『SEKIRO』コラボTシャツの裏話をインタビュー。この道10年以上のベテランが語るポイントは耽美【電撃PS】

電撃PlayStation
公開日時

 これまで『DARK SOULS(ダークソウル)』シリーズや『Bloodborne(ブラッドボーン)』のTシャツやグッズを手掛けているTORCH TORCHが、先日『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ:シャドウズ ダイ トゥワイス)』のTシャツコレクション第1弾、第2弾を発表しました。


 4月に第1弾を5種、5月に第2弾を5種と、これまでに発表された計10種のTシャツは、いずれも描き下ろしのイラストをあしらっていたり普段遣いを意識したデザインだったりと、上品にまとまっているのが特徴です。

 これら『SEKIRO』Tシャツコレクションの解説はTORCH TORCHの公式ブログのあんな記事こんな記事そんな記事で、軽く解説されていますが、そのこだわりはおそらくまだまだあるハズ。

 ということで、TORCH TORCHを運営するアートディレクター・原田隼さんに今回発表された各Tシャツにかけた情熱や裏話、そしてTORCH TORCH ブランドのTシャツづくり全般に関するコンセプトなどをちょっと詳しく聞いてみました。今回はその様子をお届けします。

『SEKIRO』Tシャツコレクションのこだわり:第2弾編

――今日はよろしくおねがいします。第1弾はすでにみなさんのお手元に届いており、第2弾は現在予約受付中ですね。それぞれ反響はいかがでしょうか?

原田氏(以下敬称略):おかげさまで第1弾と第2弾、ともに好評をいただいています。もちろん「これでいい」ではなく「これがいい」と思えるものを、こだわり抜いて作っていますが、やはり発表までは不安なもので、みなさんの温かい声を聞けてホッとしています。ご購入いただいた方、ご予約いただいた方には、この場を借りてお礼申し上げます。

――それでは早速ですが、各Tシャツ制作に関するこだわりを教えてください。

原田:わかりました。1点ずつご説明していきますね。

SHINOBI EXECUTION

原田:このTシャツは、今回のコレクションの中では唯一、ゲームに使用されているデータを使って制作したものになっています。

――狼の立ち姿はボスを撃破した直後の、あの”SHINOBI EXECUTION”のシーンのものではないと思うのですが、これはどこのシーンですか?

原田:じつはこれ、供養衆と喋っているところなんです。ゲーム中だと、”忍殺 SHINOBI EXECUTION”と表示される瞬間って、フロム・ソフトウェアさんらしい、『SEKIRO』の印象的なシーンですよね。そこでは狼が佇む姿を見つめ、激闘の余韻や、忍殺した対象に思いを馳せている方が多いと思うのですが、単にそのシーンを抜き取っただけでは、逆にそのシーンに込められた意味を想起しづらくなってしまうと感じたんです。

  • ▲ボディ選定まで進んでいた幻のボツ案。

 かといって、ズバ―っとやった瞬間のポーズでは、”忍殺”の余韻は損なわれてしまいます。狼の後ろ姿にもう少し意味を感じてもらうべく、何か背中で語るような、憂いを帯びているような、そんな印象を感じられる姿を探して、組み合わせてみたんです。

 あと、見たまんまですが色味を思い切って大胆に変更しています。ゲームそのままの画像も試してみたのですが、モロにキャラクターグッズの印象が出てしまって。普段遣いを考えると、もうちょっとグラフィカルな雰囲気にしたかったんです。モニターで展開されるゲームとはまた違う、Tシャツならではのカラーリング・質感で遊びたい、という意図もあります。

破戒僧

原田:じつは一番苦労したのがこの破戒僧です。破戒僧はハッキリと”怖い”キャラクターなので、ディティールを書き込みすぎるとTシャツのデザインとしては強すぎると思っていました。そこまではよかったのですが、イラストのタッチがうまく破戒僧と噛み合わなくて。ペン風だったり筆風だったり、いろいろ試したのですがどれもしっくり来ず、一度はボツにしようと思っていたほどです。最後に到達したのが鉛筆のタッチだったんですよ。

