“暴力の連鎖”の果ての結末とは？　発売直前『The Last of Us Part II』インタビュー

　6月19日に発売を迎えるSIEの『The Last of Us Part II』。発売に先駆け、本作でNarrative Leadとしてストーリーなどを担当するNaughty DogのHalley Grossさんにインタビュー！　5月28日に配信されたState of Playのことや、ゲームを貫くテーマなどについて話をうかがいました。

よりリアルなキャラクター描写と多彩なアクションにこだわる

――制作にあたり、もっともチャレンジした部分、もしくはこだわった部分について教えてください。

Halley Gross：序盤で、最後に主人公のエリーがノラと呼ばれる女性をはじめて対峙するシーンがあります。このシーンは実際に役者さんに演じてもらって作られたのですが、エリーとノラが出会うことで起こる化学反応のようなものが楽しかったです。

　また、本作のNPCには全員名前があるなど、1人1人を感情のある人間として表現している点は非常にこだわりました。今作では、4000ライン以上のシステムダイアログ（キャラクターが行動中に口に出すセリフのこと）を採用していて、キャラクターの行動に合わせたセリフをリアルに話せるようになっています。

――5月28日に配信されたState of Playでの実演プレイでは、かなり派手に敵と戦っていました。このシーンを逆に1人も倒さずに進むことは可能ですか？

Halley Gross：はい。かなり難しいかもしれませんが、誰も倒さずに進めることは可能です。正面から戦うか、ステルスを維持するかの選択肢は用意されています。

――本作では多彩な戦い方ができる点も魅力ですが、Halley Grossさんの好きなプレイスタイルについて教えてください。

Halley Gross：個人的には銃を構えて突破していくスタイルが好きですが、最終的には敵に追い込まれて身を隠さざるをえなくなる感じですね。もちろん、いっぱいやられます（笑）。スタジオに在籍して4年間、本作の仕事をしていますが、ようやくノーマルでプレイしています。

――エリーを物語の中心に置いた理由について教えてください。

Halley Gross：確かにエリーはメインキャラクターの1人です。今回、彼女が負うテーマの1つに“暴力の連鎖”があります。エリーは前作にも登場し、プレイヤーにも身近に感じやすい人物です。そんな彼女が正義を求めるために暴力に手を染めていく……暴力の連鎖という本作のテーマに、プレイヤーを感情移入させる重要な役割をエリーは担っています。

――“暴力の連鎖”という言葉が出てきましたが、本作を貫くテーマと、それを通じてプレイヤーに伝えたいことはなんでしょうか？

Halley Gross：先ほどの“暴力の連鎖”というキーワードのほかに、テーマとしては“暴力がもたらす結末”というものがあります。

　正義を求めるための報復というものが果たして本当に報われるのか？　善人と悪人はもとからそういう存在なのか？　ということを考えて作りました。

　また、最終的に本作を通して表現したかったのは相互理解です。本作に登場するWLF（ワシントン解放戦線）やセラファイトは、主張の異なる組織です。最終的には彼らが決意をもって行動していることを、ゲームを通してプレイヤーが理解していける物語を目指しました。

――序盤からプレイヤーの心に衝撃を与える展開が続くように感じました。物語の流れの中でプレイヤーに強い印象をあたえる要素の配分、バランスのようなものはやはり意図しているのでしょうか？

Halley Gross：プレイヤーの心をエリーに感情移入させる重要な機会として、衝撃的なシーンを序盤から配置しています。また、この世界はそういうことが起こりうる世界なのです。また、本作に登場するキャラクターはこれまでの人生で良いことも悪いこともやってきましたから。

――最後に日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

Halley Gross：日本のプレイヤーにもぜひプレイしてもらいたいです。そのうえで、心が動かされたり、ゲームの世界に疑問をもちながらも、最終的にゲームを楽しんでもらえると幸いです。