『絵師神の絆』で“戦うヒロイン”として参戦する伽羅少女メルモ。彼女のデザイン完成までを語る!【電撃PS】

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 ”鉄腕アトム””ブラック・ジャック”など、不朽の名作を世に生みだした“漫画の神様”手塚治虫氏。『絵師神の絆』は手塚作品のキャラクターたちを美少女化し、“シメキリ”と呼ばれる敵と戦うスマートフォン向けゲームアプリだ。4月7日に配信が決まった、本作に登場する“伽羅少女”の1人、メルモが生まれるまでをお届けします。

 手塚プロダクションとコンパイルハートがタッグを組んで世に贈るスマホアプリ『絵師神の絆』。今回は、本作に登場する“伽羅少女”の1人、メルモを描いたイラストレーター、平野克幸氏のインタビューをお届け。原典である”ふしぎなメルモ”のヒロインであるメルモは、いかにして“戦うヒロイン”になったのか? 設定画とともにメルモが生まれるまでに迫っていく。

――“手塚治虫作品のキャラクターの美少女化”という『絵師神の絆』のコンセプトを、はじめに聞いたときの感想を教えてください。

平野克幸氏(以下、敬称略):まず、手塚治虫作品と言えば昔から慣れ親しんだ題材で、おもしろそうだと思いました。しかし、原典としてキャラクターが存在するにも関わらず、再度それをキャラクター化するという企画に「どうすればいいだろう?」「大変な作業になるだろうな」という気持ちはありましたね。

――やはり手塚作品を扱うということで、プレッシャーになったのでしょうか?

平野:作品は誰もが知っているので、下手なことができない一方で、守りに入りすぎてもダメなんですよね。

――『絵師神の絆』が本格始動する以前に社内コンペがあったとお聞きしました。このときもメルモを描いたのでしょうか?

平野:そうですね。メルモ以外にも、試しにラフとしてアトムを描いたりもしました。結果としてアトムは残りませんでしたけどね(笑)。

――手塚作品のなかで、好きな作品や思い入れのある作品を教えてください。

平野:たまたま読んでいた“火の鳥”が印象深いですね。最初の出会いは、小学生くらいだったと思います。親戚の家に単行本がありまして、当時はそれが手塚作品とは意識せず読んでいたと思います。作品のインパクトが強く、思い出に残っていたのですが、手塚作品だと認識したのはしばらく経ってからでした。その出会いのあとですと、アニメ版の“ジャングル大帝”や“三つ目がとおる”など、何度もリメイクされている作品には自然と触れてきていますね。

――今回イラストを担当されたメルモに対しての思いをお聞かせください。

平野:以前、“テヅカオトメ展”に参加させていただいた経緯もあり、“メルモ”には特別な思い入れがあります。私が担当したPSPのゲームに『恋花デイズ』というタイトルがありまして、「花をテーマにしているので、かわいらしい手塚作品がピッタリ合う」ということでコラボにいたったんですね。それで、この作品とコラボする手塚作品なら「雰囲気的にメルモでは?」と推薦して頂いたんです。実際に参加して楽しかったですし、その結果として今回メルモを担当させていただきました。

――『絵師神の絆』で、メルモへの担当が決まったときのお気持ちはいかがですか?

平野:『恋花デイズ』と同様、メルモに関わることができてうれしく思いました。実際にイラストデザイン作業に入る際は、気持ちが引き締まりましたね。

――メルモのイラストを手掛けることになり、最初にした準備を教えてください。

平野:TVアニメを見ながら原作の雰囲気を取り込みました。『絵師神の絆』は、最初からキャラクターのコンセプトが詳細に決まっていて、それを読み込むことからスタートしています。しっかりとした資料で、細かいデザイン的な指定も入っています。

  • ▲“伽羅少女”メルモの初期状態のイラスト。メルモのキーアイテムである赤と青のキャンディは、キャノン砲として生かされている。
  • ▲イラストからは見えないマントの裏側もしっかり作り込まれている。

――『絵師神の絆』は手塚作品を美少女化するというコンセプトですが、メルモといえば最初からかわいい女の子ですよね。今回のメルモで最も苦労した点はどこでしょうか。

平野:最高に、頭を抱えましたね(笑)。もともとかわいいキャラなので、どのようにいじるのかを考えました。メルモを現代的に解釈したうえで、コンパイルハートのフィルターを通すと……、現在のようなイラストになるというイメージですね。原典のデザインはシンプルで、ムダな要素がないんです。それと同じでは意味がないので、そこから少し変えつつ、コンパイルハートのキャラクターならではの華やかな要素を加え、ゲーム的なキャラクターに生まれ変わらせることを意識しました。

――最初から決まっていた方針はどんなものでしょうか?

平野:新たにデザインを追加しながらも、原典が持つ雰囲気をきっちりと見せるということですね。細部の調整であったり、原典の要素を匂わせるアイテムの追加などをしています。やりすぎると完全にオリジナルのキャラクターになるので、そこのさじ加減を大切にしています。これはメルモだとわかるギリギリのラインに落ち着けたかと思います。

――原典となっているメルモの、この部分を使ってほしいというディレクションはありましたか?

平野:特徴的な部分として、はねっ毛とかアメの瓶など、いくつかあります。『絵師神の絆』の全体的なコンセプトに関わりますが、レアリティが上がるにつれて服の露出度も増えていきます。メルモに関しては、最終的なレアリティの段階でキャラクターであるメルモっぽさが出るようにしているんです。衣装の色やセクシーな感じなどの原典の要素は最終形態で確認できます。そこから逆算するようなイメージで、通常状態のデザインが完成しています。普段のキャラクターを描く手順とは、ひと味違った感覚です。

  • ▲初期形態ラフ。最終形態から逆算してデザインされたとのこと。

――え、最終稿からデザインを作られたのですか?

