怪盗団の日常をリアルに描く『P5』コミック第2巻が発売! 人気の秘密を斉藤ロクロ氏に独占インタビュー
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『ペルソナ5(P5)』の心の怪盗団“THE PHANTOM”(ザ・ファントム)。そのスタイリッシュな世界観はそのままに、ゲーム本編とはひと味違った怪盗団の世直しライフが楽しめるコミック『P5 メメントスミッション』の第2巻が3月27日に発売されました。
発売を記念して、マンガ家の斉藤ロクロ先生に直撃インタビューを敢行。第2巻の見どころや怪盗団への想いを熱く語っていただきました。
本記事を読めば、より深く作品を楽しめること間違いなし。また、インタビューの最後には、あなたの心を奪う豪華プレゼント企画もあるので、怪盗ファンの皆さんは見逃せませんよ!
CHECK!! 『ペルソナ5 メメントスミッション』とは――?
アトラスが放つ、大人気RPG『ペルソナ5』の新作コミック。昼はふつうの高校生、夜は悪いオトナを改心させる心の怪盗団“THE PHANTOM”のリーダーとして暗躍する雨宮蓮を主人公に、警察には解決できない怪事件の謎に挑みます。
ゲーム本編に登場する大衆のパレス“メメントス”にまつわる怪事件を軸に、コミックならではの楽しいストーリーが展開中です。また、現在電撃マオウで好評連載中です。
斉藤ロクロ(さいとうろくろ)さんプロフィール&最新情報
マンガ家。代表作は、電撃コミックスNEXT『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(全4巻)、電撃コミックスNEXT『GOD EATER 2 ‐undercover‐』など多数。『一血卍傑‐ONLINE‐』では、ハットリハンゾウのキャラクターイラストも手がけている。公式Twitter:@s_696
『P5』がこだわっている“街”をコミックでもしっかり描く
――コミック『P5 メメントスミッション』の第2巻発売、誠におめでとうございます。今の素直な心境を教えてください。
斉藤ロクロさん(以下、ロクロ):ありがとうございます! 担当編集の厳しい原稿チェックに心折れそうになりながらも、連載を続けてきて本当によかったな、と(笑)。
今はよい本ができたので、早く読んでもらいたい気持ちでいっぱいですね。今回も装丁がよいんですよ。第1巻同様、imagejackの團夢見さんが担当してくれたのですが、『P5』のデザイン要素の1つであるグラフィティー(ストリートアート)を取り入れてもらって、カッコよく仕上がっています。
第2巻のテーマは街。カバーを外して、表紙から口絵、目次と都会の裏路地っぽい雰囲気になっています。ぜひ見てください!
――『ペルソナ5』のゲーム本編もそうですが、この作品も怪盗団が街へ出て活躍するシーンが多いですね。第2巻も街角で起こる事件がいろいろあって……。
ロクロ:そうなんですよ。東京ウォーカーの取材かってくらい、都内のいろんなところへ行っている(笑)。
まずは蒼山一丁目の秀尽学園から始まって、市ヶ谷の釣り堀、秋葉原のメイド喫茶、警察署、新宿のにゅぅカマー、渋谷のブチ公前、ビックリぼーい(ファミレス)、アンタッチャブル(ミリタリーショップ)、四軒茶屋の富士の湯……などなど、これが映画なら「撮影が大変だから」という理由でNGを食らうロケーションの多さです。
でも、雨宮蓮と怪盗団の日常生活をリアルに描くのが本作の目標でもあるから、背景アシスタントさんにも気合入れてもらってますね。ゲーム本編をプレイしたファンの方は、「あの場所だ!」とすぐにわかってもらえるはずです。
――ゲーム本編らしさと言えば、第2巻にも『ペルソナ5』のGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)のデザインを連想させるカットがありますね。
ロクロ:はい。『ペルソナ5』のデザインコンセプトである“ポップパンク”の要素は本当にかっこいいので、自分も大好きなんです。反逆って感じで!
