《UW》編ゲーム化への熱い想い。『SAOAL』キーマンインタビュー

電撃オンライン
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 家庭用ゲーム版『ソードアート・オンライン(以下、SAO)』シリーズの第6弾にして、待望の《アリシゼーション》編をゲーム化した『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』(以下、『AL』)が、2020年7月9日にPS4/Xbox Oneで、7月10日にPC(Steam)で発売されます。

 また、原作小説(※2020年4月現在、本編は既刊23巻、《プログレッシブ》編は既刊6巻/電撃文庫刊)は2009年4月10日の第1巻発売から11年目に突入し、2020年5月9日には電撃文庫『ソードアート・オンライン24 ユナイタル・リングIII』が発売予定。さらにTVアニメ版の最新シリーズ“『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終章(2ndクール)”の放送も2020年7月から始まる予定で、『SAO』の大きなムーブメント訪れようとしています。

 今回は、幅広いメディアで注目を集める『SAO』躍進の原動力となっている原作者・川原礫氏、原作の編集者・三木一馬氏、ゲーム版『SAO』シリーズの統括プロデューサーである二見鷹介氏の3人にお集まりいただき、『AL』制作への意気込みや、『SAO』シリーズの今後の展望などについてお話をうかがいました。

インタビュー参加者

『ソードアート・オンライン』シリーズ原作者
川原 礫《REKI KAWAHARA》氏(写真中央)

『アクセル・ワールド』『ソードアート・オンライン』(電撃文庫)でおなじみの人気小説家。ゲーム版の監修も手掛けている。

(株)ストレートエッジ代表取締役
三木一馬《KAZUMA MIKI》氏(写真左)

 株式会社ストレートエッジの代表取締役。編集者として『ソードアート・オンライン』をはじめとする人気作の数々を育ててきた。

ゲーム版『SAO』統括プロデューサー
二見鷹介《YOUSUKE FUTAMI》氏(写真右)

 ゲーム版『SAO』シリーズ統括プロデューサー。バンダイナムコエンターテインメント所属。本作でも企画段階から開発を主導。

→インタビューの後編はこちら。

『SAO』シリーズ史上最大のボリューム! 念願の《アリシゼーション》編をゲーム化!!

──まずは『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス(以下、AL)』の企画の動き出しなどから聞かせてください。

二見鷹介氏(以下、敬称略):『AL』は、とてもとてもたいへんな作品でした。《アリシゼーション》の世界をどうゲームに落とし込むか……。

川原礫氏(以下、敬称略):僕は、無理だと思ってました(笑)。どう考えても、こればっかりはゲーム化は無理だろうと。

二見:どう考えても、たいへんなシナリオになるのはわかっていたので。原案の段階から三木さん、川原先生にお世話になりました。僕らもどうなるかと思っていましたが、ようやく完成に近づいた感じです。

三木一馬氏(以下、敬称略):そもそも《アリシゼーション》編をやりたかったんですか?

二見:すごい昔のインタビューに、川原先生と三木さんと一緒に出たときに「『SAO』のゲームをやるんだったら、願わくば(当時)Webで連載していたものは全部ゲーム化したいです」と言ったんです。原作小説もちょうど《アリシゼーション》編に入ったくらいでしたね。

三木:あぁ、確かに言ってましたね。

二見:もう5~6年前くらい前、シリーズ第2弾の『―ホロウ・フラグメント―』のときのお話で、ようやくここまでたどり着けた感じです。

三木:本当に《アルヴヘイム・オンライン(以下、ALO)》も《ガンゲイル・オンライン(以下、GGO)》もやりましたもんね。

二見:《オーディナル・スケール》は、ノーカウントでお願いしたいです(笑)。原作小説オンリー……ということで。

三木:僕は、二見さんは《アインクラッド》だけが好きなのかとばかり思っていたら、全部網羅しようとするとは。……ちなみに原作小説オンリーということなら《アスカ・エンパイア》もありますけど(笑)。

二見:そ、そうですね(苦笑)。実際どうなるかはわかりませんが、2020年7月から始まるアニメシリーズが“最終章”という形であるのと同様に、僕のなかでは《アインクラッド》の75層から始まったゲーム版の“if”のキリト君のサーガは『AL』でいったん終わろうかなとは思っています。

  • ▲原作小説やアニメ版をもとにしつつ、オリジナル展開のストーリーやイベントにより、独自の冒険を繰り広げてきた家庭用ゲーム版のキリト。彼の物語が『AL』で“完結”する!?

