『魔王学院の不適合者』の魅力を楠木ともり&夏吉ゆうこが語る。「まずは4話まで見てください!」
- 文
- セスタス原川
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現在放送中のアニメ『魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』。3章構成で描かれることが明らかになった本作の第1章(1~4話)では、ミーシャとサーシャの姉妹の物語にスポットが当てられています。
その第1章がクライマックスを迎えるということで、ミーシャ役の楠木ともりさん、サーシャ役の夏吉ゆうこさんに対談インタビューを実施。作品の見どころや姉妹の関係性などについてお聞きしました。
第1章で描かれるサーシャとミーシャの物語
――『魔王学院の不適合者』は全3章の構成で、第1章はこのあと放送・配信される第4話で締めくくりとなります。第1章はいかがでしたか?
楠木さん:第1章はサーシャとミーシャについて掘り下げていお話でした。毎話毎話の終わりには気になるフレーズを残して次のお話にいく構成になっていたと思うけど……ゆうゆ(夏吉さん)はどうだった?
夏吉さん:毎回心に何か残る終わり方だったよね。「あれってどういうことだったのかな?」って考えていた視聴者の方も多いと思います。第1章では、ミーシャとサーシャの関係についても、お話が進むごとに「そういうことだったの!?」っていう畳み掛けの連続なので、楽しんでもらえる内容になっていたのではないかと。
楠木さん:ミーシャとサーシャの関係性が明らかになるうちに、お芝居も少し変化がありましたね。ミーシャは、最初は淡々としていたのですが、サーシャやアノスと関わっていくうちに、接し方も少しずつ変わっていきました。
――続く第2章の内容についてもお伺いしたいです。
夏吉さん:第2章ではついに、愉快な仲間たちのファンユニオンが登場します。実は、第1章にも少し登場していたのですが、そこではまだ名前がないキャラクターという扱いで、第2章からはその子たちの活躍が見られます。
楠木さん:第2章はミサ、レイたち新キャラクターも登場して、ひと波乱ある展開が待っています。男の子の学院の仲間が登場するのはレイが初めてなので、そこでのアノスとの関わりに注目ですね。
第1章はミーシャとサーシャにスポットが当たったお話だったので、第2章以降は第1章と比べるとグッとセリフ数が減っていて、その代わりにレイとアノスのシーンが多いです。それこそ、ミーシャとサーシャそっちのけだったりして(笑)。
夏吉さん:そのときは私も「ヒロインのライバル登場か!?」みたいなこと思っていました(笑)。
――ミーシャとサーシャを演じられた感想はいかがでしたか?
楠木さん:ミーシャはアノスに対して親身といいますか、他の人たちのように突っかからないといいますか、最初からアノスの人間味のあるところを受け入れる立場のキャラクターでした。感情を出すことは少ないので、年齢も低めには見えますが、逆にどこか達観している部分もある子です。
――ミーシャを演じる際のポイントはどこでしょうか?
楠木さん:演じているときは、最初は感情が見えにくいという部分を意識していましたが、3、4話では逆にそこは意識しすぎないで欲しいというディレクションが音響監督の納谷さんからありました。無口な子だけれども、感情が出ないわけではく、ミーシャなりに考えていることや感情の起伏も彼女の中にはしっかりあります。
夏吉さん:ミーシャをよく見ると、サーシャよりも落ち着いていて、精神年齢も高いかなと思うこともあるよね。
楠木さん:これはお話にも影響されている部分でもありますが、1・2話の段階でのミーシャは無口キャラの印象で、その後は印象の変化を感じてもらえるのではないでしょうか。
――サーシャを演じられた夏吉さんはいかがでしょうか?
夏吉さん:サーシャは、2話を見ていただくとわかりますが、二面性があるキャラクターだと思っています。ちょっと年相応の揺れ動く10代の女の子のような部分もあれば、他の生徒たちを率いてサーシャ班としてカリスマ性を発揮する部分もあります。その二面の演じ分けや、自然に演じられるようにするという部分が、演じていて難しくもあり楽しくもありといったところでした。
楠木さん:ゆうゆがサーシャの二面性をうまいバランスで演じられていて、サーシャのセリフに込められた想いを想像すると、アフレコの様子を見ているときに泣きそうになってしまいました。
夏吉さん:……恥ずかしい……(笑)。
――姉妹にあたるお互いのキャラクターはお2人にどのように映りましたか?
