本当に……タバコが………………美味ぇ……………（ヴァルター）【軌跡シリーズ名言集】

　日本ファルコムの名作ストーリーRPG『軌跡』シリーズの名言集をお届けします。

　本記事で紹介するのは、ゼムリア大陸の各地で暗躍している結社《身喰らう蛇（ウロボロス）》のエージェント、ヴァルターの名言。命を削り合うかのような激しい戦いの果てに、彼が口にした意外なセリフを選んでみました。

※本記事には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

本当に……タバコが………………美味ぇ……………（ヴァルター）

●終章 空の軌跡　(英祐伝説 空の軌跡 SC Evolution)

　ヴァルターは結社の計画の実働部隊として動く、執行者と呼ばれるエージェントのNo.VIII。

　《痩せ狼》の異名で呼ばれる凄腕の格闘家で、東方に伝わる武術《泰斗流》をベースに、さまざまな武術の長所を取り入れた暗殺拳法の使い手です。

　獲物を狙う鋭い視線をサングラスで隠し、不吉な黒のスーツで身を固めたヴァルター。常に戦いの刺激を求め、敵対する者には容赦なくその拳をたたき込む、非常に危険な男です。そんなヴァルターの口から出た、素朴な感想が今回の名言となります。

　彼の初登場シーンは『空の軌跡SC』の序盤。主人公のエステルたちが、リベール王国で頻発する地震の原因を探っていくうちに、《黒のオーブメント》を使って地震を起こしているヴァルターと出会います。

　当時はまだ未熟だったとはいえ、エステルやアガットといった正遊撃士を含むパーティをヴァルターは圧倒。その戦闘能力は、腕利きぞろいの執行者のなかでも上位に食い込むほどです。

　このときもA級遊撃士のジンが助けに来なければ、エステルたちは全滅していてもおかしくなかったでしょう。

　ここで登場したジンですが、じつは彼とヴァルターは《泰斗流》の同門で、ヴァルターはジンの兄弟子に当たる人物でした。

　人を活かす“活人拳”を目指す《泰斗流》の使い手だったヴァルターが、なぜそれとは正反対の“殺人拳”を追求するようになったのか？　このあたりの事情が、『SC』で詳しく語られていきます。

　ヴァルターは《泰斗流》師父、リュウガ・ロウランの一番弟子で、拳の腕も一級品。さらにリュウガの娘キリカとも恋仲で、周囲の誰もが彼を《泰斗流》の跡継ぎと見なしていました。

　ですがリュウガはヴァルターに、素質も才能も弟弟子のジンが上回っていることと、より優れている者が《泰斗流》の跡継ぎに選ばれることを告げます。

　自分がジンに劣っているとは思えない。何より跡継ぎになれない自分が、キリカと添いとげることなどできない。

　そう感じたヴァルターは、正式な跡継ぎを決めるジンとの勝負を望みますが、リュウガは拒絶。代わりに自分と戦うように申し出るのでした。

　この勝負でリュウガを殺害したヴァルターは、《泰斗流》を出奔。相手を倒すことのみを求める、武の暗黒面に堕ちていったわけです。

　しかし、この対決の裏にはヴァルターが知らない真実がありました。それは、リュウガが重い病にかかっていたということです。

　武術家としての残り少ない生を、一番弟子との戦いのなかでまっとうしたい。そして、“活人拳”を標榜しながら強さを求める心を止められない、自分の身勝手さをさらすことで、弟子たちに武術の光と闇を示したい。

　そんなリュウガの真意を知り、ヴァルターは衝撃を受けます。

　すべてを語り尽くしたあと、ヴァルターとジンは一騎打ちに突入。ヴァルターは結社で磨いた秘技のすべてを、ジンは遊撃士稼業で磨いた《泰斗流》のすべてを拳に乗せて。両者の生き様を凝縮したかのような剛拳が交差します。

　勝負はジンの勝利に終わりますが、ヴァルターはすぐには倒れず、おもむろにタバコを取り出します。着火したタバコをくわえ、煙を胸いっぱいに吸い込み、吐き出す。

　そうしながら彼は、ただただタバコの美味さをつぶやくのです。

　全力の勝負に敗れ、ジンが自分を上回る才能を秘めているというリュウガの言葉が真実だったと、身を持って理解したヴァルター。そのとき彼が感じたのは、偉大な師父への尊敬の念か、はたまた全力を出し切ったときに感じる爽快感か、実際のところはわかりません。

　ですが、彼がある種の満足感を得たのは間違いないと思われます。だからこそ、普段から吸い慣れているはずのタバコが、つい口に出したくなるほど美味く感じられたのでしょうから。

　ヴァルターは『空の軌跡』シリーズ以降の『軌跡』作品に登場したことはまだありません。ですがジンとの戦いのあとも結社に残り、執行者として行動していることだけは語られており、今後のシリーズ作品で再登場する可能性も十分ありえます。

　満足感を得る＝飢えが解消された《痩せ狼》ことヴァルターは、いったいどんな男になっているのでしょうか？　飢えが満たされて多少は丸くなったのか。それとも、以前のような危険人物のままなのか。

　いずれにせよ、敗北を経験したことで、さらなる強さを手に入れている可能性は高いでしょう。個人的に、ヴァルターのハードな性格や強さは好ましく思うので、ぜひ再登場を期待したい！

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