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【シャニマス2周年記念】制作P・高山祐介さんがこの1年を振り返る&ノクチルについてもコメントあり

てけおん
公開日時

 “enza(エンザ)”やPCブラウザ版、iOS/Android向けアプリで展開中の『アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス)』。その制作プロデューサーを務める高山祐介さんのインタビューをお届けします。

 今回のインタビューは、2020年3月に実施した募集に送られてきた質問に、高山さんが答えてくれたものです。電撃オンラインは、その聞き手として参加した形となっております。質問を送ってくださいました皆さま、誠にありがとうございます。

 また記事の後半では、アンケートで募集した“お気に入りのコミュ”で人気の高かったものについてコメントをいただいたり、先日発表されたばかりの新ユニット“ノクチル”についてもお話を伺っていますので、最後までじっくりとご覧ください。

  • ▲『シャニマス』の制作プロデューサー・高山祐介さん。

■ゲーム中のプロデューサーの外見や性格、生い立ちに具体的な設定はありますか? この手のゲームの主人公としてはキャラ立ちしているように感じていたので気になりました(ふぁふさん)

高山さん:設定はあるにはありますが、アイドルたちほどしっかりしたものではありません。『シャニマス』にはシナリオを書くライター陣が複数いらっしゃいますので、プロデューサーの基本的な部分がブレないようにするため、くらいの設定です。

 キャラ立ちの部分に関しては、そのアイドルを描くために必要だと考えた結果です。『シャニマス』においては、そうしたほうがよりアイドルたちのことを深く描写できるという判断ですね。プロデューサーが動くことで、アイドルたちにもドラマが発生しますので。

――おっしゃる通り、本作はプロデューサーがキーになるというか、物語にかかわっているシナリオが多いと思います。プロデューサーのセリフ量などについてはどうお考えなのでしょうか?

高山さん:プロデューサーのセリフ数を増やしたいということはありませんが、プロデューサーがアイドルたちをどうプロデュースしているのか、その描写は大事にしています。なので、例えば真乃がセンターであることについて悩んでいるならば、アイドルをプロデュースする立場の人間として、彼女に向き合って、解決していかなければいけません。プロデューサーは、どうしてもそのような立ち回りが多いので、シナリオを読んだ後に印象に残りやすいのかもしれないですね。

■シナリオイベント“きよしこの夜、プレゼン・フォー・ユー!”で組まれた6つのチームはどういった基準でメンバーわけされたのでしょうか? ぜひ知りたいです(藁々さん)

高山さん:明確な理由があるわけではないんですが、シンプルに同じユニットのメンバーを同じチームに入れてしまうともったいないなという気持ちがあり、そこをうまくばらけさせようというのがひとつ。そして、そんなに絡んだことがないメンバーたちが「こういう風に絡むんだな」みたいに思っていただきたいことがひとつ。そのあたりを踏まえて組みわけしていった形です。

 例えば、摩美々があさひや凛世のことを意外と気にかけるとか、樹里が冬優子のことを心配しているやりとりとか、ああいったシナリオはアイドルたちの新たな面を見せることにもつながるので、新しい組み合わせを試していきたいなと思っています。


――ユニットシャッフル系のイベントの予定は、これからもあるということでしょうか?

高山さん:未定ですが、やりたいなとは思っていいます。

■いまだに三峰結華が何を大事にしているのか、その軸が複雑すぎて明確に言語化できません。彼女はどういった女の子なんでしょう(まっさーさん)

高山さん:これはおそらく、【NOT≠EQUAL】三峰結華などのコミュがあっての質問だと思います。

――そうですね。【NOT≠EQUAL】三峰結華を経て、三峰がどういう女の子なのだろう? ということを知りたいという、この質問に似たものをいくつかいただきました。

高山さん:基本的に三峰は、他者との距離感や自分がどう見られているのかを気にしている女の子だと思っています。そこが如実に出たのが【NOT≠EQUAL】三峰結華だと思います。

 三峰の“距離感を気にする”という部分は、他者のパーソナルに踏み込みすぎたくないし、逆に踏み込まれすぎたくもないというもので、彼女の行動原理としてはそれが一番大きいのかなと思ってます

■ここ1年の限定SSR(特に4周目のSSRプロデュースアイドル以降)のカードパワーが恒常のものより圧倒的に高く、新規の方にお勧めできる恒常SSRプロデュースアイドル、SSRサポートアイドルがなくなりつつあると思っています。新アイドルをリリースする時にどんな点について気を配っているのか教えていただきたいです(とねりこさん)

高山さん:能力面で言うと、基本的には直近でカードが出たアイドルと、そのユニット内のアイドルと組み合わせてもらうと使いやすい、能力を発揮できるという流れを作っています。

 例えば、放課後クライマックスガールズ(以下、放クラ)で説明してみると、理想を言えば、果穂のSSRプロデュースアイドル1枚目が出たとして、それを軸に放クラの残る4人を集めていって強くして、そこで果穂のSSRプロデュースアイドル2枚目が出たら、果穂を入れ替えて……といった具合にユニットで循環していく環境がいいかと思っています。あくまで基本的には、ですが。

 あとは、ユニット間のバランスも考えていて、昔はアンティーカが上位にきて、放クラが上位に、一時期リンクアピール全盛時にはアルストロメリアが上位とか、ユニットが入れ替わっていくように、1つのユニットに固定化しないようにしています。

――なるほど。SSRプロデュースアイドルに関しては、そういった循環を考えてリリースしていらっしゃるんですね。ちなみに、サポートのほうはいかがでしょうか? 例えば、1周年の時に出たSSRサポートアイドル【駅線上の日常】櫻木真乃などは今でもよく使われているような印象があります。

