『Bloodstained: Curse of the Moon 2』2P同時プレイに込めた想いとは? 世界観やシナリオのポイントも
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インティ・クリエイツから7月10日に配信予定のPS4/Nintendo Switch/Xbox One/Steam(PC)用ダウンロードソフト『Bloodstained: Curse of the Moon 2』。本作の開発者インタビューを掲載する。
本作は、2018年に配信された『Bloodstained: Curse of the Moon』の続編タイトル。五十嵐孝司さん×インティ・クリエイツによるタイトルで、8bit調のレトロスタイルアクションとなっている。
タイトルアナウンスされた直後の本作について、ArtPlayのプロデューサーである五十嵐孝司(IGA)さんと、インティ・クリエイツのプロデューサー・會津卓也さん、ディレクターの宮澤拡希さん(宮澤名人)にインタビューを実施。前作の反響やソフト開発の経緯、新要素などについて質問した。
『Curse of the Moon』は好評だったが、開発のエゴが投身自殺を生む!?
――本作において、IGAさんはどのようにかかわられているのか、改めてご説明いただけますか?
五十嵐:もともとの話になりますが、『Bloodstained』はキックスターターで始まり、その中に8bitアクションゲームを開発する約束があったことから、『Curse of the Moon』の開発が始まりました。そういう意味では開発の根っこから携わっていることになります。
前作『Curse of the Moon』では、『Bloodstained: Ritual of the Night』の世界観を共有して、そこからインティさんが制作したものをこちらで監修しています。それは本作『Curse of the Moon 2』においてはシナリオ監修と世界観監修を行っています。
――インティさんとしては五十嵐さんとやるならば城を出したいという狙いはあったのですか?
會津:『Ritual of the Night』の開発でアートワークを一緒に作成していました。『Ritual of the Night』の世界観を構築する一端を担っているので、その世界観を使って8bitゲームを開発したいという想いがありました。そのため、城を作りたかったというよりは、世界観から流れで生まれたという感じですね。
宮澤:本作の舞台は城から塔になっています。……まあ似たようなものですが(苦笑)。
――どういう経緯で塔になったのでしょうか?
宮澤:開発の内側、メタ的な話になるのですが、弊社のアクションゲームの1面は列車ステージにすることが多いという伝統があります。列車がすごく好きというわけではなく、1面はプロモーションで使うことが多いので、背景が動く列車や高速道路の面になるのです。
本作でも背景が流れているステージにしたいのですが、前作で列車を使っている。世界観的には、車がすごく走っているわけではない。いろいろ考えていた時に「高いところであれば、雲が流れていてもおかしくない」ということで、塔を採用しました。
――ゲームの見せ方として決まったんですね。
宮澤:はい、ゲームとしてのシチュエーションありきで決まりました。他には「でかいドラゴンの背中なら、背景が流れていてもいいだろう」というアイデアもありましたが、巨大なドラゴンはさすがに飛んでいないだろうと。現実的な候補を出して、すごく高い塔になりました。
――前作はこれまでに50万本近いセールを達成しているとのことですが、どんな評価、意見がありました?
會津:よかったですよ!(笑) 昔であればアンケートだったのですが、今ならばSNSや動画など、ユーザーからのフィードバックの手段が増えています。特にゲームを遊びながら感想をもらえるのは、本当に本作を作るうえで勇気づけられたり、胸が痛かったり、参考にしたりしました。ユーザーの反応をダイレクトで見られるのもいいですね。
また、弊社開発のタイトルの中でも、動画が多く投稿されているタイトルということでかなり楽しませていただきました。
宮澤:楽しんだという表現が正しいのかはわかりませんが、見つつ反省会を行いました。特にこちらの意図が伝わらない部分を洗い出して、次につなげようと。
――具体的に意図が伝わらなかったという部分は?
宮澤:意図ではないのですが、想いが伝わらなかったことから生まれたのが“投身自殺”ですかね。
前作において、アルフレッドだけが残る状況がよくありました。ただ、このキャラだけだと操作が難しいので、わざとやられてやり直すのを動画でもよく見ました。
我々開発としては、残されたメンバーでプレイすることで、それまで気が付かなかった強みや特徴がわかるような仕組みにしていたので、そのままプレイしてほしかった……のですが、それは開発のエゴだなと(苦笑)。
そんなこともあって本作では“全滅コマンド”を用意しています。無理だと思ったら、諦めてやり直せるようになったわけです。
――五十嵐さんは前作について、どのようにとらえていますか?
