『シナドラ』開発者インタビューで武器の使い方を質問。こだわりぬいた戦略で世界規模の盛り上がりを狙う

滑川けいと
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 5月28日に発売されたNintendo Switch/Steam用ソフト『SYNAPTIC DRIVE(シナプティック・ドライブ)』の開発者インタビューを掲載します。

 本作『シナプティック・ドライブ』は見城こうじさんがディレクターを務め、サウンドプロデューサーに細江慎治さん、キャラクターデザインにタナカケンゴさん、寺田克也さん、仲井さとしさんなど、多数の豪華なクリエイター陣が携わるシューティングバトルゲームです。

 発売を記念して、ディレクターである見城こうじさんと販売・運営を行うYUNUO GAMESの関義一さんのインタビューを実施。本作に込められた思いを語っていただきました。

  • ▲見城こうじさん
  • ▲関義一さん

 なお、インタビュー中は敬称略。

100種類以上の武器の組み合わせで戦略を見つける楽しさ

――まずはみなさまの経歴や本作で担当された部分を教えていただけますでしょうか。

見城:『シナプティック・ドライブ』のディレクションを担当させていただきました。経歴としてましては、任天堂の『カスタムロボ』シリーズのディレクションをひと通り担当させていただいたことがあり、現在はフリーランスのゲームディレクターとして仕事をしております。

:本作ではパブリッシャー側のディレクターとして携わっております。主に販売周りやゲーム内容に関してのチェックを担当しました。私自身、今まで遊技機業界に在籍しておりまして、ゲームを作るのは今回が初めてでした。四苦八苦ありましたが、皆さまのおかげで発売までこぎつけられました。

――改めて本作のコンセプトについてお話いただけますか。

見城:本作は対戦型のシューティングアクションゲームで、1対1もしくは2対2のチーム戦が楽しめます。最大の特徴は、ボディと武器を自由に組み合わせ、戦略を自分で作って戦えるところですね。

――『カスタムロボ』のようなゲーム性を継いだタイトルを開発したいという思いはずっとあったのでしょうか。

見城:そうですね。いろいろな事情があり『カスタムロボ』シリーズは途絶えてしまっていたのですが、あのような方向性のゲームは、これまでにまったく世に出ていませんでした。ファンの方に対してもそうなのですが、自分でないと作れないゲームを開発したいという思いはずっとあったんです。今回こうして開発できるタイミングができ、新作オリジナルタイトルとして発売となりました。

――2018年のタイトル発表の時点ではパブリッシャーから探すところからのスタートだというお話をされていました。インディーとして、またパブリッシャーが見つかった点でそれぞれ開発のメリットデメリットはありますか。

見城:インディーでは、予算枠などの制約はやはり大きいです。ただすべての責任を負うものの、自分の気持ち次第で自由に作れる部分はメリットだと感じます。

 パブリッシャーがつくメリットとしては、やはり大きな規模でやっていけることですね。広報なども含めバックアップしていただいており、そこもとてもありがたいなと感じています。

――本作のメインターゲットはどこになるのでしょうか。

見城:もちろんプレイヤーの層は広がれば広がるほどありがたいです。ですが、過去に私の作ってきたゲームをご存知の方にまずは見ていただきたい。今回ビジュアルをクールにしたのは、かつて小中学生だったユーザーの皆さんが大人になっているからという理由もあります。

 そのうえでそこにとどまらず、できればe-Sports世代の人にも届いてほしいですね。ゲームのバランスチューニングも含めて作り込んだつもりなので、世界中の方々に触っていただけるとうれしいです。

――見城さんの考えている対戦ゲームの魅力とはどういうところでしょう?

見城:ひと言で説明するのは難しいのですが、相手次第でゲーム内容がいくらでも変化するところです。ひとりプレイで遊ぶゲームは、どちらかと言うと開発者の作った世界を体験していただくおもしろさがある。

 対戦ゲームはと、ルールを作って競技場を設定し、そこで自由にユーザーに楽しんでいただくスポーツのような楽しみがあると最近は感じています。本作についてもそこを強く意識して作りました。

――本作の特徴はどこになりますか?

