『スクスト』6周年記念インタビュー。これからも“女の子が主役”というコンセプトは変わらない
- 文
- 紅葉つかさ
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スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『スクールガールストライカーズ2』が、2020年4月10日に6周年を迎えたことを記念して、プロデューサーの赤塩裕之さんにインタビューを実施しました。
前編となる本記事では、開発コンセプトやシステム面でのお話を伺いました。
変えられるところはすべて変えるくらいの意気込みで
――2014年4月の配信から6周年を迎えた今のお気持ちをお聞かせください。
赤塩:リリースが2014年4月なので、その年に小学校に入学した子が中学生になるくらい続けられていることに驚いています。
周りを見渡しても6年も続いているタイトルはそこまで多くないので、すごいフェーズに入ったと思います。隊長さん(ユーザーの皆様)に支えてもらってここまで続いたと思うので、感謝してもしきれないですし、『スクスト』を一度でも遊んでくださった隊長さんにも合わせて感謝を伝えたいです。
――『スクスト』は3Dモデルやストーリーなどがしっかり作られていますが、開発コンセプトや目指した部分をお聞かせください。
赤塩:ずっと変わっていないコンセプトとして、“女の子が主役”ということがあります。
これまでに機能拡張やコンテンツを追加しましたが、すべて女の子を魅力的に見せるためで、“女の子が主役”というコンセプトはこの先も変わりません。また、誰か1人ではなく、登場する女の子全員をできる限り平等にかわいく見せていきたいというのも大きなコンセプトとしています。
逆にこのコンセプト以外はすべて変えてもよいと思っています。もちろん、遊んでいる方々が望まない変え方は絶対にしてはいけないですが、どうしても飽きというのはくるので、つねに生まれ変わっていることを見せるべく、開発を行なっています。
――さまざまな3Dモデルを作るというのはとても大変だと思うのですが、いかがでしたか。
赤塩:『スクスト』の良さのひとつが軽快な動作で、3Dを動かしても動作が重くならないということがあります。そういったことができるからこそ、3Dモデルを使ってイベントシーンを積極的に作れています。
――3Dモデルのブラッシュアップなどの変更はされているのですか。
赤塩:女の子たちの立ち絵はもちろん、コスチュームのブラッシュアップはつねに行なっています。
3Dモデルで表現できることのなかには、6年前にはできなかったこともあるので。もしかしたら昔からプレイしてくれている隊長さんの中には、変わったことに気付いている人もいるかもしれませんね。
――これまで『スクスト』の開発スタッフが表に出ることは少なかったと思うのですが、2019年に開催されたリアルイベント“エテルノベジタブル大作戦!”では開発スタッフの出演もあり、驚きました。
赤塩:年末に行なった開発の裏資料公開もそうなんですけど、アンケートでそういったものを見たいという声が多くて、長くプレイしてくれている隊長さんにとってはそう思うのも自然な感情かなと思います。
それならば、見せられる部分は限定されますけど、プレイしていただいている隊長さんと分かち合いたいという気持ちがあるので、今後も、顔出しNGのスタッフ以外はどんどん出していき、いろいろなお話をしていくつもりです(笑)。
――リアルイベントでのカレーは美味しかったですし、開発スタッフの裏話も楽しかったです。会場ではサプライズ的なサイン会も行われていましたが、あれは予定にあったのでしょうか?