高山さん:正直、サポートに関してはバランスを考えないといけないなと思う部分もあります。今例に挙げていただいた【駅線上の日常】櫻木真乃は、いち早くユニットマスタリーを組み込んだカードで、おっしゃる通りイルミネーションスターズ(以下、イルミネ)の育成などでは未だに使われる傾向があります。

 それと、【駅線上の日常】櫻木真乃は1年前に出たカードということもあって、特訓が進んでいるから強いという面もあると思います。ですが、他のユニットにもユニットマスタリー系のスキルを実装していますし、他のサポートスキルなども底上げをしたいと思っています。

■以前、月額パッケージなどを検討していると聞きましたが、その後どうなのでしょうか(だいちゃんさん)

――こちら質問は、以前電撃オンラインで行ったインタビューでお話しいただいたことをおっしゃっていると思います。

 これについては申し訳ないなと思っています。実は、2周年施策の一環として実装する予定ではあったんですけど、今は他の部分を優先してしまっている状況です。ですが、考えていないというわけではなく、早ければ5月くらいにプロデューサーの皆さんに何か動きを見せられるかもしれないという状況です。

■スポイトが初実装後、まったく販売されないのはなぜですか?(あるむさん)

 ごめんなさい! 本来は、気軽にEXスキルを付けはずしができるという環境が理想だなと思っているのですが、現状はそうできていません。せっかくの機会ですのでお話しますと、EXスキルの立ち位置を抜本的に見直す必要があるのでは? と思っています。

 ゲーム側としては「EXスキルの枠があまっているともったいないから付けておこう」くらいの感覚で遊んでもらえるのが理想だと思っています。ですが、例えば同じアイドルごとにEXスキルが分かれているのってこれでいいんだろうか? そもそもEXスキルの取り外しに特別な条件やアイテムは必要なのか? そういうところを見直さないといけないと考えています。そういったこともあって、スポイトに関しては、後回しにしてしまっている状態です。

 ただ、現状の仕様でもお使いいただいているユーザーさんもいらっしゃって、取り外したいという要望もあるので、そうした声に対応していこうと思います。

■2019年8月から12月までに田中摩美々ちゃんと三峰結華ちゃんの限定SSRが隔月ペースで実装され、両名を担当しているプロデューサーたちが大変そうでしたが、アイドルの実装順はどのように決めているのでしょうか?(みーとPさん)

高山さん:実装する順番に関しては割と色々な要素が絡み合っています。まずシナリオイベントが月初にあると、そのシナリオイベントのユニットのアイドルがイベント報酬として選ばれ、じゃあ同時にガシャ更新するアイドルを選ぶ際にはイベント報酬アイドルは選択肢から外れます。それではユニットの中から誰を出そうかという時に、例えば4周目のSSRプロデュースアイドルとして実装されていなかったら、4周目がまだ出ていない子を優先して選びます。

 要するにn周目のSSRプロデュースアイドルの前にn+1周目を出すことは、なるべく避けたいと思っています。というのが理想なのですが、制作の都合によってその通りにできない場合もあります。シナリオやアートの制作ラインの都合も加味しつつ、最終的なラインナップを決めていきます。

 なるべく被らせないようにはしたいのですが、どうしてもスケジュール繰りがうまくいかないことが出てきてしまうので、それは課題だな、と。

■シナリオが本当に丁寧に作られているなと感じますが、どのようにチェックや会議をしているのかなどシナリオ制作体制がぜひ知りたいです(はしおさん)

――先ほどシナリオライターが複数名いらっしゃるというお話を聞きましたが、ライターの方々は個々に動いていらっしゃるのでしょうか?

高山さん:ライターさんについては、アイドルごとに担当がいて、アイドル観やキャラ観がブレることがないようにしています。それを統括してチェックしているシナリオリーダーの方がいます。

 シナリオリーダーの方にはすべてのシナリオをチェックしていただいていて、全体を通して見ていないとわからないこと――例えばプロデューサーのキャラがブレていないか、このアイドルだけ親密さが前に出過ぎていないか――などをチェックしていただいています。そして、最終的には私とシナリオリーダーとでチェックしている形です。

――この1年だと、“Star n dew by me”のシナリオをはじめ、今までに出てきたカードやイベントのコミュをきちんと踏まえたうえでのシナリオになっていて、うならされてばかりです。アイドルごとに担当がいて……ということですが、ユニット全員が登場するようなシナリオは、どのように作られているのでしょうか?

 ユニットメンバーが多数登場する形のシナリオでは、複数のライターさんが関わってきますので、この場合はシナリオリーダーに統括していただき、ライター同士の意思疎通や、入れるべき要素を考えて制作を進めています。これも、キャラごとにブレを作らないためですね。

▲“階段の先の君へ”のシナリオも、他の樹里のカードのコミュを読んでからだと、何となくつながりを感じます。

■1周年を迎えた時の目標として“挑戦”を掲げていましたが、ユーザー目線からしてもかなりアグレッシブに挑んでいるように見受けられました。高山さんから見て手応えのあった“挑戦”を教えてください(まっすーさん)

高山さん:印象深いのは、やはりストレイライトを登場させたことかなと思っています。ストレイライトの存在やコンセプトは、今振り返ってみても挑戦的だったと思います。

 ストレイライトは、“賛否両論”をテーマにしているところがあるというか、シナリオ中でも、世界観の中で賛否あるような展開を入れています。例えば、イベントに出て他のアイドルの振り付けを真似してしまうとか。彼女たちは“わかりやすくいい子”ではない行動をすることもあって、今までの16人と比較した時に、そこからちょっとはみ出させてみようと思っていましたし、実際にさせています。彼女たちがこの1年での一番の挑戦だったと思います。

――冬優子も公式サイトのキャラ紹介がある日を境に変わったりしましたよね。

高山さん:発表が1stライブの3月10日で、登場が4月だったので、その間にプロフィールを徐々に明らかにしていって、4月にプロデュースができるようになったタイミングで冬優子の紹介を更新しました。あれは本当に小ネタというか、お遊び仕掛け程度ではありますが(笑)。

  • ▲こちらは変更された現在の冬優子のプロフィールです。

――ストレイライトを発表した時は緊張しましたか?

