神谷浩史さん、渾身の9thミニアルバムのロングインタビュー。作詞に初挑戦した楽曲も!
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- ガルスタオンライン ,和海かおり
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前作『CUE』に続いて早くも次のミニアルバムをリリースすることが決まった神谷浩史さん。4月22日発売の9thミニアルバム『TP』制作についての想いや裏話をお届けします!
音楽活動10年。作詞にも挑戦した最新アルバム
──今回のタイトルに決まった経緯を教えてください。
相変わらずタイトルは自分で決めなきゃならない習わしがありまして……“ハレ”の10枚目となるアルバムなので、通称『ハレ10』だったんです。
漢字にすると“晴天”なので、“晴れ”から連想する“天気”でいいかと思ったのですが、もう少しひねろうということになり、“天気”の漢字を“転機”に変換してして、さらに英語にして“ターニングポイント”からの『TP』になりました。
“T”と“P”で“10”という記号にもならないかな? と思い、ジャケットデザインもこうなりました。
でも、ターニングポイントとはいっても、それにこだわらず違う解釈もあっていいのでは思っています。
──楽曲選びはどのように進めていったのですか?
今回のコンセプトが『ハレ10』ということで、漢字にすると“晴天”。それを逆さにすると“天晴(あっぱれ)”だなと思ったんです。そこから、にぎやかで晴れ晴れとした、明るいイメージがいいなという方向になりました。
リード曲の『あっぱれLIFE』を柱に、あとはディレクターとプロデューサー、あとは弊社マネージャーの趣味で決まっていきました(笑)。
──楽曲についてお伺いします。リード曲の『あっぱれLIFE』は、鈴木おさむさん作詞ということですが、お願いすることになった経緯を教えてください。
ディレクターの提案ですね。なかなか書いていただく機会もない方だと思うのですが、『神様コネクション』からのつながりでお願いできました。
なおかつ、僕を知ったうえで明るい雰囲気の歌詞を書いてくださる方はこの方かな、ということで提案があったのだと思います。
──『Voice』はどのように作られたのですか?
初めて楽曲を聴いたときは、かっこいいなと思いました。LAZYgunsBRISKYさんがイメージする僕というか、僕を通じて声優の想いと言うものを表してくれたのだと思います。
声優って本当はこうじゃないよ、と思うところもあるのですが、リアルな声優像を見せようとするとすごく重いものになってしまうので。
だから、これはこれですごくわかりやすいし、真実なので、とてもいいなと思っています。
──『Precious Moments』はいかがですか?
作詞が『START AGAIN』をつくってくださった喜介さんなのですが、『CUE』のときに『GLORIOUS TIME』のコーラスの部分をリライトしていただいたんです。
その延長線から、次に予定されているソロライブのオープニングになるような曲を作ってほしい、というディレクターの熱い要望からできた曲です。
──『まあるい気持ち』についても教えてください。
ディレクターが『まあるい気持ち』というタイトルの曲を作りたい、と言ったんです。「神谷さん、ドーナツ好きじゃないですか。ドーナツ好きの神谷さんをイメージした曲で、もうタイトルが決まっているんです! まあるい気持ちっていうんです!」「はあ……」みたいな(笑)。
たまたま作詞のPA-NONさんが知り合いだったので、年末に打ち合わせをして方向性を決めました。
いつか書いてもらえたらと思っていたので、それが叶って嬉しかったです。
PA-NONさんもそう思ってくれていたのかなと感じるような気持ちが歌詞に反映されていますし、とても素敵な歌詞だなと受けとりました。
──『Nice Cloud』過去の楽曲にも関する歌詞となっていますが、どのように作られたのですか?
この楽曲の作詞を担当された只野さんは、僕のことを一番よく知ってくれている作詞家さんなので、今回のコンセプを伝えただけで、これをあげてくださったんです。本当にすごい才能だなと思います。
ご自分が作詞された曲の詞をちりばめて、なおかつ天気の中でも晴れだけではなく、曇りに対してこれだけの意味を作り歌詞を書いてくださいました。
いろんな気象条件があるので、晴れだけにこだわるのもどうかなとちょうど思っていんです。
只野さんにしか書けない内容で、ある意味僕のKiramune10年と、このアルバムを象徴するような一曲になっていると思っています。
──『Summer Storm』についてはいかがですか。
曲先行ではあったのですが、歌詞の内容としては割と激しい夏の嵐のような雰囲気がいいなということを提案させていただいきました。
──『これからの僕へ』は、今回、神谷さんが初めて作詞に挑戦された曲ですが、理由やきっかけはありますか?
