祝『World of Tanks』10周年!! キーマン2人に聞く“これまでとこれから”

電撃オンライン
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 これまで数々の賞を受賞し、全世界に多数のユーザーを擁する『World of Tanks』。今年で本作のサービス開始から10周年を迎えることを記念して、本作のキーマン2人にお話を伺いました。

 インタビューに応じてくれたのは、APAC Regional Publishing Directorを担当するアレキサンダー・デ・ジョルジョ氏とAPAC Regional Product Managerを担当するニック・ユウ氏。本作のこれまでとこれからについて、さまざまなことを語ってくれました。

――『World of Tanks』が10周年を迎えられまして、この10年で一番記憶に残られていることはなんでしょう?

アレキサンダー氏:最初からなかなか難しい質問ですね(笑)。今から考えると、2018年に『WoT1.0』というアップデートがありましたが、すでに8年間サービスしてきた作品がこの段階で大きく変わったことが驚きでした。テクニカル的には新しいゲームになったと言ってよかった。

 その頃の開発チームの考え方はいまでも記憶に残ってます。すでにゲームは成功していてユーザーもどんどん増えているのに「まだまだこのゲームは成長するし、やれることもある」という考えた方で、全部やり直して。

 『WoT』はユーザーからのお願いがたくさんあって、それを踏まえて開発を続けていました。成功したタイトルをそこまで大きくアップデートする作品はこれまで見たことがありませんでしたし、開発の考え方とユーザーの反応が非常に印象的でした。オンラインゲーム業界にいる意味があったと思えるものでした。

ニック氏:私は、入って2年ほどなんですが、「こいつら無茶苦茶やるな!」という印象です(笑)。ウォーゲーミングが最初にTGS(東京ゲームショウ)に出展した様子が印象的で……。その時、私は別の会社でプロデューサー業務をしていたんですが、ウォーゲーミングがいきなりドン! とでかいブースを出展して、しかもブースの中はあまり見えなくて。いろいろと驚いた記憶があります。

 ウォーゲーミングに入ってからもすぐに『WoT1.0』のアップデートがあったんですが、8年やっている作品をエンジンから作り直して、それを無料で配布するなんてそれまででは考えられなかった。イベントだと、アレックスがオーストラリアに行って、シュワちゃんとコラボしていることとか。その翌年には宇宙ステーションとコラボしたり、普通の会社では考えないようなことをやる、いい意味で“無茶する会社”だなと思っています。

――さまざまなコラボレーションを全世界で展開してきて、日本だと『ガールズ&パンツァー』とのコラボレーションが大変好評を博しましたが、日本のプロモーションで一番記憶に残っていらっしゃることは?

アレキサンダー氏:私は『戦場のヴァルキュリア』とのコラボレーションが印象に残っています。社内でもとても大きな扱いでした。なぜかというと『WoT』として初めてゲームやアニメーションのコンテンツとコラボレーションしたからです。

 もちろん『ガールズ&パンツァ―』とのコラボレーションも記憶にありますが、あれは『WoT』のコンテンツではなく、MODとして配布したものでした。これまで歴史上に存在する戦車のみを扱ってきた中、日本のコンテンツをアジア限定で展開したことで、『WoT』の世界がより広がったと思っています。ユーザーの反応も良く、これをきっかけに日本のゲーム会社やアニメ会社とコラボレーションできそうな、先駆けとなる形ができました。

――日本のユーザーはほかの国のユーザーと違ってミリタリーとの距離がちょっと遠いんですよね。そこに『ガールズ&パンツァ―』という作品があって、『WoT』のユーザー認知も上がったと思いますが、今注目されているタイトルとかはありますか?

アレキサンダー氏:あります。ありますがまだ言えません(笑)。ただそう遠からず発表できると思いますよ。水面下ではいろいろと進んでいます。

――『WoT BLITZ』であった、メカデザイナーとのコラボレーションのような形もあるのでしょうか。

アレキサンダー氏:もちろんそれもあります。今どういうコラボレーションがあるか検討中ですが、ビジョンはどんどん広がっています。毎年のハロウィンはユニークなイベントがありますが、去年は『サイレントヒル』などで有名な伊藤暢達さんとコラボしました。

ニック氏:去年のハロウィンは伊藤暢達さんのデザインした戦車を購入して遊ぶことができました。開発チームが日本のクリエイターとコラボレーションすることに非常に意欲的で、ひとつ成功している分、じゃあ次は……となるんです。

 日本のエンターテイメント市場は大きくコンテンツも多数あるので、やり方としては無限大なんですね。実は、今年の後半から来年の頭にかけて大きめのネタを進めていますが、これは日本がどうこうではなくワールドワイドに食いつきがいいだろうと思っています。

――それは日本のコンテンツで世界的に有名なものということでしょうか。

アレキサンダー氏:それ以上はわかっちゃうんで!(笑)

――では、10周年にちなんだものなんでしょうか?