高山さん:それはもう緊張しましたよ! ストレイライトのお披露目は、1stライブに来てくださった皆さんに動画でお見せする形だったので、その反応もダイレクトに伝わってきますし、加えて、初めてのユニット追加だったので、緊張しましたね。結果的には盛り上がっていただけてよかったです。

――挑戦という点では、他にもこんな質問が寄せられています。

■高山プロデューサーは「2年目は挑戦の年にしたい」とおっしゃっていて、それを表すカードがSNSでも話題になっていた【NOT≠EQUAL】三峰結華のコミュだと思うのですが、開発当初からこのコミュを実装すると決まっていたのでしょうか? また、【窓辺・サイレントタイム】小宮果穂や【夢追いランナバウト】有栖川夏葉では夢の中で未来の姿のアイドルが出てきましたが、今後明確に歳を重ねたコミュを実装してみたいなどの考えはありますか?(Aizenさん)

高山さん:基本的には、開発当初から「この展開をやろう!」と決めていたアイドルは少ないです。ゲームをリリースしてから、プロデューサーとアイドルとして親密さを増していって、その中で「次に出すシナリオやカードでは、どんなものを描いてあげるべきだろう?」ということを、毎回話し合って作っているので、あまり予定されていた展開をなぞっているという感じではありません。

――カードなどを出した後、反響を見て、その後の展開を変えたりすることもあるのでしょうか?

高山さん:皆さんの反響で設定が大きく変わったりすることはありませんが、伝え方を変えることはありますね。ちょっと説明不足だったかなとか、情緒に寄り過ぎていたなという部分は、もう少し伝わるようにします。そういった反響は、SNSなどで見させていただいております。

――なるほど。では、そういった形で伝え方を変えたアイドルはいるのでしょうか?

 予想外といえば予想外だったのが、めぐるですね。あるシナリオについて割と考察をいただいていて、制作側の印象で言うと、ただ元気なだけの子ではなくて、めぐるの振る舞いにもパーソナルな部分が関わっているので、さもありなんという行動ではあったんです。

 ですが、「なんでめぐるはこういうことをしたんだろう?」という部分に疑問を持たれた方もいました。そこで制作側としては、めぐるがそう考える理由について情報が提示できていないのに、そのシナリオを公開してしまったのかなという反省があったんです。そこで“Star n dew by me”ではめぐるの心情を多く描き、軌道修正というか、情報を多く出したという形なんですね。

 難しいというと語弊がありますが、めぐるは決してシンプルな子ではなくて、いわゆる元気系な子ではありますが、それだけではありません。外から見た印象と、心情を描写した時に見えるものが違う……そんな子かもしれないですね。

――4コマ漫画の第55話でめぐるが泣いているじゃないですか。最初は灯織と同じように「それだけ!?」と、あくまで大げさな、ギャグ的な描写かと思ったのですが、“Star n dew by me”を読んだ後だと、あれって実はギャグじゃないんじゃないかなと思ってしまいました。

高山さん:基本的な設定は、ゲーム本編としっかり通底したものにしています。もちろん4コマ漫画ではデフォルメされている部分はありますが、アイドルたちがそんなに間違った行動を取っている部分はないんです。

――そうして見ると、4コマ漫画の第4話で灯織のそばでめぐるがじーっとしている様子もちょっと違ったように見えてきますね。

高山さん:めぐるが“さびしさ”というものを内包していることは、初期から設定にあった感じです。

――もうひとつの、“今後明確に歳を重ねたコミュを実装してみたいなどの考えはありますか?”という質問についてはいかがでしょうか?

高山さん:果穂に関してはすごい特殊で、至って個人的な願望でいつか制服を着てほしいなと思っていました(笑)。『シャニマス』は、時間は経過しているけど歳をとらせることがないので、果穂が進級することって、今の段階ではないんです。なので、制服姿を見るにはどうしたらいいかなということで、ああいう形になりました。

 夏葉に関しても、あれも歳をとらせることが意図というわけではありません。展開上、魅力的に描ける、楽しそう、おもしろそうなどの動機があればやるかもしれないですが、基本的には飛び道具ですね。

■企画段階でアイドルのキャラづけが最も難しかったのはどのアイドルですか?内容含めて教えてください(ティラミスさん)

高山さん:キャラ付けにはあまり難しいアイドルはいませんでした。どちらかと言うと、シナリオがどんどん増えていくことで、整合性や、なんでこういう行動をするのだろう? という部分のすり合わせが難しくなっていく感じです。

■この1年で1番大きな出来事がストレイライトの登場だと考えていますが、その1年を締めくくる最後に“薄桃色にこんがらがって”という、対になるようなシナリオイベントが、アルストロメリアの3人によって展開されたことに感服しました。ここまでが2年目の展開として、あらかじめ意図していた展開だったのでしょうか?(うぐみさん)

 どこのタイミングでどのユニットのシナリオイベントを入れようというのは、1年行かないくらい先まで考えています。内容については、ぼんやりしたもので、1年前からこんな内容にしようと、詳細までガッチリと決めていたわけではないですね。

