ゲームで浮気や修羅場、四角関係まで体験!?『キャサリン・フルボディ』の魅力を改めてレビュー

電撃オンライン
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 古今東西、恋愛を題材にしたコンテンツは星の数ほどあります。

 では、恋愛の中でもかなり異端である“浮気“を、”ゲーム“というインタラクティブなエンターテイメントで体験できるコンテンツを挙げるとするならば?

 それはアトラスから2011年にPS3/Xbox 360で発売された『キャサリン』。そしてやはり同社から2019年にPS4・PS Vitaで発売され、2020年7月2日にNintendo Switchで発売予定の『キャサリン』の真打とも言える『キャサリン・フルボディ』以外に殆どないのではないかと思うのです。

 今回はNS版『キャサリン・フルボディ』が発売されることを記念して、改めて『キャサリン・フルボディ』のユニークさ、そしてNS版『キャサリン・フルボディ』の特色を、『キャサリン』と『キャサリン・フルボディ』の両方をクリアした、電撃のあーやがご紹介したいと思います。

浮気という火遊び、そしてその先の修羅場を体験できる大問題作

 先に述べた通り、『キャサリン』は浮気という、現実ではなかなか体験しようとは思えない(人によってはしたいけどバレたときのリスクが怖くてできない?)出来事、そしてとんでもない修羅場を擬似的に体験できるゲーム。

 プレイヤーが操作する主人公は、IT企業に務めるしがない32歳の男性、ヴィンセント(CV:山寺宏一)。長年恋人関係を続けてきた女性、キャサリン(Katherine。CV:三石琴乃)にじんわりと結婚を迫られる中、ある日バーで出会った同名の女性、キャサリン(Catherine。CV:沢城みゆき、ほか)に誘惑されて一晩をともに――つまり、浮気をしてしまいます。

  • ▲「妊娠したかも」という疑惑をきっかけにヴィンセントに結婚を迫る、恋人のキャサリン(通称、Kキャサリン)。
  • ▲バーで出会い、ヴィンセントを誘惑した自由奔放な浮気相手のキャサリン(通称、Cキャサリン)。

 二人のキャサリンの間で慌てふためくヴィンセントでしたが、ひょんなことから面倒を見ることになった、第三のキャサリンである、リン(Qatherine。CV:平野綾)も、徐々にヴィンセントにとって大切な人になっていき……という、恋の三角関係どころか、愛憎乱れる四角関係を体験できてしまうのが、『キャサリン・フルボディ』。

  • ▲二人のキャサリンとのやり取りで擦り減ったヴィンセントに優しく接するリン。癒やされているうちに、だんだんリンのことも好きに……。

 浮気にハマってしまう理由は「とんでもない行為をしている!」というドキドキ感を、「その人が好きでドキドキしている!」のと勘違いしてしまうからだ、と聞いたことはありましたが、プレイしているとまあ実際、ドキドキします(苦笑)。しかも美人にばかり言い寄られるもんだから、もうたまったもんじゃない。ゲームと現実は違うことを理解しているからこそ、つい「ゲームだし、浮気しちゃおっかな!」と思っちゃうかも!?

  • ▲浮気の果てに待つものとは……こんなの、ゲームじゃないと絶対、体験したくない! いやぁ、ゲームでよかった。ゲームって本当にいいものですね!

 いや、自分がそう感じただけで、「世の中の人がみんなそうである」とはもちろん申し上げるわけではありませんし、9年前に初めて『キャサリン』をプレイしたときの自分は「浮気ダメ絶対!」プレイだったことを、ここに告白しておきますが!

Nintendo Switchによって同時に“リビングで堂々と”、”ベッドでこっそりと“プレイ可能に。大問題作はさらにエスカレート!