――余白も独特ですね。

原田:破戒僧が持っている薙刀が長すぎて……(苦笑)。E3やTGSなどのイベント会場で展示されていた破戒僧のスタチューをご覧になった方はより納得してくださると思うのですが、やはり破戒僧といえば、巨大な立ち姿と長い薙刀が印象的なボスじゃないですか。

 迷った結果、薙刀を短くしたものを作ってみたりもしたのですが、やっぱりしっくりこない。実際、それを見たフロム・ソフトウェアさんからも「薙刀の柄は長いままで」とのコメントをいただきました。やはり迷えば、敗れる(苦笑)。そこから先は工場との調整ですね。最終的にはうまく余白を取ることにもつなげられて、お気に入りの1枚になりました。

  • ▲迷えば、敗れる…。

忍義手

原田:社内に企画を通すときから、『SEKIRO』の象徴でもある忍義手をあしらったTシャツは作りたいと思っていました。でも僕の中でのイメージは固まっていませんでしたので、構成案はイラストをお願いした芳川さんからたくさん出していただきました。初期の案では、特許申請するときに同時に提出する、特許図面のようなデザインもありましたね。

  • ▲初期案のうちの1つ、特許図面風のイラスト。

  • ▲中期案のうちの1つで、ONE LAST TIME(最後にもう一度)という英字が入っているもの。

 どういう構図にするかを決めてから、どういうタッチでイラストに落とし込むかを決めたのですが、そこでも芳川さんからいろいろな提案をいただきました。最終的なデザインは、イタリアのマンガ家・イラストレーターである”セルジオ・トッピ”の作風をリスペクトしたものになっています。

 彼のイラストは、とにかく陰影の線がカッコよくて、芳川さんがぜひ“トッピ風”にチャレンジしてみたいと。トッピの著作は日本でも翻訳・出版されているのですが、現在は入手しづらくなっており……。もし機会があれば、忍義手のディティールと見比べてみても、おもしろいかもしれませんね。

 それともちろん、楔丸のディティールはゲームに準拠しています。ゲーム中ではなかなかアップで見る機会がないと思いますので、ぜひ注目していただければ。

――イラストには、一度ビリビリに破いて貼り付け直した、コラージュのような加工が施されていますが、これは原田さんのアイデアですか?

原田:コラージュのような要素を入れられないかと言ったのは僕ですが、手で破いて貼りなおすイメージは芳川さんのアイデアです。和のテイストを過剰に感じたので、それを抑えるため、グラフィカルな雰囲気や着やすさを意識して調整を行った結果です。破き方、重ね方は、気持ち良いところを探って何回かやり直しました。この企画はかなり芳川さん任せですね……(苦笑)。

  • ▲最終的なデザインの変遷。

葦名の天狗

――”死なず半兵衛”のTシャツもそうですが、セリフとその吹き出しは、ポップさの演出にもつながっていますね。

原田:はい。セリフと吹き出しは、和の要素を緩和させ、着やすさを演出するために入れています。

――カラーリングも独特ですが、色味の選定にはどういう基準があるのでしょう。

原田:これもグラフィカルな雰囲気を出したかったのですが、どういう基準かと言われると……正直感覚によるものが大きくて。上手く言語化するのが難しいですね(苦笑)。感覚といえば、弊社の橘高(※『DARK SOULS』の指輪コレクションの塗装なども行っている)もTシャツに関してはかなり鋭い感覚の持ち主です。彼の「着やすいです」「着づらいです」という意見は参考にするとTシャツのクオリティがぐっと上がりますね。

――このイラストは原田さんがご自身で手掛けたんですね。

原田:はい、僕も肩書としてはアートディレクターですので(笑)。作家さんにイメージをお渡しするために僕がラフを描いていたときに、橘高をはじめとして社内の全員が「このイラストいいですよ!」って言ってくれたんです。作家さんにお願いする前だったし、なにより天狗は描いていてとても自分自身楽しかったので、じゃあ本番もチャレンジしてみようかなと。

  • ▲原田さんの手によるラフスケッチ。

ピクセル弦一郎

――こちらはボディの色味がポップですね。あまりほかのキャラクターグッズでは使われない色味だと思います。

原田:そうですね。このTシャツはイラストの色味に合うように、ボディの色もいろいろ試しました。余談ですが、黒地のボディも、墨と黒と、2種類の色味をイラストに応じて使いわけています。あと、ボディの生地も毎回いろいろ試しています。昔作った『DARK SOULS』のTシャツなどでは、綿、ポリエステル、レーヨンの3種混紡の生地を使用しています。もしお持ちの方はぜひ、着比べてみてください。

――この弦一郎も原田さんが制作されたそうですが、こだわった点はありますか?