それをコミックの画面にも落とし込もうと工夫していて、そのあたりも楽しんでいただけたらと思います。
初の改心シーンは蓮の心に秘めた激情を“青い炎”のイメージで描いた
――では、気になるコミックス第2巻の内容についてお聞きします。ロクロ先生ご自身が考える、見どころやこだわったシーンを教えてください。
ロクロ:まずは“初メメントス”のシーンかな。『メメントスミッション』というタイトルにもある通り、この作品はゲーム本編に登場する大衆のパレス“メメントス”に潜むターゲットとコープキャラクターのエピソードを絡ませながら、コミックならではの物語が展開していくのが魅力です。
つまり、怪盗団が悪人をメメントスで改心するシーンが大きな見せ場なので、やっとそのシーンを描けたんですよ。ぜひ見ていただきたいです。
――原作ゲームでは、リクエスト“芸能界のドンと呼ばれた男”のターゲットとして登場する朝倉史郎のエピソードですね? 麻倉に近づく怪盗団の足音がグラフィカルに表現されていて、蓮が初めてジョーカーとして改心に挑む姿が印象的でした。
ロクロ:足跡のシーンは、『P5』らしさと読みやすさを考えてです。マンガってコマを割らないと物語が進まないんですけど、ページの都合で演出に使えるスペースがあまりない時は、思い切って3コマぐらいの要素を1カットに圧縮しています。そのほうがインパクトあるし、電子書籍で読んでも見やすい画面になると思うので……。
ジョーカーが銃を構えて麻倉を追い詰めるシーンは、個人的にもすごく印象的で。「言動や表情をもっと怒らせたほうがいいのでは?」という提案もあったけど、あの場面では仮面の下に渦巻く激情を静けさで表現したいと思いました。
ロクロ:これは完全に自分の印象ですけど、蓮は感情を表に出さない時ほど、多くを語るというか、その想いが強く伝わってくるというか。彼の目ヂカラが強いのも、目は口ほどに……だと思うんですよ。あと、蓮たちの仮面から出ている炎って青いじゃないですか?
現実世界では青い炎って静かに見えるけど、実は非常に高温で激しい。そのイメージが雨宮蓮という名前が内包している青のイメージと自分の中で重なっているんです。
だから、あの場面は“青い炎”の蓮なんだと――。それから、岩井さんの改造銃のエピソードは第1巻から引き続き、こだわって描いていますね。
――ゲーム本編ではコープキャラクター・岩井宗久の“闇の取引き・改造銃を狙う男”として描かれる一連の騒動ですね。
ロクロ:(サムズアップをして)左様でございます。岩井さんのエピソードは、悪党と呼ぶにふさわしい男が登場するし、都会が舞台の『P5』らしさが出ていると思うんです。
芝浦の再開発に、改造銃に、極道がらみですからね。岩井さんは本作ではツンデレトップランカーだと個人的には思ってるので、そのあたりも描きがいがあるんですけど(笑)。
コープの物語はもともとがコミックの文法で描かれていないため、表現に悩む部分はあるのですが、父と子の家族の絆が魅力的なお話なので、骨太な人間ドラマを描けたらいいなと。
また、秋葉原のメイド喫茶“アリスのエプロン”に、新島真と奥村春が体験入店するというエピソードも個人的には気に入ってます。
ゲーム本編にはメイド服を着るシーンはないんだけど、それが実現してしまうのがコミックの楽しさだと思うので。アキバにはなぜか謎の宇宙人も登場しますしね(笑)。意外なシーンに、ゲーム本編に登場する意外な人物がかかわっていたりするので、そのあたりもチェックしていただけるとオモロかろうと思います!
それから前回に引き続き、第2巻もアトラスさんのシナリオチームの方がしっかり監修してくださって、感謝に堪えません。時にはアイデアも出してくださったり、感想を伝えてくれたり、多忙なシナリオ作業の中で時間を割いてくれて……。
今のクオリティを保てているのも、アトラスさんの協力があってこそ。本当にありがとうございます!
蓮の筋肉は優しさの現れ!? 筋トレは仲間への愛だった?
