『FFXIV: 漆黒のヴィランズ』アーリーアクセス前に闇の戦士を振り返る――前編・光と闇が交わる物語【電撃PS】

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 オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』の新たな拡張パッケージ『漆黒のヴィランズ』……そのアーリーアクセス開始まであとわずか! 先日のE3 2019ではローンチトレーラーが公開され、バトルシステムはもちろん、第一世界で展開される新たな物語にも世界中から大いに注目が集まっている状況です。

 今回はそんな物語をさらに奥深く楽しむために、前後編にわけて“闇の戦士”を振り返る特別企画をお届け。前編では闇の戦士と光の戦士の出会いから別れまで、すでに体験してきた一連のストーリーをまとめていこうかと思います。

■闇の戦士振り返り企画後編・闇の戦士たちの紹介と第一世界にまつわる雑考

 ……ちなみに、本企画では“光の戦士”と“闇の戦士”という単語が乱立すると予想されるため、プレイヤーキャラクターのことは便宜上“冒険者”と呼称しています。また、パッチ4.55時点までのネタバレが含まれますので、その点はどうぞご承知おきください。

※本企画の解説・考察は、ゲーム内の情報や公式世界設定本“Encyclopaedia Eorzea”などを参考に筆者が独自に行ったものです。

光と闇の邂逅――“闇の戦士”たちの蛮神狩り

 冒険者と闇の戦士が最初に出会ったのは、教皇トールダンと蒼天騎士団が倒れ、竜詩戦争にいちおうの区切りがついた頃。冒険者が、かつてウルダハで起きた女王ナナモ・ウル・ナモ暗殺(未遂)事件の折に行方不明となったままの“暁”メンバーを探すべく、クルルやヤ・シュトラとともに行動していたときのことでした。

 クルルがマトーヤの持つ“水晶の目(古の時代の光のクリスタル)”を通じてサンクレッドの向かった先を探知し、彼が高地ドラヴァニアに“転移”したと知った一行は、凄腕のヒューラン族の噂を頼りに一路“グナースの塚”へ。


 そこで冒険者は、いとも簡単に武神ラーヴァナを倒す5人組と遭遇。相対した冒険者と謎の5人は互いに相手の過去を幻視し……その後、謎の5人は冒険者たちの力を試すべく襲いかかってきます。両者はひとしきり刃を交えますが、不意に登場したサンクレッドの奮闘もあって、5人は撤退。その際、彼らは冒険者に「自分たちは“闇の戦士”である」と告げたのでした。

 冒険者と彼らとの出会いはこのようなものでした。その後はしばしの時が流れ……冒険者が再び闇の戦士と相対するのは、かの邪竜ニーズヘッグが倒れ、竜と人との講和が成ってからのことになります。

世界をめぐる真実“霊災と鏡像世界”

 さて、続きを語るその前に……。冒険者たちが行方不明のミンフィリアを追っていた際、『FFXIV』の根底に息づく物語の、まさに核心に迫る情報が開示されたのを覚えておいででしょうか。そこで語られたのは『漆黒のヴィランズ』で赴く第一世界や、闇の氾濫によって滅びた第十三世界(異界ヴォイド)といった“鏡像世界”と霊災との関係性、そして歴史の裏で暗躍するアシエンたちの目的といった事柄。今後の物語を追ううえでとても大事な要素なので、せっかくですし丁寧に振り返っていきましょう。

 かつて冒険者と暁の面々がウルダハでナナモ暗殺事件の濡れ衣を着せられ、国からの脱出を試みた際、ヤ・シュトラはサンクレッドと2人で追っ手の注意を引き付けたのち、古の転送魔法“エンシェント・テレポ”を発動しました。通常のテレポが地脈の結節点=エーテライトを目的地に設定して発動するのに対し、エンシェント・テレポは結節点を定めず任意の場所へ移動できる魔法。

 便利そうに聞こえるものの術の難度が高く、術者が地脈の中で出口を見失う可能性もあるという禁術でしたが、大魔法で遺跡の天井を崩してから崩落に巻き込まれるまでのわずかな時間で、かつサンクレッドも救える可能性がある方法は、彼女の手札のなかでおそらくこれしかなかったのでしょう。こうして、とっさにエンシェント・テレポを発動したヤ・シュトラの機知によって、サンクレッドとヤ・シュトラは命を落とすことなく追っ手から逃れることに成功したのです。


 しかしその結果、術者のヤ・シュトラは地脈をさまよい行方不明に。のちに冒険者やカヌ・エ・センナ、妹のヤ・ミトラたちの助力を得て救助されますが、禁術の代償として通常の視力を喪失し……現在はエーテルの流れを直接“視る”ことで視覚を補っているようです。ヤ・シュトラのこの力、忘れられがちではありますが、じつはけっこう重要なポイントと思われます。