川原:なるほど、本当にお疲れ様でした! いつだったかな、『AL』の前のときに、二見さんが一度現場から引くみたいなお話がありましたよね。結局いるなぁと思っていますが(笑)。

二見:とある事故(?)がありまして……(苦笑)。

三木:ゴネたんですよ、僕が(笑)。「二見さんじゃないと『SAO』は無理です」って。もちろんそれだけが理由ではないと思いますが。

二見:シリーズ第5弾の『フェイタル・バレット(以下、FB)』に関しては、基本的に企画は全部僕がやっていましたが、途中から南(バンダイナムコエンターテインメントのプロデューサー・南 敬洙 氏)に運営周りとダウンロードコンテンツ(以下、DLC)はやってもらっています。『AL』も引き継ごうとは思ったのですが、思いのほか『FB』が人気でして……。

川原:DLC、いっぱい作られてましたね。

二見:2年間やらせていただいて、おかげさまで販売本数もシリーズ合計で560万本くらいいったのかな。今年だけでも、90万本はいっていると思います。海外のお客さんにも、たくさん遊んでいただけました。

川原:『FB』の時点で、僕はゲーム化は無理だと思っていたんです。《GGO》のゲームシステムの《バレットライン》《バレットサークル》って、もともとキリトに“無双”させるために考えたものなので、それを実際にゲームにすると成り立たないのでは? って。でも、実際に『FB』をプレイしたみたら、逆にアレがおもしろいんですよ! 《バレットライン》がいっせいにバーっと来て、その段階ではまだダメージは受けないんですが、あの“ヤバイ”感と言ったら! FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)、TPS(サードパーソン・シューティングゲーム)って、本来は撃たれて始めて狙われていることに気付くわけですが、《バレットライン》のおかげで緊張感が高まって……うまいことゲームシステムとして落とし込んでいるなと。《バレットサークル》も、武器に付ける“オプションチップ”で範囲を縮小できるといったカスタマイズ要素が、僕はとても好きでした。

二見:ありがとうございます。銃の世界を『SAO』的に再現する《GGO》をゲームにするのはたいへんでしたね。《バレットサークル》も『SAO』らしさの1つですから。

川原:もちろん、うまい人は“自力エイム”なんでしょうけれど(笑)。僕なんかは“アシストモード”頼りなので……。

二見:ユーザーのみなさんうまい人ばかりで、最終的には剣を使いこなす人が増えて“剣無双”みたいな環境になっていたんですけれど(笑)。それでも、これまでFPS、TPSを遊んだことがないけど『FB』でシューターのおもしろさを知ったという人もけっこう多かったので、そういった意味でもいい作品になったのかなと思っています。

  • ▲【※写真は『FB』】近未来の銃撃戦が展開される《GGO》を舞台としているため、シリーズで唯一、ジャンルがTPSRPG(サードパーソン・シューティング方式のRPG)となっている『FB』。《バレットライン》《バレットサークル》などを再現した戦闘システムや、オンライン要素が好評となり、発売から2年間以上アップデートやDLCの配信が実施されてきた。

──川原さんと三木さんは《アリシゼーション》編をゲームにすると聞いたとき、どんなゲームになると思われましたか?

川原:《SAO》《ALO》《GGO》は、作中でも“ゲームとして運営されている世界”という扱いですけが、《アンダーワールド》はゲームじゃありません。作った菊岡たちもゲームを作るつもりはなくて、言うなれば“文明シミュレーション”という意味合いですから。ストーリーもドラマに振っている部分が大きかったので、ゲーム的なUⅠ(ユーザーインターフェイス)として考えていたのもHP(《天命》)くらいしかなくて。それをどうゲームにするのかは、想像もできませんでした。

二見:事件は現場で起こりました(笑)。今回、原作チームとお話させていただいた結果、最初はキリトとユージオの出会いから始まって、アドミニストレータ戦までの話はちゃんとやろうという形になったんですが……物語の物量がですね、半端じゃなくて。《セントラル・カセドラル》を登るくらいまで、厳密に計ってはいませんが10時間くらいかかる。しかも、それでもまだ序章だという……。でも、最近完成してきてデバッグ作業をしているんですけれど、やっぱり《アリシゼーション》編の話はおもしろいなと感じています。同時に、作ることが多くて泣きそうになっていますが……(笑)。

──声優さんの収録量のボリュームも、とんでもなかったとか……。

二見:キリト役の松岡さんが収録したボイス数が、15,000ワードくらい。過去最高がシリーズ第4弾の『―ホロウ・リアリゼーション―』のときの8,000ワードくらいだったので、倍近くという地獄のようなボイスを録っていただきました。

