美女! ロボ! 魔術! ダークヒーロー! 電撃文庫『ダークエルフの森となれ』は男子が好きなものてんこ盛り!
- 文
- カワチ
- 公開日時
どうも、ライターのカワチです。「夏だし、ダークエルフ成分でも摂取するか」と手にとった『ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-』(著者:水瀬葉月、イラスト:コダマ、メカデザイン:黒銀)がおもしろかったので紹介しようと思います。
え? よくわからないって。見てくださいよ、このイラスト! 異世界転生してギャル風になったダークエルフがすごく夏っぽいでしょ!!
日本の夏、ギャルの夏、ダークエルフの夏ですよ!
ただ、内容を知らずに表紙買いで本書を読んでみて、いい意味で裏切られました。
もちろん、タイトル通り、ダークエルフの女の子がメインのストーリーなのですが、主人公の高校生が“普通”に疎外感を感じているダークヒーローだったり、ロボで戦うシーンがあったり、魔術のシーンがあったりと、とにかく男子の好きなものがてんこ盛りに詰まっていてビックリしました(笑)。
作者の水瀬葉月先生が自分が好きなものを「これでもか!」と詰め込んでいるのが伝ってきましたし、そのポイントの数々が自分の好きなポイントにも突き刺さるので終始ニヤニヤしながら読み進めていました。
まずは、そんな本作のあらすじから紹介しましょう。
あらすじ:褐色ギャル風ダークエルフとの同棲。そして種の生存をかけた戦争が始まる!
輝獣と呼ばれる自然脅威から日本を守る騎士候補生として学園生活を過ごす朝倉練介は、誰よりも駆動鉄騎の扱いに長け、優等生の仮面を被り、だがしかし温度のない日常に倦んでいた。
そんなある日、木の上から突如彼に飛びかかってきたのは、一人の黒ギャル女子高生……もとい異世界から転生してきたというダークエルフ、シーナだった。
挑発的な態度、嗜虐にみちた言葉、それでいて明るい、日だまりのような笑顔。そんなシーナに眷属として見初められた練介は、彼女とマンションで同棲を始め、やがて異世界から転生してきた魔術種たちの生き残りをかけたバトルロイヤルに巻き込まれていく。
これは世界から零れ落ちた二人の、大それた神話で――黙示録だ。
といった感じ。そう。あらすじを読むとわかるのですが、本書はダークエルフが異世界から転生してくるというストーリーなのですが、舞台は自分たちがよく知っている現代の日本ではありません。
EF(エネルギー流体)という新しいエネルギーが存在しており、これが日常生活に使われているほか、そのエネルギーで動くRV式駆動鉄騎(リボルヴ・アイアンクラッド)という二足歩行ロボットの原動力になっています。
ちなみに序盤のコンビニのシーンでスマホをEFで補充するシーンがありますが、一瞬でエネルギーが満タンになる描写があり、うらやましいな~と思いました。大容量バッテリーを持ち歩かなくていいなんて、なんて便利な世の中なんだ!(笑)
………横道に逸れましたが、RV式駆動鉄騎は輝獣という未知の敵に対処するために運用されており、主人公の朝倉練介(あさくられんすけ)はRV式駆動鉄騎を駆って日本を守る“騎士”の候補生として西日本管区第13騎士校に通っている学生になります。
逆にいうと現代との違いはそれぐらい。実際の日本とはあまり変わりがなく、授業も“駆動実習”があるぐらいで、現代文や日本史、数学など普通の内容を学んでいるようです。そのため、作品全体からもファンタジーといった感じはせず、感情移入しやすい現代モノとして楽しめました!
以下からは、ネタバレになりすぎない程度に筆者が本書でハマったポイントを紹介しましょう。
『ダークエルフの森となれ』にハマるポイント!
ヒロインのシーナがエロい。そしてカワイイ。そしてエロい
これは、もう表紙イラストや挿絵イラストを見てもらったほうが早いと思います。ただでさえエロい(?)ダークエルフが女子高生の姿になって、さらにエロくなっています。“ダークエルフ×ギャル”の破壊力を思い知らされましたね。
また、シーナはもともとダークエルフということでドライな部分がある女の子です。でも、隠し事はしない素直な性格なところが魅力で、かわいいところもある女の子です。
とくに彼女がもともと住んでいたところは食料や調味料などが日本に比べて乏しいようで、美味しそうにジャンクフードや練介の料理などを食べる姿が印象的でした。とくにタピオカミルクティーがお気に入りのようで、うれしそうにすする姿が印象的でした。(ちなみに彼女の世界の“ポスニキロの卵”に似ているらしいです)
とはいえ、やはり個人的にはドキドキするセクシーシーンのほうが印象に残っています(笑)。
部屋でシーナに迫られるシーンやラブホテルでいっしょにお風呂に入るシーン(!?)など、忘れられないシーンばかりなので、ぜひ楽しみにしてもらいたいです!
個人の在り方や社会との距離の取り方を考えさせられる。
主人公の練介はスプラッターで悪趣味な映画などをコレクションとして持っている人物。勇者や姫よりも醜い怪物、誰よりも楽しめる喜劇よりも絶望的な悲劇、誰かの成功譚よりも犯罪者の自伝などに興味を持っています。
その趣味や興味を隠しながら学校生活を送っており、そのなかでシーナと運命的な出会いを果たすことになります。
「中2病の主人公じゃん」と思うかもしれないし、正直、自分も最初はそう思いました。ネタバレできないため、心苦しいのですが、とりあえず物語の中盤まで読んでほしい!
あるサプライズが判明し(本当はサプライズがあることも書かないほうがいいのですが……)、練介がどういう苦しみを持っていたのか、どう乗り越えるのかが丁寧に描かれていきます。
人とは違うマイノリティであることとか、それでも周囲(世界)とともに生きていかなければいけないこととか、誰しもが現代で直面する悩みが練介やシーナの視点を交えて真摯に描かれていきます。本書は真面目なテーマも描かれており、そこは深く考えさせられましたね。
派手なロボバトル描写もアリ!
“RV式駆動鉄騎”の存在については前述しましたが、練介が搭乗して操縦したりバトルを繰り広げたりする場面があります。
全体のバランスで見ると、それほど多いわけではないですが、描写も丁寧でワクワクするシーンになっています。
“RV式駆動鉄騎”がどのように物語に絡むのか、搭乗して誰と戦うのかといった部分は、後半のネタバレにもなってくるのでぜひ本書を読んで確認してもらいたいですね。
魔術バトルが息を呑む展開
あらすじに書いてある“魔術種たちの生き残りをかけたバトルロイヤルに巻き込まれていく”とある通り、転生しているのはシーナだけではありません。
本書では別の魔術種が登場し、シーナや彼女の眷属となった練介が激しいバトルを繰り広げます。面白いと思ったのは本人の持つ欲望や願いが持っている能力に直結していることですね。
そのため、バトルがただ戦うだけの描写になっていません。信念がぶつかり合うドラマにもなっていて読み応えたっぷりでした! ここは作者が『C3 -シーキューブ-』などを手掛けたベテランの水瀬葉月先生なので、構成や物語の見せ方がさすが上手だなと思いました。
大満足したけど、まだまだこの世界を堪能したい!
この1冊でも満足できるボリュームでしたが、“輝獣”や“魔術種”については明かされていない謎も多いです。作品の広がりを感じることができる作品でした。ぜひ、続きのストーリーも読んでみたいので、続刊希望! 個人的にも引き続き応援していきたいですね。
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『ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-』
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2020年8月7日
- ページ数:376ページ
- 定価:670円+税
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