楠木さん:私はミーシャを演じている身として、ミーシャと同じ気持ちでサーシャのことを見ていました。事前にお話を知っている影響もありますが、私自身サーシャが大好きなのですよ(笑)。2話ではわかりやすく悪態をついていますがそれにもしっかりと理由があって、全部含めてすごく大好きなキャラクターであり、こんなお姉ちゃんがいたら幸せだろうなと思いました。
夏吉さん:私はともりちゃん(楠木さん)の演じるミーシャを見ていて、先を知っていると思えないくらいセリフや反応が新鮮で、演じている姿をすごいと思いながら見ていました。
楠木さん:自分のこと言われると照れちゃうね(笑)。
夏吉さん:ね! さっきも私が言われていたけど、自分のこと言われると照れちゃうでしょ?
――お芝居についても、やはりお互いに影響を受けて変化していった部分もあるのでしょうか?
夏吉さん:演じていると、ミーシャの反応次第でこちらもパッと違う反応ができて、その瞬間の通じ合っているような感覚がすごく嬉しくて、共演者として演じていて温かい気持ちになれました。
楠木さん:演じていて楽しかったよね。今は別々で収録することが多いのですが、一緒に隣に立って収録していると、事前に想像していたものと違う演技が出ることもあります。そこで、ミーシャならどう返すか、サーシャはどう返してくるのか、相談はしていないですが、同じことを考えてお芝居できている感じがします。
夏吉さん:お互いの影響を受けて、その場のフィーリングで作り上げていく感じがすごく楽しいんです。
楠木さん:ミーシャとサーシャのお互いの関係を知ってから2話の出会いのシーンを見直すと、印象がすごく変わると思います。4話まで見たら、もう1回1話から見直してもらえれば、より楽しめるのではないかと。
――お2人から見た主人公のアノスはいかがでしたか?
夏吉さん:ちょっぴり畏怖の念がありますね(笑)。アノスが物語で大きな存在であるのはもちろん、演じられている鈴木達央さんご本人も、私からしたらアノスさまと同じく、優しくて大きな存在なので、それも含めて気軽に「アノス~」とか「達さん(鈴木達央さん)」とは呼べないです(笑)。
楠木さん:なぜか気軽に呼べないよね! アノスと聞くと「よし……」って自然と気合が入ってしまうところがあります。
――それだけ存在感のあるキャラクターということですね。
楠木さん:ミーシャからすると、最初から信頼というか、友だちと言ってもらえて引っ張ってくれた人という印象ですよね。彼女にとって、アノスに言ってもらえた“友だち”という言葉は、とても思い出深い言葉になっていて、アノス自体が彼女にとって暖かい存在です。他の人から見たら「なんだあいつ!?」ってなりそうな性格ですけど、ミーシャ視点では“ジェントルマン”な感じです(笑)。
夏吉さん:サーシャ視点では、学校の中では優秀だった自分が、アノスが来たことで、伸びていた鼻を一瞬で折られてしまうわけですよ。
楠木さん:2話だよね。アっという間だったよね。
夏吉さん:一瞬だった(笑)。でも、実はそれってサーシャにとっていい影響になっていて、この後にミーシャとのわだかまりやいろいろなことを解決できるきっかけの1つにもなります。それを考えると、アノスはサーシャにいいものをもってきてくれた大事な存在ですよね。
――その後、サーシャはアノスにキスをするシーンもありました。
夏吉さん:2話でいきなりキスしちゃってビックリした人も多いと思いますが、あれは彼女の中でいろいろな想いが巡ったうえでの口づけなので! ただチョロイわけではありません!(笑)
――そうなんですね(笑)。お2人が印象的と感じた第1章のシーンはどこでしょうか?