川原:松岡さんにお会いしたとき、「いつもゲームの声録っているんです」「時間が空くたびに録っているんです」って(笑)。

二見:今、同時に『アリシゼーション・ブレイディング(以下、アリブレ)』というスマホ用アプリのタイトルも展開しているので、アニメがお休みの間もゲームの収録で全部埋まっているという……キリトを忘れる暇がない(笑)。

──アリス役の茅野愛衣さんにインタビューをさせていただいたとき、距離感とか関係性をリセットして演じ直すのがたいへんでしたというお話がありました。

二見:そうですね。みなさんには、とても丁寧に演じていただきました。とくに茅野さんは、ゲーム版ではアリスってかなり早い段階から登場させていただいていたんですが、今回は《アリシゼーション》編のTVアニメを終えてから改めて演じていただいているので、シリーズを通してこれまでとはまたひと味違った、本編に寄り添ったアリスを見ていただけると思います。

  • ▲『AL』でも重要な役割を演じるキャラクター・アリス。ストーリーへの正式な登場は《アリシゼーション》編からだが、人気キャラクターのため、『FB』以前のシリーズでもゲストキャラクターとして参戦していた。

原作の雰囲気や設定を損なわないために企画の立ち上げ時から激しいやり取りが!?

──本作では、原作での《セントラル・カセドラル》までの流れが忠実に再現されているのでしょうか? TVアニメでは割愛されたシーンなどもありましたが……。

川原:《ザッカリア剣術大会》とか。

二見:削れるところ削らないと終わらないので、《ザッカリア剣術大会》は……ダイジェストにさせていただきました(苦笑)。ですが、ゲームでは《北帝国》に戻るエピソードもあって、そのときに《ザッカリア》にも寄りますので、原作とはまた違った《ザッカリア》の姿を見られると思います。

川原:今までの『SAO』のゲームって、メインの拠点となる街は1つだったじゃないですか? でも『AL』では、街がけっこうあるということで、個人的にも楽しみにしています。

二見:各帝国に1つずつ、《セントラル・カセドラル》……あとは《ルーリッド村》もありますし、ちょこちょこあるので寄ってみてください。「どうしてそこに街があるのか?」というところも、全体マップを見ながら設計させていただいています。

  • ▲《人界》最大の都市である《セントラル・カセドラル》や冒険の始まりとなる《ルーリッド村》をはじめ、『AL』では複数の街が登場する本作。原作ではあまり描かれなかった街も、自由に探索を楽しむことができる。

──原作チームのチェック作業も、かなりたいへんだったのでは?

三木:《アリシゼーション》編に限らずですが、ゲームチームからは、いつも企画書が10案くらい出てくるんですよ。開発チームの方が数案出して、二見さんのを合わせて。突拍子もなくて「ふざけるな」って内容から、原作まんまじゃん!」というものまで、幅広くもらって検討していくんです。今回《アリシゼーション》編を作るにあたっては、最初に僕と二見さんだけの段階で、どういうゲームにするのか死ぬほど揉めました。「まだ川原さんにお見せできる段階じゃない」って(笑)。先ほど川原さんもおっしゃっていたように《アンダーワールド》って“文化シミュレーション的な世界にキリトが来る”というお話ですから、ストラテジーシミュレーションみたいな方向性のゲームもあっていいわけじゃないですか。そういう点を盛り込むのかどうかとか、そもそもの原点である『ソードアート・オンライン』という“キリトの物語”をキチンと描くべきじゃないかとか……。そういった話から始まり、それから現在のゲームシステムに落ち着いたんです。すると今度は「このゲームをどこから始めるか」という段階で、開発さんと二見さんがゲーム版『SAO』シリーズの以前からのコンセプトである“原作とかアニメにない別の物語を描けるのがゲームである”というのを本作にもぶつけてきて(笑)。最初から“《アリシゼーション》編の原作にはないルートも辿れる”みたいな案をすごく出してくるんです。僕もプレイヤーとしてそれはおもしろいとは思うんですが……《アンダーワールド》編の設定はとてもち密なので、「それではここが成立しない」「ここが矛盾する」みたいなのが山ほど出てくるんです。これをうまく統一させるのに、とにかく手間暇がかかって……。