ニック氏:いえ、10周年に絡めたかったんですが、ネタが大きすぎて無理でした(笑)。開発チームはみんなゲームが好きで、日本のコンテンツも大好きなんです。なのでポンポンいろんなアイディアが出てくるんですが、それを形にするのが私たち日本チームやアジアチームだったりするので。うまくいけば2021年はアジアの年になるんじゃないかな?

――10年続いてきた『WoT』ですが、ユーザーに支持され続けてきた理由はなんだと思われますか?

アレキサンダー氏:メカニクスや動きが独特なゲームだと思うんですが、それが大きな理由かなと思っています。当時戦車対戦車のPVPゲームが『WoT』しかなかった。ほかの人に説明もしにくいゲームなんですよ。「15対15で戦車で戦う」って。それが触ってみて自分に合うなと思うともう抜けられなくなる。長く続くゲームは人生のようなところがあって、勝っていても怒られたり、ものすごく成長を感じられたり、壁にぶち当たったり。そういう波がある。

ニック氏:遊びがシンプルで、完成されたものが最初にあったことが大きいと思っています。誰がいつ入っても、コンテンツは増えているけどやっていることは一緒なんです。古いユーザーも新しいユーザーもやることは一緒。だからこそ10年続けてこれたのかなと思っています。

 スポーツゲームに近くて、ルールの更新はあるにせよ基本的に同じルールだから愛されているのと同じだと思います。それに加えて私たちが提供するコンテンツ、戦車だったりイベントだったりがほかのゲームに比べると多い。ユーザーから「もう少しイベントのない時期をください」と言われるくらいです。言い方は悪いですが、ユーザーを休ませないでこれまでやってきたことがつながっているのかな。

アレキサンダー氏:同じようにプレイしていても、プレイスタイルはみんなそれぞれです。重戦車でガシガシ進んでいくことも、後ろに下がってまったりプレイすることもできる。自分の好みのプレイスタイルを作り出せることが大事なのだと思います。成功への道はひとつじゃない。それは非常に大きなポイントです。

ニック氏:それは大きいと私も思います。ちょっと乱暴な言い方になってしまいますが、対戦格闘ゲームで2~30キャラいたら多いほうですが、私たちはTierがあるにせよ、600輌あるわけです。そのなかで低Tierならこれが好き、さらには開発していけばこうなるなど、遊びの幅がとんでもなく大きい。なのでやりつくせないというと大げさですが、やりつくすには大分時間がかかる。

――コンソールのほうでは、『水曜どうでしょう』の藤村D&嬉野Dとコラボレーションしているなど、中高年のユーザーにも楽しまれるようなコラボ展開もしていますよね。

ニック氏:ゲームのペースがほかのFPSに比べるとゆっくりであることも大きいですよね。頭を使って戦局を予想して展開するわけですが、それがぴったり当たった時というのは、仕事に近い。プランニングしてプランニングしてそれが当たる気持ちよさというものがある。そういう意味で、年齢が高いユーザーにも楽しんでいただけるのだと思います。

アレキサンダー氏:15対15なので、全体からみると自分のパートは少ないんです。自分が無双したらチームが勝つということがほぼ無いので、そういう意味でもほかのFPSと違いますよね。自分のスキルで自分の仕事をこなす満足というものが『WoT』にはあります。

――現在コンソール機の新型がアナウンスされています。おそらく新ハードでも『WoTコンソール』は展開されると思うんですが、それにあわせて本家がバージョンアップしたりはされないんでしょうか?

アレキサンダー氏:PCの開発チームも新しいことにチャレンジしていますし、コンソールチームも新ハードで何かやりたいと言っています。ただ、PCとコンソールの違いに、PCは5、6年前に買ったビジネスPCで遊ばれる方や、最近買ったゲーミングPCで遊んでいる方などいろんな条件の方がいるんですね。

 『WoT』は最初から“誰でも遊べる”ことを目標にしてしましたので、古いPCでもゲーミングPCでも何も変わらずに遊べるのは大きなポイントなんです。なので非常に苦労しています。コンソールについては常に前向きで、新しいハードでステップアップしようという感じです。一方でPCは新しい機能を使いたいものの、10年前のPCでも変わらず遊べるようにしないといけないので、そこのバランス取りがとても難しいんです。

――『WoT』のユーザーはゲーミングPC比率が高いのでしょうか?

アレキサンダー氏:国によって変わりますが、多い国で3、4割というところでしょうか。ビジネスPCやノートPCで遊ばれている方が多いですね。ここ2、3年でゲーミングPCユーザーがちょっと増えてはいるんですが。

――つまりゲーマーより一般ユーザーの方が多いということですね。

アレキサンダー氏:印象的なのが、「普段はゲームをやらないけれど、『WoT』はやる」というユーザーがいることですね。これは全世界にそういう方がいらっしゃいます。

――『WoT』はバージョン2.0に進化するのでしょうか?

