静寂の真剣勝負を再現! 『ゴースト・オブ・ツシマ』インタビュー

電撃オンライン
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 7月17日に発売日が決定したSIEのPS4『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)

 制作が佳境となるなか、開発を指揮するサッカーパンチ・プロダクションズのクリエイティブ・ディレクターNate Fox(ネイト・フォックス)氏と、アート/クリエイティブ・ディレクターJason Connell(ジェイソン・コーネル)氏の2人に、開発状況や制作の裏側についてうかがってみました。

Nate Fox(ネイト・フォックス)
サッカーパンチ・プロダクションズ
PS4用ソフトウェア『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)クリエイティブ・ディレクター
過去実績:
『inFAMOUS』シリーズ ゲームディレクター
『怪盗 スライ・クーパー』シリーズ ゲームデザイナー/ライター

Jason Connell(ジェイソン・コーネル)
サッカーパンチ・プロダクションズ
PS4用ソフトウェア『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)アート/クリエイティブ・ディレクター
(ライティング、撮影、コンセプトディレクション、音楽)

――『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)は、これまでサッカーパンチ・プロダクションズが手掛けてきた作品とは映像や音楽など、多くの要素がまったく新しいものだと思います。これまでとは異なる“和の完全新作”を作り上げることへの苦労や喜びなどを教えてください。

Nate Fox(ネイト・フォックス):これまでにはない『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)というゲームを作るにあたり、我々は新しい知識をたくさん得なければなりませんでいた。

 これまでと同様の作り方ではなく、SIE JAPAN STUDIOと協力したり、外部のコンサルタントから新しい知識を学んだりと、今まで以上に我々自身が積極的に働きかけていく必要がありました。

 新しい知識に対して柔軟に対応し、いろいろなことを学んでいくというところは、非常にユニークな経験だったと感じています。

――文化として理解が難しかった部分もあったのではないでしょうか?

Nate Fox(ネイト・フォックス):もちろん、いろいろありました。例えば宗教関係のことなど。以前から、いろいろなお寺や神社の映像を見ていたつもりでしたが、しっかりと意識しては見ておらず、お寺と神社の厳密な違いを理解できていませんでした。

 今回、JAPAN STUDIOや外部のコンサルタントのサポートにより、そうした違いを適切な方向へと導いてもらい、最終的にはしっかりとゲームに落とし込むことができました。

――現在の開発状況を教えてください。

Nate Fox(ネイト・フォックス):私たちは3月中旬ごろからリモートワークに移行しました。世界中の多く人がそうだったと思いますが、最初は変化した環境に慣れたり、うまく作業するために時間を要しましたが、現在は7月17日の発売に向けて、まったく問題ないスケジュールで動いています。

 今は多少の余裕ができたので、ゲームを磨き上げることに時間を費やしているところです。

――日本を舞台とし、侍が登場する新規IPを作ろうとした理由、またモンゴル帝国による日本侵攻となる“元寇”で支配された対馬を舞台とした理由など聞かせてください。

Nate Fox(ネイト・フォックス):もともと時代劇のファンでして、中世の侍がいた時代を舞台に、何か作品を作れたらいいなと考えていました。

 また、できればオープンワールドの作品で、自身が侍として、その世界のなかで生きているような感覚を与えられたらとも思っていました。

 しかし、そこでどういった“敵”が登場すればいいのかハッキリとしたビジョンがなく、調査を行い、“蒙古襲来”(いわゆる“元寇”)の事例を発見したのです。

 とくに対馬の絶望的な戦いのなかで、圧倒的な敵がいるというシチュエーションのもと、そこに1人の侍が生き残っていたらというフィクションを加えることで、これまでにないような激しい戦いを再現できるのではないかと考え、対馬の元寇を舞台とすることに決めました。

――ちなみに北米などで“元寇”の知名度はどの程度あったのでしょうか?

Nate Fox(ネイト・フォックス):合衆国においての知名度は、ほぼなかったと思います。しかし、『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)の登場で、多少なりと知名度は上がったのではないでしょうか。

 歴史的にも重要な出来事だったと思うので、もっと知られてほしいと思っています。

――戦闘では一撃で相手を倒すこともできるようですが、具体的に『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)のバトルはどういったものになるのでしょうか?