 “薄桃色にこんがらがって”についてコメントすると、アルストロメリアの3人は合議制ではありませんが、3人が話し合って決めていくタイプのユニットで、大きな展開が作りにくいユニットだったんですよ。でも、いつかは大きな展開を見せたかったという思いがありました。このイベント以前は、アイドルとして3人がぶつかる場面もそんなにありませんでしたが、もう一段上のステージに上げる時には、そういうドラマというか、エピソードが必要だと思っていて、それが形になったのが“薄桃色にこんがらがって”というシナリオです。


■2019年のコミュには、摩美々の仲間や周囲との関わり方を描いた物が複数あり、カード登場の時系列に沿って彼女の変化を印象付けていると感じました。(【我・思・君・思】幽谷霧子のコミュ“かなかな”、【きまぐれのめぐみ】田中摩美々、【フィドル・ファドル】田中摩美々)そのようなキャラクターの変化については、企画のどの段階でどの程度意識しているものなのでしょうか?(カラスムギさん)

高山さん:摩美々について言うと、後々の変化というのは正直全然考えていませんでした。プロデューサーと摩美々の、プロデュースシナリオでの変化は考えていましたが、例えばあさひと摩美々の関係とかは、完全に後から生まれたというか、「摩美々だったらこうするよね」という形で生まれた展開です。そういう意味では、ある程度想定していたとも言えますし、先ほども話したように、ガッチリと決めていないとも言えます。

■シナリオライターの多岐に広がるあの知識(カルメンやオリーブ、ティン・パン・アレーなど)は先にカードのコンセプトを決めてから調べて作っているのか、知識が先にあってそれに合わせてカードのコンセプトを決めているのか(甜花ちゃんはガンに効くさん)

高山さん:これはどちらもあるかなと思っていて、カードの作り方では、こんなのが描きたいとシナリオ軸から発生するものもあれば、絵から入るパターンもあって、両方のパターンがあります。絵から入るパターンだと、こういう要素だからシナリオにこういうのが必要、だからこういうのを調べないとね、とかはあります。

 たまたまそこに持っている知識で対応できることもありますが、後から勉強して入れる知識もありますし、逆にこういう要素は絶対入れようとか、知識ベースで描いている部分はあります。

――イラスト先行でシナリオを決めていったカードの中で、代表的なものはありますか?

高山さん:例えば、【水色感情】杜野凛世とかは、割とお話を通してレコードのエッセンスが出てくるんですが、カードビジュアルが凛世が喫茶店でたたずんでいて、そこに古めかしい蓄音機がある……というもので、その中に当てはめるとしたら……という作り方をしました。他にももちろんあります。

――それとは逆に、シナリオ先行で作られたカードはどういったものでしょうか?

高山さん:シナリオイベントは、シナリオ先行の場合が多いですね。例えば【ドゥワッチャラブ!】桑山千雪では、どのシーンを切り取ると印象的かな? と考えてイラストが生まれてきた形です。

■コミュやイラストで高山さんの想像を超えて成長したなぁと思うアイドルはいますか?(美月さん)

 成長で言うと凛世とかですね。当初の想像していた凛世ってやっぱり言葉数がなくて、控えめで、っていう感じの子だったんですけど、今は越境してボケに乗ったり、ちょっとテンポはゆっくりですけどツッコミを入れたり、フォローできたりするようになって。そういう対人的なところでは成長かなと思っていて、そういう意味では灯織もすごく変わったな、成長したなと思います。

  • ▲本来は、あさひが入れるはずだったツッコミを代わりに入れてフォローする凛世。

■SRプロデュースアイドル【白・白・白・祈】幽谷霧子内のコミュ、エビさんについてどういう発想なのか聞いてみたいです(霧子がおひさまなんださん)

――このカードについては、あけみやさんから「読み方がわからない」との質問が来ていました。まずは、読み方について伺ってもいいでしょうか?

高山さん:実はこれ、読み方は自由という設定なんですよ。私の場合は“はくはくはくき”と読んでいますが、どう読んでも大丈夫です。

――そうだったんですね!

高山さん:そして、エビさんについてですが、実はそんなに深い意味があるわけではなくて、霧子のコミュの1話と2話で、霧子とプロデューサーのかみ合っているようでかみ合ってない空気感を描きたいと思ったシナリオだったんですよ。だから、エビそのものにめちゃくちゃ意味があるというものではないですね。独特な世界観を持っている子なんです。

■Twitterで展開したゴールデンウィーク企画“甜花のお休み”は、甜花Pとしてとても楽しませていただきました。そこで質問なのですが、この企画はどのようにして決まったものなのでしょうか? また、ツイートの内容はどのようにして決めたのですか?(チャイニーカラーズさん)

高山さん:ゴールデンウィーク企画は、1周年のタイミングでもあったので、お休み中にも何かしら楽しんでいただけることがあれば……という発想でした。加えて、Twitterを選んだことについては、本作はTwitterで情報を発信させていただくことが多いからという理由です。そこから、Twitterと相性がよさそうなアイドルは……? と考えて、甜花に決めました。

 内容というか、見せ方に関しては、シナリオチームと相談していたものが2パターンありました。そのうち採用しなかったのが、甜花の普段の口調である「にへへ……」などを多めとかやるパターンでした。今回は甜花が“Twitterを操って呟いていること”を重視しようと考えて、その時に「にへへ……」みたいなことははわざわざ打たないだろう、そして打ち間違えもするだろうな、といった発想で作っていました。

――口ぐせをわざわざ打たないだろうという発想はわかるのですが、打ち間違えまで計算していたんですね……。Twitter企画に関しては、他にこう言った質問も寄せられていました。

“灯織の占いの館”はとても楽しかったのですが、他に何か候補に挙がったTwitterやWebを使った企画があったら教えてください。また灯織の企画が採用された経緯等を知りたいです(クインシー・ジョーンズさん)

