『創の軌跡』先行レビュー! ネタバレなしで語る“クロスストーリー”や《真・夢幻回廊》の魅力とは!?
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日本ファルコムの人気ストーリーRPG『軌跡』シリーズ。その最新作にして、8月27日(木)に発売されるPS4用ソフト『英雄伝説 創の軌跡』の先行レビューをネタバレなしでお届けします。
『軌跡』シリーズは、導力という独自のエネルギー文明が発達したゼムリア大陸を舞台に、若き英雄たちの奮闘や成長を描く人気作です。最新作『創の軌跡』は、シリーズ初の“クロスストーリー”を採用。
災厄《巨イナル黄昏》による混乱からの建て直しを図るエレボニア帝国の“英雄”リィン・シュバルツァー。長きに渡る帝国の支配からの再独立を目指すクロスベル自治州の“解放者”ロイド・バニングス。目的も正体も何もかもが謎に包まれている“隠者”《C》。彼ら3人の主人公の道が交差する、壮大な物語がつづられていくのです。
先行レビューでは、本作を実際にプレイしてわかったストーリーの見どころや新システムについて、『軌跡』全シリーズをプレイ済みの担当ライターが解説していきます。
“クロスストーリー”で交差する三者三様の物語をじっくり楽しめる!
本作の最大の魅力は、“クロスストーリー”で3人の主人公のストーリーを楽しめる点。ゲームを始めてプロローグが終わったあと、個別のルートが1つ1つ解放され、以降は好きなタイミングで切り替えられるようになります。
ストーリーはいくつかのCHAPTERで区切られており、CHAPTER内で3人のルートをすべて終わらせることで次へ進めるように! 各ルートを進めていくと途中でロックがかかるため、1ルートのみに絞ってプレイするようなことはできません。
とはいえ、プレイしていてロックのタイミングは適切に思えましたし、何より3ルートの盛り上がりを少しずつ味わいながら、CHAPTERごとのクライマックスに突入していく展開には、言葉で言い表せないほどのカタルシスを感じました。複数のルートが交差する際は、それぞれの視点で物語を見ていけるのもいい感じ。これぞ“クロスストーリー”ならではの楽しみってものです。
肝心のストーリーについても、各ルートごとに先の気になる展開でじつにイイ! まずリィンルートですが、彼と仲間たちの大きな戦いは前作『閃の軌跡IV』で終わったものの、世界大戦後の混乱下にある帝国で、新たな問題が起こらないはずはなく……リィンたちはその解決に挑んでいきます。
リィンには新旧《VII組》の頼れる仲間たちがいますし、軍事大国たる帝国は人材も豊富。序盤から頼りがいのあるメンバーが何人も仲間になってくれます。ですが、この恵まれた状況でも対処しきれないような事件や謎が出てくるわけで。そんな困難に立ち向かう、リィンたちの活躍に注目です!
また、トールズ士官学院の卒業生など、主要キャラクター以外の姿がよく見られたのもポイント。彼らも戦後の帝国をよくしようと動いてくれているのが伝わってきます。『創の軌跡』は今後の『軌跡』シリーズへと続く“終わりの創まり”を描く作品ですが、『閃の軌跡IV』の続編という側面もしっかり描かれていることに、イチファンとしてうれしく思いますね。
次にロイドルートですが、久しぶりに主人公として行動するロイドの姿が見られただけで感涙! エリィたちと《特務支援課》の初期パーティを最初から組めますし、ワジやノエルといった懐かしい仲間たちも集結。キーアもかわいい。再独立に向けて盛り上がる、クロスベルの人々と交流できるのも感慨深いものがあります。
ですが《特務支援課》の前にあるのは、試練に次ぐ試練。これまで《D∴G教団事件》やクロスベルの《独立国事件》を解決してきた彼らですが、これらの難事件を超える最大級の試練と言えるかもしれません。そんな新たな“壁”をどう乗り越えていくのか? 不屈の警察官・ロイドの覚悟が今一度試されます!
