四天王ではなくデモンズウォールが登場する理由は? 『FFBE幻影戦争』×『FFIV』コラボ記念インタビュー後編

カワチ
公開日時

 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争(FFBE幻影戦争)』において、『FINAL FANTASY IV(FFIV)』のコラボが発表されました。

 今回、コラボのキーマンとなる『FFBE幻影戦争』プロデューサーの広野啓氏、ディレクターの小倉悠吾氏、『FFIV』のゲームデザインを手がけた時田貴司氏にお話を伺いました。そのインタビューの後編をお届けします。(※インタビュー中は敬称略)

→コラボ記念インタビュー前編はこちら

コラボ記念インタビュー後編

――『FFIV』は時間軸によってキャラクターの外見が変わったりするのが特徴でしたが、今回、『FFBE幻影戦争』に登場するセシルが暗黒騎士ではなくパラディンの姿で登場するのは最初から決まっていたのでしょうか?

小倉:登場するボスキャラクターをどうしようかと考えたとき、ゴルベーザは絶対に外せないと思ったのですが、もうひとつは個人的にデモンズウォールを入れたいと思ったんです。

時田:「デモンズウォールか!」と思いましたよ(笑)。

小倉:デモンズウォールのように3Dのモンスターが迫ってくるというのは今までの『FFBE幻影戦争』にはない仕掛けだと思ったんです。

時田:ゲームに新しい要素を入れたかったわけですね。

小倉:そうです。そして実際に『FFIV』本編でデモンズウォールと戦っているときのセシルはすでにパラディンなので、原作再現としてパラディンの姿のほうがしっくりくるかなと思いました。

――今回のセシルの姿はデモンズウォールに合わせたんですね(笑)。

広野:暗黒騎士の姿だと、カインやゴルベーザと似たような全身鎧の姿になっちゃうので、その被りも避けたかったんです。

時田:『FFIV』本編でもセシルはパラディンの姿のときのほうが多いですからね。暗黒騎士の姿は、全体の5分の1ぐらいじゃないかな。

広野:そうですね。それにせっかくコラボするからにはユーザーさんがいちばん望むものを実装したいと思っていて。『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』は2回めのコラボも開催できましたが、毎タイトル2回めのコラボができるとは限りませんので。だとしたら、最終決戦に挑むときのパラディンの姿を実装しようと思いました。

――デモンズウォールは多くのユーザーにトラウマを与えたボスなので、実装されるのは納得です。ただゴルベーザ四天王を差し置いて登場するのはビックリしました(笑)。

時田:『ファイナルファンタジーXII(FFXII)』などにも登場したとはいえ、これだけデモンズウォールがピックアップされるのは珍しい(笑)。

小倉:もちろん四天王に関しては候補にあったのですが、やはり4人そろってこその四天王だと思ったのと、開発コストなどを考えて断念したんですよね。

時田:でも、デモンズウォールなら地形を使ったギミックを作れるのでおもしろいと思いますよ。

――実際にはどのようなバトルになるのでしょうか?

小倉:『FFIV』と同じようにどんどん迫ってきて、最終的にはクラッシュダウンで即死させられます。

広野:いわゆる制限時間付きのバトルですね。

時田:『FFIV』のときもはじめてATB(アクティブ・タイム・バトル)を採用したタイトルだったので、ボスに関してはシューティングゲームのようにどのように倒すのか考えてもらう設計にしました。そのなかで、ひたすら潰しに来るヤツにしようと生まれたのがデモンズウォールでした(笑)。

――スロウやヘイストを使って、時間制限のなかでどうやって倒すか悩みましたね。

広野:“封印の洞窟”自体も記憶に残るダンジョンでした。あそこまで際立つダンジョンもないと思います。

時田:『FFIV』はダンジョンごとにテーマを掲げていて、“磁力の洞窟”だと金属のものを装備できないのでボス戦まではセシルが活躍できないなど、シナリオよりもバトルでどう盛り上げるのかということを考えました。

広野:それはゲームならではの作り方でいいですね。

時田:当時はバトル担当の人間とキャッチボールをしながら制作していました。今は微妙な数字の違いで差をあらわそうとしがちですが、当時は根本から試行錯誤していましたね。

広野:プレイヤーとしても製作者の狙いのようなものは明確に感じることができました。そういうことが僕らが作っているゲームの中でできてるのかというと、まだまだだなと思っています。

時田:ソーシャルゲームはプレイヤーごとに自由な編成ができるので難しいですよね。『FFIV』はパーティ編成が決まっていたからこそ、そのキャラクターを活かすような仕掛けを考えられたのだと思います。

広野:『FFBE幻影戦争』でも“白磁の塔”という高難易度ダンジョンはキャラクターの適正を考えないとクリアが難しい内容にはなっているのですが、もっとゲームならではの仕掛けを作っていきたいですね。『FFIV』はストーリーと組み合わせたシステムだったのがすごいと思っていて、そういうことをやってみたいです。

時田:ストーリーだと難しいかもしれませんが、期間限定のイベントなどではできるかもしれませんね。

――ゴルベーザに関してはいかがでしょうか? やはり「いいですとも!」と言うのでしょうか?