見城:本作は、俯瞰型の三人称視点でスピード感のある本格的なシューティングバトルができるところもウリです。ゲーム画面が双方から見られる状態で、戦略を立てつつ自由に動き回って戦える。そして格闘ゲームのように複数の攻撃をぶつけ合って駆け引きを楽しめる。このふたつの要素の融合が、非常に独自性があると思っています。

 先ほどお伝えした装備の組み合わせも当然ウリです。武器は100種類以上用意しているので、いろいろな組み合わせを楽しんでもらえます。ボディと呼ばれるベースがあり、ボディにはアルティメットと呼ばれる派手な技も備わっています。そこにガン、ワイヤー、トラッカーといった攻撃手段、そしてボディの性能に補正をかけられるチップを付けられるんです。

 ガンを含めた大多数の武器はオートエイミングになっており、自動的に相手に向かって飛んでいきます。3種類あるので同時に使う場面は多くなりますが、オートエイミングのため、空間を使った立ち回りにある程度集中することができます。

 ワイヤーはボム系の武器。他の武器との大きな違いは右スティックで光の帯を射出して、そのまま軌道の操作ができることです。さらにボタンで爆発のタイミングもある程度決められるので、非常に自由度の高い武器になっています。ワイヤーで牽制するもよし、直撃させるもよし。私はよく“2体目のプレイヤー”という言い方をしています。ワイヤーを使って相手をかく乱したり、進路を塞いでガンで止めを刺すというのが基本戦略になります。

――“2体目のプレイヤー”というところからも、奥深さを感じられます。

見城:さらにビジュアル部分では、日本だけではなく世界市場も狙えるような外見を目指しました。プレイしていくと出てくる要素なのですが、キャラクターのボディのスキン替えのようなこともでき、いろいろな角度から楽しめます。

:パブリッシャーとしましては、クロスプラットフォームが特徴であると思っています。見城さんからも“世界市場”という単語が出ましたが、昨今e-Sportsが流行しており、その市場を意識したいという思いは根底にありました。クロスプラットフォームを通して、全世界のファイターに対戦してほしいです。

 そのため、世界的に普及しているSteam、そして見城さんのファンに対してのアプローチとしてNintendo Switchでのクロスプラットフォームにしました。“対戦”に特化をさせて構築したゲームになっている本作において、このふたつのクロスプラットフォームは珍しいのではないかと思っています。

見城:あとは、今回スタッフがとても豪華です。サウンドは細江慎治さん、キャラクターデザインは寺田克也さんなど、多数の有名な実績のあるクリエイターの方々に参加していただいており、非常に力を入れて作成しています。

100点に近づけるためギリギリまで行った調整

――開発にあたりこだわった部分、苦労された部分をそれぞれお聞きできればと思います。

見城:100種類以上のボディと武器、それぞれに特徴を出すということにはこだわりました。数を並べて終わりではなく、それぞれが組み合わせと戦法次第で使い道のある、使っておもしろくなるものを揃えたつもりです。

 実はプロジェクトの中期ぐらいにはもうすべてボディや武器をそろえて、チューニングを始めていました。ですが、だからといって数万のプレイヤーの方々に遊んでもらった時に何が起こるかわかりません。ドキドキもしていますが、楽しみでもあります。

 本作はいろいろな会社さんに集まっていただき、作業を行っています。開発自体はスムーズに進められたのですが、自分でもやったことのない仕組み、特にワイヤーはプロトタイプを作るまでに時間がかかりました。最初、スピード感や操作感をうまく出せなかったんです。

 スピードを遅くしてしまうとワイヤーが到達するころには敵が動いていますし、遅くなったワイヤーの速度にキャラクターを合わせたら今度はテンポが悪くなってしまう……。当初、企画倒れかなと心配しましたね。ですが、チューニングをしていくうちにワイヤーの速度が上がっても成り立つことに気付き、ようやく形になりました。

:ゲームは開発してデバッグをして終わりではなく、ロムのチェックやレーティングの申請などやるべきことがあります。ゲーム制作だけでない部分で落としてしまうわけにはいきませんから、きっちりやらなくてはいけないという意識を高く維持しました。