赤塩:全く考えていなかったですね(笑)。イベント終了後に隊長さんと軽く挨拶をするくらいの感覚だったのですが、途中からサインをお願いされることが増えて、驚きながらもうれしかったですね。
――イベント中に配られたランチョンマットにサインをお願いしている方が多かったですね。周りの動きを見ながら臨機応変に立ち回る方が多くて、『スクスト』の隊長さんたちの連帯感を垣間見たような気がしました。ちなみにそのときには隊長さんとどのような話をされたのでしょうか。
赤塩:こちらからは、「どこから来ましたか」や「どの女の子が好きですか」なんて話をしましたが、隊長さんからは質問ばかりでしたね。
ストーリーに関する鋭い考察をぶつけられてたじたじした部分もありましたし、「最近、○○の出番が少ないんじゃないか」なんて、推しの女の子への愛をぶつけてくださる隊長さんもいました。こういった生の形でのご意見は本当にありがたく、印象に残りましたね。
それにしても、本当に『スクスト』の隊長さんたちは温かい方が多くて、マナーがいいんですよね。
オフィシャルな形で開発スタッフが隊長さんと会うのは初めてだったのですが、やはり数年もゲームを通じて接点があったからか、初めてという感じがしませんでした(笑)。
『スクスト』は隊長さん(ユーザーさん)の素晴らしさが誇り
――リアルイベントと言えば、夏の特製シール配布イベントを長く続けられていますが、このイベントでの隊長さんの反応もリアルイベント開催のきっかけになったのでしょうか。
赤塩:そうですね。シールイベントで隊長さんたちの喜びや交流を実際に見てきたことは、リアルイベントを増やしたいと考えるきっかけになりました。
毎年やっているからこそ気付くこともありまして、回数を重ねるごとに隊長さん同士の距離が近くなっていると感じています。
シールイベントの時期とパセラコラボの時期をあわせるなど、できるだけ隊長さん同士の交流を盛り上げるようなことはしてきましたが、もっと隊長さん同士の交流をできるようなイベントもやりたいと考え、リアルイベント“エテルノベジタブル大作戦!”の開催にもつながったんです。
シールイベントは『スクスト』が誇る成功イベントで、隊長さんがマナーを守って仲良くやってくれるという信頼があるからこそ、こちらも臆せず開催できるイベントとなっています。隊長さんの中には、ボランティアで誘導をしてくれる方もおり、そこまでしてくれる方の熱意はお金で買えないので、すごくありがたいです。
――シールの配布が終わった後、女の子たちがキレイに見えるように、壁面に残ったテープをちゃんとはがしていくという恒例の“おそうじ”の流れもすごいですよね。
赤塩:あれは……本当に感動しましたね。我々からお願いしたわけでなく、自主的に生まれた“おそうじ”が今や恒例となっていることは、『スクスト』の素晴らしい隊長さんたちだからこそだと、胸を張りたい気持ちがありますね。
――確かにすごいことですよね。そういったことも踏まえて、リアルイベントを増やす予定などは。
赤塩:“エテルノベジタブル大作戦!”に来ていただいた隊長さんは全体のごく一部で、参加できなかった隊長さんも多くいるので、今後、そのあたりをどうやってカバーするのかが課題だと考えています。参加人数だったり、開催場所だったり、いろいろと考えていきたいですね。
また、最近は新型コロナの影響もあって、リアルイベントの実施には慎重にならざるを得ない部分がありますが、何かしらの形で隊長さんたちとのコミュニケーションをとれるといいなと考えています。
――リアルイベントも含め、6年間でさまざまなイベントが行なわれてきましたが、とくに印象に残っているものはなんですか?
赤塩:たくさんのイベントを開催してきましたので、ひとつをあげるのは難しいですね。リアルイベント“エテルノベジタブル大作戦!”でお話したように、夏のシールイベントは特に思い出深いものがありますけど。
うーん。イベントではありませんが、『スクスト』の長時間メンテナンスのときにSNSで隊長さんから「ゆっくりでいいんだよ」といった励ましの言葉をいただけたときは、すごくグッときましたね。
こういった温かい隊長さんが『スクスト』を応援してくださっていることは、自分の中では誇らしく思っています。だからこそ、「もっと早くメンテナンスを終わらせなきゃ」とプレッシャーも感じつつ、今後も隊長さんにと誠実に向き合っていかないとダメだなと思う瞬間でもあります。
これからも踏み込んだ妖魔(オブリ)を考えていきたい!
