『KH3 リマインド』難しいけど理不尽ではない! 絶妙なバランスのボスバトルに感服【レビューエクストラ】

スズタク
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 電撃オンラインのライターが、好きでやり込んでいるタイトルについて自由に魅力を語る“レビューエクストラ”。連載第2回は、スクウェア・エニックスの『KINGDOM HEARTS III Re Mind(KHIII Re Mind)』をピックアップします!

※本記事には『KHIII Re Mind』に関するネタバレが含まれます。

『KINGDOM HEARTS III Re Mind』

 スクウェア・エニックスの看板タイトル、“キングダム ハーツ”シリーズ。そのナンバリング最新作として、2019年1月25日に発売されたのが『KHIII』です。主人公のソラと、宿敵であるマスター・ゼアノートとの長き戦いに決着がつき、ストーリー的に大きな節目を迎えた作品となっています。

 それから約1年を経て、『KHIII』のDLC(ダウンロードコンテンツ)として2020年1月23日に登場したのが、『KHIII Re Mind』になります。


従来の『FINAL MIX』に相当する大型DLC

 2020年も気づけば半分が終わっていますが、この上半期に最も熱中したタイトルはなんだろうと振り返ると、思い浮かぶのは『KHIII Re Mind』です。

 本作は『KHIII』に付随するDLCではありますが、中身は従来の『FINAL MIX』(北米版をベースにさまざまな要素が加えられた英語ボイス版)に近いものであり、ボリュームは単なるDLCにとどまりません。

 追加シナリオの“Re Mind”だけでなく、自分の好きな構図で写真撮影ができる“データグリーティング”や、ゲームの設定を変えることで冒険をラクにしたり、逆に難しくもできる“プレミアムメニュー”などの新機能もあり、遊び方の幅が広がっているのが特徴。もちろん、英語ボイスモードもあり、本編を遊び直したくなるようなDLCに仕上がっています。

何度でも戦いたくなる真XIII機関との高難度バトル!

 そして、『KHIII Re Mind』の目玉といえるのが、数多のボスとの超高難度バトル。“キングダム ハーツ”シリーズはストーリー重視のRPGなので、新規のイベントシーンに注目が集まりやすいですが、本作の魅力の半分以上はこのボスバトルにあると個人的に感じています。

 『KHIII Re Mind』で体験できる大きなボスバトルの1つが、強化された真XIII機関メンバーとの戦いです(通称“リミットカットボス”)。真XIII機関とのバトルは『KHIII』本編でも描かれましたが、リミットカット版の敵は比較にならないほど強化されているうえ、どのメンバーもソラと1対1で戦うので、ほぼ別物のバトルになっています。

 リミットカットボスは『KHII FINAL MIX』で初登場し、尋常ではない強さのXIII機関メンバーが多くのプレイヤーを苦しめました。本作のリミットカットボスもそのDNAを引き継ぎつつ、より派手な演出、高度な戦術でバトルを盛り上げてくれます。

 13体それぞれでまったく異なるボスバトルは、アクションゲームとして純粋におもしろく、アクション好きにとってはたまらないコンテンツです。どの敵もゴリ押しが通用せず、勝つためには回避とガードを駆使した高度な操作が要求されますが、撃破できたときには自分自身のプレイの成長と達成感を如実に感じられます!

 高難易度のアクションゲームには、得てして理不尽な難しさがつきまといがちですが、リミットカットボスは難しいけど理不尽ではない絶妙なバトルバランスに仕上がっています。“敵が使う技にはしっかり対処法がある”、“こちらが攻撃できるタイミングは豊富に用意されている”と、難しさと爽快感のメリハリがきいているので、慣れれば慣れるほど気持ちよく戦えちゃいます。

“留まりし思念”並の強さと楽しさが味わえるヨゾラ戦

 リミットカットボスと並ぶもう1つの大きなボスバトルが、ヨゾラとの戦いです。ヨゾラは、リミットカットボスを全員倒すと解放されるシークレットエピソードに登場し、シリーズ最強ともウワサされるほどの強さを誇ります。

 ちなみに、自分はヨゾラに関して、トイボックスのイベントシーンに出てくるだけのサプライズキャラクターだと思っていたので、『KHIII Re Mind』のシークレットボスとして現れたときは驚きました。まさかここまで本筋のお話にかかわる人物だったとは……。

 ヨゾラ戦もリミットカットボスと同じく、難度は非常に高いけど決して理不尽ではないバランスになっているのがポイントです。技の種類が豊富で、いわゆる“初見殺し”の攻撃が多い強敵ではありますが、こちらが攻め込むスキも多く存在する良ボスでもあります。

 これまでシリーズをプレイしていて、個人的に“戦っていて一番楽しい敵”は『KHII FINAL MIX』の隠しボス“留まりし思念”だったのですが、ヨゾラはその地位を揺るがすほどの強烈なインパクトがありました。留まりし思念に匹敵する(もしくはそれ以上の)強さと、プレイしていて楽しいと感じる完成度の高いバトルが、ヨゾラ戦の魅力です。

 13体のリミットカットボスを倒した先に現れる、さらなる強敵ヨゾラ。このお腹いっぱいになるほどのボスバトルフルコースを堪能できるだけでも、『KHIII Re Mind』を遊ぶ価値があると思います。

ボスバトルはBGMも熱すぎる!!

 ボスバトルに関連してはずせない話題がBGMです。リミットカットボスのBGMはメンバーごとに新規のアレンジ曲(ヴァニタス戦のみ『KHIII』の楽曲が使われていると思われます)が用意されており、シリーズファンのテンションをガンガン上げてくれます!

 バトルで何度もゲームオーバーになるとどうしても気分が落ち込みますが、本作のボスバトルは高いクオリティのアレンジ曲のおかげもあって、モチベーションを保ちながら挑戦できました。あらためて、ゲームにおけるBGMの大切さを教えてもらいましたね。

 シグバールとサイクスは“The 13th Dilemma”、ルクソードとラクシーヌは“The 13th Struggle”というXIII機関のテーマ曲のアレンジ版が流れるのですが、同じ曲でもアレンジの方向性がまったく違っているので必聴です。とくにシグバール戦のBGMは、まるでラスボスのような壮大なアレンジがされていて、リミットカットボスのBGMのなかでは一番のお気に入りです。

 ヨゾラ戦のBGMはもちろん完全新規で、こちらも聴いていて耳が幸せになります。流れるようなイントロから始まり、激しいテンポのメロディとどこか物悲しさを感じさせる転調部分が特徴となっており、どれだけ聴いていても飽きません。

 2020年の秋には晴れて待望の『KHIII』サウンドトラックが発売される予定で、おそらく『KHIII Re Mind』の楽曲も収録されると思われます。本作のボスバトルのBGMは本当に珠玉の名曲ぞろいなので、サウンドトラックには期待したいですね。

シリーズファンならぜひ手に取るべし

 本作はDLC単体として見ると3,800円(+税)と高く感じるかもしれませんが、前述のように従来の『FINAL MIX』相当の作品であり、十分満足に値する中身となっています。シリーズをこれまで追い続け、『KHIII』を体験した人なら遊んで絶対に損はしません。

 先日、シリーズ初のリズムアクション『KH Melody of Memory』が発表されたほか、新たにスマホアプリ『KH Union χ Dark Road』がリリースされ、ますます広がりを見せる『キングダム ハーツ』の世界。その物語の重要な転換期となる『KHIII』&『KHIII Re Mind』をこの機にぜひプレイしてみてください。


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