BNEの新作『SCARLET NEXUS』基調講演レポート。“脳”が物語の重要なワード

電撃オンライン
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 バンダイナムコエンターテインメントの新作アクションRPG『SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)』において、世界観やキャラクターの背景などの新情報が、オンライン基調講演という形で公開されました。

 これは、昨今の情勢を受けて8月27日からオンラインで実施されているGamescomに合わせて行われたものです。メディアに限定してオンラインで配信された動画では、本作を手掛けた開発のキーマン3名による座談会形式のインタビューと、序盤のゲームプレイを収録した1時間程度の基調講演を閲覧できました。そこで判明した情報を中心に、基調講演の様子をお届けします。

 本作はXbox One/PS4/Steamでの発売が決定し、次世代機のXbox Series XとPS5にも対応予定となっている完全新作のアクションRPGです。プロデューサーは『コードヴェイン』のプロデューサーを務めた飯塚啓太氏。ディレクターは『テイルズ オブ』シリーズの開発に関わった穴吹健児氏が担当し、『テイルズオブ』チームのメンバーが開発を手掛けることでも話題となっています。

  • ▲プロデューサーの飯塚啓太氏
  • ▲ディレクターの穴吹健児氏
  • ▲アートディレクターの落合功多氏

 この基調講演では約1時間にわたる動画で、ゲームの詳細が判明。本作におけるデザインのテーマや“ブレインパンク”と呼ばれるジャンルの意味など、世界観に関する話も詳しく語られました。後半のゲームプレイでは、念力を使ったアクションやステージのギミック。キャラクター同士が戦いながら会話する“ブレイントーク”といった、本作ならではのシステムも判明。オンラインでの公開となりましたが、気になる情報が盛り込まれた濃密な基調講演となっていました。

開発が始まったきっかけは5年前

 開発のメインとなる3名の座談会形式で、本作の企画が始まった経緯が明かされました。参加メンバーは、飯塚啓太氏と穴吹健児氏、そしてアートディレクターの落合功多氏の3名。

 冒頭の動画では、まず最初に“Team creation”と題して、開発が始まったきっかけから会話がスタート。原案となる企画自体は5年前で、穴吹氏によるとこれまでの『テイルズ オブ』シリーズに携わっていたメンバーのなかで、たまたま新しいことにチャレンジできそうなタイミングがあり、バンダイナムコスタジオでゲリラ的にチームを組んだことが始まりだそうです。

 そこから、技術研究的に作品を作ってバンダイナムコエンターテインメントに見せたのが4年前。まったく新しい作品として、3、4名から企画が始まったタイトルであることがわかりました。

 なお、今回参加しているアートディレクターの落合氏は、これまで代表作というものがなかったとのこと。バンダイナムコエンターテインメントの代表作に少しずつ関わってきた何でも屋のような存在であり、『アイドルマスター』シリーズのエフェクトやUI。『ソウルキャリバー』シリーズや『ゴッドイーター』シリーズといった多くのタイトルに関わっており、アートディレクターとしては3DSのパズルゲーム『トリオンキューブ』がデビュー作だったという異色の経歴が語られました。

なぜ『SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)』なのか?

 続いての話題は『SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)』というタイトルについて。飯塚氏によるとスカーレットは紅、赤いという意味。ネクサスはつながりや連鎖を意味しており、キーアートにもある“赤い線で繋がれている表現”がゲームの中でも重要な意味を持っているとのこと。本作では赤いケーブルが背中に刺さり、仲間から超脳力を借り受けて使うことが特徴にもなっているそうです。そのことが、公開された映像からもわかります。

 続いて、穴吹氏が今回の主題歌であるTHE ORAL CIGARETTESさんの『Dream In Drive』でも、赤い線という言葉はキーワードとして使われているというちょっとした小話も語ってくれました。

