幼い日に感じた巨大な存在への恐怖が再び。『リトルナイトメア2』先行レビュー

　バンダイナムコエンターテインメントが、PS4/Nintendo Switchで2021年2月10日に、Xbox One/PCで2021年2月11日に発売予定の新作『LITTLE NIGHTMARES2-リトルナイトメア2-』。8月28日からオンラインで開催されているGamescomにあわせて試遊できた、メディア用体験版のレビューをお届けします。

（※PS5/Xbox Series Xでも2021年発売予定。PS4/Xbox One版を所持している人は無料アップグレードを提供予定）

　本作は、Tarsier Studiosが開発しているサスペンスアドベンチャー。前作の『リトルナイトメア』では、自分よりも遥かに巨大な人間から逃げ隠れする恐怖感や、謎に包まれた考察しがいのある物語、不気味でありつつも人形劇のようなかわいらしさもある独特の雰囲気が大きな特徴となっていました。

　『リトルナイトメア2』では前作で好評だった恐怖感や漠然とした不安感はそのままに、立ちはだかる敵や舞台を一新。主人公が逃げ回るシチュエーションも多く用意され、ボリュームが増えた正当な続編となっています。

　また、本作ではAIで判断して動くパートナーとともに行動する新たな要素も。新たな主人公“モノ”と、前作の主人公“シックス”がパートナーを組みながら冒険し、電波塔を目指す物語が描かれていきます。

　メディア用の体験版では冒頭のチュートリアルからシックスらしき少女（？）とともに協力し、巨大な猟師の追跡から逃れるシーンまでを体験できました。プレイして判明した要素や前作との違いを中心に、新たな『リトルナイトメア』シリーズの一端をお見せします。

幼い日に見た悪夢のような世界が、また……

　小さいころは大人が実際以上に大きく見えてしまったり、何かに追いかけられるような漠然とした不安を抱いたり、世界そのものがステキだけど、どこか怖く見えていた。そんな想いを抱いたことはないでしょうか。前作の『リトルナイトメア』をプレイしたとき、ふとそんなことを考えてしまったんですよね。それくらい、正体不明のじわっとした恐怖がよく表現されていたゲームでした。

　今回は『リトルナイトメア2』ということで前作を超える恐怖に期待しつつ、さっそくゲームを開始。新たな主人公“モノ”が袋のようなものを被っているのにも驚きますし、いきなり屋外から始まるのにもビックリ。

　前作は屋内から始まったのですが、今回は開けた屋外から始まるんですよね。前よりも開放的なはずなのに……状況がわからなすぎて逆に怖い！　自分は前作もプレイ済みなのですが、今回の時間軸は直接的な後日譚なのか、それとも前日譚なのかもわからないような状況です。新たな主人公“モノ”も、袋のようなものを被っているので表情が見えません。前作だとシックスはレインコートを着ていたのですが、モノはホラーゲームの敵みたいな袋を被っているのが謎過ぎて怖いかも……。

　と思っていたのもつかの間。ゲームを進めたら、あらやだ。モノくん、とてもカワイイじゃないですか。いや、見た目こそ驚きましたが仕草がいちいちあざといんですよ。重そうな斧をもって引きずったり、がんばってぶらさがったり、動作の1つ1つが小さな子どもの動きなので応援したくなります。動かしているのは自分ですが、健気に見えてきちゃう。

　とか言って油断していると、初見でワナに引っかかって即死！　このシリーズは基本的にステルスアクションのように逃げ隠れするタイプのアドベンチャーなのですが、ホラーゲームらしくジャンプスケアのようなワナも仕込まれているので油断は禁物。チュートリアルだと思ってなめてかかったら、トラバサミにガチーンと引っかかってやられたので思わず声をあげてしまいました。