「10枚目なので、作詞:神谷浩史というクレジットをやりたい!」とディレクターが言い始めて(笑)。
なので、僕は全然そこにこだわりはないんです。それでも、ディレクターの思いもなんとなくわかるし、10枚目にまでたどり着けているという感謝もあるので、僕が作詞に挑戦するという企画もわかるんですよね。
──『これからの僕へ』ご自身の中のテーマや想いはありますか?
音楽活動を始めてから10年経っているので、10年前ってどんなことを考えていたかなというのを話し合いながら作りました。歌詞にするとしても、身近なものや自分が経験したことでないと表現できないだろうと思ったんです。
自分が10年前音楽活動を始めたころは、ある意味人間が形成された時期だったと思うんですよね。声優としても人間としてもいろんなことを経験して、「そっか、こういう風に生きていかなきゃいけなかったんだ」と知って。
それまでは、なんとなく自分の力だけで生きている感覚とか、誰の助けもないところで孤軍奮闘している印象ではありましたけれど、実は全然そういうことではなく、たくさんの人に救われて生かされているんだと、そのときに思ったんです。
なので、テーマとしては“初心忘るべからず”。それを忘れなければ自分はどこまでいけるのだろうかということがテーマです。だから、感覚としては10年前の自分が思っていたことを今の自分へのメッセージとして伝わればいいのかなと。
それを忘れないでいれば、この先10年またいけるかもしれない、ということだと思っています。
──ミュージックビデオについてお伺いします。今回は『HA-RE? GO!』で登場したサムライ姿を5年ぶりに披露されていますが、実際の撮影はどんな様子だったのかお聞かせください。
今回も日光江戸村に行きまして、天晴な感じで撮りました。
『CUE』のときに『GLORIOUS TIME』のリメイクを河谷さん(河谷英夫氏/映像ディレクター)が引き受けてくださったタイミングで、「次の企画のコンセプトは“天晴”なんです」というようなことを話したら、「じゃあ、あのサムライをよみがえらせましょう」と。
曲も何もなく“天晴”というイメージしかなかったのに、「やりますよ!」と言ってくださったんです。
思い返すと、確かに冗談で『HA-RE? GO!』のときに“続く”とテロップを入れていたんですよね。でも、その伏線を10枚目のミニアルバムで回収することになるとはこれっぽっちも思っておらず……。
勝手知ったる河谷さんなので、いいものにしてくださるという予感はありました。それであがってきた企画が“帰ってきたサムライ編”です。
過去16タイトル15作品の中で河谷さんが撮ってくださっているタイトルがほとんどなのですが、ご自身で撮られていない作品も含めて15作品のパロディをやろうということになりました。
各ミュージックビデオの中で象徴的なシーンを、サムライが日光江戸村で繰り広げる。ちなみに、忍者の恰好で戦っているのは、根本くんというダンサーさんで『Danger Heaven?』のときの敵ですね。
撮影したのは、過去タイトル15シーンプラス今回の『あっぱれLIFE』の合計16シーンです。過去タイトルを見た人だったらすぐわかると思うのですが、見たことがない人はなんことやらさっぱりだと思います。時代錯誤もいいところなので(笑)。
雪が降り始めて非常に過酷な環境での撮影でしたが、スムーズにいきました。とはいえ、16シーンもあり手を変え品を変え細かく撮っていくので、河谷監督でなければこのスケジュールで撮れなかったと思います。すごくテンポよく撮ってくださいました。
──撮影したなかで、印象的なシーンはありますか?
『START AGAIN』の実際のシチュエーションは、浜辺にゲートを立ててその前で歌ったのですが、今回は武家屋敷の門をそれに見立ててサムライの恰好をした僕が『START AGAIN』っぽい雰囲気で歌うという(笑)。
ないものをどうやってこの武家屋敷の中に落とし込むか試行錯誤されたのだと思います。
とはいえ『For myself』ではシチューを作っているので。この時代にシチューっておかしいでしょ、と急に嘘が入ってきたりしています。統一感がないあたりはおもしろいなと思いますね。
昨年発売された『ハレノエ』とぜひ見比べていただきたいですね。『ハレノエ』さえあれば、全部答え合わせができます(笑)。
──ジャケットのコンセプトやテーマはありますか?