楠木さん:たくさんあるけど、ミーシャとサーシャとしては……やっぱり4話だよね。
夏吉さん:うんうん。私も4話だな~。
楠木さん:4話では、ミーシャとサーシャがようやくお互いが何を考えて、何を感じていたのかが明らかになり、一番本音で喋っている回です。サーシャが今までミーシャに対して、どうして悪態をついていたのかとか、なぜそういう行動を取っていたのかが判明して、それをミーシャが知った上での返事が本当に温かいです。ミーシャは感情が出ないキャラクターですが、そこで感情が出なさ過ぎるとお話が薄くなってしまうので、微妙な感情の起伏は意識して演じました。
――他に作中に登場するキャラクターの中で、お気に入りのキャラクターはいますか?
楠木さん:私はミサの純真さがすごく好きです。ストーリーを掘り下げていくたびにミサというキャラクターの重要性も明らかになってくるので、注目のキャラクターでもありますね。可愛らしいところも含めて、ついつい見てしまいます。
夏吉さん:私は、第1話から出てきているエミリア・ルードウェル先生が好きです! 先生なのですが、ちょっとコミカルなうろたえ担当みたいな感じがいいですよね。アノスが突拍子もないことやると「アノス君!」と叱る姿が印象的です。第2章では大事な見せ場があるキャラクターですので、エミリア先生にもぜひ注目していただければと思います。
――ミーシャとサーシャの関係を振り返ってみて、共感や理解できる部分はありましたか?
楠木さん:私は、サーシャが15年間胸の内に秘め続けたミーシャへの想いを考えるだけで気持ちが重くなってしまいますね。本気で向き合い続けていた分、その時間はとても苦しいものだったのではないかと思います。
夏吉さん:サーシャだけでなく、ミーシャも15年間のうちに自分でも知らないうちに痛みに鈍感になっていたと思いますね。自分の気持ちにも嘘をついて、みんなの蚊帳の外で生活していたところ、アノスのおかげで自分の心を取り戻すわけですが、そこで初めて自分の言いたいことを言えたミーシャを見て思わず感動してしまいました。
楠木さん:4話でミーシャがアノス対して、初めて自分の希望を口にするところが印象に残っているな~。
夏吉さん:そうそう。私たちも人に初めて「こうしたいのでしょ?」と言われて、自分の気持ちを自覚することがあると思いますが、その瞬間がミーシャに初めて訪れたときには、私の心にも共感の波が押し寄せてきましたね。
――『魔王学院の不適合者』らしさが出ていると言える部分はどこでしょうか?
楠木さん:まずは「そこまでやってしまうのか!」と思うレベルの、いわゆる“俺TUEEE”感ですよね。アノスの強さが振り切りすぎていて、もはや爽快感を感じてしまいます。ここまですべての理とか力において、並外れた能力を持っているアノスなので「どうなっちゃうのだろう!?」と思っても、次の瞬間には「アノスが居るから大丈夫か」ってなります。
夏吉さん:物語のノンストレスな感じがすごく気持ちいいよね。
楠木さん:あとは、ヒロインがうかつにアノスに惚れない、という部分も特徴かもしれませんね。
夏吉さん:確かに……。さっきサーシャのキスの話をした後でこの話をするのは少し変かもしれませんが……ヒロインたちは簡単にアノスのことを好きにならないんですよ。
楠木さん:みんなアノスを信頼してはいますが、そこに恋愛感情的なものがあんまりないというか。
夏吉さん:人間の自然な心の動き描いているって感じですね。
――お芝居をする中で恋心を出さないことは意識されているのでしょうか?