 そう、本作はプレイヤーの選択によってエンディングが変化する、マルチエンディング方式を採用しています。“誰が好きか”も、もちろん物語の結末を左右する要素ではあるのですが、それ以上に本作では、その判断基準となる”自分の恋愛における価値観” が重要だったりします。

 ゲーム中では、「相手に言い寄られると好きになってしまいますか?」といった質問が何度も繰り返されます。言ってみればこのゲーム、遊んでいるだけで好もうと好まざると、恋愛傾向診断のようなこともできてしまうんです。

 パートナーがいる方は2人で遊んでみると、きっと2人の絆がより強くなる……かも(筆者はいかなる結果になろうとも責任を負いませんので、あしからずご了承いただけますと幸いです)。

 今回発売となるNintendo Switch版は、Nintendo Switchという、据え置き機と携帯機の特徴を併せ持つハードであることもあって、幅広いプレイスタイルが実現可能になっているのは注目ポイント。

 たとえば、リビングでパートナーや伴侶といっしょに遊ぶこともできるし、隠れてトイレやベッドでこっそり1人で遊ぶこともできるし……と言った具合。個人的には「ファミリー層やキッズ層に広く普及しているであろうNSで、こんなゲームが出てしまうなんていいの?」……と思う気持ちも、ないわけではないのですが(笑)。

 今の御時世だとなかなか実現は難しいかもしれませんが、NS版を飲み会や合コンなんかに持ちこんでも、みんなで盛り上がれる気がします。『ペルソナ』シリーズでおなじみのアトラスが開発なので、オシャレさやスタイリッシュさは折り紙付きですしね!

 ついでなので、ここでNS版のゲーム内容の追加要素もご紹介しておきましょう。まず、NS版だけの特典として、ヴィンセントを誘惑するCキャサリンのボイスを演じた声優さんが3名追加され、全14人の声優さんから選べるようになりました! 

 一覧にするとこんな感じ。

【NEW!】
・ヒーリングフラワー(花澤香菜)
・生意気後輩(竹達彩奈)
・インテリジェンスビューティー(井上麻里奈)

【PS4/PS Vita版から続投】
・キュートな小悪魔(沢城みゆき)
・ヤンデレ淑女(能登麻美子)
・わがままシスター(堀江由衣)
・アトラクションガール(悠木碧)
・気まぐれキャット(釘宮理恵)
・純情系ギャル(豊口めぐみ)
・ツンデレ彼女(戸松遥)
・溢れる母性(小清水亜美)
・夜の女王(水樹奈々)
・憧れのお姉さん(佐藤利奈)
・一途な乙女(阿澄佳奈)

 『ペルソナ』シリーズに詳しい人なら、「あ、この声優さんはあのキャラを演じていた方だ」とピンとくる方ばかりかと思います。今回のレビューを書くにあたって、新たな声優さん3名さんの演技を一足先に拝聴させていただいたのですが、やっぱり耳がとろける感覚に陥ることうけあい。「俺もこんな美人に誘惑されたい人生だった」と思わずにはいられないし、「みんな違ってみんないい! 選ぶなんて無理!」と、なおのこと強く思いましたよ。

 また、PS4/PS Vita版『キャサリン・フルボディ』の追加コンテンツは、すべて最初から楽しむことができるようになっています。

  • ▲登場人物全員がなぜかナイトウェア(下着ではない)を着た姿に見えてしまう、ネロメガネ。
  • ▲ストーリーモード以外で使用できるプレイアブルキャラクターは、『キャサリン』だけでなく、『ペルソナ5』の主人公、ジョーカーも含まれる!

 さらに、とくに準備をしなくても、最初からオフラインでの対戦・協力プレイの環境が整っているのも個人的には高ポイントです。

 本作は大きく言って、浮気男と美人3人たちの恋愛劇を追うアドベンチャーパートと、ヴィンセントが夜眠ったときに見る“悪夢”のなかで展開していくアクションパズルパートの2つのパートがあるのですが、本作のアクションパズルは非常にユニーク。

 慣れるまではクリアすら大変ではあるのですが、じつはeスポーツのタイトルに取り上げられるほど、しっかり練り込まれたものでもあります。身近に『キャサリン』をクリアした方がいらっしゃるなら、ぜひ試してみてください。

ハマると抜け出せない、奥深いアクションパズルも注目

 続いて本作のアクションパズルパートにも触れておきましょう。本作のアクションパズルは“足場が崩れる前にブロックを押したり引いたりしてどんどん上に登っていく”というもの。シンプルなルールながらかなり奥が深く、それゆえに慣れるまでは相当死にまくるのも事実……というのは、先に述べたとおりです。

