランプとかで一時期は四十七都道府県&地方をほぼ完璧に覚えていたはずなのですが……いつの間にか、すっかり忘れているようでした(涙)。
(やっぱり定期的に使わない記憶は薄れやすいと言いますか、子どもって覚えるのも早いけど、忘れるのも早いんですよね)
そんなこんなでゲームが進み、たつまるが笑い転げたのがビンボー神でした。
ビンボー神は、誰かが目的地に到着した際、目的地から一番遠かったプレイヤーにとりつく罰ゲーム的なもの。勝手にお金を使ったり、勝手に物件を売り払ったりと、プレイヤーに不幸が訪れる存在です。
「~なのねん」というコミカルな口調で、次々と行われるひどいこと。まあ、『桃鉄』では普通のことですが、ビンボー神がついたプレイヤーは加速度的に資産を失い、最下位へと一直線!
このビンボー神がついたのはいちまる(妹)で、彼女が不幸になるたびに「かわいそー(笑)」「これは負けるわ(笑)」と笑い転げていたたつまるでしたが、ビンボー神がさらに凶悪なキングボンビーに変身した後は態度が一変。
キングボンビーがいちまるのお金を減らすために十数個のサイコロを振った際には、たつまるの顔が真顔になり「これはひどすぎるよ……」とドン引き。
「どうすれば、いちまるを助けられるの!?」と聞いてきたので、「いちまるとすれ違うと、自分のほうにキングボンビーがとりつくよ」と教えてあげたところ、「僕はイヤだから、パパがいちまるを助けてあげて!」「父親らしいところを見せておくれよ!」と救助をせがまれることに(まあ、無視したけど)。
結果、ゲーム内で5~6年がたつころには、いちまるの資産はマイナス十数億円とダントツの大赤字に(涙)。
(いやあ、コンピュータレベルを低めにしていたこともあり、ほとんどずっといちまるがビンボー神を独占する状況でして……)
それを見たたつまるは、「このままじゃ、いちまるが泣いちゃうよ!」と自分のほうが泣きそうに。
ちょうどたつまるは“たいらのまさカード(全プレイヤーの持ち金が平均されるカード=借金もかなりならされる)”を持っていました。
そみん「このカードを使うと、いちまるの借金がかなり軽くなるけど、その代わりにパパやたつまるのお金もほとんどなくなっちゃうんだよ。それでも、いちまるを助けたいかい?」
たつまる「大丈夫! 家族みんなでがんばるんだ! そみん一家、ファイヤー!」
と、どこかのアニメで聞いたようなセリフとともに“たいらのまさカード”を使うたつまる。
その結果……全プレイヤーが平均してマイナス数億という赤字に!? ひでえ!
その赤字を解消するため、全プレイヤーが所持物件を売りまくることになり、10年プレイの折り返しに入った時期だというのに、プレイヤー資産は焼け野原に……。
(まあ、僕はそんなこともあろうかと、売却できない農林物件を多めに買っていたので、少し被害を抑えられたんですよね)
一方のたつまるは、自分がしでかしたことの大きさにショックを受けて、絶句。
「これ以上なくなったら……何も残らないよお!!」「もうボタン押したくない!」と泣きながら、赤字を埋めるために大量の物件を手放していくたつまる……。
やべえ。五月病を治すために楽しくゲームを遊ばせるつもりが、完全に裏目に出ましたわ。
勝負のために手は抜かない! 大人げないプレイが最悪の結果に
すっかり意気消沈したたつまるですが、プレイは続きます。幸か不幸か、たつまるが目的地にトップ到着することが続き、わりと普通に赤字から脱却して、機嫌もなおっていきました。
残すところあとわずかという7-8年目くらいで、1位は僕で、僅差でたつまるが2位。ちょっと手を抜けば、たつまるは普通に1位になれるでしょう。
……今思えば、そのまま気持ちよく遊ばせてあげればよかったのですが、ちょっとイタズラ心が起きたと申しますか、手を抜いて勝たせるのはなんか違うと申しますか……。
その時の目的地は九州の長崎。ビンボー神がついていた僕とたつまるが九州に上陸して目的地が目前。残る2人は東北のはるか遠くにいる状況でした。
そんな状態で僕がとったのは……“うんちカード”で線路にうんちを落としてとおせんぼ! さらに“新幹線カード”でサイコロを4つ振って、たつまるにビンボー神をおしつけつつ、はるか遠くへ逃げる!
目的地への道がうんちで閉ざされ、ビンボー神をなすりつけられつつ、周りには誰もいない1人ぼっち状態。呆然とするたつまるでしたが、さらに悲劇が訪れます。
そう、そのタイミングでビンボー神がキングボンビーへと変身しちゃったんです。
「あっ」と小さく言葉を漏らし、キングボンビーの過酷な試練を受け続けるたつまる。ターンが終わるたびに資産がみるみる減っていき、次々と物件を手放していき、大赤字に転落していくことに。
「あああああ! 目の前に目的地があるのに! なんで! なんでうんちがあるの! 誰が置いたの! どうすればうんちが消えるの!」と、キングボンビーとのぶらり九州地獄旅に泣きながらパニック状態になるたつまる。
いやあ、そういう時に限って、うんちを除去する“バキュームカード”が出てこないんですわぁ……。
僅差でのトップ争いから数カ月。大赤字でダントツのビリになったたつまるは、涙目を通り越して大激怒!
「もういい! パパはたつまるのことが嫌いだから、ひどいことをするんだ! もう顔も見たくない!」と、PS2の電撃を切ってしまいました。
こうなるともう、売り言葉に買い言葉!
「そんなズルをする人とは、こっちだって遊びたくない!」と、約36歳差の息子と同じくらいの精神年齢の言葉を吐き、怒り返した僕は息子の泣き声を背に、2階の別室へと移動することに……。
子どもの発想はとても自由で、時にはとても残酷で……
その後もたつまるの泣き声を階下に聞きつつ、イヤフォンをしてスマホゲームを遊ぶこと小一時間ほど。
少し冷静になり、ちょっと悪いことをしたかなと思いながら1階に降りると、なぜかたつまるが1人で『桃鉄』を遊んでおり、10年目を終えた結果発表の画面に?
……話を聞くと、オートセーブで保存されていた途中地点から遊びなおしたそうで。
お、おう。その発想はなかったわ……と結果発表の続きを見ていくと、たつまるがダントツの1位で、僕(ぱぱまる)がダントツの最下位に!? なんで!?
たつまる「ぱぱまるにビンボー神を渡して、ぱぱまるを冬の日本海の赤いマスに止めまくってお金を減らしたんだ!」
なんて残酷な発想! たしかにゲームを遊んでいるとき、「赤いマスに止まるとお金が減るんだけど、特に冬に止まると億単位のマイナスになることもあるから、絶対に入っちゃだめだよ。特に日本海の冬の海に入るのは危ないから、絶対にやめようね」と教えてあげましたが……それを逆手に取るとは!
こうして、自分なりの憂さ晴らしをして気持ちがよくなったたつまるは、五月病から復活することができました。そういう意味では、僕の作戦は結果オーライだったと言えるでしょう。
余談ですが、結局その夜も「明日から小学校が始まるけど、絶対に行きたくないよお」と泣きましたが、翌日に学校から帰って来た時には「友だちと公園であそんでくるね!」と平常運転に戻っていましたとさ。
(C) Konami Digital Entertainmen
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