楠木さん:ミーシャはかなり意識しています。嬉しいとか、優しいとか、嬉しいとか、アノスに対して率直な感想を話すシーンがたくさんあるのですが、そこを甘い言葉にし過ぎてしまうと違ったニュアンスの言葉になってしまうので。あくまで淡々と事実として「あなたは優しい。うん」と思ったことを言葉にしているだけ。変なニュアンスが加わらないように、心をまっさらにして演じています。
夏吉さん:サーシャは逆で、まさに恋に恋する乙女のような感じで演じていました。ただ、サーシャの恋心は、まだ人を好きになったことがないというか、子どもならではの反応というか……。可愛らしい反応ができるように心がけていますね。大人の恋愛としての“好き”とは違うものだと思っているので、ある意味で幼さは大事にしたいと思って演じています。
――子どもらしい恋心というお芝居はお聞きする限りかなり難しいように感じます。
夏吉さん:「深く考えすぎず」と言っていただいたところは多かったですね。その幼さは優秀なサーシャのギャップとして、彼女らしい部分が出せたのではないかなと思います。
――収録現場での印象的なエピソードがあればお聞かせください。
夏吉さん:サーシャのチームのメンバーが、彼女のことを「サーシャさま」って呼ぶのですが、緊迫した状態では早口で言わなければならないので、とても言い辛そうにしていたのが印象的でした。私は絶対に「サーシャさま」と言うことはないので、安心していましたが(笑)。
楠木さん:私もミーシャはそういう風には絶対に言わないから安心していた!(笑) あと、お芝居に関係ないところだと、毎回ゆうゆと服装が似ていたよね。
夏吉さん:初対面からそうなんだよね。実は、今日もちょっと色合いが似ているし……。
楠木さん:事前に話したりしたわけじゃないのに、いつも双子コーデみたいになっていました。
――他のキャストさんの現場の様子はいかがでしたか?
楠木さん:やっぱり現場を盛り上げてくれる鈴木達央さんが印象的でした。盛り上げてくれるだけでなく、収録が始まる際には現場のスイッチも入れてくださるので、鈴木さんのおかげで気持ちの切り替えもやりやすかったです。
夏吉さん:そうなんですよ。収録には毎回ベテランの方がいらっしゃっていて、緊張していたので……。
楠木さん:毎週香盤表を見るたびに震えていました(笑)。渡された香盤表を見るたびに「へ、へぇ~、来週はあの方が……」みたいな感じでした。
夏吉さん:だけど、みなさん本当に優しくて……。ありがたかったです。
楠木さん:「なんでこんなにスケジュールを合わせられたの!?」って、つい思ってしまうくらい豪華な方々が集まっているので、ぜひそれも楽しんでいただきたいですね。
――現在、“最強は俺だ”キャンペーンとして、『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』『魔王学院の不適合者』の主人公から最強を決める投票が行われています。お2人にはここでぜひアノスのアピールを行っていただければと。
楠木さん:現場でもこのキャンペーンが話題になったのですが、これはもう圧倒的にアノスですよ。何より魔王ですし、彼は運命や理のすべてを覆すことができるので、これ以上の強さはないですよね。
夏吉さん:精神的にもアノスって完璧ですからね。強さと一緒に優しさを持ち合わせていて、1話では向かってきた相手に対して兄弟愛を説くシーンもありましたし。
楠木さん:そうなの! アノスは力だけじゃなくて、それと同じくらいの優しさを持っているところがすごく魅力的です。
夏吉さん:もちろん家族愛もあって、お母さんにも優しいですからね。強さも内面も全く負ける気がしないです!
楠木さん:うちのアノス様はすごいんですから! もうこれは圧倒的ですよ。
――それでは、最後にファンの方、まだ作品を見られていない方々に向けてのメッセージをお願いできればと思います。
楠木さん:『魔王学院の不適合者』は、ただアノスが力を振るうだけでなく、その周りのキャラクターとのアノスの関わりがお話の鍵になっていて、心温まるストーリーになっています。第2章からも濃いキャラクターがたくさん登場して、飽きないどころかどんどんのめり込んでしまうはずなので、まずはミーシャとサーシャのお話である第1章から楽しんでもらって、その後も『魔王学院の不適合者』を楽しんでもらえたらと思います。
夏吉さん:アノスの活躍を見るだけで爽快感を味わえるのですが、それと同時に各話を見終わるごとに「この子はなんでこうしたのかな?」という疑問が残ると思います。そういった疑問が次のお話では解消されて、最後にはアノスによってみんなが求めている爽快なハッピーエンドが待っています! それが最初に描かれる第1章、まずは4話まで見てください! そして続く第2章以降も、よろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。
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魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~
- 著者:秋
- 出版社:KADOKAWA
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