高山さん:候補にあったけどボツにしたものはあんまりないですね。あえて言えば、はづきが特訓の旅に行くみたいな時に、天井社長が事務所に残って広報(ツイート)するなど、もうちょっと社長を絡ませようという計画があったのですが、諸々の事情でオミットしました。そこで、はづきからお手紙が届くという形で落ち着きました。

 こうした企画には、企画の内容ごとに合うアイドルと合わないアイドルがいると思っていて、それに加えて、どんなメディアやツールで見せるのかも意識しています。『シャニマス』のバレンタインデーのタイミングでは、智代子の1日の行動を見せるような企画をやりましたが、あの企画はLINEとTwitter中心にやりました。智代子が授業中に目を盗んでLINEを送ってくる……というイメージですね。。

■ゲームを始めて1カ月ですが、【星合アステリズム】風野灯織、【メロウビート・スローダウン】三峰結華、【凛世夕町物語】杜野凛世では、メインキャラの強調がさりげなく、全体で1枚の画として完成させられている。これは普通のキャラゲーでは難しいと思います。また、【お散歩サンライト】大崎甘奈の演出の最後ではキャラを端に置き、ほぼ風景で心情を表現されています。初めて見た時、こんなのありかよ! と思わず叫んでしまいましたが、同時に感動させられました。このようにキャラゲーでありながら、統一感を優先したイラストや演出をゲームで実装することにおいて、大変だったことや印象に残っていることをお聞かせいただければ幸いです。(もくろんさん)

  • ▲【お散歩サンライト】大崎甘奈の演出より。驚く一方で、『シャニマス』らしいと感じた人もいるのではないでしょうか?

高山さん:【お散歩サンライト】大崎甘奈をはじめ、イラストと演出の統一感に関していうと、シナリオチームと同じくアートチームもリーダーがいて、その方に調整いただいている感じですね。

 また、アートチームのリーダーとシナリオリーダーは細かく会話をしてくださって、その中で「こういうものを描いていきたい」とか「こういうシナリオを描いていきたい」などの意思疎通をはかってくれているので、そこでも統一感というか、連携はできているのかなと。

――ゲーム全体として、統一感を意識している部分は何かあるのでしょうか? ユニットごとにイメージがあるのかなと思っていました。

高山さん:確かにユニットの特性によって、見せたい絵作りは変わってくるな思っています。例えばアンティーカは、どちらかと言うと衣装が少しダークで落ち着いたものですが、それなのに背景をポップにしてしまうと浮いてしまいます。明確にルールがあるわけではありませんが、そういう決まり方はしてくるかなと思います。

 ただ、『シャニマス』のカード全体で見た時には、正直なところ統一感は意識していません。同じトーンですべてを作ろうと思っているわけではなく、構図など含め、むしろいろいろな絵作りをするのが『シャニマス』らしさにつながっているのかなと思います。

■“バンナムフェス”でのパフォーマンスは、終演後のSNSなどでの感想を見ると非常に好評だったように感じました。自分の近くの席にいた『シャニマス』P以外の方々も口々に「圧倒された」「楽しかった」とおっしゃってました。制作プロデューサーの立場としてバンナムフェスの反響をどう捉えていますか?(うらけんさん)

高山さん:僕も見ていただけなんですけど、『シャニマス』組のトップバッターがイルミネで、多くの方が黄色いペンライトを振ってくださった時は、すごく感動しましたね。メンバーのみんなもすごく頑張っていて、そんな中で、ふと後ろを振り返ると、一面が黄色で……それがすごく感動しましたね。

 イルミネの3人だけでなく、他のユニットもその時点の最高と言って過言ではないくらいのパフォーマンスをしてくれましたし、イベントに来てくださった皆さんの反響を見て、『シャニマス』のアイドルたちを受け入れてくださったのではないかと、そんな印象です。

■越境イベントのチーム組みについて、実現はしなかったもののこんな組み合わせの案もあった。というものがあれば教えて頂きたいです(akiさん)

高山さん:パッと思いつくものは……ないですね、越境イベントそのものが少ないというものありまして、考えたものは大体実装してこれたかなと思います。だから、現時点ですと世に出ていないような組み合わせは、ないという答えになります。

■『シャニマス』が1年に提供する楽曲数は、他のシリーズに比べてかなり絞っている印象があります。毎回質の高い楽曲を提供してくださって、とても満足していますが、これには何か意図があるのでしょうか? 今年もどんな素敵な楽曲が出るか楽しみです(ぽんきちさん)

高山さん:そうですね。シャニマスで言うと、ざっくりとしたテーマは持っていて、1年目は自己紹介でもあるので、ユニットらしい曲。2年目は“挑戦”ということで、幅を広げるような新しい表現ができるよような曲。そしてこれから出ていく3年目は“変化してきた部分、変化していない部分”みたいなテーマで作っていこうかなと思っています。

 テーマごとに1ユニットあたりの曲を増やしすぎると、かえってユニットのイメージがぼやけてしまうかなと思っています。全体曲に関してもそうで、基本的には増やせばいいとわけではないと考えています。このペースをあまり崩すことなく、いつも通り1曲1曲を大事にして作っていくイメージです。

■自分は冬優子ちゃんに釣られて『シャニマス』を始めました。最初は、王道的なツンデレという感じが正直たまりませんでした。でも最近は、ストレイライトのメンバーといる時、苦労人ポジみたいなのが板についてきた気がします(笑)。そんな素がとても優しい冬優子ちゃんも大好きなのですが、この苦労人ポジは最初からイメージしていたのでしょうか? ストレイライトのメンバーの影響で自然にできあがっていったでしょうか?(ラムダさん)