原田:弦一郎って、ゲームをクリアした方にとっては、愛されキャラみたいなところがあると思うんです。そういうニュアンスを表現できないかなと思って、ピクセルアートにしてみました。あと、このイラストは弦一郎を表現するために全部で8色使っているのですが、それに伴ってシルクスクリーンを8版使っています。

――今回はビジネス的なことに立ち入る質問は避けようと思っていたのですが、突っ込まずにはいられない発言が飛び出しましたね(笑)。豪華すぎて、ほかのTシャツと価格を揃えるのは大変だったのではないでしょうか。

原田:そこはなんとかしました! インクジェットでの表現も考えたのですが、ドットならではのパキッとした表現が損なわれてしまいますので、「やっぱりやりたい!」と。

 このTシャツに限らずですが、4000円を越えるTシャツって、決して買いやすい価格ではないと、いつも思うんです。かといって自分が着たいと思うTシャツを作ろうとすると、つい仕様を盛りがちで……。じつはTシャツを出すたびに、だんだん仕様は豪華になっていっています。次あたりは会社の偉い人に怒られるかもしれない(苦笑)。

『SEKIRO』Tシャツコレクションのこだわり:第1弾編

原田:『SEKIRO』の主人公である狼が描かれたTシャツのうち、1枚はTシャツコレクションも代表する、シンボリックなTシャツにしようと思いました。電撃PlayStationさんも『SEKIRO』を表紙にされた号があったかと思うのですが、その表紙と同じシーンを、青木薫さんにイラストにしていただきました。こちらは全身を描いてもらっていますが、完成度は7割ぐらいにとどめてほしい、とお伝えしました。これも先程から何回かお話している通りで、着やすさを意識して、余白を演出することを狙ったためですね。

死なず半兵衛

――半兵衛はなにより「其処許」というセリフが印象的なキャラクターですよね。

原田:「其処許」って、そこまで変わったセリフではないと思うのですが。声優さんとキャラクター造形の力ですよね。イラストを担当してくださった芳川さんはもともとフロム・ソフトウェアさんのタイトルが好きな方で、しかも作風も幅広い方なんです。今回の半兵衛は、彼が特に得意としている厚塗りで表現していただきました。忍義手と見比べていただくと、作風の幅広さが伝わるかと思いますが、それもあって、芳川さんにはつい、いろんなことをご相談してしまいます。

竜胤の御子

原田:これもかなり難産だったTシャツで、一度は制作を諦めていました。ただフロム・ソフトウェアさんからかなり詳細な月見櫓の資料をご提供いただけたこともあって、「“御子のいる風景”としてなら上手くまとまるのでは?」と思い、再度チャレンジした結果うまく行ったパターンです。

 イラストをお願いした瀧川 虚至(たきがわ きょし)さんはガンダムのメカニックデザインなどで有名な方なのですが、ゴシックで耽美的な絵も描かれる方なんです。そしてフロム・ソフトウェアさんのゲームも好きな方で。

 瀧川さんにはとにかく耽美的な方向を突き詰めてほしいとお願いしました。それはもう、僕とのやり取りを省略して、ご自身の耽美的な要素をありったけぶちまけてほしいくらい(笑)。なので『SEKIRO』の雰囲気をお伝えするために、最初にあえて、『SEKIRO』のデモシーンのかなり細かいところまでディティールをお伝えしました。

  • ▲原田さんが最初に瀧川さんに渡した指示書。

巴流 葦名弦一郎

原田:このTシャツのイラストは、迷いなくヒロモト森一さんにお願いしました。僕の中ではヒロモトさんは“豪快なティム・バートン”というイメージがあって「ヒロモトさんの描く弦一郎が見たい!」と思ったんです。

――では、制作は比較的スマートに進行したのでしょうか?