  • ▲序盤はシンプルなブロックだけなのですが、途中からトラップやランダム要素が仕込まれるようになり、”絶対殺すマン”の様相を呈してきます。

 しかし『キャサリン・フルボディ』では、絶対ゲームオーバーにならない難易度”Safety”が追加され、しかもアクションパズル自体が未クリアでもスキップ可能に! パズル部分が苦手な人でもカジュアルに修羅場だけ楽しめる、エンディング保証つきとなっています。

  • ▲難易度Safetyなら、トラップは封印され、オートプレイも可能。

 とはいえこのアクションパズル、コツが分かってきて一度ハマると病みつきになる中毒性も持ち合わせているのも事実。実際、自分も『キャサリン』当時は“全エンディングを見たものの、アクションパズル部分はほぼ手つかず”という状況でしたが、『キャサリン・フルボディ』では見事に大ハマリ。「仕事だから……」と職場の人に言い訳をしながら、ずっとやりこみ要素の”バベル”を登り続けてしまいました(注:やりこみ要素なので当然、仕事ではありません)。

 さらに『キャサリン・フルボディ』では、アレンジモードも追加され、ステージ総数は『キャサリン』と比べると、およそ倍の500以上に。アクションパズルだけでもかなりのボリュームで、ハマってしまえばバベルや対戦モードで一生遊べてしまう。個人的にはこのアクションパズルをぜひ体験した上でエンディングを迎えていただき、まずは本作独自のアクションパズルの魅力の一端に触れていただきたいですね。

  • ▲アレンジモードでは、ブロックがまとまり、複数単位で動いてしまうものが出現。一旦クリアした後、別のエンディングを見るときに遊んでみるのがオススメです。

アトラスらしい、ゲームをクリアしたときに自分の中に何かが残る1本

 最後にちょっと真面目っぽい話をすると、大げさですが本作『キャサリン・フルボディ』をプレイすることは、自分の生き方を見つめ直すきっかけにもなるかも、と思ったりするのです。人間が集団生活を営む生物である以上、誰かを好きになるのは自然なこと。恋愛とは、多くの人にとって他人事ではないはず。

 「本作をプレイすることで自分の恋愛傾向診断のようなことまでできてしまう」と先に述べましたが、それが自分のこの先の人生に、ちょっといい影響を与えてくれそうな……初見プレイのときは、そんな気がしたのです。

 そして時が経てば、恋愛に対する考え方が変化していてもおかしくはない。その変化を実感し、整理するきっかけに、本作はなり得るのではないかとも、また思うのです。自分は2011年にPS3版を、2019年にPS4版をプレイしましたが、その8年の間に世の中も大きく変化しましたし、自分はヴィンセントの年を越え、物事の捉え方も随分と変わったような気がします(いたずらに年を取っただけで、まるで進歩していない気がしないでもないですが……)。

 2011年に『キャサリン』を遊んだけど、あれから結婚して子どもも生まれて、今家にあるゲーム機は子どもが欲しがったNintendo Switchだけ……という方も、きっといらっしゃるでしょう。そんな人も、今あらためて本作をプレイすることで、いろいろなことを再発見できる気がするのです。

 このほか、なにかの折に、親戚のゲーム好きな高校生といっしょに遊んでみる、というのも、いろいろな発見ができるかもしれません(本作のCEROは、15才以上を対象とするCです!)。反面教師的な要素が、もちろんないわけではありませんが(苦笑)。

 恋愛という普遍的なものをテーマに取り上げつつ、そこで描かれる物語やアクションパズルは、非常にユニークなものに仕上がっている本作。だからこそ、多くの人に手にとってほしいし、時間を置いて何度も触ってほしい。末永くゲーム史に残ってほしい1本なのです。少しでも興味を持った方は、Nintendo Switchなら体験版も遊べるのでぜひチェックしてみてください!

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キャサリン・フルボディfor Nintendo Switch

  • メーカー: アトラス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: アクション/パズル/ADV
  • 発売日: 2020年7月2日
  • 希望小売価格: 6,980円+税

キャサリン・フルボディfor Nintendo Switch(ダウンロード版)

  • メーカー: アトラス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: アクション/パズル/ADV
  • 配信日: 2020年7月2日
  • 価格: 6,980円+税

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