高山さん:冬優子について言えば、ユニットメンバーの組み合わせで見た時に、最初からある程度は苦労するだろうなと予想していました。ですが、予想していなかった点は、その苦労の方向性ですね。今にして見てみると、かなりお母さんみがあるんですよね。特にあさひのお母さんみたいな感じになっています。

――確かにそうですね! 優しいだけではなく、しっかりと怒るタイプのお母さんみたいですね。苦労の方向性について予想していなかったというのは、なんとなくわかります。

高山さん:最初のころに、冬優子があさひたちに振り回されて、ツッコミを入れて……みたいな方向性になるとは思っていたのですけど、ツッコミだけじゃなくて、予想外に世話をしてくれるんですよね。「あんたはこうしたほうがいい」とか「こうしなさい!」とか、ちゃんと面倒を見てあげられる懐の広さを持っていたな、という感じですね。


 あさひも当初の想定よりすっとんきょうなことをするので、こちらが考えていた冬優子の対応だけじゃ御しきれない部分も出てきてしまったんじゃないかと。

■【パープル・ミラージュ】田中摩美々、【紅蘭偉魔空珠に挑め!】園田智代子、“薄桃色にこんがらがって”など、これまでに明かされていなかったアイドルたちの過去、さらには天井努社長の過去まで明かされることとなったシナリオが1年を通じて多かったように感じました。こういったアイドルたちや社長の過去は初期から構想されていたものだったのでしょうか? また、今年というタイミングでアイドルたちの過去を明かすこととなった理由があればお聞きしたいです(M.C.Oさん)

高山さん:摩美々、智代子に関しては、初期からあった設定なので、いつかしっかりと描いてあげられたらいいなと思っていました。社長の過去に関しては、深掘りしてシナリオを描いていきたいわけではなく、『シャニマス』としての物語を通じて、少しずつ出していければいいかなと思っています。

■イベントにまつわるコミュなど、現時点で見られないものを見られるようになりませんか? プレイし始めて半年程度なのですが、昨年流行語になった「餃子、パリッとさせたくて」のコミュなども、現状は見ることが出来なくて残念に思っています(Avinさん)

  • ▲大きな話題となった、灯織のセリフ「餃子、パリッとさせたくて」。

 これはご要望をいただいている部分で、特定のイベントを不定期で復刻したりはしているのですが、すべてのイベントを復刻できていない状態です。シナリオもそうですが、報酬カードを入手できないのはもったいないので、何かしら手段を用意したいなと思っています。

 現状でもいろいろと検討しているのですが、はづきさんシールをはじめとしたレアリティの高い報酬をどうするのか、どうすれば適正なゲームバランスを保てるか、まとめきれていないのが正直なところです。ただ、イベントシナリオについては不定期ですが読み放題などをやっていますので、そういうタイミングを活用して、シナリオを追っていただければなと考えています。

――なるほど。せっかく話題に出たので聞かせていただきますが「餃子、パリッとさせたくて」は、当時驚くほど話題になりましたが、あれは狙っていたのでしょうか?

高山さん:いいえ、全然狙っていませんでした。だからビックリしましたね。逆に、一昨年の12月にやった“オペレーション・サンタ! ~包囲せよ、283プロ~”で、果穂が泥棒だと思っていたプロデューサー宛に書いた手紙の「くいあらためてください」なんかは、もっと流行ってほしかったですね。そういうことはたまに思ったりもしますが、基本的には流行りなどを意識して書いてはいません。

  • ▲「くいあらためてください」は、果穂の声が入ることによって、おもしろさが倍増します。

■霧子の“さん”付けの定義がどうしてもわからないので、ひとつだけ教えてください。雪に対して“さん”を付けていない理由についてです。霧子の台詞の中に「雪はとっても偉いです」というのがあるのですが、どうして雪に対して“偉い”と擬人的な表現をつかっているのにもかかわらず“さん”をつけていないのでしょうか?(おちさん)

――昨年の1.5周年の松戸のイベントの際にも、ステージ上で少し話題になっていて、あそこで高山さんが、基準はあるんだけど、私の口からは……。みたいなことをおっしゃっていた記憶がありますが、似た内容の質問は、たくさん寄せられていました。

高山さん:別に言いたくないということではないんですが、気になっている方が多いのであれば。霧子が“さん”付けをする定義って、霧子が物語性を感じたかどうかという部分が大きいんです。たいていは、霧子の対話の対象になったかどうかというところですね。

 ひとつわかりやすい例を出すとすると、ただ置いてあるリンゴはリンゴですけど、恋鐘が持ってきたリンゴで、それがピカピカに磨かれているリンゴだったら、霧子のなかでそれは“恋鐘ちゃんと旅してきたリンゴさん”になります。

――なるほど! リンゴという点では同じだったとしても、すべて“さん”付けで呼ぶとは限らないと。

高山さん:はい。ここは、ものすごく厳密に決めているわけではありません。霧子も人間ですので、主観で判断して、付ける時もあれば付けない時もあります。“さん”を付ける時は、大体は対話の対象と見なしているという感じです。

 質問の例でいうと、「雪はとっても偉いです」は、インタビュー中のセリフなんですよね。普段だったら“さん”付けで呼んでいたかもしれませんが、霧子はインタビューということもあって、ここでは“さん”付けせずにしゃべろうしたんだと思います。状況などを考えて、霧子なりの行動原理で変化するということですね。

■この1年で一番予想外だった事はなんですか?(革巻さん)

高山さん:たくさんあるにはあるんですけど、ゲームの中で言うと、先ほども出た「餃子、パリッとさせたくて」とか、他にも「オマエさ、そんな顔するの……反則」とか、流行語大賞に出てきたものなどは、それを流行らそうと思っているわけではないので、びっくりというか予想外でしたね。