今回はちょっとカオスですね。いつもだいたい僕がコンセプトを決めて、それにのっとった形でデザイナーさんが考えてくださり形になっていくのですが、今回僕は“晴天”からの“天晴”しか思いついていなくて。
結果、10枚目ということでお祭りだとか賑やかしい感じだとか、お祝いの雰囲気のキービジュアルをもってきてくださり、どうしようかなと(笑)。
気象条件が想像できるような何かだったらいいんじゃないかなと今になっては思うのですが、そのときはみんななんとなくぼんやりしか考えていなかったんですよね。
なので、僕の言った“天晴”と、デザイナーさんがもってきた“お祝いの雰囲気”と、その時に話した“天気”のようなものがごちゃっとなって謎のキービジュアルになりました。
もうちょっと引き算したらよかったなと思いました(笑)。全部足し算でできちゃったんですよね。
なので、通常版のジャケットの方が『TP』を想像できるようなものになっているのかなと思います。豪華版はその名の通り豪華な感じに仕上がっているのではないかなと思います!
──今回のミニアルバム『TP』は、どのような一枚になったと思われますか?
どうやったら今後も声優として活動できるか考えながら作りました。
僕が今までやってきたやり方は、その場しのぎだったんです。人前で歌うことを考えずに、今日が終わればいいや、というように、刹那的な感じで仕事をしていたんです。
でも、それではいかんなと思って。年齢を重ねて、身体的にできないことできることが明確になってきてるんですよね。
野球選手が3割打ったらすごいと後世に称えられるじゃないですか。おそらくプロの世界って3割打てたらいいんだと思うんです。
でも、彼らは練習のときに来る球種がわかれば、十中八九ホームランかヒット性の当たりにする力を持っているんです。だから、僕もそうじゃないといけないなと思って。
いままでは、なんとなく結果3割打てたとか、勝負強さだったりだとか、変な力を信じてなんとなく打てる気がするという感じで現場に出ていたんです。
でも安定したところでパフォーマンスができるようにならないと。そんな刹那的なやり方で25年間やってきてた自分はそれはそれですごいな、とは思うのですが(笑)。
でも、次の10年を見据えないとこの先はないなと思いました。そう考えたのが、ちょうどこのアルバム制作の時期とかぶったんです。
一曲一曲に対してアプローチを変えたり試行錯誤をしたり。ちょっと考えながら作った1枚ですね。
──これからのアーティスト活動について、意気込みをお願いします。
これからの10年という話はしましたが、それがアーティスト活動に当てはまるかというと、それはないんですよね。次どうする? となったときに考えます。
毎回、次があると思って作っていないんです。ただ、『CUE』と『TP』に関しては、ソロライブに向けて10枚目までいきたい、という僕の思いはありました。
最初にプロデューサーに提案されたのが、シングル+ミニアルバムか、シングル+フルアルバムだったのですが、それでは10枚目までたどり着けないので、『ハレゴウ』『ハレロク』のように同時に発表して作れば効率よくいけるのではないかと思ったんです。
でも、全然効率よく作れなかったんです。5年前の大変だった思いをすっかり忘れて、同じことをやっているわけですけど(笑)。
とりあえずソロライブでアウトプットをして、全部出し切ったらまた次の展開に備えてインプットを始めるのかもしれないな、という感じですね。外に出さないとインプットだけをしていても形にならないので。
神谷浩史 9th Mini Album『TP』商品情報
■発売日:2020年4月22日
■価格:
【豪華盤(CD+DVD)】3,300円+税
【通常盤(CD)】2,200円+税
初回生産分封入特典:メッセージカード
※豪華盤・通常盤では写真・メッセージが異なります。
■INDEX:
1. あっぱれLIFE
作詞:鈴木おさむ 作曲:馬飼野康二 編曲:増田武史
2. Precious Moments
作詞:喜介 作曲・編曲:佐々木 裕
3. まあるい気持ち
作詞:PA-NON 作曲・編曲:渡辺未来
4. Summer Storm
作詞:前田甘露 作曲・編曲:カトウリョータ
5. Voice
作詞・作曲:LAZYgunsBRISKY 編曲:重永亮介
6. Nice Cloud
作詞:只野菜摘 作曲・編曲:渡辺拓也
7. これからの僕へ
作詞:神谷浩史 作曲:吉田 司、Tsubasa 編曲:Tsubasa
(C) Kiramune Project
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