アレキサンダー氏:もちろん2.0も考えています。この先に新しいコンテンツ、システムなどを実装してどう進化させていくのか。基本的に終わりのないゲームなので。

――実装されている戦車は相当多いです。そろそろ追加する車輌が尽きるのでは……?

ニック氏:我々は勝手に時代縛りをしているので、それを取っ払えれば……。

アレキサンダー氏:一番秘密の部分ですね、それは(笑)。本当はもっとモダンな戦車を実装したいんですが、時代が変わるとギャップが大きくなって違うゲームになってしまう。戦車の歴史を考えると、急に技術的な進歩があるタイミングがあるわけですね。そういう戦車がTier8や9の戦車と戦うと戦力比として1:19でも勝ってしまう。そのギャップをどうするか? 2.0の開発を行いながら考えています。

ニック氏:これ以上モダンな戦車を実装すると、ゲームシステムを根本から変えないといけなくなる。そもそも戦車戦のやり方が変わっていますからね。それを今の状態に放り込んだらゲームが壊れてしまう。モダン戦車を出すなら一斉に出さないとゲームにならない。そこが難しいところですね。

――10周年記念のインタビューなので、一応お聞きしたいのですが、10周年イベントを東京でやるご予定はあるのでしょうか?

アレキサンダー氏:当初はいろんなイベントを考えていたんですが、残念ながら新型コロナウイルス感染症を取り巻くもろもろ……。オンラインイベントはもちろんあるんですが。オフラインは開催するめどが立たないというのが正直なところです。10周年に紐づいていますが、8月に『World of Tanks』の全日本最強小隊決定戦“甲士園”というものがあります。

ニック氏:もともと春明けから月にひとつふたつ仕込んでいたんですが、それがすべてキャンセルになりまして。“甲士園”という日本オンリーのプチe-Sport的なイベントをまたやります。前回は賞品を出したんですが、今回はもうちょっと拡張して決勝トーナメントに出場されたチームには出演料をお支払いします。オフラインでできない分、オンラインでがっつりやろうぜというのが現在のスタンスです。前回も配信しましたが、今回はもうちょっとプロフェッショナルにできないかなと思って組んでいるところです。

アレキサンダー氏:私は野球が大好きで、日本全国のユーザーをどうやったら楽しませることができるか考えた時に、自分の県の代表を応援するような形のe-Sportはおもしろいかなと思いまして。去年オンラインでイベントをやったところ非常に反応も良かったので、今年もっと大きくしようと。これで評判が良ければ来年はもっと大掛かりにしていこうと思っています。『WoT』はライトなユーザーも多いですが、コンペティブなプレイヤーも多いので、そういうユーザーに向けてイベントを展開していきます。

――最後に日本のユーザーに期待するものはありますか。

ニック氏:日本に限らず、意見をたくさん言ってもらいたいですね。プロモーションが開発と近いので、意見を言っていたければ検討します。この意見が減るのが怖いです。日本オンリーということであれば、シャイにならないでほしいと思っています。

 言語の部分が大きいとは思いますが、せっかくAPACというサーバーでやっているので、ほかの国のユーザーとコミュニケーションを試みてほしいというのが我々の考えです。遊び方も考え方も違うので、ほかの国のユーザーと遊ぶことで違う『WoT』が見えてくるのではないでしょうか。大きめのクラン、多国籍クランと呼んでいますが、みんな達者でない英語でコミュニケーションをしていて、それでもとても楽しそうなんです。意思疎通ができた時、本当に楽しいですよ!

アレキサンダー氏:10年を振り返ると、ユーザーのコミュニケーションがだいぶ変わってきている。昔はチャットがあって、そこからボイスチャットに変化していきましたが、やはり言葉の壁があり、自分の声を出したくないとかいろいろ障壁があります。ほかのゲームをみると、新しいコミュニケーションシステムを導入しているものもありますね。

 バージョン1.1がリリースされましたが、このアップデートでコミュニケ―ションも強化されるので、そこに期待しています。アジアにはいろいろな言語がありますが、このコミュニケーションシステムで、意思疎通ができたらすごくいいなと。日本のチームを見ているとすごくちゃんとコミュニケーションしているんですよね。同じ言語ということがあるにしても。だからほかの言語のユーザーとコミュニケーションできると思っています。

――ありがとうございました!

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World of Tanks(ワールド オブ タンクス)

  • 運営: ウォーゲーミングジャパン
  • 対応機種: Windows/Mac
  • ジャンル: アクション
  • サービス開始日: 2013年9月5日
  • 料金: 基本無料/アイテム課金