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『鬼ノ哭ク邦』は日本人らしい感性で表現方法を追及。ハクスラ要素の情報も【E3 2019】

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 米国・ロサンゼルスで開催された“Electronic Entertainment Expo 2019(E3 2019)”で、8月22日に発売予定のPS4/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト『鬼ノ哭ク邦(オニノナククニ)』の開発者インタビューが行われました。

 本作は、この世とあの世を行き来し、迷える魂を救う主人公・カガチが紡ぐ“命”の物語と、いわゆる“ジョブ”にあたる“鬼ビ人(オニビト)”をリアルタイムで切り替えながら行う、爽快かつ戦略的なバトルが特徴のアクションRPGです。

 インタビューに応じているのは、ディレクターの橋本厚志さん、クリエイティブ・プロデューサーの時田貴司さん、プロデューサーの佐々木隆太郎さん。タイトルに込められた想いや本作の世界観がどのように作られたのかをうかがいました。なおインタビュー中は敬称略。

  • ▲左から橋本厚志さん、時田貴司さん、佐々木隆太郎さん。

――はじめに、ゲームの概要を簡単に教えてください。

橋本:ゲームの舞台は輪廻転生が存在する世界となっています。また、本作の特徴でもある、対を成す世界、生者の世界“現シ世”と死者の世界“幽リ世”があります。この世界では悲しみや憎しみといった強い想いに捕らわれると輪廻の輪から外れ、死者の世界を彷徨う“迷イ人”となってしまいます。

 “迷イ人”は放っておくと、いずれ魔物化してしまうため、その“迷イ人”たちを救済し、輪廻の輪に戻すために“逝ク人守リ”という役割が必要とされています。主人公のカガチは“逝ク人守リ”の1人で、本作では“迷イ人”たちを救済していくカガチを中心に物語が展開します。

――前作『ロストスフィア』も失ったものを取り戻すようなテーマがあったと思うのですが、共通しているテーマみたいなものはあるのでしょうか?

佐々木:完全に共通しているというわけではないのですが、“Tokyo RPG Factory”の作品を作っていくうえで、“命”や“死生観”などがベースになってきていますので、本作でもそこは意識しています。

――輪廻転生が存在する世界を舞台にしたのは、どのような経緯があったのでしょうか?

佐々木:初期の企画段階から、東洋的な世界観にすることや、2つの世界を行き来する物語にしようというのがありまして、“片や生者の世界、片や死者の世界とするとしっくりくるね”とかみんなで話しをしていくうちに、輪廻転生が当たり前に存在する世界が軸になっていきました。


橋本:最初から輪廻転生をテーマにゲームを作ろうとしたわけではなくて、ゲームを作っていく過程で、今考えているゲームのアイデアに輪廻転生がハマりそうだという流れでしたね。

――では本作は1つの舞台を密に作りこんでいるイメージでしょうか?

橋本:わりとそこも意図はしていて、大きな世界を作るというよりは1地域というか、“1地方の寓話的なお話”ぐらいにしたいなと最初は思っていて……。最終的に大分広がりましたが(笑)。

 シナリオライターの稲葉洋敬さんにも、世界を救うような話ではなく、もう少し人を中心に描きたいですね、と話していました。

――1つの舞台をさまざまな観点から見せるというのは、『クロノ・トリガー』がルーツにある部分なのでしょうか?

時田:『クロノ・トリガー』はいろいろな時代に行って仲間を集めてという構成ですが、本作の場合は対を成す2つの世界を舞台に、“鬼ビ人”という主人公に力を貸してくれるキャラクターを集めるという意味においては、多少似ている部分もある、と言えなくはないかな……(笑)。

佐々木:『クロノ・トリガー』を意識して、というわけではないですね(笑)。

橋本:僕たちの世代は『クロノ・トリガー』に限らず、あの時代のRPGをプレイして育ってきているので、影響は知らず知らずに受けているというのはあるかもしれないですが。