最後に《C》ルートですが、個人的にはこれがイチオシ。スウィンやナーディア、ラピスといった新キャラクターが多くて新鮮ですし、彼らのかけ合いも楽しいです。ラピスの謎機能を“ローゼンベルクテクノロジー”のひとことで済ますナーディアや、人の名前に勝手に点数を付けるラピスなど、謎めいた集団にいい意味でふさわしくない、脱力してしまうような会話のキャッチボールを楽しませてもらいました。
《C》たちはとある目的のために行動していくわけですが、その道中で加わる仲間も曲者ぞろいです。詳細は言いませんが、メンバーが増えていく際の衝撃はかなりのものでした。例えるなら、廃部寸前の部活に、得意なことも考え方も異なる超個性的なメンバーが1人、また1人と集まり、勝てば廃部を回避できる試合に一丸となって挑んでいく……見たいな感じ? 信頼する仲間たちとともに進んでいくリィンやロイドのパーティに対して、カオスの極みとも言える《C》パーティの陣容にご期待ください!
ちなみに、ストーリー全般に言えることですが、今後の『軌跡』シリーズにつながってきそうな伏線が、そこかしこにちりばめられている印象。帝国と肩を並べる大国・カルバード共和国の映画女優の話や、リィンの師の遊撃士・サラが持つA級遊撃士の最年少記録を更新しそうな若者のウワサ、さらには新たなS級遊撃士についてなど、気になる単語が飛び交うこともありました。こういった内容を覚えておくと、『軌跡』シリーズをもっと楽しめるかも?
“ヴァリアント・レイジ”の登場により戦術性がさらにアップ!
次はバトルについて。『創の軌跡』は基本的に『閃の軌跡IV』のシステムを踏襲していますが、本作では新たに“ヴァリアント・レイジ”が使用可能に! これは、フィールド上のオブジェクトを破壊したりすることでたまる、アサルトゲージを消費して発動する新コマンドで、全体攻撃や全体回復が手軽に行えます。
“ヴァリアント・レイジ”の最大のメリットとしては、多彩な攻撃を繰り出す“リンクアタック”や、一時的に攻守を強化する“ブレイブオーダー”で消費されるブレイブポイント(BP)を、攻撃や回復と同時にためられること。これでBPの確保がラクになり、戦術の幅は大きく広がりました。
“ヴァリアント・レイジ”は発動するのにパーティメンバーが5人以上必要なので、序盤からガンガン使えるわけではありませんが、仲間の人数がそろう中盤以降は有用なコマンドとして重宝します。ただ、戦闘の難易度は“ヴァリアント・レイジ”がある前提のものになっているので、やや歯ごたえがある感じ。ストーリーを早く進めたいという人は、難易度を下げてプレイするのもありです。VERY EASYやEASYなら、大抵の敵に負けることはないはず。
ちなみに戦闘の全体的な印象としては、導力魔法(アーツ)の威力がかなり高く、強敵相手に非常に有効でした。本作から、アーツで攻撃を仕掛ける際は、相手の弱点属性だと“week”と表示されるようになり、より使いやすく! 駆動まで詠唱時間が必要とはいえ、アーツの性能は総じて優秀なので、敵に勝てないときはアーツの使用やオーブメントの調整をするといいでしょう。
魅惑の自動生成ダンジョン《真・夢幻回廊》はドハマりに注意!?
システム関連の新要素は、何と言っても《真・夢幻回廊》の登場でしょう。3ルートのキャラクターが集合し、好きなパーティで自動生成型のダンジョンに挑戦。経験値稼ぎやレアアイテム収集に挑めるなんて、利用しない手はないですよ!
