『FFIV』時田貴司氏と『FFBE幻影戦争』広野啓氏の考える『FF』とは? コラボ記念インタビュー前編
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- カワチ
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スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争(FFBE幻影戦争)』において、『FINAL FANTASY IV(FFIV)』のコラボが発表されました。
今回、コラボのキーマンとなる『FFBE幻影戦争』プロデューサーの広野啓氏、ディレクターの小倉悠吾氏、『FFIV』のゲームデザインを手がけた時田貴司氏にお話を伺いました。
そのインタビューを前後編でお届けします。(※インタビュー中は敬称略)
コラボ記念インタビュー前編
――まず最初に、『FFBE幻影戦争』における皆さんの立ち位置をお聞かせください。
広野:FFBE全体の統括をしているシリーズプロデューサーの広野です。現在、『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス(FFBE)』と『FFBE幻影戦争』のプロデューサーをしています。『FFBE』の前は『実在性ミリオンアーサー』や『インペリアル サガ』などを手がけていました。
小倉:『FFBE幻影戦争』でディレクターをしている小倉です。イベントの考案や仕様作成、スケジュールの調整などを担当しています。
時田:私は今回の『FFIV』のコラボに関する監修を行いました。
広野:時田さんには『FFIV』コラボに関してすべてチェックしてもらっているのですが、レスポンスがとても早くてありがたく思っています!
時田:テレワークになってから移動時間などがなくなったので、自分の仕事に集中できるんですよね。それにチェック物は放っておくとどんどん増えてしまうので、ためないように脊髄反射で返事をするようにしています(笑)。
小倉:開発としてはとてもありがたいです(笑)。
――コラボの前にまずは『FFBE幻影戦争』についてお聞かせください。本作は2018年12月2日に東京ビッグサイトで開催された『FFBE』3周年記念ファン感謝祭で発表されたタイトルでしたね。
広野:はい。ただ、そのときはタイトルだけを発表したので会場がシーンとなっちゃったんです(苦笑)。
時田:え!? そうだったの?
広野:はい。自分たちは『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』にインアスパイアされた新作を発表したつもりでしたが、ユーザーさんにはタクティカルRPGと言ってもうまく伝わらなかったんです。次からはゲーム画面もしっかり見せようと反省しました。
小倉:ただ、ゲーム画面を公開してからは「こういうものがやりたかったんだ」と理解してもらうことができました。
広野:『FFBE幻影戦争』の立ち上げ経緯はフリー・トゥ・プレイの作品でタクティカルRPGに挑戦したいという思いが一番にありました。他の各社さんもあまり手がけてないジャンルですし、『ファイナルファンタジー』のファンも「『FFT』のようなタクティカルRPGがプレイしたい」という気持ちもあったと思うので、そこもチャレンジしたい理由でした。
もちろん、『FFBE』をもっと根付かせたいという思いもありまして。『FFBE』はグローバル版も好評で結果を残せているので、もうひとつのチャレンジをしてみようと思いました。
――『FFBE幻影戦争』は『FFBE』から世界観やシステムがガラリと変わっていますが、どこで『FFBE』らしさを表現しようと思いましたか?
広野:私の考える『FF』が詰まっているのが『FFBE』だと思っています。自分が最初にプレイした『FF』は近所のお兄ちゃんから貸してもらった『FFIII』でしたが、その次に自分で希望して親に買ってもらったのが『FFIV』でした。自分は『FFIV』や『FFX』のような群像劇が好きで、シリーズ作品をプレイして自分なりに解釈して作ったタイトルが『FFBE』シリーズになります。
――なるほど。
広野:そのため、『FFBE』は文化としては中世レベルでありながら“古代の遺物”のようなテクノロジーを登場させるなど、自分の考える『FF』らしさを表現しています。また、ストーリーは少年漫画のような仲間が集って強敵を打ち倒すような熱い展開になっています。
――そこは『FFBE』でシナリオを担当している北島行徳さんの色も出ているような気がします。
広野:そうですね。そういった『FFBE』の王道シナリオがあるなかで、ハードなストーリーである『FFBE幻影戦争』を展開したわけですが、実は本作は『FFT』よりも『タクティクスオウガ』を意識しています。
――初期から『FF』を手がけられていた時田さんから見て、当時のファンが新しい『FF』を作ることはどう感じていますか?