――『鬼ノ哭ク邦』というタイトルの意味についてお聞かせください。

佐々木:“鬼”自体は、いわゆる赤鬼、青鬼の鬼を指しているわけではなくて、いろいろな意味を込めています。死者の魂も鬼に当たりますし、ゲーム中でジョブの役割になってくれる“鬼ビ人”も指しています。また、人が持つ負の感情、悲しみの心や不安定な気持ちの表れ、が“哭ク”にあたる感じですね。

橋本:そうですね。“迷イ人”ができること自体が“ONINAKI”みたいな。

佐々木:死者の嘆きというか、魂の嘆きというのもそこに意味を持たせて考えました。最後の“邦”なんですけど、一般的な“国”ではない理由は、先ほどお話しした大きな世界を救う物語ではなく、より限定された地域でのお話しというところで、“邦”という感じの方が我々のイメージに近かったというところがあります。

――E3で新たなトレーラーを公開されましたが、反響はいかがでしたか?

佐々木:今回の映像は、ストーリーを打ち出すトレーラーで、新しいカットをふんだんに入れていますが、欧米の方々の反応も大きかったようでなによりです。

時田:とくに今回は壁画のシーンとかラストの異形の者が出てくるところとか、今までになかったインパクトのあるシーンがあったので。

佐々木:見せたかったけど、なかなか見せられなかった所をようやく少しずつ見せられるようになってきました。

時田:なので、すごくスケール感を感じてもらえたんじゃないかと思います。

――“Tokyo RPG Factory”の1作目と2作目は共通点が多かったように感じたのですが、今回はグラフィックもバトルシステムもがらっと変わったように見えました。その点についてお聞かせください。

橋本:本作は、最初からアクションRPGにするつもりではなかったんです。企画を考え始めた時は、ターンベースのゲームで、主人公が1人で闘ってヒロインを守る感じのゲームを考えていました。

 ただ、企画を詰めていく中で、1人だったら衣装を変えたり、ジョブチェンジしたりもおもしろいねということになり徐々に形になっていきました。そして、ジョブチェンジだったらリアルタイムの方がおもしろいのでは? という声が多くなり、最終的にアクションRPGに到達しました。

 グラフィックに関しては、今までやってきた路線から少しイメージを変えていきたいというところがあったんですが、時田さんや佐々木さんからも「もっとチャレンジをしていこうよ」という話をいただき、決心した感じですね。

 チーム内でもグラフィックについては独自の路線で追及していこう、という話もあったので、何度も試行錯誤を繰り返し、現在のグラフィックにたどり着きました。

佐々木:独特なというか、このゲームならではの雰囲気というのが出したいな、というのは共通の認識を全員が持っていました。トリプルAのフォトリアルの極地というものではなく、僕らができるものということでいろいろと試しましたね。

時田:“Tokyo RPG Factory”の1作目と2作目は、わりとオールドスクールな感じを狙っていて、あえて控えめにしていました。

 しかし、それをずっと続けていくのではなく、今回は思いっきりやってみよう、その代わりフォトリアルじゃない感じで、僕らにしかできない表現方法を模索しようと工夫した結果、東洋風な世界観だったり、ヴィヴィッドな色使いだったり、アニメ調のエフェクトが入ったりと、日本人クリエイターならではのブレンドされた感じというか、混然一体となったおもしろいゲームの画面作りができたと思っています。

――アクションRPGということで、キャラクターの頭身にも意識したところはありましたか?

橋本:アクションゲームは頭身が重要になってくるので、結構悩みましたね。グラフィックの方向性としては、フォトリアルではないので8頭身にするのは違う。ではどのくらいの頭身が一番心地よいのだろう、といろいろと試しました。

佐々木:結局、6頭身ない位に落ち着いたのかな。

橋本:5.5頭身位ですね。

時田:画面上ではそんなに大きくできないので、リアルにすると存在感がなくなってしまうんですよね。

佐々木:アクションをよりよく見せるためには、多少デフォルメされていた方がいいだろうということで今の形に落ち着きましたね。

橋本:作品ごとに少しずつ頭身が上がっていますね(笑)。

時田:『セツナ』(『いけにえと雪のセツナ』)の頭身が3.5で、『ロストスフィア』が4~4.5で、次は6.5になるのか(笑)。

橋本:それはないと思いますが(笑)。

――全世界同時発売ということで、グローバル向けに心がけていること、意識していることはありますか?