五十嵐:僕のほうに意見や評価が直接届くことはなかったのですが、メタクリ(レビュー収集サイト・Metacriticのこと)の評価がよかったんですね。
海外だと、やはり北米が主戦場。そのため、メタクリは気になるんですね。いい評価を見て「これはいけるじゃなかろうか!」と思いました。そんな下世話な感じの感想です(笑)。
會津:私もイケると思いました!(笑)。ちなみに本作の売上は、ヨーロッパでも比較的売れています。
メタクリの話になるのですが、実は弊社が設立されてから開発してきたタイトルの中でも最高得点をたたき出しています。スコア掲載直後は確か9.2点くらいで、しばらくして8.7くらいに落ち着きました。そこまでは見ていたのですが、最近はまた変わっているかもしれません。
――ベテランとカジュアルという2つのスタイルを用意した経緯をお話いただけますか。
宮澤:これにはけっこうな想いがありました。自分の父親ですが、ファミコン時代は一緒にゲームをプレイしていたんですね。でも、ある時から「最近のゲームはわからない」と言うようになって、遊ばなくなりました。
ゲームをリタイヤしたような人もやってほしいと思った時に、このゲームのメインターゲット層のバランスでは遊べない。普段ゲームをやらないような人も巻き込んで遊べる難易度を作るべきだと思って用意しました。
評判はおおむねいいと思うのですが、一部の方からは「ベテランでもまだぬるい!」という意見をいただいています。
會津:そんな一部の人に届く何かを、本作では用意しないといけないのかもしれませんね……今回のインタビューでお題をいただいたと思うので、何かアップデートをしこんでいくことも考えますか。
宮澤:カジュアルについてはアクションゲームを得意としない人でも、楽しめるようにしています。特に『Curse of the Moon 2』の新キャラ・ハチはすごいです。
主人公以外が強いピーキーな新キャラを解説
――『Curse of the Moon 2』はどちらから作ろうと持ちかけられたのでしょうか?
會津:弊社からです。反響が大きいと、続編を作りたくなるのです(笑)。
宮澤:あとは反響が大きいと、やっておきたかったことも出てきます。ただ、本作でやりたかったことは詰められたので、思い残したことはありません。
會津:そのため『Curse of the Moon 3』は作れないと言われています(笑)。でもゲーム作りはそういうもの。次回作にとっておいて作るとよくない。今あるもので一番いいアイデアを詰め込んでいきます。
五十嵐:やろうとしたけどできなかったから、次に使うことはありますが、“とっておく”というのはないですね。一回盛りますね。
――そんな気持ちを詰め込んだ『Curse of the Moon 2』における、開発のテーマを教えてください。
宮澤:“正統進化”です。前作の評判がよかったので、奇をてらうのではなく、遊ばれた方が安心して楽しめるゲーム、望んでいるゲームを作ることがコンセプトです。
あと、2人同時プレイは必ず入れると最初から決めていました。おそらくこの手のゲームは複数人で遊ぶのが好きな人が多いと思っています。
――2人プレイは対戦も作れると思うのですが、そこは最初から協力プレイを考えていたのですか?
宮澤:そうですね。発売されたら父親と一緒に遊ぼうと決めています(笑)。
五十嵐:僕は以前にオンライン6人プレイのタイトルをプロデュースしていたので、協力プレイの楽しさを知っていました。そのため、「やはりここに来たか」と感じました。
他にテーマを聞いた際には、“正統進化”という流れのなかで、前作との差別化としてキャラのピーキーさもコンセプトにあったと思っています。作るうえでポイントを抑えているので、しっかり開発していると感じました。
――2人同時プレイについては、後ほどお伺いします。4人のキャラについて、ご説明いただけますか。
五十嵐:斬月は前作から引き続き、主人公です。そして相変わらずで強いです。体力があって、ここ一番で頼れるキャラです。
――前作はマルチエンディングとなっていましたが、どのエピソードの後になるなどの設定はあるのでしょうか?