 バランスやシステムなどのゲーム内容に関しては、見城さんの意思に沿うという意向が現場にありました。私たちの新しい考えを入れるというのは確かにチャレンジです。ですが、そうした場合見城さんのファンの方々が「違うものだ」と感じてしまうのはあまりにもリスクがありますから。

 ですが、テストチェックをしていてどうしても気になったところがありました。それは情報の見え方です。本作は1画面の中で対戦の状況がすべて完結しているシステムになっており、その中に体力ゲージや時間、必殺技ゲージが見えています。最初作っていただいたものをプレイした時に、操作キャラに集中してしまうとどうしても他の情報が入ってこないのが気になりました。

 そのため、情報をどう見せるか、どうデザインするかは少し改善していただいたところではあります。

――当初はどのような情報の見え方だったのでしょうか。

:もともとは、キャラクターによって必殺技の対応ボタンが異なっていました。ですがそれが表示されていなかったり、必殺技を使える状態にしてもどうすれば発動するのか分からなかったりしたんです。そこで、今どのボタンを押すと発動するのかを加えていただいたり、表示されている時間のフォントデザインをシンプルなものにしていただいたりしました。

 苦労したのは、強いて挙げるなら見城さんとの意見がぶつかってしまった時ですね。作られているものを見ていると、いちゲーマーとしてこうであってほしいという部分が出てきたんです。ですが、見城さんとしてはバランスはこうでありたいと意見がある。そうした時に、パブリッシャー側としてはどうしたらいいのかと考えることが後半になるにつれて増えてきました。そこを判断していくのは、なかなか大変でしたね。

 そういう時はスケジュールも見つつ、どこまでユーザーさんに対して影響があるかを踏まえて判断しました。

見城:ゲーム作りで100点満点を出すのは、どこまでやっても難しいものです。それでも80点を85点、90点にできます。終盤の細かな要望に対して、残った時間を考慮して取捨選択しつつ、ギリギリまで調整を行いました。

:裏話的なことで言うと、とあるバトルフィールドで特殊なギミックがあるのですが、ギミックと同時に何かをすると“あることが起こる”という不具合が出たんです。それをどこまで直すかという意見交換は終盤まで行いました。

見城:その部分に限らない話ですが、ゲームを作っているとアクセントとして特殊な仕様を入れたり、仕掛けを入れたりするじゃないですか。多く入れるほど手間は増えるため、それが原因で終盤、パニックになることがあるんです。

 ですが、お客さんにニヤっとしていただきたいですから、私としてはその要素を外したくはない。……そこについてのすり合わせは苦労しましたね。

――100種類以上の武器の特徴を決めるうえで、意識されている部分はどこでしょうか。

見城:どの対戦ゲームにも言えることですが、やはり一長一短をつけることです。本作の武器は、最初の武器が弱い、後から出た武器が強いということはありません。弾速は速いけれど代わりにホーミング性能が弱い、射程は短いけれども相手を一撃でダウンさせられるなどの一長一短があるだけです。この戦略の場合にはこの武器を使う、と思い浮かぶように意識しました。

自分のプレイスタイルを見つけて世界中のプレイヤーとバトル!

――本作のようなゲームに今回初めて触れるユーザーもいると思います。プレイする際のアドバイスをお聞かせください。

見城:本作で一番重要なのは、間合いの取り方です。ガンが速射性が高くスピードもあるのですが、近距離や中距離などの射程が存在。互いが同じ条件なので、いかに自分の間合いをとれるかが大切です。例えば、壁の後ろに隠れて射線が通らないようにする、相手の得意な間合いに入らないというのは大切ですね。

 最初からたくさんの武器を使っていると、なかなか間合いを把握できません。「これだ!」と思った武器を何種類か決めて、使い込み性能を学んでいきましょう。武器を知れば、敵に回した時にも対処しやすくなりますよ。

 本作には、実際にプレイして覚えられるチュートリアルや電子マニュアルを充実させていますし、カスタマイズ画面上でも武器やボディの説明がひと通りあります。最初からすべてに目を通すのは面倒くさいと思うので、使ってみて知りたくなったら読んでみてください。