――続いて、本作の主役である雨宮蓮と怪盗団メンバーについてお聞きします。今回も楽しいシーンがたくさんあるのですが、ご自身が考えるそれぞれの見どころを教えてください。
ロクロ:まず、第1巻の時も実感したんだけ雨宮蓮は本当に忙しい(笑)。あの男、どんなに怪盗ライフが大変でも学校をサボらないんですよ。
実はゲーム本編でも学校へ行って自習の時にサボってるだけで、さらにバイトでお小遣いも稼いで、世直しもする。本当にタフガイですよ。
彼はワケあって保護観察中だし、警察の目もあるから表向きは真面目な高校生を続けている……というところが、意外なドラマを生んで、コミック版の絶妙なスパイスになっていると思います。
――蓮と言えば、第1巻の第2幕で筋トレに励んでいるシーンがありますよね。ゲーム本編にも自室で肉体を鍛えられるわけですが(※HPの最高値が上昇する)、第2巻の第10幕を読むと、タフじゃないと怪盗団のリーダーはやっていられないなと思いました。
ロクロ:第2幕は“雨宮蓮の朝は早い”で始まって、「ギャグかよ?」って感じなんですけど(笑)。第2巻の第10幕を読んでもらえれば、なぜ蓮が体力作りに励んでいるのか感じてもらえると思うんです。
現実の怪盗団はペルソナを使えない、ふつうの高校生です。真先輩が合気道をたしなんでいるとはいえ、やっぱりちょっと強い女子高生でしかない……。
でも、渋谷の裏社会を牛耳る金城潤矢をはじめ、ゲーム本編で蓮たちが改心する悪党ってガチの危険人物が多いですよね。だから、蓮はひそかに仲間のために鍛えてる。いざって時に、自分が盾になって仲間だけでも逃がしてあげられるくらいの腕力は欲しいと思っている……そんな優しいリーダーなんだって思って、コミックを描いています。
――では、坂本竜司と喜多川祐介はどうでしょうか。
ロクロ:竜司は第5幕で描いた、春と杏との登校中の会話が好きですね。竜司がいると、会話が弾んで楽しい。彼の持つ天性の明るさが会話のポップさに表れている感じ。貴重なツッコミ役でもあるので、本当に頼りにしてますね。
祐介は第8幕の銭湯のシーンです。祐介と蓮が風呂に入りながら、“怪盗お願いチャンネル”の書き込み――女子高生の家庭内暴力疑惑が、ガセネタではなく、真実だったと話す場面です。
ゲーム本編をプレイして祐介の過去を知っていると、彼だからこその“言葉の重み”が出ているなって感じますね。
実はここのネームはめずらしくイッパツOKで、「自然な感情の流れでよかった」と担当編集から言われたので印象に残ってます。逆に第10幕のアクションパートは全ボツを食らって、心身が完全に死亡したので違う意味で忘れられないけど(笑)。
それぞれの個性を発揮して怪事件に挑む怪盗団の魅力を描く楽しさ
――続いて、怪盗団の女性陣はいかがでしょうか。まずは高巻杏から……。
ロクロ:杏はモデル仲間のミカとの会話ですね。今回、ミカは毒殺未遂事件の容疑者として疑われていて、匿名だけど怪盗団に犯人の改心を依頼している関係上、杏とのからみも多くて。つくづく、ミカと仲よくできる杏ってスゴイと(笑)。
ミカのプロ意識の高さを杏は認めているし、ミカは杏の正々堂々としている部分を認めているのですが、それが第6幕からも伝わってくるといいなぁと思ってます。
真先輩は、世紀末オーラを出したり、メイドをがんばったり、謎のナイフ男に襲われたり、第2巻の主演女優賞じゃないかな(笑)。真ファンは必見だと思います。
春ちゃんはお嬢様だから、上質を知る女性の目線で的確なアドバイスをくれるところですかね。真がひょんなことから入手した腕輪をダイヤモンド製だと推察したり、父親と交流のあった宝石商から情報を仕入れてくれたり……。
春ちゃんに限らず、怪盗団のメンバーそれぞれが、自分の個性を生かして活躍しているのを描くのは楽しいですね。
双葉は竜司に続く貴重なツッコミ役の1人! 第6幕では豊富なオタク知識を生かして、メイド喫茶に体験入店した真先輩や春ちゃんにアドバイスをくれたりもするし、別の話数では得意のハッキング能力で蓮をサポートしてくれたりもする。実に頼りになります。
絵的には、コミカルでキュートな双葉らしい表情を描くのが楽しいですね。怪盗団でチャットしている時、こっそり1人だけ寝落ちてたりるので(笑)。
――では、蓮の相棒的存在でもあるモルガナはどうでしょうか。
ロクロ:モナはつねにかわいい。なんというか、かわいいよね。猫っていいよね。モルガナはいるだけでエライ。一生涯、かわいがる。一生かわいい。
――語彙力が落ちてますね(笑)。
ロクロ:猫を前にした人間は無力なのです。
――モルガナに代わって、「猫じゃねぇし」と答えておきます(笑)。
ライバル関係にある明智吾郎との共同捜査のゆくえも見どころ!