宮澤:明確に“このエンドの後”ということはないのですが、込み入ったエンディング後ではなく、「悪い悪魔が出てきたので、皆で倒しました」というくらいの後のイメージです。そのため、前作を知らなくても遊べます。
會津:他のメンバーを殺して斬月1人で進むモードの後日談というわけではありません。
五十嵐:そこは前作のキャラが出てくるということもあって、そうしています。また、本作の斬月には成長要素があります。
『Ritual of the Night』の斬月はレベルくらいしか成長要素がありませんでした。前作『Curse of the Moon』にも成長要素は基本的にはなく、強くなるためには仲間を斬る必要がありました。本作では物語の基本軸で成長します。
會津:連続斬りから鎖分銅につながるようになっていたり、鎖分銅の長さが16ドット長くなったりと、強いですよ。
宮澤:前作は他3人が強かったので、最終的に斬月の影が少し薄くなっていました。頼りになる主人公であることを再認識したかったので、本作ではある段階で斬月が強くなって「やっぱり主人公は強いな!」ということを感じていただけると思います。
五十嵐:ただ、仲間はそれにも増して強いんですよ。そのため、「結局影が薄くなっているのでは?」と思われるかもしれませんね。
(一同笑)
――ちなみに先ほど出てきたように、前作のように仲間を殺して能力を吸収することはできるのでしょうか?
會津:今作では、仲間にするか、殺すかの選択はありません!
宮澤:前作におけるこの要素は、いわばサプライズ。隠し要素に相当する部分でした。サプライズって、2回続けて同じことをしてもおもしろくないじゃないですか。
なのでバッサリなくしました。物語的にも整合性が取れないですしね。
――続いてドミニクについて。
五十嵐:先ほど言ったように、魔塔が本作において最初の舞台になるのですが、魔塔が現れたことを斬月に伝えて、一緒に乗り込むきっかけになるキャラです。
ドミニクは『Ritual of the Night』にも出ていますが、“あっち側”ではない設定です。それもあって謎のエクソシストという役割で登場しています。
性能としてはジャンプ力に秀でていて16ドット、1ブロック分高く飛べます。これは、かなりうれしいですよ! さらに上下に攻撃できるので、攻撃の幅が広いキャラになっています。
――かなり強そうですね。
五十嵐:このキャラの最大の特徴は回復ができるところ。回復のアイテムを出して、自分のみならず他キャラをも回復させられます。さらに、キャラを復活させることもできるので、投身自殺を防げるわけです。
それで安心してプレイするのですが、気が付くとドミニクが死んでいるという。
(一同笑)
五十嵐:そんなジレンマを抱えたキャラです。
――復活はメ●ザルのように自分が犠牲になるのですか?
會津:犠牲にならず、単純に自分以外のキャラがすべて復活して、かなり回復します。
五十嵐:ただ、1回使うと手に入れたサブウェポンがなくなってしまいます。
――ウェポンポイント(WP)はどれくらい必要になるのでしょう。
宮澤:最終的にWPは0にしたのですが、使う時まで持っておく必要があるので、サブウェポンを攻撃に使えなくなります。
會津:壊したランタンから出てくるサブウェポンは固定なので、1度使ったら次にどこで出てくるのかわからない。そのため、保持しがちになりそうですね。
――次は新キャラのロバートは?
宮澤:前作のキャラが加わり、7キャラ使えるようになることは、早い段階で決めていました。ただ、キャラかぶりは避けたい。剣や鞭以外の武器をしたかったので、銃を使う人にしました。
世界観が18世紀末くらいの設定なので、マスケット銃を持たせました。当時、銃を持てたのは軍人で、軍人であれば強いから戦えるということで、この設定になっています。
しかし、銃や鞭を使うアクションゲームに銃を使うキャラが加わると、無条件に強い。そのため、デメリットとして、体力が極端に少ないキャラにしました。
――そんな設定があったんですね。
宮澤:ただ、軍人なのに体力が少ないのは違和感もある。そこで魔族耐性が高い他のキャラと比べると、一般人なので撃たれ弱いことにしました。
あとは、マスケット銃のためリロード時間は長いです。敵が多いときついキャラになっています。
會津:このキャラは、壁にはりついて壁蹴りができるので、広範囲に移動できます。ハチは横にホバリングできるので、ロバートで高いところまで進んで、ハチに変更して進むと高いところに行くことが可能です。
――デザイン上で工夫されたところは?