──これまでの作品でも、とくに気にされている部分ですよね。

三木:例えば『AL』で、原作とはズレていますがゲームとしてはありだと思っているのが、“魔獣”というモンスターが出現することです。原則的には《アンダーワールド》にはモンスターは出現しません。万が一村人たちがモンスターを討伐してレベルアップしないように、アドミニストレータや《整合騎士》がすでに討伐しているからです。住人が《最高司祭》を脅かす存在になると困るからです。でも、それを言い出したらゲームとしては牧歌的な、それこそ『牧場○語』みたいになってしまう。そこで“魔獣というものが湧き出てしまっている”という設定は、ゲームとして意味を持たせているというか……。

二見:魔獣もデザインもいろいろ考えて、じつは擬態ができるから人に見つかりにくいという設定になっています。もしかするとアドミニストレータにも、見つかっていない……みたいな。あとは、三木さんもおっしゃっていましたが、一時期はモンスターがヘイトの要素を持っておらず、攻撃されても逃げていくので、本当にバトルがほぼないゲームになっていたことも。そこは、ゲームとしてバランスを取らせていただき、普通に戦えるようにさせていただきました。

三木:《SAO》や《ALO》みたいに“キリトが敵モンスターを倒す”という部分は、絶対に求められていると思うんですよ。《アンダーワールド》でもそれを成立させたかったというのが、一番最初に悩んだところですね。

二見:それについては1つ文句があって(笑)。同時に進めていた『アリブレ』のときは、さらっとチェックが通ったらしくて。「こっちではあんなに難色を示していたのに、あっさり出てきてるじゃん! モンスターが!!」って(笑)。

三木:それは『AL』で設定の整合性を取ったから(笑)。僕という吹雪魔人が吐き出す雪山を、二見さんがタンクで作業して崩しているとき、その雪を退けた溝をアプリチームの河合さんと竹内さんが悠々とすり抜けていった感じですね(笑)。

二見:そういう苦労をへたこともあって、《アンダーワールド》の空気感とか世界観とかは損なわず表現できていると思います。マップも含めて美しいグラフィックのなかで、戦闘を楽しんでもらえるんじゃないかと。

三木:あとはアドミニストレータ戦にたどり着くまででも、読者さんの“原作のこのシーンが見たい”とかは絶対あるじゃないですか。そのあたりに関して意見を出させていただいて、なんとか原作どおりのお話とゲームならではのルートが両立できるシナリオに落ち着きました。それができるまでのプロット、シリーズ構成がとてもたいへんで……。

二見:オリジナル要素はキリトとユージオが《ルーリッド村》を出た直後に出会うメディナというキャラクターが中心となります。その後も《修剣学院》で再会して、キリト目線、ユージオ目線で学院生活を送りつつ、彼女とどういう会話をしていくのかというところに注目してほしいですね。キリトとユージオたちの学院生活もけっこう多めに描かれているので、斬新な気持ちで楽しんでもらえると思います。

  • ▲本来なら《人界》に魔獣(モンスター)は存在しない《アリシゼーション》編だが、原作チームと話し合って作られた『AL』独自の設定により、フィールド上でエンカウントして戦うことになるようだ。

ゲームオリジナルヒロイン・メディナに込められた“こだわり”

──『AL』にオリジナルキャラが登場すると聞いて、多くのファンは「《整合騎士》の欠番が登場するのでは?」と考えたと思うのですが、あえてメディナのような立ち位置のキャラクターにした理由などはありますか?

二見:これまでゲーム版『SAO』をやらせていただいて、プレイヤーが一番最初に出会う、等身大に近いキャラクターというのをヒロイン設定にすることが多かったので、メディナもストーリー中盤に行く学院で会うとかじゃなくて、早めに会わせたいと思っていました。《整合騎士》だと会わせるのが難しいし、仮に早めに会ってもあっさりキリトたちが倒されて終わっちゃうので(笑)。

三木:二見さんがすごくこだわっていたのが、メディナの“劣等感”みたいな部分。《整合騎士》でも、レンリってキャラクターがとくに劣等感を抱いていたりしますが、彼は記憶を消去されていたりするので、それだと描き切れない。そこでキリトたちと一緒に《初等錬士》から登っていくところも含めて、彼女の持つ劣等感を描いているんじゃないかなと。だからこそ、この位置なんだなとすぐに思いましたね。

二見:もう1つテーマとしているのが、“承認欲求”とでも言いましょうか……。僕が原作を読んでいて思ったのは、《アリシゼーション》編って“魂の物語”なんだなということです。メディナがその世界においてどういう役割をもって生きて、そういった感情を持つようになったのか、みたいなところを感じていただければとてもうれしいなと思います。例えばアリスとかユージオとかが生まれたように、メディナは何をするために生まれてきたのか……といった感じで、《アンダーワールド》人としてのメディナを描きたいなと思いました。

三木:川原さん的にはいかがですか?