時田:『ドラゴンクエスト』には芯のようなものがあるのに対して『FF』にはいい意味でそれがなく、なにに挑戦するかは毎回変わっています。もともとは坂口さん(※坂口博信氏)の作った『FF』が最初ですが、そこから『サガ』や『聖剣伝説』、『半熟英雄』『ライブ・ア・ライブ』のようなものにも枝分かれしていきました。
自分の中で『FF』は『ガンダム』シリーズに近いと思っていて、それぞれの世代の人がそれぞれの作品を作ることができるのが良いところだと思っています。そのため、新しい作品が生まれるのは楽しみですね。
広野:自由で、決まった作法がないからこそ、自分なりの『FF』で立ち向かうしかないんですよね。“クリスタル”や“ジョブ”“ファイア”など『FF』おなじみのキーワードはあるのですが、それをどう使うかは自分で考えなければいけません。
時田;同じだと「またかよ」と言われるし新しいことをやると「違う」と言われるし大変なんですよ(苦笑)。
――『FFBE幻影戦争』をプレイしたときに、ソーシャルゲーム作品でありながら、きちんとメインのキャラクターが死んでいくストーリーだったこと驚きました。
広野:自分は昔ながらのシミュレーションRPGも好きですし、人の命の重さはしっかり描こうと思いました。本作は戦争モノなので今後もどんどん人は死んでいきます。
小倉:今までも命を落とすキャラクターはいましたが、これからが本番といったところですね。
広野:ただ、自分は少年漫画のような熱い展開も好きですし、死んだと見せかけて生きているパターンもあると思います。今後のストーリーにもぜひ注目してみてください。
――ゲームシステム部分に関してお聞かせください。本作はオートバトルなども搭載され、初心者も入りやすい仕様になっていますが、ライトユーザーも意識していますか?
小倉:そうですね。ただ、難しいという意見は今でも多いのでまだまだ改善していきたいと思っています。シミュレーションRPGを遊んだことがない人に続けてもらうというのが今の目標ですね。
広野:いっそのことチュートリアルや序盤などは、3Dではなくオセロのような2Dで展開するというのもありかもしれません。
時田:たしかに高低差があると考えることが増えて、一気にゲームとしてハードルが上がる気がします。
――そんななか、アプリの作品を含めて多数の『FF』を手がけてきた時田さんから見た本作ならではの魅力はなんでしょうか?
時田:やっぱりシミュレーションRPGというジャンルに挑戦していることですね。自分も『半熟英雄』シリーズを手がけていますが、それは過去にPCでアドベンチャー、RPGというジャンルが流行したあとにシミュレーションというジャンルが人気になったからでした。自分もこのジャンルのものをいろいろと遊んでいくなかで『アート・オブ・ウォー』に影響されて作ったのが『半熟英雄』でした。
広野:『アート・オブ・ウォー』が原点にあったんですね。
時田:他にもいろいろと影響は受けていますけどね。ただ、企画を見せたときは「字ばかりで地味に見える」と言われて“エッグモンスター召喚” 他にも色々と研究はしましたけどね。当時のシミュレーションは数字をコントロールするゲームが殆どだったので、ファミコンらしくビジュアルで楽しめるよう“エッグモンスター召喚”などを追加しました。を追加したりしました。その時期に松野さん(※松野泰己氏)は『伝説のオウガバトル』を手がけていましたし、シミュレーションRPGが誕生した時代ですね。
シミュレーションRPGはRPGよりもキャラクターを登場させられるので、作っているほうも楽しいし、遊んでいるほうも好きなキャラクターに思いっきり肩入れできるので楽しいんですよね。お話の流れだけ知りたい人にとってはハードルが高いジャンルではあるのですが、ハマれば楽しめるジャンルだと思います。
――確かに育成を含めてキャラクターを愛でるには相性がいいジャンルですね。『FFBE幻影戦争』では先日キャラクターの人気投票をおこなっていましたが、こちらは女性キャラクターが人気でしたね。
広野:そうでしたね。リリース初期は女性キャラクターの比率が多かったので、それも今回の結果に至ったひとつの理由だったんじゃないかなと思っています。
――今後は男性キャラクターも多くなっていくのでしょうか?