會津:宮澤は当初、髪がサラサラのカッコいい軍人を想像していたらしいです。
宮澤:カッコいいガンナーのイメージだったのですが、デザイナーさんからあがってきたのが、ハゲのインテリメガネ。当時は「想像と違ったけど、カッコいいからまあいいかあ」と思っていたのですが、今では気に入っています。
會津:ただ、髪が長くてイケメンだと、ジーベルとかぶってしまいますからね。ハゲにして正解だったと思います。
――年齢はいくつくらいになるのでしょうか?
宮澤:過去に斬月と一緒に戦ったことがあって、確か斬月と近いくらいの年齢でした。
――最後に先ほどから話題に出ているハチについて。
會津:ハチは犬です。斬月に助けられたことのあるコーギー犬で、彼を追いかけてきたところ、悪い錬金術師につかまり、魔導アーマーの生体パーツに組み込まれてしまいます。弊社はこのようなアーマーのデザインが得意なので、ノリノリで作りました。
タイトルを発表した時に、キャラクター選択画面に犬のアイコンが出ていたのですが、そこだけ切り取られてSNSで流れるくらい、人気です。
ホバーを備えていて、空中で横移動して好きな場所で降りられます。さらにWPを消費して任意の時間、無敵になるのでそのままゴリゴリ押すこともできます。
そして、脚が鉄なのでストンピングでトゲを粉砕して地ならしすることが可能。トゲだらけで嫌らしい場所が出てきたら、まずはハチに変更して、トゲを壊すと戦いやすいです。
――かなり強そうなキャラですね。
會津:だいぶ強いです! というか、このキャラ1人いたらいいんじゃないかというくらいに強いです。犬がカワイイうえに、このようなデザインが好きなスタッフが多いということで、開発内部で人気のキャラ。宮澤が「ハチは強すぎるので、調整したい」と弱体化を申し出ると、すごく嫌がるんですね(苦笑)。
宮澤:悲しそうな顔で見つめてくるんですよ。最後にちょっと調整しましたが、最終的に強いままです。このキャラ1人いたら、本当にクリアできるくらいです。
會津:開発陣に愛されまくったキャラです。ステージ間デモで、焚き火に皆が当たりながら談笑しているシーンがあります。そこで魔導アーマーからハチが出てきて走り回るなど、いい感じで和ませるキャラになっています。
――こちらのデザインで意識したところは?
宮澤:最初は犬の顔がコクピットに映っていたのですが、カワイすぎてやめました!
會津:弊社が作っているのは、近未来的な世界観のタイトルが多い。産業兵器のようになっていたところ、五十嵐さんに監修していただき、ゴシック感を出す方向でデザインを詰めていきました。
――他に五十嵐さんがデザインでお願いしたのは、どのようなところでしょう。
五十嵐:ロバートの色ですね。もうちょっと明るかったので、ゴシックに寄せて暗くしました。「ゴシックとはなんぞや」というところで、無駄な装飾をつけたりして、直してもらいました。
ドットについては流儀、スタイルがあるので、お願いしたことはそんなにありませんでしたね。
――ボスの多彩な行動も魅力。本作でもそこは踏襲していると思っていいですか?
會津:どのボスも4つくらいは動きがあって、だいぶ細かく調整しています。ベテランではしっかり攻略しないといけないくらい、ち密に設計されていますが、カジュアルであれば押しきれます。特にハチであれば、蹂躙できるかと(笑)。
宮澤:作った人が悲しくなるくらいに……。
會津:体力と攻撃力が高い斬月も、ごり押しする際には有効ですね。
2P同時プレイはバランスが悪くても爽快感を重視
――前作で登場したキャラも参戦するということですが、こちらについてご説明いただけますか?
會津:タイトル発表時は4キャラのみの発表だったのですが、ゲーム内でストーリーを進めていくことで前作の3キャラも加入します。本作の新キャラはピーキーに強いので、強く調整されて合流してきます。
結果として7キャラが並び、2Pプレイの時は2P用の斬月が入るので8キャラのアイコンが並ぶことになります。
宮澤:1Pが2Pの斬月を操作することもできるので、見た目のそっくりな斬月が2人いる仕様となっています。あと、サブウェポンが取り合いにならないように、1Pと2Pで別のものが出るようになっています。
7キャラの中で、どのサブウェポンが欲しいか、逆にいらないかを考えつつ、とっていくことになると思います。
――4人から7人に増えているので、考えることも多そうですね。
會津:斬月以外は共有して使うキャラ。アルフレッドにヴォルティックレイをとらせれば、1Pでも2Pでもアルフレッドになった時には、ヴォルティックレイを使えます。
――斬月以外のキャラはHPも共有になるのでしょうか?