《真・夢幻回廊》にはストーリー上で訪れ、徐々に解放されていく階層に挑むことになりますが、それ以外のタイミングでも自由に訪れ、内部を探索できます。収集すべきものはいろいろありますが、優先したいのは封印石。特定の魔獣や階層のボスが落とすレアアイテムで、専用の“解きの台座”という施設で開封すると、新たな仲間やエピソード、ミニゲームなどが追加されていきます。
このなかでもとくに楽しめたのは、“青の封印石”で解放されるエピソード。メインとなるキャラクターについてしっかり掘り下げているし、これまであまり絡まなかったキャラクター同士の出会いを語るものもありました。個人的に『空の軌跡』シリーズが好きなので、レクターやクローディアたちの同窓会や、ティータ、アガット、エリカを中心に描く新型オーバルギア開発のエピソードがお気に入りですね。
エピソードの大半は、本編のストーリーの前にキャラクターたちが体験した事件をモチーフにしたもの。じつは、各エピソードにまつわるセリフが、本編中にいくつも出てくるんですよ。だからエピソードを見たあとで「ああ、あれはこのことを言っていたのか」と気づくことも多かったです。こういった細かいところまでしっかり作ってあるのも、『軌跡』シリーズの魅力と言えます。
封印石では、“銀の封印石”も手に入るとうれしかったですね。これはいわゆるガチャで、開封すると大量のアイテムやクオーツ、コスチュームが一度に10コ入手できます。これらにはレアリティも設定されており、最高レアのURがザクザク出たときなどは最高の気分に! この快感を味わいたいがために、“銀の封印石”を求めてムダに《真・夢幻回廊》を徘徊したものです(笑)。
《真・夢幻回廊》のほかの役割としては、ミッションクリアなどで手に入る“幻夢の欠片”というアイテムを集めてさまざまな機能を解放する、というものがあります。解放できる機能には、BPやアサルトゲージの上限アップなど本編の攻略にも役立つ要素もあり、かなり重要。
とはいえ、そういった項目は“幻夢の欠片”の必要量も多く、そう簡単に解放はできません。でも早く解放して戦闘をラクにしたい気持ちは止まらず、結局ムダに《真・夢幻回廊》に入り浸ることに(笑)。おかげで本編が進まず難儀しましたが、楽しかったので問題なしかと。
こういった脇道にそれながらも少しずつ本編を進め、クリアしたときのプレイ時間は60時間を軽く越えるくらいでした。もちろん、まだまだやり残していることはたくさんあるので、すべての要素を遊び尽くすまではもう少し時間がかかると思われますが、『軌跡』ファンとして大満足のボリュームです!
総括すると、前作までの物語をしっかり継承し、次につなげていくストーリーに、より戦術性の高まったバトル、《真・夢幻回廊》などのやり込み要素も充実し、ストーリーRPGとして申しぶんないデキに仕上がっていると感じました。
『閃の軌跡IV』や『零の軌跡』、『碧の軌跡』をプレイ済みの人には文句なしにオススメ。未プレイの方も、新キャラの多い《C》ルートはキャラたちのかけ合いや予想外の展開を含め、楽しめるものだと思います。とはいえ、すべてのルートで基本的に『閃の軌跡IV』や『碧の軌跡』の展開を受けての物語が描かれていくので、プレイ前にこれらの作品をプレイしておくか、ゲーム内のあらすじだけでも読んでおくのを推奨します。
謎めいた《C》ルートに強くひきつけられたら、ここから『軌跡』シリーズに入ってほかの作品をプレイしてみてもいいかも? 幸い、『零の軌跡』と『碧の軌跡』はPS4版が発売されたばかり。『閃の軌跡』シリーズも、『閃の軌跡I』『閃の軌跡II』のPS4版が発売され、『閃の軌跡III』と『閃の軌跡IV』も、プレイが快適になる“ハイスピードモード”がアップデートで実装される予定です。興味がわいた方は、『創の軌跡』と一緒にこれらの作品も楽しんでみてください!
創の軌跡マガジン、8月27日発売!
日本ファルコムが贈る大人気RPG、『軌跡』シリーズ。その最新作である『英雄伝説 創の軌跡』の発売に合わせて、ファン必携の特別増刊が電撃から発売です!
前作までの増刊“閃の軌跡マガジン”に引き続き、登場キャラクターや舞台となるゼムリア大陸についての詳細な設定情報を掲載するほか、取り逃しなくゲームを進めるために役立つ物語中盤までの濃密な攻略チャートを収録。
さらに、近藤季洋社長へのインタビュー、新久保だいすけ氏・啄木鳥しんき氏・さがら梨々氏によるトリビュートイラスト企画など盛りだくさんの内容でお届け。
ティオのオリジナル衣装を入手できる特典プロダクトコードも付いてきます!
※画面は開発中のものです。
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『英雄伝説 創の軌跡(はじまりのきせき)』公式サイトはこちら
英雄伝説 創の軌跡
- メーカー: 日本ファルコム
- 対応機種: PS4
- ジャンル: RPG
- 発売日: 2020年8月27日
- 希望小売価格: 7,800円+税