原田:いえ、じつはリテイクはめちゃくちゃ多かったです……。筆で描いていただきたいとリクエストしていたので、ちょっとした描き方の違いで大きくニュアンスが変わってしまって。最初に同じアングルのイラストを7点ほど描いていただいたのですが、そこからかなりブラッシュアップを重ねていきました。

 即興で描いたような、あまり描き込みすぎていないものを、とはお願いしていたのですが、なにぶんたくさん描いていただいたので、大変だったと思います……。

 あと、僕はTシャツに文字を入れたくなってしまうことが多いのですが、このTシャツは、橘高の意見を取り入れて絵だけで仕上げることにしました。結果的に正解だったと思いますね。

道順

――道順がまさかTシャツのラインナップに登場するとは思いませんでした。色味も刺激的ですね。

原田:これはゲームが発売されて間もないある日、芳川さんから「道順はアルフレートっぽいキャラのような気がする!」と猛プッシュを受けたのが発端です。でも僕は初回プレイでは、うまく道順のイベントが進まなかったので、周回するまでよくわからなかった(苦笑)。

 今回のTシャツコレクションは『Bloodborne』のときのミコラーシュやアルフレートのようなおもしろキャラ……というと語弊があるかもしれませんが(苦笑)、その枠がなかったので、その役は道順に担ってもらおうということで、急遽追加されたんです。ほとんど芳川さんの持ち込み企画みたいなものなので、感謝です。

Tシャツデザイン歴10年以上のベテランが語る、デザインのポイント

――ここからは『SEKIRO』Tシャツコレクションの全体的なことや、もっと大きく原田さんのTシャツづくり全般で意識していることなどを教えてください。

 まず、4月に5点、5月に5点と、2カ月通すと計10点もの『SEKIRO』のTシャツがTORCH TORCHから発表されました。ファンの皆さんはよりどりみどりで、うれしい悲鳴だと思います。Tシャツのデザイン・アイデアは当初、何点ぐらいを考えてらっしゃったのでしょうか?

原田:幅広いバリエーションをご用意したかったという意識はたしかにありましたが、最初は8点ほどだったと思います。制作を進めていくうちに諸事情でボツになったり、ボツだと思っていたけど復活させたり、デザイナーさんからのご提案で増えたり……。10点になったのは結果論ですね。気がついたら増えてしまいました(笑)。

――2カ月連続の発売となるのも驚きました。

原田:正直に申し上げますと、本当はこのTシャツコレクションの企画は、『SEKIRO』の発売前からフロム・ソフトウェアさんにはご相談していたんです。第1弾はもっと早い時期に発売する予定だったんですが……。

――いつもの“いいと思うものが出来るまでクオリティを上げ続け、納得行くレベルまで到達したら発表する”スタイルで進んでしまったということですね(笑)。

原田:お恥ずかしい話なのですが、その通りです。全Tシャツの完成タイミングが、たまたま近くなったので、ユーザーの皆さんにはTシャツ第1弾をお届けしたばかりなのに、すぐに第2弾を発表することになってしまいました。

――今回はかなり苦労されたということでしょうか。

原田:そうですね。『DARK SOULS』や『Bloodborne』のTシャツと比べても圧倒的に時間がかかっています。これまで手掛けたTシャツのなかで、おそらく一番時間がかかっているんじゃないかな。

――どういう点に苦労されたのでしょう?

原田:まず『SEKIRO』のモチーフが和であることですね。それと『DARK SOULS』や『Bloodborne』とは異なり、キャラクターの顔がゲーム中でハッキリ確認できるのもデザインの難易度を上げているポイントです。どちらの要素も、Tシャツとして上品に着こなせるようにまとめる上では大きな課題です。ですが、『SEKIRO』らしさ、フロム・ソフトウェアらしさを盛り込まねば、ゲームグッズとしては本末転倒ですよね。その両立に苦労した感じでしょうか。

――ちょっと話はそれるのですが、原田さんはTシャツづくりの経歴も長いのでしょうか。

原田:そうですね。フロム・ソフトウェアさん関連のTシャツを作ったのは2017年2月に発売した、”心折れた戦士たちのTシャツ”などがはじめての経験となりますが、Tシャツづくり歴で言うと、TORCH TORCHを始めるよりもずっと昔です。個人的に作っていた頃も含めれば、かれこれ10年以上ほどでしょうか。

――その中で意識されていることはどんなことでしょう?