會津:そうですね。例えば1Pがハチを操作して、HPが減ったからキャラを変えたとします。その後、2Pがハチを選んだらHPが減った状態となっています。
――既存のキャラは、どのようなところがパワーアップしているのでしょうか。
宮澤:アルフレッドのヴォルティックレイですが、公式では“最強の錬金術”という設定になっているのですが、そこまで最強だと感じていただけませんでした。そこは調整して、本当に強くなっています。
ただ、WPの使用量は増えているのでそこは注意が必要。潤沢なWPを持っていればボスも完封できると思います。
會津:6面のボスは実際に完封できました(笑)。
宮澤:あと、サブウェポンを主体にして戦うキャラで、すべてが強いとバランスがよくないので、外れ枠を設定していました。ただ、今回はその外れ枠のサブウェポンを大幅に強化しています。
分身を出すソウルビジョンは前作で外れ枠だったのですが、本作では一番強いほどです!
――個人的には遠距離から攻撃できるだけでも、使い道はあると感じて、好きなサブウェポンでした。
會津:前作は敵を引き付けてもくれないし、素通りしてきていた。今回は分身に向かってくる敵がいるので、その場合は身代わりになってくれます。
宮澤:有効活用できる仕掛けを用意しているので、実は強いです。
――ちなみに、他のキャラにもハズレ枠はあったのでしょうか?
宮澤:斬月は、1人ですべての局面を乗り越えられるキャラクター(簡単ではないですが)として設計しているため、外れサブウェポンはないつもりです。
ミリアムに関しては初期装備のダガーが比較的ハズレウェポンといえると思います。初期武器が強いと、新しい武器を探そうという気持ちにならなくなってしまうだろう、ということでそうしています。
キャラクターによっては初期武器が強いキャラクターもいますが、それはそれで意図があって設定されています。
――ミリアムとジーベルに強化点はあるのでしょうか。
宮澤:ミリアムはもともと高い水準ですべてを持ったキャラクターなので、強化点は少ないです。あえて言うと投げた鎌が戻ってきたのをキャッチすると、少しだけWPが回復するようになりました。
後はミリアム単独の強化ではないのですが、新キャラのアクションと組み合わせることで新たな遊びが見つかるようにしてあります。
ジーベルはもともとオンリーワンな能力を持ったキャラクターなので、こちらも強化点は少ないのですが、1点だけかなり強化された要素があります。前作では体当たり攻撃・ブラッドスティールを敵に当てるとWPがほんの少し回復するという仕様があったのですが、あまりにも地味だったので、本作ではWPではなく体力が回復するようになりました。
よりその名にふさわしい性能になったかなと思っています。
――2人同時プレイにすると、バランスを整えるのが大変になると感じるのですが、いかがですか。
會津:敵のアルゴリズムが1人に対するものしかなかった場合、1人プレイで“1”の強さを持っていたプレイキャラが、2人同時プレイだと1+1=2にはならず、2.5とか3になります。
それを抑制するために、協力プレイ時には敵が早くなったり、固くなったりするのですが、それはあえて入れずに、1+1の強さは3でも4にでも、勝手にしてもらおうとしています。
そのため、バランスについては壊したままです。
――それはすごいですね。
會津:決して投げているわけではありません。このような仕様だと、予期せぬルートにいくこともあるので、そこはしっかり調べていますが、2人プレイで得られる優位性は抑制することは入れていないという意味になります。
宮澤:開発内部でも「これはバグではないですか?」とよく聞かれるのですが、基本的には仕様となっています。
會津:「こんなことが2人プレイだとできてしまうのですが、本当にいいのですか?」と言われても、狙ってやっているのでいいわけです。
1人プレイとしては綿密に作っているのですが、2人プレイについてはブレーキをかけていません。
宮澤:綿密に作ったゲームを壊す爽快感は、確実にあるじゃないですか。それを目指しています。
――2P同時プレイだけの特別な操作などはありますか?
