『MHW:アイスボーン』は立ち回りに幅を持たせたい。クラッチクローや武器種調整を開発者が語る【E3 2019】

kbj
公開日時

 米国・ロサンゼルスにて開催されている“Electronic Entertainment Expo 2019(E3 2019)”にて、『モンスターハンターワールド:アイスボーン』開発者へのインタビューが行われた。

 『モンスターハンターワールド:アイスボーン』は、『モンスターハンター:ワールド』の大型拡張コンテンツ。マスターランクという新クエストランクが追加され、手強いモンスターが待ち受ける。また、各武器種の新アクションや新要素・クラッチクローなどが追加される。

 辻本良三シリーズプロデューサーと、藤岡要エグゼクティブ・ディレクター/アートディレクターのお二人に、開発で心がけていることやモンスターについて、新要素のポイントなどをお聞きした。

 なお、インタビュー中は敬称略。

――まず、本作の開発テーマについてお聞かせください。

辻本:コンセプトは従来の“G”が付く作品と同じく、『ワールド』を遊んでくださっている方に、より深く遊んでいただくためのものです。“G級”に相当する“マスターランク”のクエストを追加し、ご要望にお応えてし、いろいろな改善を行っています。

 ただ、これまで“G”の付く作品がパッケージ商品だったのに対し、本作は据え置き機なので『アイスボーン』だけのダウンロードコンテンツ(DLC)販売が可能になりました。ここが今までとの大きな違いです。

――“マスターランク”という名前は呼び慣れられましたか?

辻本:僕はまだ“G級”って呼んじゃいますね(笑)。

藤岡:開発チームでは普段から“マスター”と呼んでいるので、さすがににもう慣れましたね。辻本のように“G級”と呼ぶ人間と話している時に、たまにそう呼んでしまうくらいです(笑)。

辻本:この名称に決まるまで、いろいろな案がありました。

藤岡:ただ、名前から“必要以上に難しいクエスト”と思われたくなかったんです。上位の上になるので、確かに難易度は上がるのですが、特別な人でなくとも遊べるようにと、この名称にしました。

――マスターランクのクエストはどれくらい用意されているのでしょうか?

藤岡:チュートリアル段階のクエストなどを除くと、『ワールド』と同じくらいのボリュームを感じてもらえると思います。

 本編が圧縮されてマスターランクに入っているようなイメージ、かなり濃密なものになっていますので、クエスト数が少ないという印象は受けないはずです。

――マスターランクの武器防具の新要素を教えてください。

藤岡:一部の方はお気づきのようですが、“装衣”にスロットが空くようになります。現在は使用される装衣が“転身”や“不動”に偏っていますが、いろいろな装衣を切り替えていただけるようにカスタムや成長要素を加えています。

――それはプレイヤーの動向を見て決められたのでしょうか?

藤岡:『ワールド』では“不動”などを最終地点と位置付けて設計していたので、偏るのは想定通りでした。ただ、そのままマスターランクを遊んでいただくのは違うかなと思いました。

 かといって性能を丸ごと変えるわけにもいかないので、他の装衣に「これもアリだな」と思えるよう、バリュエーションを持たせることになりました。

――古龍“イヴェルカーナ”の由来や名前の意味をお教えください。

藤岡:“氷の呪い”という意味で、イヴェルが氷、カーナが呪いです。きれいな見た目に反して表裏を感じさせるのが、古龍らしくていいなと。

 いろいろなプレッシャーをかけてくるモンスターで、物語的にもインパクトがあることをしてくるため、怖さ・恐ろしさを持たせたいという意図もありました。

――ティガレックス、ナルガクルガという人気のモンスターについて、本作ならではの特徴はどこにありますか?

藤岡:まず、認知されているキャラクター性は失いわないようにしています。『ワールド』から始めた方々はそういった飛び抜けた個性を体験されていませんが、だからこそ素直に昔よかったものを届けて、シリーズの歴史やバリュエーションを感じてもらいたいと思っています。

 そうした意図があって根こそぎ変えることはしていませんが、ナルガクルガに関しては『ワールド』らしく“生きている”と感じられるデザイン、味付けを施しています。

 それ対して、ティガレックスは小細工をしたくなかった。昔のデザインのまま作り込み、そのうえでプレイヤーにきちんとプレッシャーを掛けられるようにしています。

――“クラッチクロー”は重要なアクションだと思われますが、何人まで同時に張り付けるのでしょうか?

藤岡:1つの部位につき1人、つまり最大4カ所まで張り付けます。同時に張り付ける人数に制限はありません。“乗り”と違って張り付いている最中もモンスターは普通に動き、攻撃によって吹き飛ばされるので、何人張り付いてもいい仕様になっています。

辻本:みんなで張り付いたら絵的におもしろいですが、普通に遊んでいると意外と早く降りるものなので、4人同時は狙わないと難しいかもしれません。

藤岡:そもそも、ずっと張り付いていることのメリットが少ないですし、スタミナもどんどん減っていくので、早めに終わらせたほうがいいとは思います。

――肉質が柔らかくなる効果はどれくらいの時間続くのでしょうか?

