『カリギュラOD』レビュー。かつてゲームに逃げ場所を求めた僕らへのプレゼント【レビューエクストラ】

カワチ
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 電撃オンラインのメンバーが、好きでやり込んでいるタイトルについて自由に魅力を語る“レビューエクストラ”。連載第3回は、フリューから発売中の『Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-』のレビューをお届けします。

※本記事には『Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-』に関するネタバレが含まれます。なお、画面はPS4版のものです。

『Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-』

 6月23日にはシリーズ4周年の新展開として、2.5次元舞台化“Caligula Overdose The STAGE”の制作も発表された『カリギュラ』。その魅力をライターのカワチが改めて振り返っていきましょう。



 本作は2016年6月23日に発売されたPlayStation Vita用ソフト『Caligula -カリギュラ-』にストーリーやシステムが変更・追加されたほか、キャラクターのモデルやマップが高精細になり、オートバトルなどの便利な機能も搭載されたパワーアップ作品。そのため、今プレイするなら、こちらがオススメです。


  • ▲本作では女性主人公も選択可能。男性主人公とは展開や会話が変化することも。

 さて、さっそく『Caligula -カリギュラ-』の魅力について語っていきたいのですが……本作はとてもマイノリティに優しいゲームだということを伝えさせてください。いきなり、抽象的でごめんなさい(笑)。

 でも、ちょっとだけ自分がこのゲームを好きな理由を最初に語らせてください。

 最近はゲームはカジュアルなものになり、特別な趣味ではなくなりました。ちょっとした空き時間にスマートフォンで暇つぶしにプレイすることもできます。

 ただ、自分にとっては最後の逃げ場として残っていた場所がゲームだったこともありました。学校の人間関係が楽しくないから行きたくないとか、仕事がうまくいかなくて怒られるから現実逃避をしたい……。そんな現実から逃げたい気持ちの行き着いた先がゲーム。

 本作ではゲームの冒頭でアリアというキャラクターが主人公に「誰にも理解されなくて、どうしようもなくて逃げ出したくて、ここにたどり着いたんでしょ? 聞かせて……受け止めるから!!」というセリフを投げかけるのですが、かつてゲームをプレイしようと思った気持ちを思い出して懐かしくなり、うれしくなりました。

 もしも、現実がうまくいかない、生きるのがつらいという人がいたら、ぜひ本作を手にとってもらいたいです。キャラクターたちの魂の慟哭に共感するハズ。



現実に絶望してメビウスにやってきた者たち

 そんな本作の世界観を解説しましょう。本作の舞台はバーチャルアイドルであるμ(ミュウ)が生み出した仮想世界・メビウス。この世界の住人は現実世界でトラウマを負った人々であり、μはそんな人々の苦しみを救うために、自分の作った楽園に導いています。

 メビウスはみんなが理想の姿でいることができ、高校生を何度もループしながら生活しています。

 ただ、そのなかにはその生活に違和感を覚え、現実世界ではないことに気づいてしまう者たちも。それが本作に登場する主人公と仲間である帰宅部のメンバーです。彼らは苦悩してメビウスにやってきたものの、現実に向き合い、元の世界へと帰ろうとします。


 一方で現実に居場所がなく、メビウスの秩序を守ろうとしている者たちも。そんな主人公たちと敵対する存在が“オスティナートの楽士”です。彼らは歌でμの熱狂的な信者(デジヘッド)を生み出し、この世界の均衡を保っています。



 レビューのために久しぶりに本作をもう一度クリアしましたが、自分はより楽士側に感情移入しました。「現実はつらいものだが、それでも少しはいいことがある」「つらいことも背負い込んで前向きに進まなければいけない」というのが本作のメッセージだと思うのですが、「それでも前に進めない」というのが楽士のメンバーだと思います。


 とくに、現在は生き方も多様化してマイノリティも認められるようになりましたが、オリジナル版の『Caligula -カリギュラ-』が発売された2016年は、まだまだ一方的に正義を押し付けられたり、マイノリティを笑いにする世の中だったと思います。

 もちろん、現在でもツラい思いをしている人も多いと思いますし、今プレイしても楽士側に感情移入する人は多いのではないでしょうか。

 ゲームをプレイすると帰宅部も楽士もどちらが正しいということはなく、それぞれがそれぞれの正義を持っていることがわかります。

 とくに本作はオリジナル版にはなかった楽士ルートが追加され、楽士側の素顔も見られるようになりました。


 メビウスで楽しそうにしている彼らを見ると、敵側といっても嫌な人間ではないことがわかります。


禁断のキャラクターエピソード

 また、本作の大きな特徴として帰宅部や楽士たちの素性がわからないところがあげられます。彼らがどういった人間であるかはメインストーリーでは断片的にしか語られません。

 彼らは会話を重ねたり戦闘を重ねることで親密度が上がり、現実での素性がわかるキャラクターエピソードが解禁されていきます。メビウスの姿は本人の理想の姿であるため、その正体に驚愕させられることも。他人の秘密を覗くのですから、相応の覚悟をするようにしましょう。