會津:1Pのうえに2Pが乗れます。例えば、ジーベルがコウモリのような姿になった上に、もう1人のキャラが乗れば空を飛べてしまうのです。
ボスの弱点が高いところにあったとしても、肩車して攻撃したり、それこそジーベルに乗っかって攻撃したりすれば瞬殺できる。それも許容しています。
――それはすごそうですね。
宮澤:「こういうこと、できるんじゃないの?」ということはほぼできます。それが先ほど言った「ブレーキをかけていない」ということになります。
これを利用して、行っていいのかわからないルートを進んでいくと、ちょっとおまけ要素があるというしかけもあります。
會津:ここについては「ちょっとおもしろそう」と感じていただければと思います。実際におもしろいです。
――Nintendo Switchのおすそわけプレイで、1人のプレイヤーが2キャラを操作することもできるわけですね。
會津:……それは想定していませんでしたが、手練れの人であれば可能かもしれません。2人プレイのRTA(リアルタイムアタック)を見たいということは話していましたが、2キャラを1人で操作するRTAも存在するんですね。
宮澤:ただ、1Pのところに2Pが追従してワープする機能も用意してあるので、実はやれるのかもしれません。
會津:1Pを2Pが打ち上げて、2Pがワープすると打ち上げた先に出てくる。どちらかが画面外に出ると、そちらについていくようになります。
――プレイヤーのどちらかがやられてしまった場合、そのキャラだけがいなくなって、その場で復活するのでしょうか?
會津:共有のキャラがいなくなって、どちらも使えなくなります。
宮澤:やられたプレイヤーは一旦、おやすみ状態になるのですが、残機を使って復活のような感じで、残っているメンバーで復活します。
――一緒にプレイするのが楽しくなりそうですね。
會津:ローカルマルチなので、普通ならば2人で並んでやる。さらに、最近はリモートプレイができたり、スイッチなら持ち運んで遊べたりする。環境にあわせて楽しく遊んでいただけると感じています。
諦めてしまうユーザーのサポートする新要素
――ボスの体力が表示されるようになったのはなぜですか?
宮澤:ボス戦で、誰かがやられてやり直しになった時、こちらは戦力が減ってジリ貧になっていきます。それなのにボスの体力が回復しているため、「勝てるわけがない」と諦めてしまう人がいたんです。それが投身自殺につながるわけです。
本作の新しい仕様として、ボス戦をやり直しになった際、残りのメンバーでボスまで来たら前回与えたダメージの一部を引き継ぐようにしました。
ただ、体力ゲージがないと回復量が少ないことがわからないので、表示するようにしました。
――完全に引き継ぐのではなく“ある程度”になるわけですね。
宮澤:カジュアルはけっこう引き継ぎます。ただ、体力が減ったから結果的に負けているので、それで必ず勝てるわけではないと思います。
――他にも右上のゲージがあって“1UP”とあるようですが、スコアを稼いでいくものでしょうか?
宮澤:そうですね、スコアゲージです。スコアを稼いでいくとたまっていき、満タンになるとチームの残機が1つアップします。これによって、あとどれくらい頑張れば上がるのか、視覚的にわかるようになりました。
會津:スコアはもともとあったのですが、エクステンドするスコアまで到達すると残機が増える形でしか機能していませんでした。それであれば、このような形にしたほうがいいだろうと。
宮澤:先ほどのダメージを引き継ぐ仕様もそうですが、「もういいや」と諦めてしまうユーザーの心を少しでも助けたいという気持ちが全体に反映されています。
――前作や『Ritual of the Night』とのデータ連動はありますか?
五十嵐:ありません。バッサリですみません。
(一同笑)
――世界観についての共有はありますか?
五十嵐:キックスターター当初は世界観を共有にすることも考えていましたが、結果的にそうではなくなりました。
『Ritual of the Night』の世界観がメインとしてあって、『Curse of the Moon』はスピンオフ作品という位置づけです。『Ritual of the Night』との接点は僕の中で薄くあるのですが、メインの世界観を引継ぎつつも、独自の世界観を作るようにしています。
例えば、ドミニクは“あちら側”ではない世界になっていますし、アルフレッドも全然違います。
今回発表した際にユーザーさんも混乱していたようなのでこちらで説明したいと思います。
會津:そこはわざと言わないようにぼかしていたつもりだったのですが、明確にしてほしい人もいる……ただ、詳細はやはり言わないようにします。
――『Curse of the Moon』が好評だったとのことですが、コラボなどは予定されていますか?