広野:敵として出てくるので言わないです(笑)。ゴルベーザはデモンズウォールと違って、わかりやすいボス感を意識しています。普通に強敵として立ち塞がるキャラクターですね。

――原作は動かなかったので動きを作るのも苦労されたのではないでしょうか?

広野:そうですね。FFBE本編はもちろん、DS版や『ディシディア ファイナルファンタジー』シリーズの動きを参考にしながら。オリジナルで作りました。

――仲間であるセシル、カイン、ローザに関してはどのような部分にこだわりましたか?

小倉:3Dにするときにイラストの再現にはこだわりました。また、原作通りにカインが左利きであるところなどもこだわっているところです。ゲームの設計上、ほかのキャラクターはみんな右利きなのですが、カインだけはちゃんと左利きになっています。

時田:リミットバーストの演出もカッコよく作ってもらって感謝しています。

広野:リミットバーストの演出はとくにこだわっていて、そのキャラクターと武器がしっかりわかるように作っています。

時田:演出のチェックのときにモーション担当のスタッフ本人が動きを演じている映像を見せられたときはちょっと笑っちゃいましたけどね。とくにローザは(笑)。

広野:3Dを作る前にキャラクターの動きをチェックしてもらったほうがいいかなと思ったんです(笑)。

――『FFBE幻影戦争』にはキャラクターごとにメインのジョブとサブのジョブ2つの計3つのジョブが存在しますが、これらのジョブはすんなり決まりましたか?

広野:そこは小倉が最後までいちばん悩んだところですね。

小倉:そうですね。キャラクターのイメージを壊さないようにということを第1に考えつつ、ゲーム内のトレンドも取り入れたりする必要もあるため、最後まで悩んで決めました。

広野:最終的には納得してもらえる形になったかなと思っています。

――キャラクター以外にも『FFIV』のビジョンカードや召喚獣も登場するのでしょうか?

広野:はい。デモンズウォールはビジョンカードや召喚獣にもなっています。

時田:ボスから召喚獣に格上げですね(笑)

広野:召喚すると、なにもないところからいきなり壁が出てきます(笑)。詠唱のセリフもオリジナルのものをシナリオライターに考えてもらいました。

――『FFIV』にはヤンやシドなど、ほかにも魅力的なキャラクターがたくさんいましたが、『FFT』コラボのように第2弾が実現できたら、誰を追加したいですか?

広野:リディアですね。スタイルチェンジみたいなシステムを取り入れて、子どもと大人の両方のヴァージョンを出したいですね。“どこでもドア”ではないですけど、いちど幻獣界に行くと大人になって戻ってくるみたいな演出で(笑)。

時田:『ファイナルファンタジーV(FFV)』は老若男女を問わずキャラクターを登場させようと思っていました。『I』と『III』はジョブで、『II』は若者たちの物語だったので、子どもや老人も入れてキャラクターの幅を広げたいと思いました。

――なるほど。そういう意味でも『FFBE幻影戦争』にテラが来たらおもしろいですね。一気に最年長になる(笑)。

広野:いいですね。

小倉:個人的にはおっさんキャラでシドを入れたいですね。

時田:あのタツノコプロ臭の強すぎるキャラクターですね(笑)。

――(笑)。リディアが欲しかったのにシドが来たらちょっと残念に思う人もいるかもしれませんね。

広野:でもみんなキャラクターが立っているので誰が来てもうれしいと思いますよ。それこそパロムとポロムもうれしいでしょうし。

小倉:敵だったら今度こそ四天王を出したいですし、メーガス三姉妹とかもありですよね。

時田:仲間だったら自分はフースーヤも見てみたいですね。3Dにしたらカッコよくなりそうです。

広野:確かに自分もフースーヤは好きです。戦闘不能になったときの姿も完全再現したいです(笑)。

――最後にコラボを楽しみにしているファンに一言ずつお願いします。

小倉:『FFIV』は自分のいちばん好きなシリーズです。今までのコラボはスタッフに企画書を書いてもらっていたのですが、今回のコラボはすべて自分で作りました。もちろん、これまでのコラボも全力で作っていたのですが、今回はとくに気合いを入れたので『FFIV』のファンの人には絶対楽しんでもらえる作品になっています。ぜひ注目してみてください。

広野:コラボの中身に関してはスタッフがしっかり作ってくれているので、『FFIV』のファンはぜひこの機会に『FFBE幻影戦争』に触れていただきたいと思っています。また、『FFIV』の原作自体にも触れてみてもらえるとうれしいです。『FF』シリーズ全体をみなさんに愛してもらいたいですね。

時田:『FFIV』自体は29年も前の作品で、当時は14人のスタッフで1年で作ったタイトルでした。当時ゲームを遊んでいた人が新しい『FF』を作ってくれることはうれしいし、刺激にもなります。『FFIV』は続編を含めてアプリでプレイできますし、逆に『FFIV』のファンでタクティクス系をやったことがない人はこの機会に『FFBE幻影戦争』を遊んでみてもらいたいですね。


(C)2019-2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Co-Developed by gumi Inc.
LOGO ILLUSTRATION: (C)2018 YOSHITAKA AMANO
(C) 2010 - 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年11月14日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年11月14日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

関連する記事一覧はこちら