『夢現Re：After』主演声優インタビュー連載。第6回はマリー・マーラー役の池澤春菜さん

　工画堂スタジオから4月23日に発売されるPS4/PS Vita/Nintendo Switch/PC/Steam『夢現Re：After』。本作に出演する声優へのインタビュー連載をお届けします。

　『夢現Re：After』は、ゲーム制作会社アドベンチャー『夢現Re：Master』の追加コンテンツ集。特定の2人が紡ぐ、“その先のアフターストーリー”がたっぷり用意されています。

　インタビューでは、演じた役や特徴、物語についてお聞きしています。なお、前作『夢現Re：Master』のネタバレが一部含まれるため、ご注意ください。

マリー・マーラーを演じた池澤春菜さんへのインタビュー

――再び収録することになりましたが、予想していましたか？

　前回の収録後に「人気が出たら、続きを考えています」と伺っていました。実際に収録することを聞いて、ファンディスクは本編とは違って、より遊べることがあるので、内容が楽しみでした。あと、ほのかルートにも期待していました。

　ただ、他の人のルートは断片的にしかかかわっていないので、そこはプレイヤーとして楽しみたいですね。

――収録はスムーズだったとのことですが、いかがでしたか？

　普段は前回の音声を聴かせてもらって、キャラの感じをつかんで収録するのですが、マリーはすっと入れるので、そこまでキャラを作らずに挑みます。

　マリーはとにかく懐が深い人。恋の応援役になる時は余裕をもって対応するのですが、ただ、自分の時は余裕がなくなるんです。そこは今日も味わわせていただきました。そういう点では前作と大きな違いはなかったですね。

――語学留学の関係で、収録が大きく開いているとお聞きしました。

　そうですね。最初にマリーアフターを収録して、2カ月くらい開いて、残りを収録しました。それでも役にすっと入れたので、マリーが自分の中の無理のない場所に存在していることを改めて感じました。

――留学先で大変だったとのことですが……。

　チリにいたのですが、夜間戒厳令が出るほど大きな暴動が起きました。街中を軍隊の車や放水車が走り回り、催涙ガスや火炎瓶が飛び交う状況でした。

――言い方はよくないのですが、お聞きする状況はマリーの状況と近いですね。

　そうなんですよ！　なので、マリーと私がシンクロしていると感じました。

　日本だと軍隊を拝見することは少ないのですが、私がいた家の近くには軍の士官学校があり、マリーの国を守る覚悟や軍人としての心構えなどを少し理解できた気がしました。

――留学中にいままでにないような体験はありましたか？

　催涙ガスを2回ほど吸いました。今後、もし催涙ガスを吸ったキャラが出てきたら、誰よりもリアリティのある演技をやれます！

　ノドがすごく苦しいうえに、肌がビリビリしました。レモンの酸で中和するのがいいらしいのですが、普段からレモンを持ち歩いているわけではないので、お店に入ってレモンティーを買いました。

――前作を遊ばれたユーザーから気になる意見などはありましたか？

　日本に私がいなかったので、逆にお聞きしたいのです！　SNSでは見ていて、マリールートの最後を楽しんでもらっている声や、その状況の感想を述べている人は確認しました。

　ただ、他のメンバーがキャラの確立されている濃い人ばかり……マリーさんは軍人といういいキャラ付けでありながら、「目立っていないのでは？」という不安がありました。

ディレクターのみやざーさん：マリーはほのかと同じで、いわゆる“大人枠”になります。メンバーが楽しんでいる時に一緒に騒ぐのではなく、一歩引いて見守る立場。そういうところでちょっと損をしているかもしれません。

――確かにそうかもです。

　でも違いが分かる人はマリーを理解してくれると思います。『ゆリマスター』のこころルートをクリアしてゲーム全体の本質がわかってからマリールートを見ると、また違ってくるはず。なので、感想をぜひ送ってください！

――今回の収録で印象的だったシーンをお願いします。

　マリールートである“ダブル●●”に驚きました。また普段見せないような、本気のマリーさんが出てくるので、演じていて楽しかったですね。超アマアマな姿と、心を殺したマリーさんを楽しめて、やりがいがありました。

　あと、こころアフターでは踏み台になっていく咬ませ犬役になるので、そこも注目です！

――前作をふくめて、夢現シリーズの魅力とは？

　1つは“ゲームを作る”という、私たちに身近な舞台で物語が成り立っていることです。

　作っている人が描くからこそ見えるところがあれば、つらいところもあります。さきやマリーがぶつかる悩みは、ゲームを作っている人も実際にぶつかっている問題。まったく知らないファンタジックな世界を描くよりも大変で、身を削るような作業だったと思います。

　劇中でマリーが「どんなクリエイターの中にも恐れがある。だからこそ前に進めるのかもしれない」と発言するのですが、このようなセリフが出てくるのは、ゲームを作っている人が描いているからだと思います。

　遊んだ人に、ゲームを作る喜びだけでなく、つらさを示しているのは画期的だと思いました。

　あとは、女性しかいない世界です。SF的な設定を踏まえ、細やかに作られています。でも、あまりに自然に作られているから、収録中にも違和感がなくて、間違えて解釈してしまうことがありました。それは普段からいかに男女をわけて考えているのか、無頓着なのかを教えてくれました。

　ただ、女性同士が結婚して、思いやれるような世界は美しいと思いました。ぜひ、そこを見てほしいですね。