電撃オンライン

『Ghost of Tsushima』ネタバレなしレビュー! 勘違い日本ではない、硬派な時代劇アクションでありドラマ

シュー
公開日時
最終更新

 SIEから、7月17日に発売予定のPS4用ソフト『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』。その先行プレイレポートを掲載します。

 『Ghost of Tsushima』は『inFAMAOUS』シリーズなどを手掛けているサッカーパンチ・プロダクションズが、時代劇や映画をモチーフに制作したオープンワールドのゲームです。

 舞台はモンゴル軍の襲来を受けた対馬。つまり1274年の鎌倉時代中期に起こった元寇を参考に、そこに生きる1人の武士・境井仁を中心とした対馬を取り戻す物語として描かれています。

 発売を前にいち早く製品版でプレイすることができたので、そこから見えてきた本作の魅力、そしてこだわりについてレポートしていきたいと思います。

これはオープンワールド時代劇。決して勘違い日本ではない

 多数の敵が主人公を取り囲む構図は、さながら『暴れん坊将軍』のよう。障子越しに敵を闇討ちする姿は、まさに『必殺仕事人』。それらを見てニヤりと笑った瞬間に、ああこれは時代劇なのだと気付く……。

 元寇を参考にした史実に基づいた歴史的なゲームではなく、あくまで中世の日本の雰囲気を、時代劇の面白さ、格好よさを表現したオープンワールド時代劇なのだと確信しました。

 僕らの想像する武士のいた時代の日本というのは、勉強こそしてきましたが、映像として記憶している多くが映画や時代劇で培われたものだと思います。

 本作もその延長線にあり、ススキ畑に心を踊らせたり、もみじ舞う街道の美しさに感嘆したりと、風流を感じる要素が至るところにあります。

 一方で、きらびやかな景色とは真逆のわびさび。質素な雰囲気もしっかり残されているので、いわゆる勘違い風の日本ではないことも感じられます。

 この世界には変な看板もなければ、怪しい日本語を使う人もいません。徹底的に日本の時代劇を研究して作り上げられた、僕らの知っている、頭の中にある中世時代の日本に近い世界がありました。

 ゲーム内ではカメラモードでいつでも撮影できるのですが、よいなと思える風景が多く、その手が止まりませんでした。少し進んでは撮影をし、衣装を変えて雰囲気作り。そういう楽しみ方も堪能できますよ。

能力者でもなければ超人でもない。地に足のついた1人の武士

 本作のアクションのよいところは、ひと言で表すなら、ただの武士であること。刀から斬撃が飛びませんし、一瞬の内に何回も斬るような超人技もありません。倒すこと、生きることに必死になって、泥臭く駆け回る侍の殺陣がそこにあります。

 基本的には受け流しや回避を駆使し、敵の隙を突くスタイル。相手の攻撃や動きを“見切る”感覚がとても大切で、適当に刀を振っても、敵自身も受け流しや回避をして反撃してきます。

 攻撃には素早く隙が少ない速打と、敵の防御を崩せるが大振りの強打があります。この基本攻撃を軸に敵に対抗していくのですが、蒙古兵には剣兵、盾兵、槍兵のほか、巨漢の蒙古兵である剛兵がいます。基礎的な剣術だけで彼らと戦っていくのは不利なので、仁は型を使い分けて戦います。

 仁の型は4つあり、敵兵ごとに型を変えることで有利に戦える仕組みです。型を変えることで強打が上段や下段斬り、蹴りへと変化し、各敵兵の防御を大きく崩せる手段となります。防御を崩すと敵は無防備になるので、そこに突きや連撃といった大技を使い、確実に仕留めていく流れです。

 1人の敵兵に時間をかけすぎると敵が集まり、多対一になることもめずらしくありません。いかにして敵の動きを見切り、素早く倒せるかで状況は変わります。

 多数の敵を相手にしたときは、仕切り直しとして煙玉を投げて隠れたり、投てきして爆発する“てつはう”で一気に数を減らしたりと、策を講じるのも手です。

 武士とは異なるその方法が、冥人(くろうど)の戦い方になります。

 後ろから闇討ちして1人ずつ片付けたり、くないを投げて複数の敵を足止めしたり。時には鈴を投げて、敵の注意を集めることもあります。

 この行動は単に敵の数を減らすことだけでなく、民が人質に取られていたり、貴重な物品だけを回収する際に役立ちます。人質がいる時に見付かると、蒙古兵は人質を殺しにいってしまうので、ときには慎重さも必要です。

 ここで重要なのが、この武士の戦いと冥人の戦いに制限や縛りはないこと。どちらかを使い続けるとストーリーに影響するといったことはなく、また誰かの好感度が下がることもなく、ただただ自分のプレイを追求できるのが魅力です。

 この冥人アクションを安直にステルスやシノビと表現しないところにもこだわりを感じます。

 対馬のために奔走する武士だが、対馬のために自分の義を曲げなければ守れないものがあることを悟る仁。冥府から蘇った武人として再起していく姿、心意気にとてもシビれました。

風景を眺め、旅を楽しみ、戦いに専心する時代劇ドラマ

 この世界の住人たちはいろいろな思惑があって生きています。蒙古兵に下る民もいるでしょうし、浪人も生まれるでしょう。彼らも生きるために対馬で足掻いています。

 そういったひと筋縄ではいかない人間模様はまさにドラマ。ひと癖も二癖も、いや三癖を越えた変人もいます。そんな人たちと関わるストーリーも非常に面白いところ。すべてが思い通りに動かないところにこそ、面白さを感じます。

 そんな人間模様の合間に出会う景色にも足を止めて見てください。素敵な景色、そこに息づく動物たち、虫たちが旅を彩ってくれると思います。

 平たく言えばスクリーンショットが止まりませんね! 海辺やもみじ舞う場所での決闘などのシチュエーション。金色の森と表現しても差し支えないイチョウの木々。雨や雷さえも演出にひと役買っているので、行く先々で新しい体験が待っていると思います。

 本作に死にゲーのようなリトライ性を強要されたり、ひどく難しい要素はありません。難易度設定もあり、難易度の上下は敵の攻撃頻度が変化するだけで体力に影響しないため、気軽に楽しむことができます。

 まずは旅を、時代劇を楽しみ、慣れてきたら難易度を上げて挑戦してみてはいかがでしょうか。ゲーム中にいつでも変更できるので、やりごたえもありますよ。

 2020年に登場する屈指の時代劇アクション。あなたも仁の物語を、対馬の行き先を見届けてみませんか? このドラマは観る価値あります。

(C)Sony Interactive Entertainment LLC.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 発売日: 2020年7月17日
  • 希望小売価格: 6,900円+税

Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ) デジタルデラックスエディション

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2020年7月17日
  • 価格: 8,690円(税込)

Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)(ダウンロード版)

  • メーカー: SIE
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2020年7月17日
  • 価格: 7,590円(税込)

関連する記事一覧はこちら