  • ▲闇の戦士たちのエーテルを視たヤ・シュトラの発言。少なくとも彼らは(そしてもちろん冒険者も)蛮神のテンパードには見えないようです。つまり……。

 さて、一方のサンクレッドは前述のとおり運よく高地ドラヴァニアへ転移できていた様子。合流後、サンクレッドはクルルとともに調査を進め、ミンフィリアの行方にはハイデリンの意志が関わっているらしきこと、そして彼女はマザークリスタルのもとに導かれた可能性が高いことを突き止めます。

 その後、冒険者は惑星ハイデリンの奥深くへと伸びるシャーレアンの研究施設“逆さの塔”へと立ち入り、最深部で超える力を発動。エーテルに満ちた“星の海”へと意識を飛ばし、そこでミンフィリアと再会するのでした。

 ちなみに、地脈とはハイデリンという惑星をめぐるエーテルの流れであり、万物の構成元素であるエーテルを星の血液とするならば、星の血管とでもいうべきもの。そしてその地脈が向かう先こそが、エーテルの行き着く“星の海”……ハイデリンという惑星の内側深くに存在する、文字通り中枢というわけですね。

 冒険者の前に現れたミンフィリアは、自分のことをハイデリンの意志を宿した“星の代弁者”であると語ります。彼女はハイデリンの声に導かれてわざとヤ・シュトラのエンシェント・テレポに巻き込まれ、地脈を伝ってマザークリスタルのもとへ赴き、そして力の弱ったハイデリンを援けるために、望んで自我を捨て“ハイデリンの一部”となったとのこと。星の代弁者は続いて、冒険者にハイデリンという惑星における創世の秘密を打ち明けました。その内容は、おおよそ以下のとおり。

・遥かな過去(のちに約1万2千年前と判明)において、光たるハイデリンと闇たるゾディアークはひとところにあった

・闇=ゾディアークが力をつけ、両者の均衡が崩れた

・ハイデリンは闇を放逐し、月に封じた。月はこのときに生まれた

・星を2つに割いた影響で次元の境界が傷つき、13個の鏡像世界が生まれた

・鏡像世界の1つ1つに、闇の力と光の力が分かたれた

・月に封じられたゾディアークは使徒たるアシエンを遣わして世界を統合し、力を取り戻そうとしている

・世界を統合するには、冒険者のいる原初世界の側から“世界を分かつ壁”を壊す必要がある

・世界を分かつ壁を壊すことこそがアシエンの目的“次元圧壊(アーダー)”であり、それに伴う大きな厄災が、人の歴史上“霊災”と呼ばれてきた

・すでに7つの世界が統合され、闇の力が強まっている

 まさに衝撃的な内容。これまでアシエンはただひたすらに国家や獣人らを操って蛮神(闘神)の神降ろしを目論んできたという印象でしたが、ここでようやく彼らの目指すところが判明したわけですね。

 度重なる蛮神の召喚によって星のエーテルを枯渇させれば、星は減ったエーテルを補うために鏡像世界を統合する。そして鏡像世界に封じられた闇の力が原初世界に流れ込み、ゾディアークが力を取り戻し……いずれ光と闇の力が逆転した暁には、ゾディアークが何らかの方法でハイデリンと融合しもとの完全なる存在となる……という流れでしょうか。

 重要な情報が開示されたと同時に、それに付随した予測と、新たな疑問も多数わいてきたわけですが、そのあたりは後日公開の後編記事で触れていくことにいたしましょう。

さて……上記の目的のため、アシエンは鏡像世界の統合を画策しているわけですが、アシエン以外にも、別の理由で次元圧壊を望む者たちがいました。それこそが今回の主題である闇の戦士たちです。

闇の戦士との戦い――第一世界への帰還

 闇の戦士の新たな動向を冒険者たちに報せたのは、アルフィノの双子の妹・アリゼーでした。独自に闇の戦士の追跡を続けていたアリゼーは手傷を負わされつつも、冒険者たちに“アシエンと闇の戦士が結託している”ことと“次々と蛮神を召喚させ、それを倒して回っている”こと、そして彼らの次の目的地がイクサル族の本拠・ゼルファトルであることを伝えます。

 その後、冒険者は東アバラシア山脈に存在するゼルファトルへ向かい、ガルーダの再召喚を阻止。闇の戦士たちと邂逅し……彼らの口から、衝撃の事実を聞かされるのでした。闇の戦士たちが語ったのは、おおよそ以下の情報です。

  • ▲術士らしき人物が1人増えていますが、のちにこれは独自の思惑で行動していたウリエンジェであることが判明。彼の素顔が明かされたのもこのときが初でした。
・闇の戦士は、鏡像世界“第一世界”で光の加護を受けた“光の戦士”だった

・第一世界は光の力がとくに強かった

・アシエン・ミトロンを含むあらゆる闇を払った結果、強くなりすぎた光の力が氾濫し、第一世界が“完全な無”になりかけている

・光の氾濫から第一世界を“救う”ため、アシエンと手を組み原初世界にやってきた

・目的は、原初世界で次元圧壊を起こして第一世界のエーテルを原初世界に統合すること

 次元圧壊を起こし第一世界を統合するということは、第一世界の生物すべてが個としての命を落とし、魂だけが原初世界へ還るということ。冒険者とともに闇の戦士に相対したアルフィノは「それが本当に救いと言えるのか」と言葉を投げかけますが、闇の戦士の心の芯に刺さる質問だったゆえか、彼らは問いに答えずその場から去りました。