藤岡:細かいところまではお話しできませんが、一定時間です。気づいたら消えている感じでしょうか。また、何度も肉質を柔らかくすることは可能ですが、スリンガーの弾は無限ではありません。

――各武器のクラッチクローによる特殊攻撃で、強力なものをいくつか教えてください。

藤岡:太刀は展開が速く、クラッチクローからの武器攻撃も使いやすいです。長時間張り付くデメリットもあるので、素早く離脱できる武器のほうがやりやすい印象ですね。被弾率も減りますし。

――確かに、ガンランスで試したのですが段取りが大変でした。

辻本:夢の武器ですから(笑)。

――それで言うと、武器の調整点についてはどのような方向でされているのでしょうか?

藤岡:シンプルに、それぞれの個性を伸ばすのが狙いです。例えば、大剣の変更点は地味に見えるかもしれませんが、怯ませられるのは大きなメリットがあります。

 溜め斬りをどれだけ当てられるかが大剣の重要なポイントですし、今作では真・溜め斬りの1発目を弱点部位に当てると2発目が強化されるため、怯みによって1発目を確実に当てられるのは大きな強みです。

 太刀の“見切り”まわりが強化されているのも、攻撃が派手でわかりやすいのが太刀のカッコよさだからです。片手剣も「いかに器用に立ち回れるか?」という武器なので、いろいろな状況のなかでつねに選択肢があるように調整しました。

――もっとスリンガーを使ってほしいという意図もあるのでしょうか?

藤岡:それも大きな狙いのひとつです。状況に応じて環境を利用するのが『モンスターハンター』のコンセプトなので、サブツールであるスリンガーに関係した強化は多いです。

 その辺りのメリハリが後半に行けば行くほど出てきます。G級を遊ばれていた方はお分かりかと思いますが、マスターランクになると肉質がすごく硬くなってきたりします。

 立ち回りを限定させる意味で作っていた部分でもありますが、不自由になりすぎてはいけない。そう思って、肉質を軟化させるorさせないなどで立ち回りの幅を持たせました。クラッチクローやスリンガーによって、その辺りがうまく回ればいいなと。

――“モンスターライド”のやり方をお教えいただけますか?

藤岡:“渡りの凍て地”でたくさん遊ぶことで、その能力が解放されます。オトモダチレベルを上げて笛を使えるようにしておくと、解放されてすぐにモンスターライドが使えます。

 “ファストトラベル”よりも細かい移動に使えるよう設計していまして、初動が痕跡を追いかけてくれるのが楽です。

――『アイスボーン』を購入者と未購入者は、一緒にプレイできるのでしょうか?

辻本:『ワールド』のコンテンツは一緒に遊べます。『アイスボーン』を購入している人は新しいアクションを使用でき、『ワールド』のままの人は使えませんが、見ることはできます。

 『アイスボーン』を購入すると、『ワールド』のシナリオをクリアしていなくてもクラッチクローなどの新機能を使えます。

藤岡:マスターランクにならなくてもクラッチクローは使えるのですが、購入していただく必要はあります。また、下位と上位のモンスターはクラッチクローが効きやすく、隙あらば狙ってもらえるように調整してあります。

――『ワールド』が大ヒットしてのE3 2019ですが、例年との違いを感じることはありますか?

辻本:僕らはここ(取材する部屋)に閉じ込められているので、今のところわかりません(笑)。

藤岡:出展されているタイトルを、当たり前のように遊ばれているのは不思議な光景ですね。これまで海外では台が空いていることもあり、不安でソワソワしていました。それが今回、日本のユーザーのように遊んでくださっているのを見ると、不思議な気持ちになりました。

辻本:通りすがりの方々も「『モンスターハンター』だ!」と言ってくださるようになりました。そこは全然違いますね、日本と同じようなリアクションになってきたなと感じます。

※ゲーム内容や画面写真などは開発中のため、製品版では変更となる場合があります。
(C)CAPCOM CO., LTD. 2018, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

モンスターハンターワールド:アイスボーン マスターエディション コレクターズパッケージ

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 発売日: 2019年9月6日
  • 希望小売価格: 16,990円+税

モンスターハンターワールド:アイスボーン マスターエディション

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 発売日: 2019年9月6日
  • 希望小売価格: 6,990円+税

モンスターハンターワールド:アイスボーン マスターエディション(ダウンロード版)

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2019年9月6日
  • 価格: 6,472円+税

モンスターハンターワールド:アイスボーン マスターエディション デジタルデラックス

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2019年9月6日
  • 価格: 7,398円+税

モンスターハンターワールド:アイスボーン(ダウンロード版)

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2019年9月6日
  • 価格: 4,444円+税

モンスターハンターワールド:アイスボーン デジタルデラックス

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2019年9月6日
  • 希望小売価格: 5,370円+税

モンスターハンターワールド:アイスボーン コレクターズパッケージ

  • メーカー: カプコン
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 発売日: 2019年9月6日
  • 希望小売価格: 14,444円+税

関連する記事一覧はこちら