 落合氏の補足として『SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)』が、ゲームの開発当初から内部で“赤い絆”と呼ばれているという話も。絆というコンセプトをいろいろな形でアピールしていきたいという思いから、赤い線や仲間たちが繋がることを意識していたと落合氏が語り、それに対して穴吹氏が「ゲーム中でもキーワード的に使われる“赤い糸”という言葉を覚えておいてほしい」と続けていました。

 そこから話題は変わり、続いて本作のジャンル名を“ブレインパンク”と名付けた理由についての解説へ移行。飯塚氏は「本作の世界における中核の表現として“脳”が1つのテーマにあります」と語り、さらに「本作は科学技術が発達している未来の世界を舞台にしているのですが、その技術の中核にあるのが脳です。それぞれのキャラクターたちが特殊な力を発現しているのですが、それも脳の発達から発現した優れた強い力で、すべての世界観の中核に“脳”がきています。だから“ブレインパンク”とつけさせていただきました」とブレインパンクというジャンルになった理由を語ってくれました。

 脳の世界が発展したことから名づけられた“ブレインパンク”という言葉通りに、本作では“脳”が重要なキーワードになりそうです。

 落合氏によれば「脳が発達する特殊な物質が発見されて、脳が発達したらこういう未来になるだろう、という世界観を日本の90年代をベースにして描いている」とのこと。時代としては近未来でも、現実世界と技術が別れたのはもう少し前の時代で、それが世界の中でも描かれているのが特徴であるとも語っていました。

『SCARET NEXUS』の世界観について

 今回の座談会では、世界観に関しての説明に多くの時間が割かれていました。とくに重要な要素として登場していたのが“脳”というキーワード。それに付随して、作中の大国として描かれる“ニューヒムカ”についての新たな情報もありました。

 落合氏によると「本作では海の外という概念にはあえて触れず、巨大な国家である“ニューヒムカ”と、その中にある“スオウ”“セイラン”といった大きな街が描かれ、“トゲツ”という別の勢力も登場します」という設定のようです。それ以外について語らない理由としては、なるべく舞台を絞って掘り下げていくことが目的だからとのこと。また、そもそも本作は新規タイトルだったので、ユーザーが入りやすい見た目にしたかったという理由も語られました。

  • ▲まったく知らない世界ではなく、自分たちが知っているものの延長として90年代日本風の世界観が選ばれています。見たことがあるようで現実にはない、不思議な風景が特徴。

 どんな世界なのかは、公開された動画からも少しですがうかがい知ることができます。

 さらに、穴吹氏からはニューヒムカについての補足も。本作では極度に脳科学が発達した世界が描かれており、人々が端末を用いずに脳の力で何かを成し遂げている世界であるということと、“Psynet(サイネット)”と呼ばれる大規模ネットワークの存在が明らかとなりました。

 ニューヒムカには“Psynet(サイネット)”という大規模ネットワークが存在し、人々は大規模な究極のネットワーク“IOT(Internet of Things)”であるサイネットを経由して、医療やインフラなどの情報を操作しながら生活している世界観になっているそうです。また、脳が接続された環境という特殊な設定が、物語上でも大きな問題になってくるとのことで、「そこを楽しみにしていただければ」と付け加えていました。

 なお、本作には2020という数字が出てくるものの時代設定は明確にされていません。見た目としては非常に現代と似ていますが、元になっている技術は異なり、さらに“怪異”という異質な存在がいる世界となっています。

主人公のユイト・スメラギ(Yuito sumeragi)とは?

 続けて、3人は主人公のユイト・スメラギという少年についても語ってくれました。主人公に関しては、ニューヒムカ建国の父を祖に持つ名門スメラギ家の次男であることが判明していますが、より詳しい設定として彼が怪異討伐軍に入隊した理由などが判明。

  • ▲主人公のユイト・スメラギ。本作の物語は、彼が567期生の新入隊員として入隊試験を受けるところから始まります。

 「ユイトは怪異討伐軍として戦っていく中で、自分が信じていた怪異討伐軍が絶対的に正義なのかということに疑問を感じ始めます」と語る穴吹氏。

 さらに「常に仲間と脳が繋がり、仲間の超脳力を借りながら戦うこと自体がはたしてどうなのか。脳が繋がることは、本当に良いことなのか。常にSNSで繋がっている現代社会に対してのアンチテーゼのようなものを表現したいと思って作っています」と本作のテーマについて語る一幕も。