　ワナが発動するときの「ガシーン!!」という音も大きくて、勢いがあるからドキッとするんですよ。やられた……と後悔したのですが、ここでちょっとした発見が。序盤だけかもしれませんが、今回はチェックポイントとチェックポイントの間がすごく短いかも。やられてもすぐに近くから再開できるので、リトライが苦になりません。これはいい。

パートナーとの協力がカギになりそう？

　物を投げてワナを誤作動させながら進んでいくと、やがて捕まっている1人の子どもに出会いました。少年なのか少女なのか、その姿からはわかりませんが、現在までに公開されている情報から推測すると、彼女は前作の主人公シックス……だったりするのかな？

　ただ、特徴的だった黄色いレインコートを着ていませんし、ライターも持っていないのが気になるところではあります。シックスだと思うのですが、時間軸が余計にわからなくなってしまった……。ちなみに彼女と一緒に行動するようになると、後ろからついてきたり、あやしいところに移動したりしてヒントのようになってくれるところも。彼女自身が意思を持ってついてくるような印象ですね。しかも、手をつないで一緒に移動できるのがグッときます。遊んだ範囲では、とくに手をつなぐ必要のあるギミックはありませんでしたが、かわいらしいのでなんとなく繋いじゃう。こう、初々しいんですよ。

　ホラーゲームではあるのですが、こういう“ちょっとしたかわいらしさ”がいいんだよな～。高いところへ上るのに協力してもらう場面があったり、一緒に隠れる場面があったり、ギミックを使って先に行ってもらったりと、パートナーと協力する要素も確認できました。シックスがいることで、前作よりも孤独を感じないのがありがたい……。前作では序盤から1人で逃げ隠れしていたので、最初から協力し合っているのが新鮮です。

　と安心していたのですが、舞台はついにこのゲームの本番。“巨大な人”がいる家屋へ……。前作でも主人公より遥かに大きな人から隠れ、逃げ回るしかない圧迫される怖さがありましたが、今回も健在です。1人だろうが2人だろうが容赦してくれません。

　とくに今作は何が怖いって、猟師が猟銃とランタンをもって追いかけてくるんですよ。本気すぎる……。見つからないように草むらに隠れる場面もありますし、ダッシュで箱に隠れながら逃げ回る場面もあるなど、狩られる側に回るシチュエーションがおぞましい！　

　容赦なく撃ってくるし、ものすごくしつこいんです！　本当に、いつまでも追いかけてくるんですよ!!　振り切るまで油断できないのですが、まだ序盤なのに前作以上に怖い!!　でも、理不尽さはありませんでした。ちゃんとやるべきことがわかるようになっています。モノが逃げられる場所も、使うべきギミックも動かしてて「あ、コレだな」とわかる感じ。それでも焦るので、間に合わずにやられてしまうこともありますが……。

　しかしながら、先ほど言ったようにチェックポイントの間隔が短いので気になりませんでした。手に汗握りながら猟師を振り切り、夢中で遊んでいたらあっという間に体験できる範囲が終了。う～ん、先が気になる～。もっと遊びたいよ～!

　ボリューム的にはここからどれくらいあるのかはわかりませんが、まだまだ公開されている情報にある場所が出てきていないので先は長そう。子どもらしく届きそうで届かないもどかしさや、健気に協力する動きのかわいらしさ。ホラーでありながら、どこかホッとするかわいらしさもあり、最後まで興味深く遊べそうです。

　もちろん、ホラーとしての雰囲気もバッチリ。自分もこの先がすごく気になっています。前作やDLCを遊んでいない人は、今のうちにプレイして備えておくのもアリ。

　身を守るために武器で攻撃できる要素や、周囲の物体を使った新ギミック。新たなシチュエーションなど、まだまだ体験していない要素があるようなので、そこも楽しみです。どこか“キモかわいい”怖さのある独特の世界観と、謎に満ちた物語。協力し合う主人公たちの健気さが魅力的ですし、前作以上に描き込まれたグラフィックは、怖さがありつつどこか不思議な造形美を感じます。発売まで目が離せない期待の1作ですよ！