 それとこれは、個人的なことなのですが、YOSHIKIさんの番組(※YOSHIKIさんのニコニコチャンネル“YOSHIKI CHANNEL”で2019年4月23日に配信された対談番組)に呼ばれたことですね。めちゃくちゃ緊張していました。隣に座っていた坂上(※『アイドルマスター』シリーズ総合プロデューサー・坂上陽三さん)も緊張していて……。あんな展開になるとは、本当に驚きました。

■サポートアイドルの絆レベルはレアリティに関わらず一律で最大10になりませんか? 感謝祭編のサポートでイベント配布アイドルが出てくると育成の妨げになります(のいすPさん)

高山さん:お手伝いアイドルが選ばれるロジックは、かつてはアイデアも含めランダムだったのですが、今は全アイデアから1人は選ばれるようになっていて、その中で誰が出てくるかまでは選べない形になっています。現状だと必要なアイデアを優先して選んでいくことになりますが、どこまでユーザーに委ねるべきかは考えなければならないと思っています。すべてを委ねることもゲーム的には可能なのですが、さまざまな理由でそれはしていませんので、ランダムで選出する際の基準として絆レベルを利用しています。

 さまざまな理由、と言いましたが、そのうちのひとつは、ある程度システムでサポートしないと、考えることが多く難易度が高くなり過ぎることです。これだと初心者が挫折してしまうような状況も考えられます。

 もうひとつ言うとすれば、「このアイドルの次はこのアイドルを選んで……」のような最適解だけを選べるようになると、本当に単純な作業になってしまいます。W.I.N.G.もファン感謝祭も、基本的には“毎回状況が違う中、ユーザーが限られた行動回数の中でどうプロデュースするのか?”というゲームです。「今回はうまくいったぞ」とか「ここをこうすれば次はもっと上手くプロデュースできるかも」といった楽しみ方を提供できればと思っています。

――確かに、初めてTure Endを見たフェスアイドルは、今ではまったく使っていないんですけど、なぜか移籍させたりせずに手元に置いています。

高山さん:ただ、のいすPさんのおっしゃることもよくわかるので、今後も調整が必要な部分だと思っています。

人気のコミュベスト5について

――今回、電撃オンラインで質問を募集した際に、“お気に入りのコミュ”についても皆さんのご意見、ご感想をいただきました。ここからは、人気の高かったコミュ上位5つについても高山さんからコメントをいただければと思います。ちなみに結果はこの通りでした。

順位 お気に入りのコミュ 票数
1 薄桃色にこんがらがって 55
2 Straylight.run() 38
3 Star n dew by me 36
4 【水色感情】杜野凛世 25
5 【NOT≠EQUAL】三峰結華 23
6 Catch the shiny tail 22
7 【アルティメットマーメイド】有栖川夏葉 17
7 【かきまぜたら*ミルク】園田智代子 17
8 【チエルアルコは流星の】八宮めぐる 16
9 階段の先の君へ 14
9 五色爆発!合宿クライマックス! 14
10 【小さな夜のトロイメライ】八宮めぐる 13
10 サマー・ミーツ・ワンダーランド 13

以下多数。

(編註:今回はレギュレーションで「1つのコミュのみに投票してください」と縛りを設けておらず、複数のコミュに投票してくださった方がいました。そうした書き方も想いの表れとして、複数投票もカウントしたものを結果としております。ご了承ください)

第5位:【NOT≠EQUAL】三峰結華

高山さん:インタビューの最初のほうでもお話しした通り、三峰は他人との距離感や、どう見られているのかを気にしている子で、【NOT≠EQUAL】では、プロデューサーの「……なんか、結華じゃないみたいだな」という一言から、「自分とプロデューサーって、ちゃんとアイドルとプロデューサーとしての範疇に収まっているのかな?」ということを意識してしまいます。

――このコミュをお気に入りに上げた人の中には、三峰とPの恋愛感情にまつわるエピソードととらえた人もいたようですが、その点についてはいかがでしょうか?

 僕の印象だと、恋愛や失恋を描いたシナリオというわけではないのですが、その辺りの解釈は自由ですし、どれが正しいなどはありません。あくまで“アイドルとプロデューサー”という関係を、この時の三峰がどう考えているのか表になったのがこのカードではないかなと思います。

第4位:【水色感情】杜野凛世

高山さん:【水色感情】杜野凛世のコミュでは、凛世のほうではなく、プロデューサー側の考えがちょっと変わるところが印象的でしたね。プロデューサーから見た凛世は、自慢のアイドルでどこに出しても恥ずかしくないという感じだったんですが、とあるスタッフさんから「大人っぽい表情をしていた」と聞かされ、凛世の知らない一面に気付いたところをはじめ、プロデューサーの心模様が強く出たシナリオだと思っています。

 凛世についても、プロデューサーの「杜野は、自慢のアイドルですから!」という言葉をかみしめて、「わーーーーーっ…」と声を出して走るシーンが印象深いシナリオですね。

第3位:“Star n dew by me”

高山さん:真乃に関しては、6位にランクインしている“Catch the shiny tail”で一皮むけたところを描けたと考えていますが、3人の関係が進んで、めぐるも【チエルアルコは流星の】などで新たにパーソナルな一面を描いて、そこでイルミネがもう1歩前に進むためのシナリオが“Star n dew by me”だったかなと思います。

 3人の関係値が目に見えて変化するわけではないのですが、真乃がめぐるを好きな理由に、“すごいめぐるちゃん”じゃなくて“めぐるちゃん”だからであるとか、めぐるが思っていた、すごくならなきゃとか、足を引っ張っちゃだめだとか、そう言ったものがなくても3人で一緒にいられるんだよと明示できて、めぐるとしてもイルミネとしても一歩前に進めたシナリオかなと。