川原:《アンダーワールド》の設定って、我ながら考えれば考えるほど残酷な話だなと思うんですよね。これを作った菊岡と比嘉からすれば、必要なのは“限界を突破し得るAIのサンプル1つだけ”で、ほかの人間──人工フラクトライトは、どうなったっていいというところから出発しています。結果から言えば、その役割はアリスが担っているので、そのほかの《アンダーワールド》人は基本、生まれて消えるためのユニットと言いますか……。そんな世界観だったのですが、僕はこのメディナというキャラクターを見たときに、《アンダーワールド》人の1人1人は、現実世界から見るとただの1ユニットなんですけれど、人間以上のドラマを持っていて、自分なりの運命と向き合って生きているんだなということを改めて思わされました。メディナ・オルティナノスが、どうやって自分の運命をつかみ取っていくのか……いちプレイヤーとして、楽しみですね。

  • ▲『AL』オリジナルヒロインとして登場するメディナ(CV:岡咲美保)。二等爵家《オルティナノス家》九代目当主の少女。基本的に穏やかな性格だが、戦闘になると人が変わり、好戦的になる。

三木:それはそれとして、僕はどうしてもひとこと言いたいことがある。どうして彼女を“まろ眉”にしたのか。

二見:コレにしたのは僕なんですけれど(笑)。

川原:デザインの記号的な部分を見ていくと、全部売れ線のアンチテーゼみたいだなと感じたんですよね。外ハネショートとかからして、ヒロインぽくないなって。

二見:やっぱり《アリシゼーション》編のヒロインとしては、アリスがいるんですよ。その対比としてのゲームのヒロインというところもあるので、違う形で、可憐な少女ではない形で、あえてやらせていただいています。ビジュアル的に人気が出る、人気が出ないというより、作品をプレイしてこの娘の魂に触れたときに、この娘に対してどう思ってもらえるかが重要だなと思っています。

川原:なるほど。ゲームオリジナルヒロインに意外とショートカットの娘が多いのは、アスナがいるというのも大きいんですね。

二見:そうです! 髪型はできるだけかぶらないように、というのはいつも考えています。別段、僕がショートカットが好きというわけではないんです(笑)。僕は作品を追ってキャラクターの魅力を深堀りして、そのあとにビジュアルを見て好き嫌いを判断するタイプ。やはり物語がキャラクターを作ると思っていますので、そういった意味では、メディナも愛されるキャラクターになってほしいですね。

──川原先生は『AL』のシナリオはすべて読まれたのでしょうか?

川原:全体的な監修はさせていただいていますが、何しろ膨大な量なので、メイン部分の主だったところしか読めてはいません。それに僕自身、プレイヤーとしてゲームで楽しみたいので、あまり読みたくないという気持ちがあって(苦笑)。

二見:もちろん、大事なところは川原先生や三木さんに監修していただいて、気になるところは逐次戻していただきながら、《アリシゼーション》編のテイストは失わないようにしています。

──アスナが、《アンダーワールド》に原作とは違ったタイミングで入るようですが、そのあたりもすんなり決まったのでしょうか?

二見:そのあたりの点も、原作チームと相談させていただきました。ゲームではタイミング的にアカウント権限は普通のもので、“神(スーパーアカウント)”ではないですね。原作どおり神のままだったら、それこそ一瞬でクリアできちゃいますから(笑)。

川原:マップを変えたい放題ですからね。

二見:それだとまったく違うゲームになってしまいます(笑)。

三木:彼女はコンバートではなくて、《人界》のアカウントを使って普通にログインしています。それぞれの《天職》というのが《人界》の人間にはあるので、その相性が合った者が選ばれて……という設定になっています。ラースのスタッフが平素ログインするときに使っているアカウント、みたいな感じで考えていただければ。このあたりもちゃんと整合性が取れるのか、最初のやり取りのなかで相談させていただきました。「この段階でスーパーアカウント付与はありえないから」という感じで(笑)。

  • ▲シリーズの通じてのキリトのパートナー・アスナ。『AL』では原作より早い段階で《アンダーワールド》にやってくるため、衣装デザインを含め、アカウントの設定などが『AL』用に一新されている。

→インタビューの後編はこちら。

(C)2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc. ※画面は開発中のものです。
(C)2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project
(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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