會津:コラボは今のところ考えていません。前作は好評ですし、コラボの打診があれば進展していくかもしれませんが、現状プロモーション施策として入れ込んでいるわけではない。
宮澤:キャラが増えたらどこに表示するんですか!?
會津:右上らへんのゲージをつぶしていくんじゃないですかね。
(一同笑)
――本作とは違うのですが、“メトロイドヴァニア”というジャンルが生まれるほど、五十嵐さんの作品は影響を与えてきました。一方でライバルが増えているとも言えますが、こちらをどうとらえていますか?
五十嵐:正直なところ、「自分の商売のところに来るなよ!」というのが本音としてあります。
(一同笑)
五十嵐:とは言うものの、1つのタイトルしかないと偏ったものしか存在しないことになります。ゲームはもっといろいろあるべきだと思ってるんですね。そうなった時に、いろいろな人が作ったタイトルが選択肢として市場にある状況がいいんです。
僕はファミコンやスーパーファミコンの時代が好き。何が好きかというと、同じようなものが有象無象のようにたくさんあって、その中でお客さんが選ぶ……それがジャンルが盛り上がっていることにつながるので、そういう方向性はいいと感じています。
――同様に、最近は2Dのアクションゲームが増えていますが、そこに対して會津さん、宮澤さんはどう考えていますか?
會津:私は昔、カプコン様の『ロックマンゼロ』を作っていた時に「2Dアクションゲームを作り続ける」と公言していました。なぜかというと、2Dアクションの市場が縮小して、ジャンルとしてなくなるのが嫌だったからです。
最近は、インディーで2Dアクションが増えていて、さわると手になじむものが多い。そういったジャンルを楽しむ人が増えていくのはいいことなんです。
そんな中で弊社が一番楽しいものを作ればいいだけなので……。ただ、それが難しいんですが(苦笑)。
宮澤:僕はゲームで育った世代で、アクションゲームが一番おもしろいと思ってきました。一時期、2Dアクションが下火だった時があるので、遊びきれないくらい、いろいろなアクションゲームを遊べるのは幸せですね。
ただ、「一番おもしろいアクションゲームを作っているのはうちだけどな!」というつもりで作っています。
――最後に本作のアピールポイントを読者にいただけますか?
五十嵐:今回はシナリオが非常に多いです。「前作と同じくらい」と言われてシナリオ監修が回ってきたのですが、その多さに目まいがしたくらい……。「あれ、これ監修、間に合うかな?」と思いました(笑)。
周回プレイを前提に作られているゲームなので、それを彩るシナリオ部分をぜひ楽しんでください。「また周回するのか」ではなく、「次のシナリオはどういう感じだろう」と感じていただけるとうれしいです。
會津:私は先ほども話をした2P同時プレイがポイントです。ローカルマルチですがハードの進化で楽しめる方法は増えています。マルチプラットフォームなので、ローカルマルチをするのであれば、誰とどう遊ぶのかを検討してもらって、選んでいただければと思います。
宮澤:私も、家族と2P同時プレイを遊んでほしいと思っています。各エピソードの最後にそれぞれにふさわしいクライマックスを用意して、盛り上がる形にしている。トータルでかなりボリュームもあるのですが、最後まで遊んでほしいと思っています。
くじけそうな時にサポートする要素も多数用意しています。周回プレイも前作以上に変化する要素が多いので、最後まで楽しんでいただきたいです。
會津:このように宮澤が気持ちを込めて、誠実に作っています。7月10日に1,480円で配信されるので、気になった人は購入していただければと思います。
©ArtPlay, Inc. / ©INTI CREATES CO., LTD.
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『Bloodstained: Curse of the Moon 2』(ダウンロード専用)
- メーカー:インティ・クリエイツ
- 対応機種:PS4/Switch/Xbox One/Steam(PC)
- ジャンル:ACT
- 配信日:2020年7月10日
- 価格:1,480円