――めぐるへの接し方で、灯織と真乃の“思いやり方”みたいなものもわかったシナリオだと感じました。灯織はオニに徹しようとするめぐるの意思を尊重しようとしていたようにも見えますし、真乃は何よりも、めぐるに謝りつつもオニの状態から自分たちのほうへと引き戻すことを優先していました。

高山さん:あの3人って、実はかなり濃く描けるんですよね。物語を進めるうえでの役割として、推進する役、俯瞰で見る役、トラブル起こす役と、いろいろあるのですが、イルミネは3人が臨機応変にそれらの役に対応できると思います。

第2位:“Straylight.run()”

高山さん:“Straylight.run()”は、ストレイライト初のシナリオイベントということで印象深いですね。あさひと冬優子が組み合わさった時点で、この子たちが対立構造になるなということは予想していて、この2人の価値観の違いを描いておくべきかなと思っていました。それを描いたシナリオになります。


  • ▲愛依もまた、一筋縄ではいかないところがあります。初めてプロデュースした時や、コミュを読んで驚いた人もいるのではないでしょうか?

――新ユニット一発目のコミュが第2位というのも、プロデューサーの皆さんにとっても印象的だったのかなと。

高山さん:そうですね。話題にしていただけたと思っています。ストレイライトらしいシナリオだなと思って世に送り出したので、こうして評価をいただけたことはすごく嬉しいです。

第1位:“薄桃色にこんがらがって”

――質問募集を実施したタイミングがちょうどこのコミュが盛り上がった時期と重なっていたこともあって、このコミュが1位を獲得しました。先ほどもお話しいただいた部分の他に、何かコメントいただける点はありますでしょうか?

高山さん:では、皆さんの感想にも意外だったとあった、はづきと千雪に関して。この2人は、“サマー・ミーツ・ワンダーランド”前後くらいで親密になったというイメージなのですが、その辺は全然描けておらず、ああやって飲みに行く機会もあるよとどこかで提示したかったという思いがありました。

 また、はづきの立場としては、友だちとしては応援してあげたいけど、アイドル事務所の事務員としては1人だけに肩入れするわけにはいかないという、難しいポジションでした。はづきが「頑張れ千雪~」と言ったのですが、それは、事務員でありつつも千雪の友だちとして贈った一言という感じです。

新ユニット“ノクチル”について

――ここからは、質問募集のタイミングが合わず、読者からは質問をいただけなかったのですが、先日発表された新ユニット“ノクチル”について少し質問させていただきたいと思います。まずは、メンバーが全員幼馴染のユニットということですが、明確に他ユニットとの違いを設けたことについてお聞かせください。

  • ▲3月22日の生配信で発表され、Twitterのトレンドにも入るなど、大きな話題となったノクチル。

高山さん:今まで登場した『シャニマス』のアイドルって、アイドルになってからユニットを組んだ、言ってみれば0から1へと進んだ関係性だったのですが、ノクチルに関しては違うアプローチを試してみようということで、すでに関係性を持っている4人がアイドルになったらどう変わるだろう? という部分を描ければいいなと思っています。ここは明確に差別化をしたところですね。

 アイドルとしてはうまくいかないのか? それとも幼馴染という関係ではいられなくなるのか? もしくは、より強固に絆が深まっていくのか……。他のユニットでは描けない部分も描いていければと思っています。

――メンバーが偶数というのも、『シャニマス』では初めてですよね。4人にしたことの狙いをお聞かせください。

高山さん:偶数という部分にこだわっていたわけではないのですが、考えてみたら「4人組いいね」って話になりました。これは“2人の組み合わせ”がいくつも描いていけるなと。

 このインタビューを皆さんが読んでいる段階ですと、あまり見えていないかもしれませんが、例えば、雛菜は透を慕っているという設定があったり、円香は小糸にお菓子をあげて懐柔しているという設定があったりします。その他にも、透と円香は2年生組、雛菜と小糸は1年生組というのもそうですね。そういう“2人の組み合わせ”の関係性に注目してほしいと考えています。

 発表した時には、プロデューサーの皆さんからたくさんの反響をいただきました。期待していただく声もあったり、どんな子なのか予想する声もあったりといろいろです。その期待に答えられるように私たちは頑張っていくのですが、4人が加わって23人になったことで、より『シャニマス』がよくなったね、と言ってもらえるとうれしいですね。

――では最後に、こちらの質問で締めくくりたいと思います。

■高山さんは、今現在、シャニマスを自分が目指したい方向に進めることができていますか。また、その実感はありますか(Brauさん)

高山さん:『シャニマス』はありがたいことに2周年を迎えられまして、プロデューサーの皆さんにシナリオコミュやイベントシナリオなどを評価いただけることが多く、大変嬉しく思っています。

 ただ、肝心のゲーム部分に関してはまだまだ実現できていないところ、調整しきれていないところも数多く存在しています。やりたいことは多くありますので、それらを実現していきつつ、既存の要素についてもより遊びやすく、楽しく、快適にしてもらえるようにしなければいけないと認識しています。

 なので、目指したい方向に進めることができているところもあれば、不十分と感じる部分もあります。2周年以降も気合いを入れて頑張っていきたいと思っています。引き続き、プロデュースをよろしくお願いいたします。

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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アイドルマスター シャイニーカラーズ

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • プラットフォーム: enza
  • 対応機種: スマートフォン
  • ジャンル: 育成/対戦
  • サービス開始日: 2018年4月24日
  • 料金: 基本無料/アイテム課金

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