――では、蓮のライバル・明智吾郎はいかがでしょうか。今回、芸能事務所社長の毒殺未遂事件では、蓮から協力を依頼されて共同捜査をすることになりますが。
ロクロ:表向きは、ですけどね。純喫茶ルブランのカレーとコーヒーを報酬に、彼はホームズ役を引き受けるわけですよ。でも、本心はどうかな……。
実は最新作の『P5R』をプレイすると、明智の内面を描くのが逆に難しいと感じますね。『メメントスミッション』の彼は、時間軸的にまだ本性を出してないないので、表情や言動が影響されないよう気をつけています。
あとは第9幕もそうですけど、電話口のシーンが非常に多いんですね。で、都内のどこかで蓮と会話している。夜の歩道橋の上やヒップなカフェの時もあるけど、いつも1人なんですね。そこが彼らしいかなって……。
『P4』の八十稲羽なら、町内をうろうろしていたら絶対バッタリ誰かと会っちゃうな。大都会でよかったね、明智くん(笑)。
――最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
ロクロ:コミックス第1巻から1年以上お待たせして、本当に申し訳ありませんでした。当初は2巻で完結する予定だったので、単行本用に原稿を貯めていたんです。
でも、読者の皆さんの声援のおかげで3巻構成にできることになり、この時期に第2巻をお届けすることになりました。
今後もゲーム本編のエピソードを軸に、コミック版ならではの楽しい物語が展開しますので、どうか最後まで読んでいただけたらうれしいです。
ぜひ感想なども聞かせてください。直接、こちらに伝えるのが恥ずかしいという人は、SNSで“#メメントスミッション”で感想を言ってくれたら、こっそり読みますので。そして初夏に予定している第3巻の発売もどうぞよろしくお願いいたします。
――ちなみに、本作は蓮が純喫茶ルブランで居候していることもあり、コーヒーを飲むシーンが多いですね。ロクロ先生はコーヒーが好きですか?
ロクロ:飲みますね。深煎りの酸っぱくないコーヒーが好きです。以前はカフェオレしか飲めなかったのですが、メイプルシロップをドパッと入れるとブラックでも飲めることが判明して。
――ええと、それは正確には“ブラック”ではないですよね?
ロクロ:(確信の表情で)ブラックです。黒いもの。ブラックコーヒーを飲めるようになったと言っても過言ではない。
あと、じゃがりこは祐介には悪いけどチーズ派です。この2つがあれば、原稿が進みますね。純喫茶は敷居が高い気がして、いつも自分のハンドドリップでコーヒーを入れて飲んでいるのですが、ルブランがあったら実際に通いたいですね。惣治郎が入れたコーヒー、飲みたいですな~。
ロクロ先生があなたの“推しキャラ”を描き下ろしてプレゼント!!
電撃コミックスNEXT『ペルソナ5 メメントスミッション』第2巻の発売を記念して、超豪華企画が実現しました。
斉藤ロクロ先生が、あなたの大好きな『P5』キャラクターを描き下ろして、2名にプレゼントします。これは世界に2つとないオタカラを入手するチャンス! 下記の募集要項を熟読の上、ぜひ奮ってご応募ください。
応募方法は、下記の住所へのハガキ&封筒での応募となります。
募集要項
下記を記載して郵送してください。
(1)氏名
(2)郵便番号・住所
(3)電話番号
(4)ロクロ先生に描いてもらいたい『P5』キャラクター(※コミック『P5 メメントスミッション』に登場するキャラクターのみ)
あて先
ハガキ&封筒での応募
〒102-8177 東京都千代田区富士見2-13-3 角川本社ビル 電撃マオウ編集部
「P5MM第2巻発売記念のオタカラがほしい!」係
応募締め切り
2020年6月1日(当日消印有効)
※提供された個人情報はアイテムの発送以外の目的では利用されません。
※当選者の発表はプレゼントの発送をもって行われます。
※譲渡・転売しないことが応募・当選の条件となります。
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