平野:あくまでイメージのみですが、そこからスタートしました。「最終形態では、こうなるだろう」という構想を持った状態で、初期形態のデザインを行っています。メルモのセクシーな雰囲気とは少し違って女の子らしく落ち着いており、進化するにしたがってだんだん大人っぽくなっていくと。

――最も初期のイラストはどこからスタートしましたか?

平野:企画の最初期からです。現在とはだいぶ異なるゲームでした(笑)。ほぼ別タイトルと言っていいくらいのデザインのなか、一度メルモを描いてみたんです。でも、そのイラストは闇のなかです(笑)。日の目をみることはありませんが、最初期となるとそこがスタート地点ですね。

――そのデザインを始める前に、どのようなディレクションがありましたか?

平野:大きなディレクションは一切なかったです。今風のメルモではなく「とりあえず描いてほしい」ということでしたので、自分のイメージするメルモをそのまま現代的な表現としてアウトプットしました。

――キャンディのデザインの落とし込みなどは、いかがでしょうか?

平野:まず、当初からゲームそのものが変わった結果、今のデザインになっています。当初のコンセプトは、武器を使って戦うというものでしたので「ではキャンディを武器にしてはどうか?」と。そこからキャンディを撃ち出すためのものが必要だろうと考えて、現在のデザインになりました。

  • ▲拳銃やSFをイメージさせるビームガンといったイメージ。この段階では2色のキャンディは同じマガジン内に格納されている。
  • ▲砲身が大きくなり、2色のキャンディはそれぞれ別のマガジンにセットされている。

――女性と男性の記号もモチーフとしてあしらわれているようですね。

平野:メルモ自体に“性”の要素がありますので、そういったモチーフをどこかに入れたいと。企画の段階でアクセサリー的に入れてみてはどうだろうという提案があり、現在の形になりました。

――初期形態、中期形態、最終形態の3つがほぼ同時期に完成したのですか?

平野:そうですね。最初に完成したイラストは2番目(中期)の進化したイメージになります。ちょっとだけ露出した感じでしょうか。

――露出を増やしつつ、アイテムも増やすのが、進化のコンセプトなのでしょうか。

平野:アイテムはどんどん大きく派手になるにつれ、露出はどんどん増えていく。つまり、布の面積は少なくなっていくと……。

――手塚プロダクションからはなにかご指摘があったのでしょうか?

平野:イラストを確認しての反応は、おおむね良好だったと思います。かなり早い段階で、カラーの調整をお願いされた程度でしょうか。そのご意見を汲んだくらいで、武器の形状を含めて原型から大きく変わっていないと思いますよ。

――デザインの変遷をたどると、かなりスムーズに進んだのでしょうか。

平野:そうですね。ただ、細かい部分をいつまでも調整していました。主に布の面積と色味ですね。全体的な衣装のサイズも当初はこぢんまりとしていたんですが、完成形はひと回り大きくなっています。

――衣装の色味については、赤系が強いパターンと、水色が強いパターンがあるようですね。

平野:2パターンありましたが、最終的にはキャンディの赤をイメージして全体の統一を取っています。とはいえメルモらしくするにはどうすればいいのか、決定稿にいたるまでにかなり悩みました。

  • ラフ1/▲赤味が強いイメージ。
  • ラフ2/▲初期状態の完成版に近い。赤系の色味を抑えたことで、かなり柔らかい印象に。

――かなりピンク色が特徴的でメルモにピッタリと感じます。

平野:先ほどのお話にも出ましたが、赤と青をベースカラーにしています。ただ、そのまま赤と青で分けてしまうと、2つの色がかなり強い印象になってしまうんですね。そこを和らげて調整することで、現在のような色味になっているんです。強い色はポイントとして残しながら、全体的にはふんわりとした色合いにしています。色の使い方を褒められることが少ないので、正直に言ってうれしいです(笑)。

――最終形態では、腰から伸びるメカのようなデザインも見られます。これも最初からイメージされていたのでしょうか?

平野:最初の段階から、明確にパワーアップした状態をイメージし、異質なものを取り付けてデザインしているんです。最終形態に向かうにしたがって布の面積を少なくし、周囲のパーツを豪華にすることをつきつめていきました。ちなみにデザインをする途中で、かなり布を減らしつつ特徴的な部分を残しています。少ない布を着せるにあたって、「これなら自然に見えるかな?」と考えながら、原典の雰囲気から大きくかけ離れないよう注意しました。

――メカニック的なデザインには、SF感も見受けられます。

平野:改めて見ると、確かにSF感が強いですね。ただ、近未来的なアイテムって、他の手塚作品ではおなじみですよね。なので、メカニックの要素としてしっかり拾っています。

――平野さんがデザインされたメルモのアピールと、『絵師神の絆』を楽しみにされているユーザーさんへのメッセージをお願いします。

平野:原典のメルモは、かわいらしい普通の女の子なんですよね。ヒロインとして何かと戦うといったイメージではないんです。そんな彼女が「ゲーム化されて戦うヒロインになるのか!」という感覚を味わっていただきたく思い、デザインいたしました。シナリオのなかでさまざまなキャラクターたちとの絡みがあるので、手塚作品らしさとコンパイルハートらしさが混在する、そのコラボレーションを感じてもらえるとうれしいですね。

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※「株式会社手塚プロダクション」「手塚治虫」の塚は旧字体が正式表記