――タイトルを『スクールガールストライカーズ』から『スクールガールストライカーズ2』に変えたとき(2018年5月8日)は大きな転機だったと思うのですが、やはり、そこにいたるまでの開発などは大変だったりしたのでしょうか。
赤塩:4周年のときのことですね。あのときはエピソードIIIが終わり、メインストーリーがひと段落したこともあり、「『スクスト』を生まれ変わらせたい!」という気持ちが大きくて、わかりやすいところでタイトルを刷新しようと考えていました。
先ほどの繰り返しになるのですが“女の子が主役”というコンセプトは絶対に変わらないことを隊長さんにお伝えしないといけなくて、“『スクスト2』になったらそういう部分が変わっちゃった”なんて印象を与えないようにするのに苦労しました。
――『スクスト2』にリニューアルしたタイミングで、プレイヤー数は増えましたか。
赤塩:新しく遊んでくれる隊長さんは一気に増えましたね。6周年もそうできればと思っていて、新コンテンツの“境界プラトーン”に力を入れています。
20人を一気に出撃させられる新要素となり、今まで遊んできてくれた隊長さんから見ても新しい印象を与えるコンテンツになっていると思います。なので、これを機会にすでに遊んでくれている隊長さんはもちろん、遊んだことがない人にも遊んでもらえればいいですね。
――エイプリルフールなど面白いイベントも多いですよね。
赤塩:私が一番大事にしているのは、なるべくほかでやっていないことをやろうということです。リアルイベントで“リアルに育てた野菜をみんなで一緒に食べる”というのも、その流れです(笑)。ほかのタイトルでは難しくても『スクスト』ならできるものを見つけるというスタンスを大事にしています。
例えばフェイの誕生日記念に行った“まじかる・(てん)ぷてーしょん”は、小岩井ことりさんに振り付けを考えてもらってダンスをしていただいたのですけど、最初は誰もあんな感じになるとは思っていなかったです(笑)。
ある意味では悪ノリだったのかなとも思いますが、皆さんに喜んでもらえるように調整しながらお届けするというのは『スクスト』らしい作業で楽しかったです。
――ゲーム内の妖魔(オブリ)についても、よくこんな発想が出たなと思うものがいくつかありますよね。
赤塩:『スクスト』らしさを体現するものかと思います(笑)。社会問題に切り込むものなんかもありますし。あまりに鋭く切り込みすぎて、自主判断でボツにすることもあるくらいです(苦笑)。
――チーム内での議論も活発そうですね。
赤塩:それがチーム内で一番楽しいコミュニケーションかもしれませんね(笑)。
長く続けている作品なので開発スタッフの入れ替わりはありますが、不思議なことに、全員が“女の子を可愛く見せたい”というマインドを持っており、同じ方向を見て作っていけているのは、うれしいことですね。
――確かに! いろいろな挑戦を行ってきた『スクスト』ですが、そのなかでもエピソードIVにあたる“エピソードキラル”は、ユーザー投票でストーリーを決める特殊なものでした。やはり苦労した点もあったのでしょうか?
赤塩:シナリオを担当した高橋によると、怖かったと話していました。隊長さんの投票結果を受けてから急ぎでシナリオをまとめないといけないというスケジュール的な部分もそうですし、物語の展開を自分ではない第三者(隊長さん)に委ねることで、自分が制御しきれなくなってしまうような怖さもあったようです。
※公式サイトには、エピソードキラルにおける物語の分岐表が掲載されています。
ただ、始めた以上、途中でやめるわけにもいかず、走りきるしかないので何とか走りったという感じですね。結果的にはとても面白い物語となり、数あるゲームのなかでも本当の意味で“プレイヤー参加型”を実現できたので、よかったです。
――また、このような形でやるとしたら大変ですね。
赤塩:本当に大変でしたからね(苦笑)。良い部分もありますが、どうしても運営計画を立てにくくなるリスクもありましたので。でも、また面白いアイデアが出て、やる意義が多いと考えれば、頑張ってまたやるかもしれません。
ラノベスタイルRPGとして、選択を遊び手である隊長さんにゆだねて、その結果で物語が続いていく。遊び手の方々とのコミュニケーションができていないとなかなかできないことだと思いますので、いま考えてもよく走りきれたと思う部分はありますね。
――リアルタイムで遊んだ人にはより思い出に残る試みだったと思います。
赤塩:こういった裏話をさせていただく機会もあればいいですね(笑)。
インタビュー後編は近日公開
インタビュー後編では6周年アップデートの見どころや、そこに込めた思いをお聞きしました。隼坂翠が新メンバー追加になった理由などもお聞きしたので、ぜひお見逃しなく!
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『スクールガールストライカーズ2』特集ページ(電撃オンライン)はこちら
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スクールガールストライカーズ2
- メーカー: スクウェア・エニックス
- 対応端末: iOS
- ジャンル: RPG
- 配信日: 2014年4月10日
- 価格: 基本無料/アイテム課金
■iOS『スクールガールストライカーズ2』のダウンロードはこちら
スクールガールストライカーズ2
- メーカー: スクウェア・エニックス
- 対応端末: Android
- ジャンル: RPG
- 配信日: 2014年5月8日
- 価格: 基本無料/アイテム課金