虚淵玄さんが描くロボットアニメ『OBSOLETE』を見た20代男子の感想は?

セスタス原川
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 現在YouTube Originalとして配信されている完全オリジナルフルCGアニメ『OBSOLETE(オブソリート)』をご存知でしょうか?

 本作は、『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などで知られるシナリオライター虚淵玄さん(ニトロプラス)が原案・シリーズ構成を務めるロボットアニメで、制作はCGアニメーションスタジオ“武右ェ門”が携わっている作品です。

 いわゆる“リアルロボット”路線の作品で、「ほほー。虚淵玄さん原案なのか……」と、これまで多くのアニメ作品を楽しんできた20代前半の男子としては気になっていた本作。自宅待機を余儀なくされていた間にふと見始めたのですが、気付いたら全部見てしまいました(笑)。せっかくなので、そんな本作の紹介や見どころ、感想をお届けしていこうと思います。まずはストーリーから。

ストーリー

 時は2014年。異星人からの交信で「石灰岩1トンと意識制御型汎用作業ロボット“エグゾフレーム”の交易をしたい」という通信が世界各国に向けて送られてきます。

 交易の対価として送られてきたエグゾフレームは、人知を超えた技術で作られたロボットーーなんせ、考えるだけで操作ができ、誰でも簡単に乗りこなせるのですーーで、人々の生活を激変させてしまいました。

 各国は、汎用性の高さから従来の機械産業を塗り替えかねないエグゾフレームを規制するため条約を締結しますが、石灰岩1トンという安さからエグゾフレームは発展途上国を中心に広がっていきます。

 そして、2015年のアフリカのアンゴラにて、アメリカ軍が現地のエグゾフレームを使った武装組織に襲撃を受け大敗。この事件を境にエグゾフレームは軍事兵器として注目を集めていきます。

 そして時は流れ2023年。エグゾフレームの軍事利用が一般的となった世界で、アメリカ軍のボウマン大尉は紛争介入を行う秘密裏の部隊として、エグゾフレームで戦場に乗り込むのでした。

 世界観的には、2020年前後の我々が住む世界とほぼ同じだなと思いましたが、唯一異なるのはエグゾフレームという地球外の技術が存在している点。

 虚淵玄さんが関わったロボットアニメといえば『アルドノア・ゼロ』、『翠星のガルガンティア』が有名ですが、本作では国同士の対立や資源問題など、世界観がより現実に寄せている点が相違点と言えます。

 逆に、作品のジャンルや想定年代は異なりますが、現実世界の延長線に現代の技術では説明できないフィクション要素が加わっている点では、『PSYCHO-PASS サイコパス』の世界観に近しいものを感じました。

 そのため、ロボットアニメファンだけでなく、虚淵玄さんの描くリアルとフィクションの絶妙なバランスが取れた世界観が好きな方にもオススメできる作品となっています。

EPISODE 1 OUTCASTの見どころは?

 第1話では、2023年にボウマン大尉たちが秘密裏の部隊として、ペルーの紛争地域に武力介入する場面が描かれており、そこに至るまでのエグゾフレームが地球にもたらされた経緯などについては第2話以降で語られています。

 序盤の構成は、まずは第1話でエグゾフレームの見た目や動き、戦い方などを視聴者にダイレクトに伝え、第2話、第3話でそこに至るまでの経緯や世界情勢を伝える形です。

 そのため、第1話のほとんどは戦闘シーン。まずは「エグゾフレームはこうやって使うのだ!」と言わんばかりに、惜しみなく最初から動く姿を見せてくれます。が……夜戦! これが渋いですね。ですが、これが後で効いてくるんですよ。

 では第1話を見てめっちゃカッコいい! と思ったシーンをいくつかピックアップしたいと思います。

 まず最初の見どころは、3分38秒の空中変形シーン! 最初は、車輪がついたただの四角っぽい物体だったエグゾフレームが滑らかに人型に変形します。いわゆるスーパーロボット系のガキッ!! ビシッ!! というタイプの変形シーンも大好物ですが、この滑らかさもまたカッコいい。

 そして4分45秒あたりからの移動シーン。これもまたカッコいいんですよ! まず足元を映して「おお、ホバー移動するんだ!」というのを見せつけてから川を渡っていく……。坂道だって何のその。こういう人間には到底できない動作は、やはりロボットアクションならではだと思うんですよ。

 あと、9分36秒あたりのボディをカンカンと叩いてから「このまま畳みかけるぞ!」という描写。ここに“考えて操作しているゆえの人間くさい挙動”が何気なく出ていて、めっちゃ細かいけれどうならされました。

 最後に「ああ、これが夜戦にした理由だったのかな」と思わされたのが、11分42秒の戦闘終了後のシーン。戦闘で起こった火に照らされて、ここで初めてエグゾフレームが正面から大きく写されます。この姿がもう、ロボットアニメやアクションアニメ好きの心を鷲づかみにしてくれます。

  • ▲画像だとちょっと伝わりづらいかな……。真ん中の1機がたたずんでいるところに他の機体がフレームインしてくるのですが、動いている様子を見るとものすごいカッコいいです。
  • ▲未来とはいえ人類の技術は我々の住む世界とはほとんど変わりないため、換装がアナログだったりトラブルに見舞われたりする場面もあります。