広野:はい、もちろんです! 『FFBE』のレインが『FFBE幻影戦争』に登場したときも、ユーザーさんが「ついに男性のURが来た!」と盛り上がってくれたので、今後もしっかり男キャラクターにスポットを当てたいです。物語自体は男キャラクターが多く活躍しているので、ユニットのレアリティもしっかりその活躍に合わせたものしていきたいと思っています。
――ここからは『FFIV』コラボについてお聞かせください。これまで『FFI』『FFXIV』『FFT』とコラボしましたが、『FFIV』を選んだ理由というのは?
広野:先ほどお話ししたように『FFIV』は自分自身がとても影響を受けたタイトルなので、いつかコラボしたいと思っていました。また、自分はかつて時田さんといっしょに仕事をしていたこともあるので、その縁もありますね。『FF』シリーズと『FFBE幻影戦争』のコラボに関しては、『FF』シリーズ側との調整が必要ですし、簡単にできるものでもないのですが、今回はタイミングが合い実現することができました。
――時田さんは今回のコラボに関してはいかがでしたか? 『FFIV』のキャラクターがリアルな頭身になるのは『ディシディア ファイナルファンタジー』シリーズなどはあったものの、珍しいのではないのでしょうか?
時田:そうですね。最初にリアルになったのはDS版でした。そのときはムービーでリアルなキャラクターでしたが、ゲーム中はデフォルメされたキャラクターでしたね。今回はリアルなキャラクターでありながら、彼(大原遼士さん:幻影戦争のメインキャラデザイナー)の個性が出ていていいですね。
広野:そうなんです。CyDesignationの代表である皆葉英夫さんに紹介してもらったのですが、大原さんと出会えたことはとても大きかったです。
――オリジナルの雰囲気もありつつ、『FFBE幻影戦争』らしいデザインになっていますね。
時田:そうですね。かわいらしさもありながらシリアスな雰囲気もありますね。ただ、太ももはかなり太くなっていますね(苦笑)。
――女性キャラクターがむっちりしているのは『FFBE幻影戦争』あるあるですね(笑)。
時田:でも、3Dになるとバランスがいいんですよ。今までになかったタイプのイラストを描く方で、女性にも受け入れてもらえるような画風で新鮮です。天野さんの雰囲気を残しつつもオリジナリティがあって、『FFIV』のキャラクターがこういう風になるんだと驚きました。
――今回、『FFIV』のキャラクターたちを新規に作るにあたり、大原さんにはどのようなオーダーをしましたか?
広野:最初に『FFBE幻影戦争』のキャラクターデザインをお願いするときにイラストの方向性についてはかなり練ったので、今回特別にこまかいオーダーはしていません。
小倉:そうですね。最初に作ったモントはかなり試行錯誤しましたね。
広野:今回、どのようなデザインになるのかは我々としても楽しみに待っていました。
時田:イラストが全体的に白ベースなので天野さんの雰囲気が出ているんですよね。そこがすごくいいと思いました。
広野:『FFBE幻影戦争』のキャラクターを大原さんに描いてもらうときに決めたことは瞳を統一するということでした。これはイラストを見ただけで、『FFBE幻影戦争』のキャラクターだと思ってもらうためで、もちろん今回の『FFIV』のキャラクターも同じ瞳をしています。
――確かに、ひとめで『FFBE幻影戦争』のキャラクターだとわかりますね。
広野:はい。眼球の部分は全員同じデザインに統一しているのでわかりやすいと思います。
→『FFBE幻影戦争』×『FFIV』コラボ記念インタビュー後編に続く
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WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争
- メーカー: スクウェア・エニックス
- 対応機種: iOS
- ジャンル: RPG
- 配信日: 2019年11月14日
- 価格: 基本無料/アイテム課金
WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争
- メーカー: スクウェア・エニックス
- 対応機種: Android
- ジャンル: RPG
- 配信日: 2019年11月14日
- 価格: 基本無料/アイテム課金