 「脳が繋がるなかでの“仲間の絆”をテーマとして描いていますが、いわゆる助け合いの絆もあれば、その先に踏み込んだ形も感じ取ってもらえるお話を目指して作っています」と、本作の物語が目指している方向性についても話してくれました。

 加えて、落合氏は「1人でいることは孤独だという表現は多いですが、脳が繋がっていれば必ずしも孤独ではないのか。人々が強制的に繋がっている社会での孤独とは何か、というところも直接的ではないですが、テーマとして投げかけられています」と補足。ゲームを通して1人とは何なのか、繋がるとはどういうことなのかを考えられる作品になっているようです。

 また、飯塚氏によると「物語を進めていくとユイトが表面上では見えない裏側の真実を知り、自分がどうしていくべきかを知って社会や大きなものに立ち向かうところも描かれていきます」とのこと。ユイト自身が怪異討伐軍に入るきっかけとなった過去や現在のメンバーとの繋がりが描かれ、最終的にどうするのか自分で決断し、戦っていくようなストーリーが展開するそうです。

 そこから、話題はデザイン面へ。落合氏は「J・RPGを楽しみたいユーザーの心理として、派手に立ち回りたい。カッコいいキャラを使いたいという気持ちがある一方で、異質さを立たせるためになるべくベースはシンプルでスタンダードなものにしたいというせめぎ合いがありました」とデザイン面での難しかった点について触れていました。

 「結果的に赤いラインを入れたり、刀を持たせたり、フードといった特徴的なものを設けることでカッコ良さやヒロイックな体験を与えつつ、現代的で実際に着られるような服装を目指して今の形に落ち着きました」と、デザインの理由を事細かに語ってくれました。

怪異とデザインのインスピレーションについて

 異質なデザインが目を引く怪異についても設定面が明らかに! 穴吹氏によれば「怪異は人間の脳を捕食するために空から飛来する謎の生命体という設定」であり、思考などもなく、本能のままに人間を襲う存在のようです。さらに、この世界における怪異は自然災害のような扱いとして、いつ怪異が出現するのかを予測する“怪異予報”という仕組みが確立されているといった興味深い設定も。

  • ▲怪異のデザインには有機物と無機物を組み合わせるというルールがあり、本編で知ることができる設定にも関係してくるようですが……?

 怪異は遥か昔から存在し、空にある“断絶の帯”という霧状の物から降ってくるという事実も判明しました。怪異がどこに降ってくるのかが事前にわかり、討伐に行く仕組みも確立されているため、人々は怪異という存在に怯えながらも普通の暮らしができている世界観になっているそうです。

 また、怪異の誕生の経緯としてゲーム全体を貫く“異質さ”というキーワードも強調されていました。「新規IPということで何か珍しいもの、目新しいもの、ちょっと気になる概念のようなものを取り入れられないかと考え、ゲーム作りとは別のアーティストの方に依頼しようと思ったのがキッカケ」であると、落合氏がデザインのコンセプトについて話す場面も。

 落合氏が考える怪異のイメージとマッチした絵を描かれていたアーティストが、山代政一さんだったという理由が語られました。

 当初、試しに描いてもらったものを見て判断したいと考えていたとのことですが、1発目にあげてもらったデザインがプロジェクトメンバーの度肝を抜くクオリティで、即採用に至ったという裏話も。飯塚氏も「科学技術が発達した現実世界にいても怖く、これに対抗できるのは超常的な能力なのだろうということがひと目でわかるデザイン」で気に入ったと語り、本作における敵のデザインとして非常に優れているとも付け加えていました。

 そこから「怪異自体にも1つのテーマを持たせてあります」と続ける落合氏。「怪異は人間を襲う存在で感情を持たないものの、存在そのものがどこか儚げであり、そうした哀愁のようなものも表現しています」とのこと。