 その後、冒険者たちは再召喚の兆しのあった岩神タイタンにまつわる事件を経験します。そしてアマルジャ族の焔神イフリート召喚に協力しクリスタルを提供したというアラミゴ解放軍とのやり取りをへて、アマルジャ族へと渡ったクリスタルを回収すべく南ザナラーンのザハラク戦陣へ。

 一方の闇の戦士は、アシエン・エリディブスの“これまでどおり蛮族に神を降ろさせ続けハイデリンのエーテル枯渇を狙う”という長期的な方針に反発し、直接光の戦士たる冒険者を屠ることで光と闇のバランスを崩そうと画策。ザハラク戦陣で冒険者を待ち受け、雌雄を決すべく挑んでくるのでした。

  • ▲本項では都合上割愛しましたが、これまでの旅で大きな成長を遂げたアリゼーと冒険者がタイタン再召喚の事件後に語らうシーンは、個人的に『FFXIV』屈指の名シーンだと思っています。大迷宮バハムートのクリア状況でセリフが変わるので、見ていない方はぜひこの機会にクリアしてみてほしいところ。


 アルフィノ、アリゼー、サンクレッド、そして独自の思惑で動いていたウリエンジェの助力によって、冒険者は闇の戦士たちを退けることに成功。しかし闇の戦士は光のクリスタルを取り出し、次元の狭間に己の魂を送り込むことでこの場から逃れようと試みます。

 ……アシエンは次元の狭間に魂を逃がし、他者に憑依(“魂を完全に上書きし肉体を乗っ取る”というイメージ)することで不死を実現していましたが、触媒こそ違えど、闇の戦士たちもアシエンと同じ方法でこの原初世界にやってきていたということですね。であれば彼らを真に滅するには、アシエンに対するのと同じように高出力のエーテル刃で対消滅させるしかないわけですが……この場面で闇の戦士たちの逃走を止めたのは、アルフィノとウリエンジェの言葉でした。




  • ▲アルフィノの言葉で、闇の戦士たちが第一世界で自ら命を絶っていたことが明かされます。彼ら自身の想いが初めて明らかとなった一幕でした。

 ウリエンジェの言葉に従い、冒険者は光のクリスタルを掲げます。周囲に光が満ち……気づけばそこはハイデリンのエーテルが満ちる星の海でした。ウリエンジェが闇の戦士に与していたのは、第一世界の光の戦士である彼らを救いたいと強く願っていたから。それを為すために、彼は光のクリスタルを持つ戦士同士を対決させ、闇の戦士たちを追い込むことで、そろってクリスタルを掲げる状況を作ったのです。

 これによりクリスタルの共鳴が起き、クリスタルからハイデリンへと光の力が還元され……その結果、光の使徒となったミンフィリアが、星の力を持ったままハイデリンから切り離され、個としての意志を取り戻す状況となったのでした。





 闇の戦士の前に立ったミンフィリアは、自身が第一世界へと渡って光の氾濫を止めることを約束。これまではゾディアークと同様、ハイデリン自身も己の世界に干渉することができない状態だったのですが、ミンフィリアという力を持った使徒を得たことでそれが叶うようになったというわけですね。

 超える力を持ち、ハイデリンや周囲の人々に導かれながら世界を見て、人々の声を聞き、自らの心で己の進む道を考えてきたミンフィリアという1人の女性は、こうした紆余曲折をへて“光の調停者”となり、第一世界へ赴くこととなりました。

 一方、闇の戦士たちは彼女とともに第一世界へ渡ることを決意。彼らの光のクリスタルはもはや力を失っているため、もはや第一世界で転生を果たすことは叶いませんが……それでも彼らは、自分たちが数々の冒険を繰り広げてきた故郷に、せめて魂だけでも帰還することを願ったのです。



 こうして、闇の戦士をめぐる一連の物語は幕を閉じました。まもなくアーリーアクセスが始まる『漆黒のヴィランズ』において、冒険者が“第一世界の光の戦士”たちの足跡をなぞるロールクエストが展開されることは、インタビューなどですでに語られているとおり。

 はたして彼らがどんな想いで冒険してきたのか、そして今の第一世界をめぐって、どんな物語が展開されていくのか、彼らのエーテルは今は……。など気になる点は多々あれど、すべては間もなく明らかになるはず。時間のある方は、本記事とともにあらためて“愛用の冒険録”の各シーンを見直しておくと、より多くの点で楽しめるのかもしれません。


 といったところで、闇の戦士を振り返る前編記事は以上。後編では、闇の戦士たち1人1人についてや、第一世界について、次元圧壊とアシエンの狙いについて、ハイデリンとゾディアークについてなど、現状でわかる闇の戦士と第一世界の世界設定にあらためて迫ってみたいと思います。

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