Nate Fox(ネイト・フォックス):時代劇での侍を再現するうえで必要不可欠な要素として、侍同士が向かい合って間合いを図る対決のシーンだと考え、一騎討ちのシステムを取り入れました。バトルのある場面では、ほぼ使えるものになっています。

 “State of Pay”の映像でもご覧いただけるように、プレイヤーは敵に対して一騎討ちを申し込むことができます。

 一騎討ちを申し込まれると、お互いにどちらが先に攻撃を仕掛けるかを図るシーンになり、適切なタイミングでボタンを押すことができれば、映像のように敵を一撃で倒すことが可能です。

 ただし、ボタン入力が早すぎたり、また遅すぎたりすると、逆にプレイヤー側が大きなダメージを受けてしまいます。そのため、一騎討ちの際には、敵の動きをよく見ることが重要になってきます。

――映像では残心やお辞儀をするといった行為も確認できましたが、こちらも時代劇を意識したものでしょうか?

Nate Fox(ネイト・フォックス):私たちが再現したかったのは、時代劇での侍同士の戦いです。

 これをどうやってゲームで再現するのかにおいて、私が大事にしたいと思ったのが、時代劇の戦いにある“静寂”や“静止”といった表現でした。そうしたものを残心などの動きに生かしていければと考えたしだいです。

 さらに武士や侍同士が相手に敬意を払っているところが、戦いを単なる刀の打ち合いからより深いものにしているのだと思います。そうした部分も、取り入れていきたいと考えました。

――“和”をイメージさせるBGMも印象的です。楽曲を手掛けているのは日本の作曲家なのでしょうか?

Jason Connell(ジェイソン・コーネル):我々もBGMは雰囲気があるものになったというか、聴いていると中世の対馬に行ったような気分になれるものになっていると思っています。

 開発初期から、そうした雰囲気を出さなければいけないとスタジオ内でも話していまして、それにふさわしい作曲家にお願いすべく、ソニーと協力して探した結果、梅林茂さん(映画『陰陽師』の“SEIMEI”などで知られる、映画音楽を中心に活動されている作曲家)という日本の作曲家にたどり着きました。

 彼が作曲してくれたおかげで、情緒をも伝えてくれているすばらしいものができたと思います。

 しかし『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)は広大なゲームで、1人の作曲家だけではカバーしきれないということが、制作の途中でわかったんです。

 そこで2人目の作曲家を探すことになったわけですが、『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)に興味を持っていただき、参加したいという作曲家のIlan Eshkeriさんと出会うことができました。

 改めて確認してみると、以前に梅林さんとコラボレーションもされたことがあったようで、お互いに面識もあるとのこで、Eshkeriさんと梅林さんのお二人で進めてもらうことになったしだいです。

――日本人にとって日本語音声の収録はうれしいところですが、海外の方からすると日本語音声の実装はどのような印象を持っているのでしょうか? 例えば日本語音声で“サムライ映画”を楽しむということは、海外ではマニアックな楽しみ方なのでしょうか?

Jason Connell(ジェイソン・コーネル):実際に日本語音声のオプションを世界中でどれだけの人が選択するかは発売してからでなければわかりませんが、侍好きであるとか日本好きの方は、やっぱり日本の音声でプレイしたいと思っているのではないでしょうか。

 何より自分たち自身もそういうコンテンツのファンであるので、ぜひ入れたいと思っていました。

 実際に日本を舞台にした作品ということもあって、日本語のほうがより自然だというか、より本物らしく感じるという方々も多くいらっしゃると思っています。ちなみに、どの言語でプレイするかは、ゲームの冒頭で選ぶことが可能です。

――日本語音声のキャスティングは、日本のローカライズチームにお願いされたのでしょうか?

Nate Fox(ネイト・フォックス):キャスティング&収録は、日本のチームに信頼を置いていたので、すべてお任せしました。なぜなら、彼らは『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)のキャラクターについて、非常に深く理解してくれていたからです。

――現地取材もされたと思いますが、取材時のエピソードがあれば教えてください。

Jason Connell(ジェイソン・コーネル):私自身もネイトも、何度か日本の取材に行かせてもらいました。私が最初に取材に行ったのは開発初期、10日ぐらいのツアーで、対馬はもちろんですが、その近くの福岡だとか、近畿地方などにも行きました。

 ただ単に蒙古襲来について学ぶのではなく、日本全体の文化、風土の空気感をつかみたいと思ったからです。

 最初にモンゴル軍が襲撃してきた小茂田浜(当時の佐須浦)を取材をしたのですが、そのときにネイトは蛇が苦手だということを知りました(笑)。

(C)Sony Interactive Entertainment LLC.

Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 発売日: 2020年7月17日
  • 希望小売価格: 6,900円+税

Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ) デジタルデラックスエディション

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2020年7月17日
  • 価格: 8,690円(税込)

Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)(ダウンロード版)

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2020年7月17日
  • 価格: 7,590円(税込)