橋本:逆にあまり意識しないようにしています。海外の人たちが僕たちの作るRPGを好きだと言ってくれているのは日本のカルチャーによる部分が大きいと思うので、海外同時発売だからといって何かを無理に入れ込むというのはありません。

 ただ、西洋ファンタジーの方向性ではなくて東洋ファンタジーな感じ、“Tokyo RPG Factory”ならではの世界観というか、空気感というのは作ろう、という点は意識したところかもしれません。

――本作で一番注目してほしいところはどこでしょうか?

橋本:この世界ならではの独特な倫理観に根差したストーリーと、鬼ビ人(ジョブ)をリアルタイムで切り替えながら遊べるアクションを楽しんでもらいたいですね。

――完成度はどのくらいでしょうか?

橋本:90%位ですかね。

――一周クリアするまではどのくらいのボリュームになるのでしょうか?

佐々木:当初は20時間位でクリアできるものを目指していましたが、どうしても作っていると膨らみがちでして……、デバックチームにやってもらっているのを見るかぎり、初めてプレイする方だと30~35時間位かかるかな、という感じです。

――周回プレイを前提としたデザインになっているのでしょうか?

佐々木:周回プレイを前提とした作りではないですが、長く遊んでいただけるような要素は入れ込んでいます。それとは別に、いわゆるハクスラ的な遊びも本作の魅力と言えますね。

 魔物からのドロップを集めて武器を強化するとか、スキルをどんどん解放していくとか、そういった遊びに時間を使おうと思えばかなり遊べると思います。

橋本:今回、ハクスラ的な遊びは積極的に入れていきたかったので、かなり気を使っています。その反面、シナリオRPGとして本作を購入してくれる方も当然いらっしゃるので、両方の方々に満足してもらえるように頑張っています。

――バランス調整として、難易度選択などの要素は用意されていますか?

佐々木:難易度選択は準備しています。

橋本:ハクスラの仕組みも結構細かいところまで調整しています。

佐々木:これから橋本さんがそのあたりの数値関係を詰めるところですね(笑)。

橋本:そうですね。素材的な完成度はもう95%位なんですけど……(笑)。

――これから何があるかわからないですもんね(笑)。

――最後に発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

時田:“Tokyo RPG Factory”の3作目ということで、今までとはガラッと違ったインパクトのある『鬼ノ哭ク邦』というタイトルになりました。

 うちの会社もいろいろな作品がありますが、ここ最近の『ニーア』や『オクトパストラベラー』の成功を見て勇気をもらいました。やはり僕らも新作を作りたいですし、プレイヤーの皆さんも新作を望んでいる部分もあると思うので、それに続けという勢いで『鬼ノ哭ク邦』を頑張って作りました。ぜひ遊んで楽しんでください。

(C) 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by Tokyo RPG Factory.

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鬼ノ哭ク邦(オニノナククニ)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ARPG
  • 発売日: 2019年8月22日
  • 希望小売価格: 5,800円+税

鬼ノ哭ク邦(オニノナククニ)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: ARPG
  • 発売日: 2019年8月22日
  • 希望小売価格: 5,800円+税

鬼ノ哭ク邦(オニノナククニ)(ダウンロード版)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ARPG
  • 配信日: 2019年8月22日
  • 価格: 5,800円+税

鬼ノ哭ク邦(オニノナククニ)(ダウンロード版)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: ARPG
  • 配信日: 2019年8月22日
  • 価格: 5,800円+税

鬼ノ哭ク邦(オニノナククニ)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PC
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年8月22日
  • 価格: 5,800円+税

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