原田:Tシャツはやはり着るものですから、着ていただいたときにしっくり馴染めるか、ファッションとして成立するかどうかが非常に重要だと思っています。具体的な手法としては、情報量を多くしすぎない、ということでしょうか。『SEKIRO』Tシャツの際も、制作は“どれだけ引き算ができるか”がポイントでした。

 余白も重要ですね。Tシャツをキャンバスと見立てたときの余白ももちろん重要なのですが、イラストの完成度としての意味でも、余白は重要です。具体的には、あえてイラストを完成させなかったり、ラフな線を残したり、ということですね。

 そういう意味では、ゲーム画像を3Dで再現することにこだわって制作している『DARK SOULS』の指輪シリーズや『Bloodborne』の狩人証シリーズとは、ちょっと制作コンセプトが違いますね。

 ただ、自分の中でのトレンドは常に移り変わるので、一概に「こうです!」というわけでもないのですが(苦笑)。TORCH TORCHを始める前は、もっと情報量が多い、ポップなTシャツを制作していました。古くからお付き合いをしていて、今回も”巴流 葦名弦一郎”のイラストを描いていただいたヒロモト森一さんはその頃をご存知なので、「お前、枯れたな」と言われます(笑)。

――フロム・ソフトウェアさんらしい、枯れた世界の美しさという表現に対し、真摯に向き合っている証拠だと思います(笑)。

原田:あと、せっかく題材がTシャツなので、ゲーム画面では表現できないことにチャレンジしてみたいんです。それは色使いももちろんですが、印刷の質感などにもついこだわってしまって。

 今回だと”SHINOBI EXECUTION”と“死なず半兵衛”のTシャツの、文字部分などがわかりやすいと思います。絵柄よりも立体感が出るように、インクを変えたり、刷る回数を増やしてプリントに厚みを出したり、透明なインクを使ってみたり。着てくださる方に密かに満足感を得ていただくための施策……だと思っているのですが、僕が単にTシャツオタクなだけかもしれません(笑)。

――またご謙遜を……。イラストの話に戻ってしまいますが、Tシャツのために、これまでもかなりの点数のイラストを制作・発注されているかと思います。毎回そのクオリティにも驚かされていますが、今回は10点中9点と、過去にないボリュームなので2度驚きました。

原田:ありがとうございます。ゲームの雰囲気を表現するにあたっては、たとえばキャラクターの公式イラストや画面写真などを使わせていただくのが一番簡単だとは思うのですが、「私たちにしか作れないものを作ろう」、というのは、TORCH TORCHがこだわりとして持っているポリシーです。

――『SEKIRO』でいうと、自ら御子にお守りをお返しして、”苦難”を選択しているわけですね。

原田:そこまで大層なものではないですが、そうおっしゃっていただけるなら幸いです(笑)。

――お声がけしている作家さんや、イラスト化するキャラクターはどのように決めているのでしょうか。

原田:キャラクターの選定基準としては、やはりそのキャラクターに人気があるか、キャッチーさがあるか、といったことが重要ですね。……それで“道順”がラインナップに飛び込んでくるのは、出来心というか、これが我々なのだと言うしかないというか(笑)。

 作家さんについては、「この作家さんならそのキャラクターの魅力を引き出してくださるかな?」、と私が感じる方にお声がけしています。加えて、TORCH TORCHから出すTシャツには、なるべくある種の“ドライさ”を表現するようにしよう、と考えていまして。私たちが考えるその”ドライさ”と方向性が合致してらっしゃる作家さんかどうか、というのも意識はしています。

――”ドライさ”というのは、どういう意味でしょうか?

原田:ちょっとニュアンスが難しいのですが、ポップな方向に寄せすぎない、ちょっとアートさを感じさせるもの……とでも申しますか。

 たとえば、今回始めてTORCH TORCHでイラストを手掛けていただいた、画家の青木薫さんは、とても写実的でトラディショナルな、硬質な絵を描いてくださる方だったので、お声がけさせていただきました。ご本人は“アカデミックな絵”という表現をされてらっしゃいましたね。

――作家さんとはどんなことをお話するのでしょうか?