 もともと本作では、全体を通して異質さや日常と非日常のような対比を必ず作るようにしていると語り、怪異についても「“美しさと死”のような対比を1つの中に閉じ込めることができないか。何かメッセージ性を持った存在とプレイヤーが戦うという体験自体が、新しいものになるのではないか」という思いから、そうした表現者に依頼したという経緯を語ってくれました。

 最後に、穴吹氏はゲームのアピールポイントとして超脳力を使ったアクション部分、超脳力体験を一番見て欲しいところとしてあげました。本作では、主人公の念力を使った超脳力体験にこだわっており、近接の刀と念力をミックスさせたアクションの体験が大きなウリであると説明。超脳力体験の部分は、ぜひアピールしたいとも語っていました。

 座談会のラストでは、本作の詳細なスペックが公開。Xbox oneとPS4は、30FPSかつ解像度に関してはフルHD。次世代機のXbox Series XとPS5はに関しては、60FPS。4K対応を目指して製作が進められていることがわかりました。また、Steamに関しても基本的に推奨PCのスペックを満たしていれば、4K+60FPSで遊べるようです。

その場にある物を利用する念力アクション+剣戟の爽快感!

 座談会のあとは実際のゲームプレイ映像が公開され、導入となる脳と脳を仮想ケーブルで繋ぐムービーシーンやチュートリアルと思われる適性試験の様子が見られました。動画では念力で車を持ち上げてから敵に投げつけたり、刀によるアクションと同時に相手に物体をぶつける“念力追撃”を行っていたりと、刀と念力を合わせた派手で爽快なアクションが確認できました。動画を見る限り、こうしたアクションも簡単な操作で手軽に再現できそうです。

 場面は変わり、ハナビ・イチジョウを仲間に加えたメニュー画面に。最大3人パーティで戦うことやパーティメンバーはいつでも入れ替えが可能なこと。細かいオプション設定があることなど、バトル以外のシステム面がわかるシーンも見られました。

  • ▲ハナビ・イチジョウ

 とくに注目したいのが、戦闘中に仲間が掛け合いしていたり、ヒントをくれたりするシステム。通常のゲームでは戦闘の掛け声と会話が合わさると不自然になりがちですが、本作では頭の中で考えただけで話が伝わる“ブレイントーク”と呼ばれるシステムがあることが語られ、世界観の面から、キャラクターたちが戦いながら会話する演出が自然に作られていました。ちなみに、テレパシーとは違って本音や考えていることまでは読み取れないそうです。

 戦闘では、油ですべりやすくなる“オイル”や、その状態で燃やされる発生する“炎上”といった状態異常も確認。ブレインポイントを入手して覚えるスキルの存在も判明しました。描き込まれた町並みは現代の世界にソックリで、どこか知っているようで知らない不思議な感覚も。商店街らしき場所で戦うシーンなどもあり、現代とよく似た風景で異質な怪異と戦うゲーム性が興味深いところです。

 プレイ動画のラストでは、ボス戦の様子も見られました。天井にぶら下がった資材を念力で落とし、相手をダウンさせるというギミックなど、気になるものも。通常のバトルでも周囲のある物体を利用して戦いますが、ボス戦では今回見られたような特徴的なギミックがありそうです。

 動画は1時間程の短いものでしたが、本作が新規IPとして『テイルズ オブ』シリーズやその他の作品と同様に力が入っているタイトルとして開発されていることがわかりました。今回の動画では発売日などの情報は更新されませんでしたが、まさに発売が待ち遠しい1本になりそうです。

※情報は、発表日現在のものです。
※画面は開発中のものです。
SCARLET NEXUS™ & ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)

  • メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応機種:Xbox Series X/Xbox One(SMART DELIVERY対応)/PS5/PS4/PC(Steam)
  • ジャンル:ブレインパンク・アクションRPG
  • 発売日:未定
  • 価格:未定