 エグゾフレームというメカメカしい要素があるとはいえ、国同士の対立や経済などまで含めた、硬派な世界観である本作。最初はしっかりとロボットアニメらしいアクションシーンを見せてくれるため、硬派でありながらも取っ掛かりやすい作品だな……というのが序盤を見た素直な感想ですね。

 第2話では、視聴者に対してボウマン大尉(当時は中尉)と中隊長の世間話を通じてエグゾフレームに関する説明が行われており、設定情報の整理にカロリーを割くことなく自然に世界観を理解できるようになっていますよ。

 というわけで、興味を持ってくれた人はさっそく1話をご覧ください。

生物と機械の境目のエグゾフレーム

 エグゾフレームは異星人から送られてきた、人類が持ちえない技術によって作られたロボットです。

 その構造は、地球には存在しない生命体の神経を元につくられたサイボーグに近いもので、機械ながらまるで生きているかのような滑らかな動きを見せます。

  • ▲こちらは第3話のワンシーン。雪山を人間も顔負けのテクニックで滑り降ります。

 また、発展途上国の人々がロボットに乗って畑作業をしたり、紛争地域の武装組織がロボットで戦ったり、この技術が発展途上の地域にまで広くいきわたっているという描写も考察するべきポイントかなと思いました。

 アニメでのロボットといえば、国や組織が多額の資金を投じて設計したという設定がセオリー。ですがエグゾフレームは石灰岩が採掘できれば誰でも入手できる設定ゆえに、このような違和感のある組み合わせが成立しています。

 まるで生物のようなビジュアルと動き。そして、我々の日常生活に異星人が侵略してきたかのような不気味さが、本作におけるエグゾフレームの存在感を強める特徴的な部分であり、ブラックボックス的な魅力で我々の興味を掻き立てる部分と言えるでしょう。

 また、エグゾフレームは民間でも手に入る、いわゆる量産機です。アメリカ軍の機体も優れてはいるものの最強ではないため、お互いに壊し壊される、泥臭くも美しい“道具”としての戦いを見せてくれます。

ロボットアニメに一石を動じるかもしれない『OBSOLETE』

 本編で人々はエグゾフレームの万能さに飲み込まれていきますが、異星人から与えられたこの道具をどう扱うのかは人間次第。武装をさせれば戦争になる。道具であるため使えば壊れる。そんな当たり前の事実が描かれています。

 そんなリアルロボットものとしてのスジをしっかり押さえながらも気になるのは、“そもそもなんでエグゾフレームをくれたのよ?”というところですね。

 第2話でも、なぜ異星人はこんなオーバーテクノロジーを地球人に渡したのか? を疑問に思うような人物の描写もありました。上でも“我々の日常生活に異星人が侵略してきたかのような不気味さ”と書きましたが、そこなんですよね。気になるのは。

 虚淵玄さんが関わっている作品ということで、「これ絶対に異星人、悪いこと考えてるでしょ……」みたいな思いがふと脳裏をかすめてしまう自分がどこかにいます。この予感がはたして正しいのかそうでないのか、すごく気になっています。

 そうした考察を楽しむのも『OBSOLETE』の魅力のひとつでしょうし、単純に鉄と硝煙の匂いが漂う戦場ロボットアクションとして楽しむのももちろんアリ。

 本編は1話あたり13分とお手軽な尺になっていますが、内容の密度とボリュームは十分です。各話のアクションシーンも割合も申し分なく、3Dで動くマシンに見入っている間にあっという間に時間が過ぎてしまいます。

 現在は、YouTubeにてEPISODE1~6までが無料配信中。2020年冬には続くEPISODE7~12が公開されます。ひとたび視聴すれば、虚淵玄さんの描く濃厚な“ロボットアニメ”を味わえる『OBSOLETE』。この機会にぜひご視聴してみてはいかがでしょうか?

3Dモデルデータ配布記念“俺エグゾ”募集キャンペーン開催!

 そんなエグゾフレームは、立体化され、プラモデルとしてリリースされていますが、現実でどう使われるか……? そんな設定やカスタマイズの案を募集するキャンペーン“俺エグゾ”が開催されています。

 現実世界にこんなエグゾフレームがあったら、うれしい、楽しい、恐ろしい……、など、あなたの考える“俺エグゾ”をTwitterにて、ハッシュタグ“#俺エグゾ”を付けて投稿すると、抽選でプラスチックモデル『MODEROID 1/35 アメリカ海兵隊エグゾフレーム』や、スタッフサイン入り台本などの豪華賞品がプレゼントされます。

 応募作品の形式は自由。例えば、3Dプリンターでプリントアウトしたものをベースに改造するでもいいですし、3Dデータをもとにイラストを描いてみるというのでもOKです。

 さらに優秀作品は、月刊『ホビージャパン:で公式連載中の“OBSOLETE REDUNDANT(オブソリート リダンダント)”に掲載される予定となっています。

 募集期間は6月30日まで。無償でエグゾフレーム素体プラモデルの3Dデータを手に入れられるで、参加するしないは置いといて、データをダウンロードしてながめてみるところから始めてみてはいかがでしょうか?


(C)PROJECT OBSOLETE