原田:フロム・ソフトウェアさんの関連タイトルのTシャツを作る際ならではの事といえば、よくキーワードとして”耽美” という言葉が出てきます。

――個人的に“耽美”という言葉からは、山本タカトさんや丸尾末広さん、古屋兎丸さん、といった方々を連想しますが、そのイメージであっていますでしょうか?

原田:そうですね。もう少し詳しく言いますと “単純に美しい”のではなく、その美の中に狂気・背徳さをも内包している……そんなイメージを伝えるのに”耽美”という言葉を使っています。『SEKIRO』のTシャツ制作にあたっては、イメージのモチーフとして、個人的に好きな作品である山岸凉子さんの『日出処の天子』なども読み直したりして、デザインの方向性を考える参考にしましたね。

――では総まとめ的な意味で、ユーザーの皆さんにひと言お願いいします

原田:TORCH TORCHのブランドから発表している商品はすべて、ただなんとなく作っているわけではなく、僕たちにしか作れないものをみなさんにお届けすることを目標としています。発表が遅くなってしまうのが申し訳ないのですが、みなさんのゲーム体験に寄り添う唯一無二のものになれるよう、全力で取り組んでいます。

 『SEKIRO』のTシャツコレクションのほか、『DARK SOULS』の指輪コレクションや、『Bloodborne』の狩人証コレクションなども展開していますので、今回興味を持ってくださった方はぜひ、ほかのプロダクトもご覧になってみてください。

 あと、TORCH TORCHのブログではさまざまな開発秘話を公開しています。『SEKIRO』のTシャツコレクションでいうと、壺の貴人の刺繍のワッペンの開発秘話などを載せています。もし私たちのプロダクトに興味を持ってくださった方は、こちらもあわせて、ご覧いただけますと幸いです。

  • ▲今回のTシャツコレクションにはすべて、壺の貴人のワッペンが肩に添えられています。

――ちなみにですが、『SEKIRO』のTシャツコレクション第3弾の企画はありますか?

原田:『SEKIRO』は第2弾でいったん落ち着きます。なので今年の初夏はぜひ、この10点を楽しんでいただければ。ただ、現状予定は一切ないのですが、第3弾にも挑戦したいという気持ちはあります! でもこの調子だと、第3弾をやるとしても、それはいつみなさんに発表できるのか……(苦笑)。

 その代わり……というわけではないのですが、夏本番のころを目標に、また別のゲームTシャツを発表できればと思っています。そちらもフロム・ソフトウェアさん関連のゲームTシャツなので、こちらもぜひ、注目していただけますと幸いです。

――まさか『ELDEN RING』ですか?

原田:いえ、『Bloodborne』の新作です(笑)。『ELDEN RING』は僕も楽しみにしています!

――もし第3弾があるなら、ぜひ「あっちじゃあ~」のおばばTシャツと、水生村の村人総集合Tシャツと、エマさんTシャツと、お米の大事さが伝わるTシャツをお願いします! 今日はありがとうございました。

 なお、電撃オンラインではこれまでも超クオリティの『DARK SOULS』の指輪コレクションや『Bloodborne』の狩人証コレクションなどの制作裏話をこの記事あの記事でご紹介しています。そちらの記事もよろしければぜひ。

(C)2019 FromSoftware, Inc. All rights reserved.
ACTIVISION is a trademark of Activision Publishing Inc.
All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ シャドウズ ダイ トゥワイス)

  • メーカー: フロム・ソフトウェア/Activision
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 発売日: 2019年3月22日
  • 希望小売価格: 7,600円+税

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ シャドウズ ダイ トゥワイス)(ダウンロード版)

  • メーカー: フロム・ソフトウェア/Activision
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2019年3月22日
  • 価格: 7,600円+税

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ シャドウズ ダイ トゥワイス)

  • メーカー: フロム・ソフトウェア/Activision
  • 対応機種: Xbox One
  • ジャンル: アクションADV
  • 発売日: 2019年3月22日
  • 希望小売価格: 7,600円+税

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ シャドウズ ダイ トゥワイス)(ダウンロード版)

  • メーカー: フロム・ソフトウェア/Activision
  • 対応機種: Xbox One
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2019年3月22日
  • 価格: 7,600円+税