「そんなことを言っても最終的にはいい話で終わるんしょう?」と思われるかもしれません。ネタバレになるため語りませんが、本作から追加された新キャラクターである琵琶坂永至のエピソードを見れば、そんな甘い考えは打ち砕かれるでしょう。

 琵琶坂永至だけでなく、ほかのキャラクターも心の奥底には重大な罪やトラウマを隠していたりするので、エピソードを見て嫌いになるキャラクターもいるかもしれません。

 そのためキャラクターエピソードを見ずに本作をクリアするのもアリだと思います。ただ、見ようと思えば見ることもできる。すべてはプレイヤー自身で決めることができます。

 もちろん、キャラクターエピソードにはコミカルなものがたくさんあり、その人物の魅力を掘り下げるものも多いです。クールなキャラクターのかわいい一面やコミカルな一面が見られるのも魅力となっています。あくまで、本作はあくまでエンタメ作品であることは伝えておきたい部分です。

 ちなみに、本作ではメビウス内に存在するほかの生徒たちも仲間にすることができます。その数は500人以上で、それぞれが異なるトラウマを持っており、そのトラウマを解決することで絆を深めることができます。

 個性的な仲間が多く登場するので、一般の生徒を仲間にして使うプレイヤーは少ないと思いますが、そういったどこまでも遊ぶことができる多彩なやり込み要素を用意しているのも『Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-』の大きな魅力です。

格闘ゲームのようなコンボが楽しいバトル

 本作はシンボルエンカウント制のRPG。バトル部分が特殊で、本作では敵と味方の動きを予測して表示する“空想視(イマジナリィチェイン)”というシステムを搭載しています。

 “空想視”をチェックしながら格闘ゲームのようにコンボをつなげて敵を倒していくことになります。

 たとえば、ガードをしている敵にはガードを破壊するスキルを使ってガードを解き、コンボの始点となる打ち上げ攻撃を行い、空中攻撃でコンボをつないでいく……といった戦いが可能です。このコンボの爽快感は格闘ゲームに近いですね。キャラクターごとに得意な行動も異なるため、コンボの組み合わせを考えながらパーティを組むのが楽しいです。

 ちなみに、予測できるなら簡単じゃないかと思われるかもしれませんが、あくまで予測なので敵が違う攻撃をしてきたり攻撃がつながらなかったりすることもあります。そのため、きちんと緊張感のある戦いを体験できます。

 また、本作にはオリジナルにはなかった難易度“EASY”も追加されています。こちらでプレイすればコンボのことなどを考えずにサクサクとプレイすることができます。そのため、ストーリーを中心に楽しみたいという人も安心してプレイできます。

 装備に関しては武器や防具ではなく精神の在り方のようなものである“スティグマ”を組み替えることになります。フィールドに落ちているものを拾ったり、強敵を倒して入手したりと入手方法はさまざまで、高レアリティのスティグマを探して冒険するのも楽しみの1つですね。

スタイリッシュな演出にも注目

 本作をプレイしていて自分が好きなところはUIや演出がスタイリッシュなところです。たとえばステータス画面ではキャラクターたちの立ち絵を見ることができますが、このイラストが立っているのではなく椅子に座っているのです。「立ち絵じゃなくて座り絵!?」と驚きましたが、どのキャラクターも格好よく、しっくり来ています。立ち絵だからといって立っている必要などないという常識を疑うチャレンジ精神が好きです。



 また、本作はニコニコ動画などで人気のサウンドコンポーサーが制作に参加。オリジナル楽曲がバトルBGMとして使用されています。ダンジョンではインストの曲が流れるのですが、戦闘に突入するとボーカル入りに切り替わります。この演出も必見となっています。

 また、楽士側では主人公は“Lucid”という名前で活動することになりますが、しっかり専用曲“Suicide Prototype”も用意されており、こちらも素晴らしい曲になっています。ちなみに、4周年記念情報として発表された楽士セルフカバーの拡張版“ostinato OD”には“Suicide Prototype”も収録されるということでとても楽しみです。

現実から逃げたい人にプレイしてほしい

 本作は、本来ならば物語の主人公にならない人物に光を当てた作品になっています。そのため、王道RPGのように誰でもオススメできるというわけではありません。ただ、生きているのに疲れた人、現実で嫌なことがあって逃げ出したい人、そして本作のキャラクターたちに共感できる優しい人ならば絶対に本作は宝物になるハズ。ぜひ記事を読んで気になったら手にとってもらいたいです。


(C) FURYU Corporation.

Caligula Overdose/カリギュラ オーバードーズ

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2018年5月17日
  • 希望小売価格: 7,980円+税

Caligula Overdose/カリギュラ オーバードーズ(ダウンロード版)

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2018年5月17日
  • 価格: 7,980円+税

Caligula Overdose/カリギュラ オーバードーズ デジタルデラックス版

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2018年5月17日
  • 価格: 10,980円(税込)

Caligula Overdose/カリギュラ オーバードーズ

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2019年3月14日
  • 希望小売価格: 6,980円+税

Caligula Overdose/カリギュラ オーバードーズ(ダウンロード版)

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年3月14日
  • 価格: 6,980円+税