:武器は100種類以上用意しているのですが、ほとんどの武器は使用に条件が必要です。一番単純なものでいうと、やり続けることで武器は増えていきます。プレイを続けていく中でプレイヤースキルが上がっていくと同時に新しい武器が手に入る。ゲーム開始時にはプレイスタイルに合う武器はないかもしれませんが、続けることで自分のプレイスタイルに合う武器に出会えるはずです。自分に合った武器を使って全世界の人と戦っていただければと。

 オンライン対戦のマッチングロジックに関しても、レーティングポイントを設けて自分と近いプレイヤーにあたるようにしています。そのため、いきなり強い人とあたってボコボコにされてしまうということは避けられるかなと。オンライン対戦でいろいろな人の戦い方を見て学ぶことで立ち回りが確立されていくと思いますので、とにかく臆せずに続けてもらいたいです。

見城:本作はシングルモードでまず遊び、プレイヤーのレベルが5になることでオンライン対戦が解放されます。まずはシングルモードで練習をしてから、オンライン対戦に向かうことができるわけです。シングルモードはCPUと戦うアーケードモードだけでなく、相手の装備や難易度を自由に設定できるトレーニングモードもあるので、活用してみてください。

――発売後の展開を教えてください。

:ゲーム外のイベントについてですが、このようなご時世ですので具体的なものはまだありません。ですが、当然大会を開いて盛り上がってほしいという気持ちはあるので、今後も可能性を模索していきたいです。武器の解放については、当初DLCにしようという話はありましたが、全員が平等で使えるようにフルパッケージしています。

見城:武器やボディはレベルを上げていけば自動的に獲得できます。それ以外ではプレイ開始日から日数経過で増えるものもありますので、できるだけ早いタイミングでプレイに着手していただけると戦略が増えて楽しめると思います。もちろん特殊な方法で手に入る武器もありますよ。

:とにかく本作をいろいろな人に触れてもらって、楽しんでいただきたいんです。そのため価格もおさえました。私は「もっと下げて!」と言ったのですが、現状の価格が限度でしたね(笑)。世界中の方に盛り上がっていただきたい……本当にその一心だと思っています。

――最後に、意気込みなどをお願いします。

見城:ゲームバランスには時間をかけて、特徴的なファイターや武器を用意しました。いくら遊んでも遊び足りないものを作れたと思っていますので、楽しんでいただきたいです。たくさんのユーザーに遊んでいただくことで、私たちが想定していない武器の使い方や戦い方を見せていただけることを楽しみにしています。ひとりでも多くの人が遊び、おもしろい戦いを発見してくれることをワクワクしながら待っています。

:東京ゲームショウで弊社から本作を発表してから、結構な月日をいただいてしまったのですが、いよいよリリースとなります。見城さんの作ったゲームのファンの期待を裏切らないものになりました。

 本作は全世界の人とつながって対戦ができるところに特化しています。プレイして、合う合わないはあるかもしれませんが、皆さんに手に取って遊んでもらうための敷居やハードルは下げたと思っています。

 本作は新しいタイトルを作るところからスタートしています。そのため、これまで見城さんのタイトルを遊んでこなかった方にもぜひプレイしていただきたいです。皆さまとマッチングすることを楽しみにしていますので、よろしくお願いします!

――ありがとうございました。

※画像は開発中のものです。
※Nintendo Switchでオンライン対戦をプレイするにはNintendo Switch Onlineに加入する必要があります。
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Developed by Kouji Kenjou / Thousand Games

SYNAPTIC DRIVE

  • メーカー: YUNUO GAMES
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: アクション
  • 発売日: 2020年5月28日
  • 希望小売価格: 3,980円+税

SYNAPTIC DRIVE(ダウンロード版)

  • メーカー: YUNUO GAMES
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2020年5月28日
  • 価格: 2,980円+税

SYNAPTIC DRIVE

  • メーカー: YUNUO GAMES
  • 対応機種: Steam
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2020年5月28日
  • 価格: 2,980円+税